有価証券報告書-第24期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 15:00
【資料】
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【項目】
112項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社は、「ナノテクノロジーを用いて新しい医薬品を創出し、人々の健康とQOLの向上に貢献する」ことをミッションとし、「がん領域のイノベーションファーマとして、世の中に必要とされる『ファーストワン』を目指す」ことをビジョンに掲げ、事業を推進しております。
(2)目標とする経営指標
当社は医薬品等の研究開発を主たる事業として展開しておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要するため、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。
当社のビジネスモデルは、①自社開発、②共同研究開発、③ライセンスアウト、④ライセンスインの4つの形態をとっており、既存のパイプラインについては、その進捗状況、提携先の開拓状況、資金等を勘案したうえで、①自社開発から②共同研究開発又は③ライセンスアウトへ、②共同研究開発から③ライセンスアウトへ移行することや、④ライセンスインにより新規のパイプラインを獲得すること、また、化粧品事業等他分野へ進出すること等により、事業進捗の加速化、研究開発費の負担軽減、安定収入の確保等に努めております。
当社は、このような事業活動の推進により、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
当社は、既存事業であるミセル化ナノ粒子技術をコア技術とした医薬品開発を推進しつつ、引き続き提携等により、事業領域の拡大や新規事業分野への進出を効率的かつスピーディーに実施することで、さらなる成長を目指すことが必須と考えており、以下を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題と認識しております。
① 選択と集中による効率的なプロジェクト運営
当社独自のミセル化ナノ粒子技術を利用した臨床開発パイプラインであるシスプラチンミセル(NC-6004)及びエピルビシンミセル(NC-6300)については、最優先プロジェクトとして早期の承認・上市を実現することにより、当社の企業価値を最大限に高めるという認識のもと、これらの臨床開発を引き続き推進してまいります。また、導入パイプラインであるVB-111についても、国際共同治験へ日本から参画することにより、早期の承認取得を目指します。
② 経営基盤の充実及び事業開発活動の推進
当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業、周辺事業の拡大を加速させるためには、当社の内部経営資源を最大限に活用するとともに、M&A等を通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、引き続き検討を進めてまいります。また、事業開発活動によりライセンスアウトや共同開発を行うことができる提携先の探索を推進するとともに、オープンイノベーションの推進による新規技術の獲得やパイプランの拡充を目指します。
③ 技術深化と他領域への応用範囲の拡大
医薬品以外の分野にも研究開発の応用範囲を広げ、特に化粧品事業の分野において既存製品の販売拡大と新製品開発を実現することにより、より安定した収入源の確保を目指します。
④ コーポレート・ガバナンスの充実
当社のビジョン実現のため、経営の効率性を高めつつ、株主及び投資家、患者、地域社会、取引先、従業員等の各ステークホルダーとの間の良好な関係を保ち、企業としての社会的責任を果たすため、コーポレート・ガバナンスの充実に努めます。
⑤ 財務安定性の確保
当社は継続的に研究開発投資を行っており、今後も多額の投資が見込まれます。投資資金につきましては、当事業年度に実施した第三者割当による新株予約権の発行等により調達した資金及び事業活動から稼得される収益から確保すべく最大限の努力を行う方針ですが、今後も必要に応じて効率的かつ効果的な手法による資金調達を検討し、財務安定性を確保してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、現時点において、主に以下の事象の発生を予想しております。
・臨床開発段階のパイプラインにおける患者登録の遅れに伴う試験期間の延長
・百貨店等における化粧品の店頭販売の低迷等に伴う当社化粧品材料供給収入の減少
当社の主たる事業は医薬品等の研究開発であり、上市された製品もないため、当社への影響は限定的と考えております。