四半期報告書-第14期第3四半期(平成26年7月1日-平成26年9月30日)

【提出】
2014/11/14 16:21
【資料】
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【項目】
27項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(平成26年1月1日から平成26年9月30日まで)において当社グループは前連結会計年度から引き続き医薬品開発を行う企業として成長を遂げるため、現在保有する創薬候補物の市場化を目指し、治験を着実に進めていくことを重要な経営課題としております。
■アイスーリュイ(中国語:艾思瑞、英語:Etuary)(特発性肺線維症・放射線性肺炎等治療薬)
中国において、アイスーリュイ(中国語:艾思瑞)については、特発性肺線維症(IPF)治療薬、放射線性肺炎(RP)治療薬及び糖尿病腎症(DN)治療薬という3つの適応症があります。
① 特発性肺線維症(IPF)治療薬において平成25年12月に製造販売許可を取得致しました。(平成26年1月6日に 提出したIR資料をご参照下さい。)アイスーリュイ(中国語:艾思瑞)は中国において国家食品薬品監督管理総局(CFDA)が承認をした唯一のIPF治療薬であります。当社完全子会社である上海ジェノミクス有限公司は長期に亘り自己開発を続け、この度中国において治療法がなかった薬剤(クラス1.1)として製造販売を開始する運びとなりました。また、製造を担当する子会社・北京コンチネント薬業有限公司において本薬剤の商品名の登録が完了致しました。(平成26年1月14日に提出したIR資料をご参照下さい。)更に、中国におけるアイスーリュイ(中国語:艾思瑞)の販売網につきましても販売代理企業等との契約締結も完了し、平成26年2月27日より当該薬の製造販売を開始致しました。(平成26年2月27日に提出したIR資料をご参照下さい。)既にAFT Pharmaceuticals Limitedとは、輸出に関して当薬剤のライセンス契約も締結しております。同社は、アジア各国、CIS等での製造販売も視野に入れ、各国で許認可取得の準備も順次行って参ります。
② 既に放射線性肺炎(RP)治療薬については第2相臨床試験を終了しておりましたが、現在製造販売を開始したアイスーリュイ(中国語:艾思瑞)の開発を先行すべく、RP治療薬の第3臨床試験開始を見合わせておりました。然しながら、この度、アイスーリュイ(中国語:艾思瑞)の製造販売開始及び資金調達によって開発に必要な資金を確保できたことから、RP治療薬のパイロット試験を行った後に第3相臨床試験を開始することと致しました。なお、現在、パイロット試験の準備を行っております。(平成26年5月9日に提出した、IR資料をご参照下さい。)
③ 追加適応症として、新たに糖尿病腎症(DN)治療薬の治験許可(IND)申請書を平成25年1月に提出し、審査及び現場視察が行われました。(追加適応症であるため、第1相臨床試験が省略される可能性があり、臨床試験の申請段階(フェーズ)を第2相臨床試験または第3相臨床試験から開始する可能性があることを新たに追記致しました。平成26年8月19日に行われた当社会社説明会資料をご参照ください。)
■F351(肝線維症等治療薬)
F351は、イーピーエス株式会社(4282東証一部上場企業)と当社グループが保有する技術、知的財産、ノウハウ等を共有し肝線維症等の分野での新しい医薬品や医療技術の早期開発を目的として設立致しました合弁会社であるGNI-EPS Pharmaceuticals, Inc.にて第2相臨床試験を行うべく、平成25年6月に中国において肝線維症治療薬F351の第2相臨床試験申請書を提出しておりましたが、この度、第2相臨床試験実施について許可を取得致しました。(平成26年7月1日に提出したIR資料をご参照下さい。)この他、肝線維症と類似する腎線維症は最終的に腎不全へとつながる疾患であり、効果的な治療薬の開発が早急に望まれる疾患であります。この腎線維症についてもF351の有効性を確認する為の各種動物実験を行いました。現段階において、F351は肝線維症及び腎線維症に対し、優れた特徴を示しており将来の新薬開発を期待しているところであります。なお、当社は中国、豪州、カナダ、米国、日本、欧州及びインドでF351の特許権を取得しております。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬)
急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬 F573は、前述のアイスーリュイ(中国語:艾思瑞)並びにF351に続く3つ目の新薬候補物であります。F573は、強力な肝細胞死阻害剤として米国企業EpiCept社が開発したジペプチド化合物であります。中国は、B型肝炎ウイルスが原因で、世界でも大きな肝疾患市場となっており、重症肝炎の最終ステージにおいて、大規模な肝細胞死が発生する可能性があります。現存する抗ウイルス剤以外、残された選択肢である肝臓移植は大変高価な最終手段であり、早急な新薬の開発が望まれるところであります。当社グループは、F573の合成法等について効果的な製法を開発し、これを以て体系的に前臨床試験を行って参りました。その結果、様々な肝不全動物モデルにおいて、F573が強力な細胞死の阻害並びに生存率改善を示したことを受け、平成23年7月に上海食品薬品監督管理局(上海FDA)に対し、新薬治験許可(IND)申請書を提出致しました。
■タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)
タミバロテンは、2005年に東光薬品工業株式会社が日本において承認を受けた急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬です。急性前骨髄球性白血病は、15番染色体と17番染色体が転座することにより形成されたPML-RARαキメラ遺伝子によって、前骨髄球の分化が阻害され、がん化した前骨髄球が増殖することにより発症します。ここに、タミバロテンが作用するとPML-RARαの変異性質が解除され、PML及びRARαの機能が正常化することにより骨髄球系の分化誘導が起こるものと考えられています。また、タミバロテンはトレチノインに反応しなくなった急性前骨髄球性白血病症例に対しても効果があるとの報告があります。中国において、東光薬品工業株式会社並びにイーピーエス株式会社が開発しておりましたが、平成25年に当社子会社のGNI-EPS(HONG KONG)HOLDINGS LIMITEDが、イーピーエス株式会社より開発等の権利を譲受け、現在、中国において同社と東光薬品工業株式会社にて、輸入薬承認治験を行っております。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より150,451千円増加し、275,009千円となり、営業損失は、前年同四半期より162,117千円減少し、434,902千円となり、経常損失は、前年同四半期より222,934千円減少し、399,931千円となりました。四半期純損失は、前年同四半期より202,582千円減少し、357,748千円となりました。なお、特発性肺線維症治療薬・アイスーリュイ(中国語:艾思瑞)の当第3四半期連結会計期間(本年7月より9月末まで)の売上高は88,299千円となり、当第3四半期連結累計期間(本年2月末の発売開始より9月末までの実質7ヶ月間)の売上高は142,719千円となりました。また、AFT Pharmaceuticals Limitedとのアイスーリュイ(中国語:艾思瑞)に係るライセンス関連収入として2,910千円が営業外収益に計上されております。
営業外収益に計上した為替差益30,424千円は、主に当社及び連結子会社が保有している外貨預金の評価替えにより当第3四半期連結累計期間で発生したものであります。補助金収入2,757千円は連結子会社である上海ジェノミクステクノロジー有限公司が上海市政府から受けた研究開発の補助金収入であります。営業外費用に計上した支払利息5,699千円は、連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司による金融機関からの借入金に伴い発生したものであります。
日本セグメントにおきましては、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より6,948千円減少し、17,155千円となり、同セグメント損失は、前年同四半期より115,924千円増加し、246,626千円となりました。
中国セグメントにおきましては、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期より152,062千円増加し、273,880千円となり、同セグメント損失は、前年同四半期より280,002千円減少し、180,266千円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,813,765千円増加し、6,565,622千円となりました。なお、建設仮勘定196,071千円の増加は、主に上海ジェノミクス有限公司のオフィス移転に伴うビル取得に係るものです。負債は、前連結会計年度末に比べて268,786千円増加し、1,047,762千円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べて1,544,979千円増加し、5,517,859千円となりました。純資産の増減は、主に357,748千円の四半期純損失を計上したことによる減少及び新株予約権のうち未行使の新株予約権が行使されたことにともない資本金及び資本準備金が合計で1,930,184千円増加したことによります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は83,143千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況の重要な変更はありません。
(臨床開発)
当社グループでは、中国においてアイスーリュイ(中国語:艾思瑞)、F351、F573、タミバロテン等を開発しております。なお、アイスーリュイ(中国語:艾思瑞)は(1)放射線性肺炎(RP)治療と(2)糖尿病腎症(DN)治療薬として開発。(1)は第2相臨床試験が終了しており、(2)に関しては、平成25年1月に中国で新薬治験許可(IND)申請書を提出致しました。追加適応症であるため、第1相臨床試験が省略される可能性があり、臨床試験の申請段階(フェーズ)を第2相臨床試験または第3相臨床試験から開始する可能性があることを新たに追記しました。(平成26年8月19日に行われた当社会社説明会資料をご参照ください。)F351は肝線維症治療薬として第2相臨床試験実施について許可を取得致しました。F573は急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬として平成23年7月に新薬治験許可(IND)申請書を提出致しました。タミバロテンは輸入薬承認治験を行っております。