有価証券報告書-第41期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

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2014/09/29 16:37
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107項目

事業等のリスク

当社グループの事業展開上、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、結果的にそれらの回避及び対応により完全に対処できるわけではありません。また、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。
(1) 事業内容に関する事項について
① 廃棄物処理施設について
当社グループの主要設備は、施設の設計時から公害等の発生原因の軽減と効率的な稼動を考慮した設計を行い、設備の導入を進めてまいりました。しかしながら、バイオマスガス化発電施設は平成19年、建設系リサイクル施設は平成14年、食品系リサイクル施設は平成12年に竣工しており、日常の点検管理には取り組んでおりますが、経年劣化による維持管理費の増加発生も予測されます。
各設備の日常点検・維持管理・整備を徹底するとともに、火災等の事故発生防止に対してもマニュアルによる社内管理体制を徹底し、24時間の管理体制を整えております。さらに営業管理棟を含め、各施設の建物につきましては、震災等の自然災害に備えスラブ構造の基礎を採用する事等による対策を講じておりますが、偶発的な火災、爆発事故の発生及び想定を超えた地震・暴風雨等天災の影響により施設が損傷・倒壊・破壊した場合、事業活動の一部又は大部分が停止状態となります。このような事態が発生した場合は、当社の事業運営及び経営成績に多大な影響が及ぶ可能性があります。万一、こうした事故を含め、排出基準を上回る環境汚染物質を排出してしまった場合は操業停止が命じられる事があります。また当社処理施設の周辺地域に甚大な影響が生じ、当社に対して多大な損害賠償請求が発生する可能性があります。
② 当社グループの事業所用地について
当社グループの処理施設は千葉県白井市にありますが、白井再資源化センター用地、焼却施設用地及び道路用地の一部を賃借しております。現時点において、用地の貸主と当社の関係は良好で、賃貸条件の変更や更新拒絶がなされる可能性は低いものと考えておりますが、貸主の事情により、当該用地が第三者に売却された場合等においては、賃借料の値上げ等の条件変更がなされるケース、期間満了後に契約更新されないケースが発生する恐れは否定できません。契約の更新がなされない場合、解除その他の理由により当社の処理施設の事業所用地に関する賃貸借契約が終了した場合には、代替の事業所用地を確保することは困難を伴うことが予想され、当社の事業継続が困難となる可能性があります。当社としては、上述のとおり賃貸借契約が継続しない可能性もあります。また、新しい事業所用地の確保には各種許可や自治体との事前協議等が必要であり、万一移転等の必要性が発生した場合、移転先での操業開始には長期の手続き期間が発生いたします。今後、長期間の賃借契約の締結等、安定的な事業基盤の形成に努める方針でありますが、現時点ではかかる安定的な事業所用地の確保が保証されるものではありません。
(2) リサイクル事業に関する法的規制について
当社プループの建設系リサイクル事業および食品系リサイクル事業は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(以下「食品リサイクル法」という。)の許認可に基づく事業展開を行っております。当社が取得しております許可及び登録は廃棄物処理法に基づくものが大部分でありますが、当該許可及び登録に関しては多くの規制がございます。当社の事業活動を取り巻く法的規制は次のとおりであります。
① 許可の新規取得と更新について
産業廃棄物収集運搬業・処分業及び一般廃棄物処分業許可の新規取得及び更新時において、一般廃棄物処分業においては廃棄物処理法第7条第10項、産業廃棄物収集運搬業・処分業においては廃棄物処理法第14条第5項及び第10項に記載されている基準に当社が適合していると認められない場合、許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされない可能性があります。
また、産業廃棄物収集運搬業・処分業許可の新規取得及び更新時並びに一般廃棄物及び産業廃棄物処理施設の設置許可申請を行う際に提出する申請書類には、一定の持株比率を有する株主の住民票の写し、登記事項証明書もしくは登記簿の謄本等特殊な書類の提出義務があります。かかる書類・手続き等が不備である場合、許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされない可能性があります。
現在、当社は当該基準に適合しておりますので、産業廃棄物収集運搬業及び処分業、一般廃棄物処分業の更新許可を取得しており、許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされない事由はございません。万一、当該基準に当社が適合しなくなった場合は許可の新規取得の申請が却下されたり、更新がされないため、当社の事業活動は事実上停止状態となります。
② 当社の事業活動の停止及び取消し要件について
廃棄物処理法には収集運搬業及び処分業許可についての停止要件並びに取消し要件が定められております。これらの要件に当社が該当する可能性がある場合、当社に対し、指導、改善命令、措置命令、営業停止等の行政処分がなされることになり、改善が認められない場合等、許可の取消し処分が下される恐れがあります。また当社が今後、リサイクル事業を拡大する際にも廃棄物処理法における許認可の取得が前提となり、当社が廃棄物処理業許可の停止並びに取消し要件に該当した場合、新規の許可取得は不可能となります。このような事態が発生した場合、リサイクル事業からの撤退を含めた経営判断を迫られ、当社の事業展開は大きく影響を受けることになる可能性があります。
現在、当社は当該基準に抵触して許可の停止及び取り消し要件に該当する事由はございません。万一、当該基準に当社が該当した場合は許可の停止及び取り消し処分となり、当社の事業活動は事実上停止状態となります。
③ その他配慮すべき法令について
その他、当社グループが事業を行う上で配慮すべき環境に関連する主な諸法令には以下のものがあります。
1) 大気汚染防止法及びダイオキシン類対策特別措置法
当社が設置する、焼却炉及びボイラー等の設置、維持管理について、同法により規制されております。これらの施設を設置する際は、設置届(施設の概要、排出ガスの量、組成等の予想値を記載)及び排出ガスの定期的な測定と測定結果の保存が義務付けられております。
2) 水質汚濁防止法
当社の設置する施設から排出する雨水等の水質基準について、同法により規制されております。
3) 悪臭防止法
当社の設置する施設から発生する臭気等の基準について、同法により規制されております。
4) 騒音規制法・振動規制法
当社が設置する、送風機、破砕機等から発生する騒音、振動について同法及び同法に基づく「白井市公害防止条例」により規制されております。設置機器から発生する騒音及び振動を基準値以内にするため、防音及び防振対策を講じる必要があります。
5) 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
食品循環資源の再生利用並びに発生の抑制及び減量を促進することを目的としています。具体的には食品加工事業者、国、地方自治体等の責務を明確にし、運用方法と目標を定められています。
6) 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
建設工事(建物の新築及び解体工事)から発生する「木材」「コンクリート片」「アスファルト片」を再資源化することが規定されております。当社で受注しております解体工事において、工事着工前の届出及び分別解体の施工・発生材の再資源化施設への搬入等が義務付けられております。
④ 産業廃棄物処理に関する法的規制に対する行政の変化について
現在のところ、これらの法律及び規制が当社の事業展開の障害になるようなケースはありません。しかしながら、社会的な環境意識の高まりにより上記諸法令の規制が一段と強化される可能性があります。また、当社が全ての法律及び規制の解釈を含め、完全に掌握していない可能性もあります。さらに解釈に関して、当社と行政側に相違があるケースも存在する可能性があります。当社は、法令遵守を徹底する上でも、その解釈について疑義がある場合は、その疑義が解消されるまで、努力していく方針であります。
今後、当社の事業が新たな何らかの法的規制を受けた場合には、当社の事業展開が中断もしくは延期、規制への対処のためのコスト発生などによって、業績に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 財政状況、経営成績について
① 借入金の依存度が高いことについて
当社グループの主要業務である廃棄物処理事業は、設備投資に多額の資金が必要であり、現在保有しております諸設備の資金調達は大部分が金融機関からの借入および社債等の有利子負債に依存しております。このため、総資産に占める有利子負債の割合は平成26年6月末現在42.4%と高くなっております。このため、金利の変動により支払利息の負担が増加し、さらに返済額が営業キャッシュ・フローで補えない事態が発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 株式価値の希薄化について
当社グループはバイオマスのエネルギー化及び液状飼料化等のリサイクル事業拡大に向けた今後の設備投資においても、借入金、リース等による資金調達を行う計画でありますが、総資産に占める有利子負債の割合は高水準で推移しております。今後、財務体質の改善に向けた新株発行による資金調達及び設備投資資金を新株発行により調達する可能性もあります。
これらの目的で新株発行を行った場合、利益水準は向上するものと予測しておりますが、保有株主の株式価値を希薄化させる可能性があります。また、当社株式の株価次第では短期的な需要バランスの変動が発生し、株価への影響を及ぼす可能性があります。
(4) 今後の経営方針について
① 処理施設の建設許可について
廃棄物処理業においては、処理施設の設置許可(廃棄物処理法第15条)が必要となりますが、その許可申請に当たっては、建築基準法第51条に基づく位置指定許可を得る必要があります。その他、都市計画法第29条開発行為許可(市街化調整区域に建設する場合)、大気汚染防止法等の環境規制法令に基づく届出、自治体との事前協議等も必要となる場合があります。廃棄物処理施設の設置許可基準は廃棄物処理法第15条の2に定められております。
また、近年は環境保全の観点から、廃棄物処理施設の構造基準・維持管理基準の規制が強化されておりますので、今後は、実質的に廃棄物処理施設の設置許可が取得し難い状況が想定されます。また、近年は環境保全の観点から、廃棄物処理施設の構造基準・維持管理基準の規制が強化されておりますので、今後は、実質的に廃棄物処理施設の設置許可が取得し難い状況が想定されます。
当社グループはこのような事業環境においても、既に稼動中の処理施設の設置許可を順次取得し、現在に至っておりますが、今後、処理施設の建設に関し、必要な許認可等が何らかの理由で取り消しになった場合、新しく申請した許認可等が何らかの理由で取得できなかった場合には、当社の事業活動が制約され、今後の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
② 食品系リサイクル事業の将来性について
1) 食品系リサイクル事業について
当社グループは、現在、食品系リサイクル事業において食品循環資源の堆肥化・飼料化を中心に進めております。当社の営業活動範囲である首都圏近郊において、食品循環資源の大型処理施設が少なかったこともあり、競争力を有した事業展開が可能でありましたが、平成18年3月より食品リサイクル法が完全施行された事により、食品循環資源のリサイクル市場へ数多くの企業が参入し、大型のリサイクル施設を設置されております。
当社グループは、食品循環資源の堆肥化・飼料化・乾式メタン発電を組み合わせたリサイクルシステムの構築に加え、農業との連携を深めることにより競争力を確保するための活動を進めておりますが、競争環境が急変する可能性があります。また、今後、画期的な新技術や他のリサイクル方法により、当社方式が陳腐化その他で受け入れられなくなった場合ならびに食品工場等のリサイクル技術の革新等により、食品廃棄物の発生が著しく減少した場合には、当社の事業が抑制され、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
2) 飼料化リサイクル事業について
当社は、食品循環資源の飼料化リサイクル事業の拡大を進めております。食品循環資源の飼料化は、再生飼料の安全性、品質、保存方法等の課題はありますが、現状輸入飼料に依存し、国際的な飼料需要の増加等により飼料価格が高騰しているため、畜産経営のコスト削減を目的とした再生飼料の需要は高まるものと見込んでおります。しかしながら、供給ルートの確保ができない場合は、飼料化リサイクル事業として十分な競争力を確立できないため、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
3) 白井事業所以外での展開について
当社は、バイオマス資源の利活用事業の拡大を目指して、中期的な展望として白井事業所以外での再資源化センターの新設を検討しておりますが、その場合、当社の実績がなく、知名度が低い地域において施設設置に関する許認可手続きを進める必要が生じます。当社の計画通りに施設設置の手続きが円滑に進行しない可能性があります。その場合、当社は中期的戦略を変更せざるを得なくなります。
③ 森林資源を活用したバイオマス発電事業の事業化について
当社グループは、平成19年より木くず等のバイオマス資源をエネルギー源として発電を行うバイオマス発電施設の事業化を開始し、自社で使用する電力を削減するとともに、余剰電力を売電することにより、CO2の削減を推進してまいりました。平成24年7月に再生可能エネルギーを対象とした固定価格買取制度が始まったことを受け、新たに森林資源を活用したバイオマス発電により、事業としての採算性を確保しつつ、林業の活性化・雇用創出による地域経済への貢献が可能な森林資源を活用した新規バイオマス発電事業を推進するため、事業化に着手することとしました。
具体的には、当社65%出資による株式会社一戸フォレストパワー(発電事業)を平成26年1月に設立し、さらに株式会社一戸フォレストパワー100%出資による株式会社一戸森林資源(バイオマス燃料製造事業)を同月設立し、平成28年2月の営業開始をめざし準備を進めてまいります。
当該新規事業の開始にあたっては、当社は事業資金の調達並びに採算性や投資回収期間を十分に検討してまいりますが、必ずしも計画どおりの成果を得られる保証はなく、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 減損会計について
当社グループは平成18年6月期より「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しております。当社の固定資産・リース資産について、稼働率の低下及び利益率の低下等により、施設毎の損益又は営業キャッシュ・フローの継続的なマイナスにより減損処理が必要となり減損損失を計上する必要が生じた場合、固定資産を多く保有する事業形態であるため、業績に多大な影響を与える可能性があります。
(6) M&Aについて
当社グループでは、今後の事業規模の拡大を図る手段として廃棄物処理施設の設置許可取得期間を短縮するため、M&Aを重要な手法として位置づけております。M&Aを行う際は、その対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって極力リスクの低減に努める所存でありますが、M&Aを行った後に、偶発債務や未認識債務が発生する場合等が考えられます。また、M&Aの対象会社が外部環境の変化等各種の要因により、当社の当初の期待どおりの、成果をあげられない可能性もあります。これらの場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。