有価証券報告書-第36期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 15:54
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループが直面する経営環境は、技術的にはメインフレーム時代からクライアントサーバー時代へ、そしてWebコンピューティング時代からクラウドコンピューティング時代、そしてさらなる革新的な領域であるデジタル・トランスフォーメーション(DX)時代へと変わっていく中で、高い成長率を示すクラウドやビッグデータ・AI・RPAなどの新しいデジタル技術を成長領域と捉え、いち早く取組むことで成長し続けてまいりました。
新型コロナウイルス感染拡大による当社グループ業績への影響は限定的であると見通しており、新型コロナウイルスの影響を跳ね返す強靭な「レジリエント企業」として成長してまいります。
社内システムのクラウド化を推進することで事業展開のスピードアップを実現すること、ビッグデータ/AIツールによるデータ分析・活用を行うことで今まで認識できなかった事業機会を新たに開拓すること、RPAにより業務の自動化・省力化を図ること、Web会議や勤務管理なども含むIT環境を整備することでテレワークを推進すること、申請業務を電子化することでペーパーレス化を実現すること、などDXに対するニーズは数多くあります。
このような潮流を長期的な成長の機会と捉え、総合ITベンダーとして新しい技術やソリューションを組み合わせて活用し、クラウド、ビッグデータ/AIなどのデジタルプラットフォームを活用して、高付加価値なコンサルティングなどの上流工程のビジネス拡大や、データの分析(アナリティクス)や活用の提案の強化など、社会や企業のDX化をワンストップサービスで支援していくことで、更なる成長を目指し、お客様のデジタル改革の担い手として取り組んでまいります。
このような中、当社グループが抱える主要な課題は、①新分野へのイノベーション、②人材の育成と補強、③高付加価値化への継続的な取組みの三点と認識しております。
① 新分野へのイノベーション
当社グループは、これからもITの大きな変化の節目をしっかり捉え、技術革新にスピーディに対応し、絶え間ないイノベーションを続けることで、更なる成長を図ってまいります。 先見的な目線を持ち、自由な研究開発ができる環境を整え、引き続き拡大が見込まれるDX領域を核とした最先端技術領域に、他社に先駆け積極的に取り組んでまいります。 更に、高い成長が見込まれる市場環境を背景として常に受注予算の3倍の案件総量を確保することで、良質な案件を選別受注し収益力を向上させてまいります。
② 人材の育成と補強
人材は当社グループにとって付加価値の源泉であり、品質の高いサービスを提供するための最も重要な経営資源であります。継続的に高ポテンシャルな優秀人材を採用していくために、採用基準のレベルアップを前提とした採用力の強化を行います。新卒者には入社内定の段階から基本情報技術者試験対策を施し、入社後に即時合格を目指すなど新人の早期戦力化に力を注いでまいります。更に、入社後の研修を充実させ、デジタルビジネスの拡大のために、データサイエンティスト・データアナリストの早期育成やグローバルなクラウドソリューションプラットフォーマーやツールベンダー等の資格の取得促進など、自発的な学習環境を整えることで、若手社員を中心に高付加価値サービス提供のための実践的なスキルアップを図ってまいります。
③ 高付加価値化の継続的実施
当社グループでは、高付加価値化を事業戦略の一丁目一番地と考え、具体的な指標として一人当たり売上高の毎年5%以上アップを目指し、企業として成長し続けるために、次の施策をグループ一丸となって推進してまいります。
(a) 提案力強化
・コンサルティングやシステム設計等の上流工程から入り、開発から保守・運用までのトータルサービスを提供する、 より付加価値の高い提案の実施
・得意技としてのソリューションやサービスメニューを組み合わせた幅広い顧客への提案
(b) 技術力強化
・価格競争力のある資格取得者(クラウド・デジタル・データアナリスト関連等)の拡充
・クラウド、ビッグデータ/AI、RPA、ブロックチェーンなどのDX領域での新技術の習得と活用
(c) 営業力強化
・お客様の満足度向上策の着実な実施や密着度を高める活動による、既存のお客様の深掘や横展開活動の実施
・新しいソリューションやサービスのメニュー化による、ホームページやセミナーを活用した新規のお客様の開拓の促進
以上の活動を通して、当社グループは更なる高付加価値化と継続的な成長を推進してまいります。
(中長期的な会社の経営戦略)
当社グループは、クラウド・デジタルビジネスを中心に、新たなDXの潮流に積極的に取組み、成長のための7つの基本戦略を推進することで持続的に成長します。
① 成長戦略
高付加価値化経営を軸に、DXを成長エンジンとして、コンサルティング・システム設計など上流工程の強化による一人当たり売上高の向上、営業プロセスの徹底による案件総量3倍確保策により、継続的な高成長を実現してまいります。
② 顧客戦略
成長領域への積極的なIT投資が見込まれる優良顧客の高付加価値化案件を獲得し、「ささやきをカタチにする」提案活動を通し顧客ニーズの把握とタイムリーな提案により、お客様とともにイノベーションの実現を目指します。
③ 人材戦略
新技術に対応できる優秀な人材を見極めるための「採用を科学する」仕組みで、積極的な採用で人材を確保し、併せて提案力・技術力を高める人材育成を進めることで、当社グループの高い成長を担える集団を創ります。
④ イノベーション戦略
新たな価値の創出を目指し、DX領域を更に強化し、他社に先駆けて業界をリードする新技術・新ソリューション・新サービスの開発に取組んでまいります。
⑤ 品質戦略
プロジェクト管理の精緻化および品質、工程と原価の可視化を進めることで、プロジェクト課題への先手対策によるサービス品質の向上と、お客様満足度の改善活動を展開します。
⑥ 財務戦略
自己資本比率の向上と高ROEにより健全性と高収益性を両立し、「企業価値向上経営」を継続して実践してまいります。また、営業利益率の継続的な向上など当社グループの主要KPIを明確化し、業績管理の可視化によって安定した健全成長を実現する会社を目指します。
⑦ 提携戦略
相乗効果を前提におきながら、成長領域であるDX領域を軸にした事業基盤強化のためのプラットフォーマーとの業務提携とM&Aに積極的に取り組み、成長スピードを高めてまいります。
これらの取組みで、売上高は継続的な成長を目指し、利益についても売上高の伸びと同等もしくはそれ以上の伸びを目指します。