有価証券報告書-第56期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 16:57
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

当社および当社の子会社(以下「当社グループ」という。)の経営方針、対処すべき課題等は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
情報技術に関する全てを当社グループの「事業領域」とし、個人の個性と能力を発揮することに価値を置いた「企業風土」のもと、創造性に富んだ情報技術によってお客様の要求を超えたソリューションを提供し、お客様の夢・理想を実現させ、豊かな社会の発展に貢献することが、当社グループに課せられた「社会的役割」であるととらえております。
当社グループは、「IT can create it.」(クリエイティブな発想で、ITの持つ無限の可能性を現実のものとする)の企業スローガンのもと、情報技術の持つ新たな可能性の実現に取り組んでまいります。
また、当社グループの事業活動において、CSR(企業の社会的責任)への取り組みを重要なものと位置づけ、社会からの信頼や期待に応えていくために、お客様、株主、社員、取引先、地域社会をはじめとするあらゆるステークホルダーの方々と積極的にコミュニケーションを図りながら事業活動を行うことにより、社会の持続的発展への貢献を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、売上高、営業利益、当期純利益、自己資本比率を最も重要な指標としており、安定性と成長性を兼ね備えた企業集団を目指しております。今後につきましては、経営基盤の強化による更なる収益力の向上と効率化を追求することにより、企業価値を高めてまいります。
(3) 今後の経営方針
当社グループにおいては、当期も引き続き新型コロナウイルス感染症による影響が予想されるものの、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業の増加や政府のデジタル化に向けた施策などにより、IT投資需要は今後も継続するものと見込んでおります。
このような事業環境の中、当社グループは、「基盤事業※の拡大と収益向上」「新規事業の創出・育成」「社員の成長と活躍を推進」を主要方針として取り組んでまいります。「基盤事業の拡大と収益向上」に向けては、大型請負案件や一次請け案件の受注拡大を推進するとともに、顧客のDXをともに推進するパートナーを目指し、新たな技術や製品・ソリューションの活用に積極的に取り組んでまいります。また、不採算案件による損失を未然に防ぐためプロジェクト管理の強化に努めてまいります。「新規事業の創出・育成」に向けては、農業ICT、ヘルスケア領域のほか、DXファーストステップソリューション(DXに取り組む企業に向けた業務最適化コンサルティングや各種ITソリューションの導入支援)の提供に取り組んでまいります。「社員の成長と活躍を推進」に向けては、社員一人ひとりが能力を発揮し、安心して働くことができるよう働き方改革の推進や健康経営に取り組んでまいります。
※ 当社グループの売上高の大部分を占めるシステム開発事業とSI事業を基盤事業と位置付けております。
当期の主要施策は、次のとおりです。
① 基盤事業の拡大と収益向上
・大型請負案件の獲得推進
・一次請け案件の受注拡大
・新技術の習得、新たなソリューションの活用推進
・不採算プロジェクトの発生抑制
② 新規事業の創出・育成
・農業ICT
・ヘルスケア領域
・DXファーストステップソリューション(DXに取り組む企業に向けた業務最適化コンサルティングや各種
ITソリューションの導入支援)の提供
③ 社員の成長と活躍を推進
・働き方改革の推進
・健康経営
(4) 会社の対処すべき課題
現在の国内情勢は、新型コロナウイルスの感染状況が長期化する中、2021年4月末に東京都、大阪府など4都府県に発出された3回目の緊急事態宣言が、5月には北海道、沖縄県などを加えた10都道府県に拡大され、更には期間も6月までに延長されるなど、予断を許さない状況が継続しております。今後の国内経済に関しても、自粛要請等による個人消費の低迷や企業活動の停滞など、当面厳しい状況が続くものと予想しております。当社グループの主要顧客におきましても、卸・小売、ホテル領域の顧客などでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業活動の停滞や業績の低迷により、この先システムに対する投資が抑制されることが懸念されます。
一方で、経済産業省が2018年に公表したDXレポートでは、日本企業の多くが現在の老朽化した基幹業務システムを利用し続けることで、デジタルトランスフォーメーションの実現やデータ活用の足かせとなり、莫大な経済損失を生じさせる懸念があることから、企業に対して2025年までに既存システムを刷新するよう求めております。このことから企業においては、この先基幹システムの刷新需要の増加が見込まれるほか、働き方改革や人手不足を背景とした生産性向上を実現するためのIT投資需要につきましても継続するものと見込んでおります。また、今回の新型コロナウイルス感染症による影響への対応として、テレワークをはじめとした環境整備やデジタル化、業務改革などがさらに加速する可能性もあると考えており、企業のIT投資に対する意欲は底堅く推移するものと見込んでおります。
これらの前提を踏まえまして、当社グループの取り組むべき課題としましては、顧客からのIT投資需要に応じた体制を構築するための技術者の確保に加え、最新技術に精通した技術者の育成が急務であると考えております。そのために当社グループでは、新卒・中途採用のほか、グループ各社、開発パートナー企業との連携を強化し、技術者の確保を進めていくとともに、最新技術についての教育にも積極的に取り組んでまいります。
喫緊の懸念事項としましては、新型コロナウイルス感染症の影響が、更なる感染拡大や感染力の強い変異株の流行などにより状況悪化となった場合には、民間企業のIT投資意欲が減退し、当社グループの受注計画にも影響が出ることも考えられます。現時点では、顧客の需要動向に深刻な影響は見られないものの、引き続き市況や当社グループの事業に与える影響等に注視し、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的小さいと見られる官庁系、公共系への営業活動を強化するなどの対応を進めてまいります。また、状況の更なる悪化などにより、需要減少の傾向が見られる場合には、受注戦略の変更や技術者のシフトなど柔軟的かつ機動的な対策を講じ、業績確保に努めてまいります。