有価証券報告書-第18期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 16:00
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【項目】
153項目

経営上の重要な契約等

(業務資本提携及び第三者割当による新株式発行)
当社は、2020年11月16日開催の取締役会において、株式会社フォーカスシステムズ(以下、「フォーカスシステムズ」)及び株式会社学研ホールディングス(以下、「学研HD」)との間でそれぞれ業務資本提携を行うこと並びに両社を割当予定先として第三者割当の方法による新株式の発行を行うこと(以下、本第三者割当増資)を決議し、同日に本業務資本提携に関する契約を締結いたしました。
Ⅰ.フォーカスシステムズとの業務資本提携契約の締結について
1.本業務資本提携の目的
当社のコア事業であるライフサイエンスAI分野では、2020年9月に「認知症診断支援AIシステム」に関し、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との準備面談を終了いたしました。これにより、PMDAと治験本相談の実施が可能となり、世界初の言語系AI医療機器としての承認・上市に向けて大きく前進いたしました。今後は認知症に加え、その他の精神疾患を対象とする診断支援AIシステムや、転倒転落のみならず、感染症等のリスクを予測・予防する新たな予測AIシステム等の開発に取り組んでまいります。
このような取り組みを進めるなかで、この度、当社は、既に取引のあったフォーカスシステムズと、更に関係を強化するため業務資本提携をすることといたしました。
当社の大株主でもあるフォーカスシステムズは、公共・金融・通信制御・業務アプリケーション等を安定基盤としつつ、AI・RPA・IoT・クラウド等先端技術にも積極的に取り組んでおり、“高度な信頼性”と“確かな安全性”、“多岐にわたる専門分野”を武器に、幅広い事業領域をカバーしております。持てる知見と技術を社会が求める高次元なレベルで兼ね備えていることから、デジタルトランスフォーメーションの進展とともに、さらなる価値創造を実現していく企業であると考えております。
当社の言語系AIと、フォーカスシステムズの画像系AIが組み合わさることにより、心血管疾患に関する発症予測、治療法の革新、発症後の患者動向の予測に関する統合的なシステム開発につながる可能性があります。これらを通じ、心血管疾患への事前対応、治療、発症後のケアを行い、対象疾患患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を図り、さらに対象疾患を広げることで医療従事者の負担軽減など社会的問題の解決を目指します。
当社は、フォーカスシステムズとは2016年のプレスリリースのとおり医療事業への人工知能の活用に向けた共同研究等も行っておりましたが、これまでの関係にライフサイエンスを中心とする本業務資本提携が新たに加わることで、上記社会問題解決のためのAI/デジタルトランスフォーメーションの推進に寄与し、両社の成長と発展に寄与すると考えております。
2.本業務資本提携の内容等
(1) 業務提携の内容等
業務提携の内容は心血管疾患にかかる事項を主たるテーマとしており、以下のとおりです。
なお、より具体的な提携内容については、今後協議してまいります。
① 心血管疾患に関する事業の立ち上げ及びその拡大に向けた検討
データ共有及びアセスメント、フォーカスポイントの設定、両社及び外部パートナーを含めた役割等
② 心血管疾患に関する研究の深化
病院、製薬企業等の共同研究先の模索等
③ 実証実験の実施
共同研究先での精度検証等
(2) 資本提携の内容等
当社は、第三者割当による新株式652,700株(発行株式数に対する割合1.71%)をフォーカスシステムズに割当て、同社が当社の株式を取得しました。 第三者割当増資の詳細は、下記「Ⅲ.第三者割当による新株式発行」をご参照ください。
Ⅱ.学研HDとの業務資本提携契約の締結について
1.本業務資本提携の目的
上記「Ⅰ.フォーカスシステムズとの業務資本提携契約の締結について 1.本業務資本提携の目的」に記載のとおり、当社はライフサイエンスAI分野において、世界初の言語系AI医療機器としての承認・上市に向けて邁進するだけでなく、今後は認知症に加え、その他の精神疾患を対象とする診断支援AIシステムや、看護記録から転倒転落のみならず、感染症等のリスクに関するAI予測システム等の開発に取り組んでまいります。
このような取り組みを進めるなかで、この度、当社は、世界的にも珍しい、子供世代からシニア世代までの全世代をカバーするビジネスを展開する学研HDと業務資本提携をすることといたしました。
当社の言語系AIは、学研HDのコア事業である教育分野および医療福祉分野と極めて高いシナジーがあると考えております。当社AI技術が、学研HDの戦略に組み合わさることで、AI/デジタルトランスフォーメーションを通じた医療福祉分野/教育分野の各産業の拡大に繋がり、両社の成長と発展に寄与すると考えております。
2.本業務資本提携の内容等
(1) 業務提携の内容等
業務提携の内容はAIデジタルトランスフォーメーション戦略に関する事項を主たるテーマとしており、以下のとおりです。
なお、より具体的な提携内容については、今後協議してまいります。
① 虐待リスク防止
② 転倒リスク予測
③ 認知症予測
④ 退職リスク防止
⑤ 小論文分析
⑥ エントリーシート分析
⑦ 書籍レベル判定
⑧ 見守り記録分析
⑨ 研修後の日報分析
⑩ その他両社間で取り決める事項
(2) 資本提携の内容等
当社は、第三者割当による新株式391,600株(発行株式数に対する割合1.03%)を学研HDに割当て、同社が当社の株式を取得しました。 第三者割当増資の詳細は、下記「Ⅲ.第三者割当による新株式発行」をご参照ください。
Ⅲ.第三者割当による新株式発行
①募集等の方法第三者割当増資
②発行する株式の種類及び数フォーカスシステムズ:普通株式 652,700株
学研HD :普通株式 391,600株
③発行価額1株につき766円
④発行総額799,933千円
⑤資本組入額1株につき383円
⑥増加する資本金の額399,966千円
⑦発行スケジュール2020年11月16日 取締役会決議
2020年12月2日 払込日
⑧新株の配当起算日2020年12月2日
⑨割当先フォーカスシステムズ
学研HD
⑩資金使途当社は、世界初の言語系AI医療機器としての承認を目指し、精神疾患領域等診断支援AIシステムの開発に取り組んでおり、2020年12月~2023年3月を支出予定時期として、これらの開発に資金を充当します。
⑪その他本第三者割当増資については、金融商品取引法に基づく有価証券届出書の効力発生を条件とします。

(シンジケートローン契約締結)
当社は、2020年12月17日開催の臨時取締役会において、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結することについて決議し、下記の通りシンジケートローンを締結いたしました。
1.シンジケートローン契約の概要
(1)組成金額2,232百万円
(2)契約形態タームローン
(3)契約締結日2020年12月21日
(4)実行日2020年12月24日
(5)借入期間5年間(2020年12月24日~2025年12月24日)
(6)アレンジャー株式会社三菱UFJ銀行
(7)参加金融機関株式会社三菱UFJ銀行
株式会社三井住友銀行

2.シンジケートローン契約締結の背景・理由
当社は、2015年12月に、米国eディスカバリベンダー(現FRONTEO USA INC.)の株式取得資金として、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行の二行個別に、合計4,229百万円(為替レートを$1=123.48円で換算)の借入を行いました。返済期間は10年間の前提で、契約は5年契約とし、5年後の2020年12月に、更に5年間の契約更新を想定しておりました。
2015年12月から本日まで、順調に計画通り約定弁済を行い、予定通り、更新時期を迎えました。更新に際し、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行による当社への協力体制をより明確化することを目的として、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとして、二行でシンジゲートの体制へ変更の上、予定通り、5年間の更新を行うことで合意されました。
3.本件契約締結の効果
上述した「(業務資本提携及び第三者割当による新株式発行)Ⅲ.第三者割当による新株式発行」に記載の通り、第三者割当による新株式発行により、2020年12月2日に総額799,933千円の払込が行われたことで流動資産が増加しました。
加えて、本件契約締結(本件ローンの実質的な更新)により、流動負債の1年内返済予定の長期借入金1,786百万円が、固定負債である長期借入金へと振り替えられました。
この結果、流動比率(流動資産と流動負債のバランス)が高く算出されることになり、当社の財務体質は大幅に改善されました。
(財務制限条項)
当社は、2016年7月26日及び2016年9月27日にシンジケートローン契約、2020年12月21日にタームローン契約、2019年1月23日にコミットメントライン契約を締結しておりますが、それぞれの契約に財務制限条項が付されております。
詳細は、「第5 経理の状況 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載しております。