訂正有価証券報告書-第29期(平成26年6月1日-平成27年5月31日)

【提出】
2016/04/21 16:30
【資料】
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【項目】
119項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積及び仮定設定を行わなければなりません。特に医薬品業界特有の慣例として薬価改定後、医薬品の仕入価格については医薬品卸と交渉が決着するまで見積価格で計上しております。この見積に関して当社は過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、見積特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は8,257百万円となり、前連結会計年度末残高8,557百万円に対し、299百万円減少しました。この主な要因は、レセプト債権の流動化による資金化により、売上債権(「売掛金」と「未収入金」の合計額)が前連結会計年度末残高3,612百万円に対し818百万円減少の2,793百万円となった一方で、現金及び預金の残高が前連結会計年度末残高3,643百万円に対し240百万円増加の3,883百万円、商品及び製品の残高が前連結会計年度末残高934百万円に対し152百万円増加の1,087百万円となったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は15,945百万円となり、前連結会計年度末残高16,296百万円に対し351百万円減少しました。この主な要因は、積極的にM&Aや新規出店を推し進めた結果、有形固定資産が前連結会計年度末残高6,505百万円に対し139百万円増加の6,645百万円となった一方、のれんの償却が進んだため、無形固定資産が前連結会計年度末残高7,209百万円に対し414百万円減少の6,795百万円となったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は10,624百万円となり、前連結会計年度末残高10,112百万円に対し、512百万円増加しました。この主な要因は、1年内償還予定の社債及び1年内返済予定の長期借入金の合計が前連結会計年度末残高3,404百万円に対し527百万円減少の2,876百万円となった一方、買掛金が前連結会計年度末残高4,960百万円に対し1,296百万円増加の6,256百万円となったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は7,789百万円となり、前連結会計年度末残高9,138百万円に対し、1,348百万円減少しました。この主な要因は、長期借入金が前連結会計年度末残高7,316百万円に対し1,246百万円減少の6,069百万円となったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は5,811百万円となり、前連結会計年度末残高5,628百万円に対し、182百万円増加しました。この主な要因は、利益剰余金が配当金の支払により125百万円減少する一方、当期純利益の計上により227百万円増加し、前連結会計年度末残高3,053百万円に対し137百万円増加の3,191百万円となったことによるものであります。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績は、前連結会計年度と当連結会計年度における新規開局等の店舗や新たにグループ入りしたグループ会社が売上高に寄与したため、売上高は39,506百万円となり、前連結会計年度の売上高38,221百万円に対し、1,285百万円の増収(前年同期比3.4%増)となりました。売上総利益は6,375百万円となり前連結会計年度の売上総利益6,012百万円に対し363百万円の増益(前年同期比6.0%増)となりました。売上総利益率におきましては、平成26年4月に実施された薬価基準・調剤報酬の改定の影響もありましたが、在宅医療・施設調剤の拡大や仕入政策等により0.4ポイントの改善を図ることができました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の4,440百万円に対し792百万円増(前年同期比17.8%増)の5,232百万円となりました。増加した主な要因は、消費税増税に伴う租税公課と200店舗を超えるグループガバナンス、管理体制の強化に伴う人件費等の増加によるものであります。この結果、営業利益は1,143百万円となり、前連結会計年度の1,572百万円に対し429百万円の減益(前年同期比27.3%減)となりました。
営業外損益では、営業外収益は前連結会計年度の151百万円に対し5百万円増(前年同期比3.3%増)の156百万円となり、営業外費用は、前連結会計年度の451百万円に対し、150百万円減(前年同期比33.2%減)の301百万円となりました。この結果、経常利益は997百万円となり、前連結会計年度の1,272百万円に対し274百万円の減益(前年同期比21.6%減)となりました。
特別損益では、特別利益として3百万円、特別損失として減損損失等で57百万円、法人税等で714百万円を計上した結果、当期純利益は227百万円となり前連結会計年度の369百万円に対し141百万円の減益(前年同期比38.3%減)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主な活動領域である調剤薬局事業におきましては、隔年で実施される薬価改定・調剤報酬改定が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国民医療費抑制の方針から、薬価・調剤報酬自体は今後も全体としては実質引き下げ方向での改定が予想されますが、近年の改定には、調剤薬局に機能の高度化を促す方針が明確に示されており、その対応如何では収益力の低下を抑え、更には競争力の強化に繋げることも可能であると考えております。
平成26年4月に実施された調剤報酬改定は、在宅医療の充実、後発医薬品の使用促進の方針を今まで以上に明確に示す内容となっております。在宅医療の充実は、改定の基本認識が掲げる地域包括ケアシステムの構築に向けた重点課題と位置付けられ、また、後発医薬品の改定には、平成32年3月末までに後発医薬品の数量シェアを80%以上に引き上げるとする政策目標が反映されております。
当社は、従来から、地域医療への貢献を経営方針に掲げ在宅医療や施設調剤を積極的に推進し、また後発医薬品につきましても、推奨ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選定し、安全と効果の検証を前提にした推進を加速させてまいりましたが、これからも、医療制度改革の動向や事業環境の変化にいち早く対応し、高水準の医療サービスを提供することで、地域医療への更なる貢献を果たしてまいります。
(5) 経営戦略の現状と見直し
主力業務の調剤薬局事業は、高齢化社会の進展により安定的な成長が見込まれる数少ない市場とされておりますが、国民医療費の抑制に向けた社会保険制度の改定や同業・異業を交えた競争の激化が進んでおり、持続的な成長を果たすには大胆かつ慎重な舵取りが不可欠であると考えております。当社グループは、このような認識に基づき、調剤薬局事業の高付加価値戦略である「ソフト戦略」、具体的には①地域医療(在宅医療・施設調剤)に推進、②安全と効果に基づくジェネリック医薬品(後発医薬品)の推進、③医療用サプリメントやメディカルアロマを活用した予防医療の提案等で構成、と地域密着戦略である「ハード戦略」、具体的には①M&Aや新規開局による調剤薬局事業の水平的拡大、②医薬品流通の川上である卸との地域連携、異業種との業務提携による垂直的拡大、③医療モール事業や医学資料の保管・管理業務等周辺業務の強化で構成、をともに推進してまいりました。
そのうえで従来の戦略を踏襲しつつ、新中期経営計画においては、成長戦略として「セルフメディケーション・サポートへの進出」と「選ばれる会社を目指す」という方向性を設定し、以下の3つのテーマとそれらに沿った施策を実行していくことを基本方針としております。
1つ目は「患者及び利用者に選ばれる」ために、体制整備として主に、①かかりつけ薬局化、②セルフメディケーション・サポート店舗(※1)の展開、を推進し、運用として主に、①面展開の推進、②ドミナント展開する複数店舗によるサービス提供、等により地域のメディケーション(薬物療法)・健康支援ニーズに対応したサービス提供をいたします。
2つ目が「健康保険制度外(非調剤)事業の拡大」のため、既存の非調剤事業の他、①一般用医薬品、②医療材料・衛生材料、③介護用品、④機能性食品・健康食品、等のセルフメディケーション・サポート及び健康支援関連商品販売の本格的な取り組みを開始いたします。
そして3つ目として「投資家に選ばれる会社になる」ために主に、①出店・M&Aの継続的推進による着実な成長、②子会社再編等の経営効率向上施策の加速化、等を推進してまいります。
(※1) 一般用医薬品、医療材料・衛生材料、介護用品、機能性食品・健康食品、等のセルフメディケーション・サポート及び健康支援関連商品等を取り扱う店舗
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、240百万円増加し、3,873百万円となりました。当連結会計年度における状況については、「第2事業の状況 1業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金の需要
当社の運転資金需要の主なものは、調剤のための医療用医薬品仕入のほか、店舗運営の製造経費、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。
なお、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入金により資金調達することとしております。