有価証券報告書-第28期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 15:01
【資料】
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【項目】
132項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社の主たる事業は、核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かしつつ、アクセリードグループをはじめとする他企業との協業等を活用することで効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、製薬企業にライセンスアウトを行うことです。mRNA医薬の研究開発経験と実績及びこの間に築いた豊富なネットワークを生かし、多数のパイプラインを同時並行でインキュベートし “mRNA for Health”のグローバルリーダーとなることを目指します。
(2)目標とする経営指標
当社は、非臨床試験を実施して得られた研究シーズを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを2023年1月から開始しておりますが、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。
当社は、mRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のmRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験まで実施し、mRMA医薬候補のアセットとして、大規模な臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出(ライセンスアウト)します。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。これに加え、パートナー企業との協業による創薬体制を活用し、開発候補に至らずとも収益が得られる受託型事業にも取り組んでおり、収益の増加を目指しております。
開発候補品の選定については、製薬企業等のニーズ情報を取得し、共同開発などを含めて導出確率を高めたIP取得の積み上げを図り、複数のアセットを継続的に導出し、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社は、2023年1月にmRNA医薬の開発候補及び知的財産を創製し、大きな資金及びリソースの投入が必要な臨床開発を開始する前のステージで製薬企業へ導出することにより収益を得るという事業モデルに転換しました。当社の成長戦略として、以下の3項目を重点課題として取り組んでまいります。
①mRNAシーズの探索
自社における探索に加え、株式会社IPガイアとの連携の下に、企業、バイオベンチャー、及びアカデミアからシーズを導入し、mRNA医薬のパイプラインの拡充を図ります。また、花王株式会社との共同研究においても、魅力あるパイプラインの創出を継続してまいります。
②アクセリードグループ及び株式会社IPガイアとの連携強化
アクセリードグループ及び株式会社IPガイアとの連携は、当社の事業モデルを進める基盤となるものです。今後、人的交流をはじめとした連携の強化をさらに推進、効率的に候補化合物及び知的財産を創出することにより、持続的に収益を獲得してまいります。
③医師主導治験の実施
以下の2つのパイプラインについて、AMED資金を用いて医師主導治験を行い、臨床POCの取得など製品価値を向上させ導出を促進します。
・RUNX1 mRNAは、アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAが主体となり、国立大学法人東京医科歯科大学と共同で研究開発を進めております変形性膝関節症(OA)に対する疾患修飾薬です。
・TUG1 ASOは、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究開発を進めております脳腫瘍の中で最も悪性度の高い膠芽腫に対する治療薬です。