有価証券報告書-第43期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/25 13:02
【資料】
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【項目】
148項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動には、基礎的な要素技術の開発と、現在の製品の改善のための開発があります。
なお、当連結会計年度の研究開発費は875百万円であり、この他売上原価に算入されているソフトウェア開発費用1,465百万円と合わせ、開発活動に関する費用の総額は2,341百万円であります。当連結会計年度における研究開発活動の主なものの概要は、セグメント別に以下のとおりです。
(1)ITセキュリティ事業
ITセキュリティ事業の研究開発費は553百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。
①FileZen S V1.0 新製品のリリース
自治体のインターネット分離環境で、「自分から自分」へのファイル受け渡しをドラッグ&ドロップするだけで、異なるネットワーク間でのファイルの受け渡しが安全・確実に行える新製品FileZen Sの開発・リリースを行いました。なお、FileZen Sでは、ネットワーク分離を画面イメージで再現しており、使い勝手だけではなく、利用者に情報セキュリティを適切に意識させる画面となっています。また、ファイル無害化製品と連携する機能を搭載しており、無害化製品との連携によって、ファイルの受け渡しを行うだけで自動的にファイル無害化処理が行われます。
②InfoTrace Mark II 新バージョンV3.0の開発・リリース
InfoTrace Mark II の新バージョンV3.0の開発・リリースをおこないました。今回の新バージョンでは、国際標準規格に対応し、端末への侵害有無を自動的にチェックする機能を搭載しました。本機能により脅威情報を活用したマルウェアの感染チェックや該当端末のネットワーク隔離、当該ファイルの実行禁止までを自動化することが可能になりました。また、端末の管理面での機能強化もおこなっており、運用管理を効率的に実行できる環境を提供します。
③ID認証サービス(Soliton OneGate)の新バージョン開発・サービス提供
ネットワーク認証から社内外のアプリケーション利用までの多要素認証に対応したID認証サービスSoliton OneGateの新バージョンの開発・サービス提供を行いました。今回の新バージョンでは、多くの利用実績を誇る認証アプライアンスNetAttest EPSのラインナップに、ゼロコンフィグ型でクラウド管理できるNetAttet EPS-edgeを追加し、デジタル証明書による強固なWi-Fi認証を簡単に導入できるようになりました。また、FIDO2認証を新たにサポートし、デジタル証明書+FIDO2生体認証という、利用者の負担少ない多要素認証が可能となりました。さらにパスワード認証が必要な複数のアプリケーションに対して、シングルサインオン(SSO)を可能にする代理認証SSOアプリを新たに提供し、利用者の利便性、生産性を大きく向上させます。
④NetAttest EPSに対応したChromebookへの証明書配布機能の開発・リリース
Chromebookは、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」において、児童生徒1人1台端末の有力な候補として注目され、多くの学校で採用されています。今回、多くの利用実績を誇る認証アプライアンス製品であるNetAttest EPSがChromebookに対応することで、同端末への電子証明書の配布を安全かつ効率的に行えるようになりました。いままで特に困難であった、大量の共用端末への証明書配布も簡素な操作で完了することができます。電子証明書を配布されたChromebookは正しい端末として無線LANを利用でき、その他の端末は不適切な端末として区別されネットワークへ接続はできません。
(2)映像コミュニケーション事業
映像コミュニケーション事業の研究開発費は13百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。
①Androidでのハードウエアデコード技術の開発
Android端末に内蔵されているのH.265ハードウエアコーデックの利用技術の応用として、200kbps以下の通信環境でも高品質な映像の中継と音声通話ができるスマートホン・システムを開発いたしました。
②4K映像のエンコーダーの試作
4K映像のエンコーダーを試作しました。LTE経由のマルチリンクにより4K映像の中継を実施することに成功しました。
(3)Eco 新規事業開発
Eco 新規事業開発の研究開発費は182百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。
①小型低消費電力、高性能映像伝送装置
低消費電力なブルートゥース無線伝送を活用した、テレワーク、防犯、遠隔保守向け、超小型(ウェアラブル)低消費電力の高画質画像伝送装置の開発を行いました。
②低消費電力アナログ方式エッジAIデバイス
端末において高度な認識が可能なアナログ方式エッジAIデバイスの試作に向け、スパイキング・ニューラル・ネットワークのIC実装に関する研究を行いました。
③短遅延映像伝送技術の開発
遠隔運転、遠隔医療、遠隔操縦などのアプリケーションを実現するために必要となる短遅延映像伝送技術の開発を行いました。独自の超短遅伝送プロトコル「RASCOW2」により、映像のカメラ入力から表示装置の出力(Glass to Glass)を40ミリ秒台(無線区間を含まない)の遅延時間で実現しました。映像だけでなく音声、制御信号の双方向短遅延通信を可能とし、LANトンネリング機能も有します。
(4)その他
その他の研究開発費は114百万円であります。遠隔型自動運転システムの開発、及びドライバー無人公道走行実証実験を行いました。
①自動車を遠隔地から運転制御できる遠隔運転システムの開発
当社映像コミュニケーション事業の製品である超短遅延映像伝送装置ZAO-SHを適用し、自動車の技術基準レベル並みの遠隔運転操作機の開発を行いました。この遠隔運転操作機は、映像/制御システムの信頼性設計、サイバーセキュリティ設計を基本としています。
②遠隔型自動運転システムを開発
前述の遠隔運転システムを協業会社の自動運転技術と連動させた遠隔型自動運転システムを開発し、国土交通省および所管県警本部の認定を受けドライバー無人での公道走行(伊豆高原地区)実証実験を行いました。