訂正四半期報告書-第18期第1四半期(平成30年1月1日-平成30年3月31日)

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2019/05/15 15:36
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12項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
会社概要
日本に本拠地を置く当社は、中国及び米国に子会社を保有し、医薬品と医療機器を主な事業分野とするグローバル製薬企業です。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループは、医薬品と医療機器という2つの事業分野における好調な業績を受け、前連結会計年度から引き続き、売上収益及び営業利益の増加傾向を維持しました。また、当第1四半期連結累計期間の主要な進捗の一つである、当社米国子会社GNI USA, Inc. (GNI USA)による孫会社Cullgen Inc. (Cullgen)の設立により、当社グループは新薬開発に対するコミットメントを新たにしました。Cullgenは、先進的なユビキチン化を介した低分子誘導たんぱく質分解技術に焦点を当てたバイオベンチャー企業です。このCullgenへの投資により、当社グループは、最先端技術を活用した将来の開発パイプラインの拡充を目指します。
当第1四半期連結累計期間の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー及び研究開発活動は以下のとおりです。
(1)経営成績に関する分析
当第1四半期連結累計期間の経営成績
連結経営成績概要
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
売上収益350,2081,012,347662,139
売上総利益286,424871,786585,361
営業利益(△損失)△76,115106,128182,243
四半期利益(△損失)△174,147△260,130△85,982

売上収益及び売上総利益
当第1四半期連結累計期間において、売上収益は前年同期比約189.1%増加の1,012,347千円となりました。利益率は改善し、当第1四半期連結累計期間の売上総利益は、前年同期比約204.4%増加の871,786千円となりました。この増加は、北京コンチネント薬業有限公司(北京コンチネント)の売上が増加したことと、Berkeley Advanced Biomaterials LLC(BAB)の業績を取り込んだことによるものです。
営業利益(損失)
当第1四半期連結累計期間の営業利益は、前第1四半期連結累計期間の76,115千円の損失と比べ、182,243千円改善し、106,128千円の利益となりました。当社グループの両事業部門ともに、当第1四半期連結累計期間における利益率と収益性の向上に大きく貢献しました。
四半期利益(損失)
当第1四半期連結累計期間の四半期利益は、260,130千円の損失となりました。これは、主として、後述の金融費用について説明しておりますとおり、当第1四半期連結累計期間において、急激な円高により為替差損が発生したためです。
販売費及び一般管理費並びに研究開発費
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
販売費及び一般管理費△304,081△667,072△362,991
人件費△116,631△333,939△217,308
研究開発費△56,169△90,752△34,583

当第1四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、前第1四半期連結累計期間に比べ362,991千円増加し、667,072千円となりました。これは、主に、アイスーリュイの販売関連費用に加え、BAB及びCullgenの費用を取りこんだことによるものです。研究開発費が前年同期に比べ増加したのは、主として、2018年に開始される予定のF351及びアイスーリュイの追加適応症に関する臨床試験によるものです。
金融収益及び金融費用
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
金融収益4,8056,8152,010
金融費用△64,485△335,913△271,427

金融収益
当第1四半期連結累計期間の金融収益は、前第1四半期連結累計期間の4,805千円と比べて、2,010千円増加し、6,815千円となりました。
金融費用
当第1四半期連結累計期間の金融費用は、前第1四半期連結累計期間の64,485千円と比べて、271,427千円増加し、335,913千円となりました。この増加は、主として、円高により発生した現金支出を伴わない為替差損によるもので、外貨建ての資産及び負債の評価替えにより生じた正味の為替差損は、当第1四半期連結累計期間において327,287千円となりました。
(2)財政状態に関する分析
連結財政状態
(単位:千円)
前連結会計年度当第1四半期連結会計期間差額
資産合計15,676,74615,191,501△485,245
負債合計5,764,9415,599,970△164,971
資本合計9,911,8059,591,531△320,274

資産合計
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて485,245千円減少し、15,191,501千円となりました。これは、主として、当第1四半期連結会計期間において非流動資産が減少したことによるものです。
負債合計
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて164,971千円減少し、5,599,970千円となりました。
資本合計
当第1四半期連結会計期間末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて320,274千円減少し、9,591,531千円となりました。これは、主として、当第1四半期連結会計期間において、利益剰余金が減少したことによるものです。
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
前第1四半期連結累計期間当第1四半期連結累計期間差額
営業活動によるキャッシュ・フロー△38,247294,587332,834
投資活動によるキャッシュ・フロー△232,077△161,67470,403
財務活動によるキャッシュ・フロー141,448△68,323△209,771

営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前第1四半期連結累計期間の38,247千円の支出と比べて332,834千円増加し、294,587千円となりました。主な収入は、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加127,983千円並びに営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加132,451千円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、前第1四半期連結累計期間の232,077千円の支出と比べて70,403千円減少し、161,674千円となりました。主な支出は、有形固定資産の取得による支出の162,168千円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、前第1四半期連結累計期間の141,448千円の収入と比べて209,771千円増加し、68,323千円となりました。主な支出は、長期借入金の返済による支出の377,785千円であります。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。また新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、当社子会社Cullgenを設立し、研究開発部門を強化いたしました。また、F351については、中国では第2相臨床試験を、米国では第1相臨床試験の準備を、それぞれ継続して行いました。また、アイスーリュイのCTD-ILD治療薬としての第3相臨床試験及びDN治療薬としての第2相臨床試験の準備を継続して行いました。これらの結果、研究開発費の総額は、90,752千円となりました。
[新薬開発]
Cullgenは、先進的なユビキチン化を介したタンパク質分解技術に基づく、新しい創薬基盤の構築を目的として設立されました。その試みのため、当社グループは、ユビキチン分野の優れた専門家であるノースカロライナ大学生化学・生物物理学ウィリアム・R・ケナン講座教授のYue Xiong博士と、マウント・サイナイ医科大学薬理科学教授のJian Jin博士を共同創業者に迎えました。
先進的なユビキチン化を介したタンパク質分解技術は、標的タンパク質が原因となる疾患治療における低分子化合物医薬品の開発の新戦略として位置づけられます。Cullgenは、不要であったり、破損したりしているタンパク質を分解・破壊するユビキチン・プロテオソーム系の機能を利用した新薬開発を目指しております。Cullgenが追及する技術においては、E3リガーゼを介した特定のタンパク質が分解の標的にされています。E3リガーゼは、標的タンパク質、その他タンパク質及びユビキチンと複合体を構成し、その後ユビキチンが標的タンパク質をプロテオソームに誘導し、分解に導きます。疾患に関連する既知のタンパク質をユビキチンと共に標的にすることで、細胞自身の処理機能をその疾患との戦いに利用します。低分子化合物である酵素阻害剤は、酵素の活性部位に正確に適合しなければ機能しない上、その後、耐性が生じる可能性もありますが、それとは異なり、E3リガーゼを活用したユビキチン・プロテオソーム系を基礎とするシステムは、標的タンパク質の特定部位に適合する必要はなく、従って、従来、創薬ターゲットにできなかった酵素やタンパク質を含めたより広範なタンパク質に適用することができます。
Cullgenの研究プログラムは、がん、炎症性疾患及び自己免疫疾患に対する新しい治療法の開発に焦点を当てています。研究開発とヘルスケア分野のグローバル化進展に伴い、Cullgenは、米国、日本及び中国において創薬及び関連分野の事業開発を開始し、強固で協調的かつ生産性の高い創薬基盤の構築を進めていく予定です。
[臨床試験]
■アイスーリュイ[中国語:艾思瑞®、英語:Etuary®(一般名:ピルフェニドン)]
放射線性肺炎(RP)
当社グループは、アイスーリュイの2番目の適応症として、RP治療薬の第3相臨床試験前パイロット試験を実施しております。これは、反復投与、多施設でのオープン試験を行うもので、2018年3月末現在、10の施設で11人の被験者登録が行われています。被験者登録は、2019年の年末までに終了する見込みです。
糖尿病腎症(DN)
DNは、Ⅰ型糖尿病又はⅡ型糖尿病により引き起こされる慢性腎臓病です。統計によれば、中国では、糖尿病の有病者が9,240万人に達すると報告されており、Ⅰ型又はⅡ型糖尿病患者の20~30%が腎疾患を引き起こすとされています。2016年8月、当社グループは、中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)より、DN治療薬の治験許可(IND)申請に対する承認を取得し、DNに関し第2相臨床試験を直ちに開始することが認められましたが、第2相臨床試験の開始は、2018年の第2又は第3四半期を見込んでおります。
結合組織疾患を伴う間質性肺疾患(CTD-ILD)
CTD-ILDとは、結合組織疾患(CTD)を持つ患者様の肺が、炎症及び線維症、又はいずれか一方の症状を引き起こす状態のことを指しますが、2016年9月、当社グループは、アイスーリュイの4番目の適応症としてのCTD-ILD治療薬のIND申請に対する承認をCFDAより取得しました。同承認により、当社グループは、CTD-ILDの2つの適応症である全身性強皮症(強皮症)及び皮膚筋炎(DM)に関し、第3相臨床試験を直ちに開始することが認められました。第3相臨床試験については、当局との微調整のため一時的に中断しておりますが、2018年第2四半期には、当該試験が再開される見込みです。被験者登録の終了は2019年の年末までを見込んでおります。
■F351(肝線維症等治療薬)
F351(一般名:ヒドロニドン)は、当社グループのパイプラインの中でも重要な創薬候補化合物で、臨床開発活動を世界の主要医薬品市場で展開する当社戦略に必要不可欠なものです。F351は、アイスーリュイの誘導体である新規開発化合物であり、内臓の線維化に重要な役割を果たす肝星細胞の増殖及びTGF-β伝達経路の両方の阻害剤です。当社グループは中国、日本、豪州、カナダ、米国、欧州各国を含む主要な国でのF351の特許権を保有しております。
中国 - 当社グループは、中国において、F351の肝線維症治療薬としての第2相臨床試験を行っておりますが、これは、慢性B型肝炎ウイルス感染による肝線維症の治療におけるF351の安全性及び有効性を検証するもので、中国全土のクラスAAAの13の病院が参加し、最大240人の被験者に対して、無作為、二重盲検、プラセボ・コントロール、反復投与、多施設での試験を行うものです。2018年3月末日現在、複数の施設で、161人の被験者登録が行われています。当第2相臨床試験に関して、独立データモニタリング委員会による中間解析が行われる予定で、中間解析結果を以て第3相臨床試験に進むかどうか判断される見込みです。
米国 - 2017年9月29日、当社の100%子会社であるGNI USAが、肝線維症治療薬としてのF351の米国におけるIND申請に対して、米国食品医薬品局(FDA)より、第1相臨床試験開始の承認を取得いたしました。当社の完全子会社であるGNI USAは、2018年第2四半期に、F351の安全性、忍容性及び薬物動態を判定するため、米国において、オープン試験で、単回投与及び反復投与の第1相臨床試験を実施する予定です。
■タミバロテン(急性前骨髄球性白血病(APL)治療薬)
タミバロテンは、APL治療薬です。APLは、急性骨髄白血病の一種で、前骨髄球が「がん化」する白血病です。東光薬品工業株式会社と当社子会社のGNI-EPS (HONG KONG) HOLDINGS LIMITEDは、2015年10月に、アムノレイク®錠2mg(一般名:タミバロテン)を、輸入薬としてCFDAに登録申請を行い、その後、CFDAによるGCP査察が実施されました。
■F573(急性肝不全・慢性肝不全急性化(ACLF)治療薬)
ACLF治療薬F573は、アイスーリュイ及びF351に続く3つ目の新規開発化合物で、当社グループは、2011年7月にCFDAにIND申請を提出しております。F573は、ジペプチド化合物で、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、アルコール性肝硬変に起因する重症肝炎と関連した、細胞死や炎症反応をもたらす酵素の一種であるカスパーゼを阻害する可能性を持つものです。F573は、米国企業EpiCept Corporation(現Immune Pharmaceuticals, Inc.)からライセンス供与を受けたものであり、当社グループは、アジアにおいて、中国、日本、豪州及びニュージーランド他の権利を保有し、更には、その他の地域の権利も取得できる優先権も保有しております。当第1四半期連結累計期間末において、F573のIND申請に対しては、第1相臨床試験開始に関するCFDAの承認待ちの状況です。
■その他
以上のパイプラインの他、2015年12月には、当社の連結子会社である北京コンチネントが、酪酸ヒドロコルチゾンの温度により制御されるフォーム製剤(外用薬)のIND申請書を北京市食品薬品監督管理局(北京FDA)に提出し、受理されております。当フォーム製剤は、湿疹、乾癬、接触性皮膚炎等の外用薬として、北京コンチネントとGENEPHARM Biotech Corp.(台湾企業)により共同開発されたものです。当初提出したフォーム製剤に関するIND申請に一部データが不足していたため、北京コンチネントは、再提出に向けた当該データの準備を行っております。