有価証券報告書-第22期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/29 15:01
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループにおきましては、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを企業理念とし、価値の提供による「Excellent Creative Company」の実現をビジョンとしています。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、グループ企業価値の持続的成長を図るため、経営指標として自己資本利益率(ROE)を重視しております。
従来の太陽光発電所の販売を中心としたビジネスから、発電所を継続保有するストック型モデルへ事業構造の転換が更に進捗した将来時点において、ステークホルダーからの要求利回りをより意識した指標として、ROIC(投下資本利益率、Return on Invested Capital)と加重平均資本コスト(WACC)に基づく指標のKPI導入化を視野に入れておりますが、現状では本格導入に向けてこれら数値を意識した経営を実践しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題
当社グループは、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを企業理念とし、価値の提供による「Excellent Creative Company」の実現をビジョンとしています。
中長期では、2030年までに国内と海外を合わせて保有発電容量1GWを目標に、アジア圏を中心とした再生可能エネルギー分野における中核的なグローバル企業を目指しております。太陽光発電所の自社保有化、適切なリスク管理に基づく海外案件の検討、新規事業(卒FIT、蓄電池、風力開発等)の推進により、再生可能エネルギーの提供を通じた持続可能な社会の実現(社会価値)と企業価値の両立を、来期も推進する方針です。
VSUNは、ベトナム国において太陽光パネルの製造販売業を営む企業であり、2016年6月の設立以来、主にヨーロッパ向けの販売で業績を急速に拡大させ、近年は米国向けの出荷も増加傾向にあります。年間生産量を基にしたモジュールメーカーランキングにおいても世界16傑に選出されるなど、日系出資企業の中で出色の存在となっております。2020年12月に当社子会社WWB株式会社の関連会社であるFUJI SOLAR株式会社の株式の追加取得による連結子会社化を通じて、VSUNを連結子会社化いたしました。
なお、新型コロナウイルスの世界的な蔓延が継続しており、その社会経済的な影響については今後も十分注視する必要があります。
当社グループは、取引関係の皆様、地域社会の皆様、社員と家族の安心と安全・健康を最優先としつつ、企業としての持続可能性を確保し得るよう、今後も継続した取組みを実践してまいります。
個別具体的なリスクについては、以下に記載の通りです。
①発電所自社保有化による安定収益の確保
中長期的な売電収入に基づく安定収益とキャッシュ・フロー確保のため、低圧発電所を含め完成後も継続保有するストック型のビジネスモデルへ構造転換を図り、計画的に発電所開発を推進することが課題であると認識しております。
自社保有化は計画に基づき順調に進捗しており、来期以降は構造転換の過渡期から初期実現の段階へと移行していく予定ですが、今後も経営基盤の安定化のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型の収益モデルを強化する方針です。
②オペレーションの合理化等に基づくコスト削減の徹底
グリーンエネルギー事業の成功要因として、発電所の建設から連系・売電収入を稼得するまでの一連の事業プロセスにおいて、コスト削減の徹底の重要性が国内、海外を問わず高まっています。太陽光発電における固定買取価格の下落基調のなか、仕入価格の低減や請負工事体制の合理化、その他オペレーションの効率化等により、買取価格の下落率以上のコスト削減を実現します。自社における設備認定済みの案件について、自社保有・運営を前提にこれをスピーディーに実行するため、財務戦略の多様性を確保しつつ、オペレーションの更なる合理化を図ります。
③適切なリスク管理に基づく海外投資の検討
海外事業については、コロナ禍の世界的影響をリスクとして認識のうえ、海外案件の検討をより慎重に行う必要が生じており、適切なリスク管理に基づく個別案件の検討を行う方針です。
なお、ベトナムのVSUNについては、2020年12月に連結子会社化いたしました。
④新規事業の推進
将来の成長性と事業化による収益化を見込める新規事業の育成という課題に対しては、卒FIT戦略としての第三者保有やPPAモデル等のほか、蓄電池事業、風力開発などの事業化を実現して売上・利益の拡大を図る必要があります。
近年の大型台風による風水被害や停電発生などの対策として、携帯可能なポータブルバッテリーの開発や、初期投資として進めていた風力発電所(陸上・小型)の稼働・連系を完了するなど、一部は既に事業化を実現しています。また、コロナウィルス感染症の蔓延が続くなかで、医療用ゲル型仮設ドームの共同開発にも参画しています。
このように、「今、社会で何が求められているか」に注視することで、社会的需要が高い事業分野にフォーカスしつつ、非常事態にも活用ができ社会貢献度が高い製品の開発に、今後も取り組んでまいります。
⑤ESG、SDGsへの取り組み
金融資本市場においては、「環境・社会・ガバナンス」の各面から投資価値や企業活動を評価する指標としてESGが機関投資家を中心に注目を集めると共に、2015年12月採択の地球温暖化抑制に関するパリ協定等を背景に、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が企業に求められております。
当社グループでは、ESG、SDGsの各指標を経営に取り入れ、グリーンエネルギー事業を通じて、“安心・安全”な脱炭素化社会の実現に貢献することを柱に、グローバル企業経験者、SDGs専門家を社外役員として招聘するなど、これらの社会的潮流への対応を図っております。
⑥ガバナンス体制、内部統制の充実・強化
持続的な企業成長を図るためには、グループ全体のガバナンス、コンプライアンス体制の強化と共に、内部統制の有効性を継続的に高めていく必要があります。
当社グループでは、すべての利害関係者に対して適切に社会的責任を遂行し、監査等委員会設置会社への移行など、企業統治体制に関する一層の強化により、コーポレートガバナンスの更なる充実、企業価値の向上に努めてまいります。