有価証券報告書-第13期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりとなります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、第3四半期累計期間までは緩やかな回復基調が続きましたが、第4四半期になって、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により急速に悪化し始め、先行きも不透明な状況となりました。
当社グループの属する情報サービス産業における当連結会計年度の事業環境は、期中に公表された日銀短観におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)がいずれも前年度比増加を示す等、デジタル技術の積極的な活用を通じた経営戦略実現を目指す企業のIT投資動向の強まりを反映して好調に推移しましたが、期末にかけて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の企業で業況悪化に伴う投資抑制の動きもみられるようになりました。
このような状況の中、当社グループは、「グループビジョン2026」の達成に向けた土台構築のため、当連結会計年度から新たな3か年の中期経営計画を開始し、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現に向けて諸施策を推進しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末382,899百万円から68,172百万円増加の451,072百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末181,543百万円から48,421百万円増加の229,965百万円となりました。これは主に新型コロナウィルス感染症拡大影響による不測の事態に備えて資金の流動性を高めるために実施した資金調達等により現金及び預金が28,143百万円増加したことに加え、当連結会計年度中に連結子会社化した企業の影響等により受取手形及び売掛金が13,970百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末201,356百万円から19,750百万円増加の221,106百万円となりました。これは主に保有株式の時価変動による増加等があった一方で政策保有株式の縮減方針に基づく売却実施による減少等の結果として投資有価証券が6,893百万円増加したこと、グループ一体経営の強化およびニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭に置いた豊洲オフィスの開設等により建物及び構築物(純額)が5,205百万円増加したこと及びサービス型事業推進のための積極的な投資実行等によりソフトウエアおよびソフトウエア仮勘定が合計で4,910百万円増加したこと等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末134,942百万円から36,700百万円増加の171,642百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末88,479百万円から12,436百万円増加の100,915百万円となりました。これは主に長期借入金からの振替等により短期借入金が4,603百万円増加したことに加え、前述の連結子会社化した企業の影響等により支払手形及び買掛金が3,079百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末46,462百万円から24,264百万円増加の70,726百万円となりました。これは主に前述の資金調達等により長期借入金が17,532百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産合計)
純資産は、前連結会計年度末247,957百万円から31,472百万円増加の279,429百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加27,692百万円及び保有株式の時価変動等による投資有価証券評価差額金の増加8,728百万円の一方、配当金支払いによる利益剰余金の減少7,808百万円並びに自己株式取得及び処分による自己株式の増加(純資産は減少)3,475百万円等によるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の63.3%から3.3ポイント低下の60.0%となりましたが、引き続き高い水準にあり、財務健全性を堅持しております。
また、 自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度の12.5%から1.7ポイント低下の10.8%となりましたが、これは親会社株主に帰属する当期純利益率6.2%(前期比0.4ポイント減)、総資産回転率1.1(同0.1ポイント減)及び財務レバレッジ1.7(同0.1ポイント増)の結果であります。
セグメント別の財政状態は以下のとおりです。
イ.サービスIT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて11,209百万円増加し、102,281百万円となりました。
ロ.BPO
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて31百万円減少し、2,584百万円となりました。
ハ.金融IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて5,181百万円増加し、27,274百万円となりました。
ニ.産業IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて6,740百万円増加し、60,811百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高448,383百万円(前期比1.1%増)、営業利益45,748百万円(同2.0%増)、経常利益39,257百万円(同14.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益27,692百万円(同5.8%減)となりました。
売上高については、上期は新規受注停滞等の影響を受けて厳しかったものの、下期は事業環境の正常化に伴い持ち直し、これに当連結会計年度中に子会社化した企業の増加分が加わったことから、通期では前期比増収となりました。営業利益については、生産性改善等により売上総利益率が25.4%(前期比1.5ポイント増)に向上したことで、処遇改善やブランド強化等、将来に向けた戦略的な投資を中心とした販売費及び一般管理費の増加を吸収し、前期を上回り、営業利益率は10.2%(同0.1ポイント増)となりました。一方、経常利益については、海外の特定の地域やクロスボーダー取引に依拠する事業を行っている一部の海外持分法適用会社が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことに伴って持分法による投資損失6,033百万円および貸倒引当金繰入額2,053百万円を計上したことから、前期を大きく下回りました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損益が改善したものの、経常利益の減少を受けて、前期を下回りました。なお、当連結会計年度における特別利益は投資有価証券売却益をはじめとして9,709百万円(同986百万円減)、特別損失は減損損失や投資有価証券評価損等で4,150百万円(同7,978百万円減)を計上しました。
セグメント別の状況は以下の通りです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
イ.サービスIT
当社グループ独自の業務・業種ノウハウを汎用化・テンプレート化した知識集約型ITサービスを提供するビジネス(初期構築・ERP等を含む。)で構成されています。
当連結会計年度の売上高は136,946百万円(前期比9.1%増)、営業利益は8,695百万円(同6.1%増)となりました。売上高については、当連結会計年度中に子会社化した企業の業績寄与に加え、主に決済関連やクラウド関連の事業拡大が牽引したことにより、ERP関連の減少をカバーし、前期比増収となりました。営業利益については、増収に伴う増益分が、事業強化のための先行投資費用の増加等の減益要因を吸収したことから、前期比増益となりました。この結果、営業利益率は6.3%(同0.2ポイント減)となりました。
なお、特定顧客について金融業界に特化した専門的な業務ノウハウをベースとしたビジネスから、当該業種ノウハウの汎用化・テンプレート化した知識集約型のビジネスへの展開により、当該顧客との取引は、前期は金融IT、当期はサービスITに計上されており、増加要因となりました。
ロ.BPO
豊富な業務・ITノウハウを活用し、マーケティング・販促業務や事務・契約業務等のビジネスプロセスアウトソーシングを提供するビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は35,453百万円(前期比5.2%増)、営業利益は3,105百万円(同18.4%増)となりました。コールセンター業務をはじめとするアウトソーシング需要の増加基調に加え、給付金対応等を受けて好調に推移した結果、前期比増収増益となり、営業利益率は8.8%(同1.0ポイント増)となりました。
ハ.金融IT
金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は110,660百万円(前期比3.3%減)、営業利益は15,320百万円(同2.6%増)となりました。根幹先顧客におけるIT投資は堅調なものの、企業活動の停滞による案件の遅れ等が影響し、売上高は前期比減収となりましたが、営業利益は案件採算性の向上等によって前期比増益を確保し、営業利益率は13.8%(同0.8ポイント増)となりました。
なお、特定顧客について金融業界に特化した専門的な業務ノウハウをベースとしたビジネスから、当該業種ノウハウの汎用化・テンプレート化した知識集約型のビジネスへの展開により、当該顧客との取引は、前期は金融IT、当期はサービスITに計上されており、減少要因となっているため、実勢ベースでは堅調に推移しました。
ニ.産業IT
金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は194,414百万円(前期比4.1%減)、営業利益は18,710百万円(同2.3%減)となりました。根幹先顧客における堅調なIT投資に加え、当連結会計年度中に子会社化した企業の業績寄与はあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴うIT投資抑制の動きが製造・流通・医療をはじめとする地方・中堅中小企業において特に強かったことから、前期比減収減益となりました。こうした中、営業利益率については案件採算性の向上等により、9.6%(同0.1ポイント増)となりました。
ホ.その他
リースなどの情報システムを提供する上での付随的な事業及びその他で構成されています。
当連結会計年度の売上高は8,837百万円(前期比0.3%増)、営業利益は938百万円(同0.7%増)となり、営業利益率は10.6%(同0.0ポイント増)となりました。
前述の通り、当連結会計年度は中期経営計画(2018-2020)の最終年度であり、同計画の5つの基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「コア事業への集中」「先行投資型への転換」「グローバル事業の拡大」のもと、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現に向けて、諸施策を推進いたしました。
前連結会計年度に中期経営計画(2018-2020)で定めた4つの重要な経営指標(戦略ドメイン比率、営業利益、営業利益率及びROE)の全てを1年前倒しで達成したことを受け、さらなる持続的な成長と企業価値向上を目指して以下のグループ経営方針を設定し、各種施策に精力的に取り組んできました。
<2021年3月期 グループ経営方針>イ.グループ一体経営の深化とともに、急激な環境変化に対する安全な職場環境・業務効率化の実現
ロ.財務健全性を保ちつつ、社会価値の創造、DX価値提供力の強化のための積極的な成長投資
ハ.安定的な収益基盤確立のための施策推進・事業ポートフォリオの見直し継続
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進
ホ.社員の働きがい向上とサービス化・デジタル化を牽引する多様性に富む人材投資
当連結会計年度においては、2020年4月から5月にかけて緊急事態宣言が発出される等、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける状況の中、事業継続を最優先課題と位置づけ、重要な社会インフラを支える使命と従業員の安全確保の両立を前提とした様々な取り組みを推進しました。また、社会全体の在り方が大きく変化する中で、新しい働き方についての取組みを推進する等、厳しい環境にもしなやかに向き合い、迅速果断な経営判断を行うことを通じて、グループの持続的な企業価値向上に努めました。
グループ経営方針に基づく主な取り組み状況は以下の通りです。
イ.グループ一体経営の深化とともに、急激な環境変化に対する安全な職場環境・業務効率化の実現
当社グループの近年における持続的な企業価値向上は、2016年7月の事業持株会社体制への移行とそれによるグループ一体経営に基づく取り組みが大きな推進力となっており、今後もグループ一体経営の深化が重要であると認識しています。
グループ経営管理の高度化・効率化の実現に向けて、「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」を引き続き推進しています。新たなグループ基幹システム及びグループシェアードサービスは当初の予定通り2020年4月から始動しており、グループ一体経営のさらなる進展に寄与しています。
また、企業価値向上を支える経営基盤強化の一環として、「ビジネス機会の拡大」「人材採用力の向上」「働く誇りの向上」の実現を目指した戦略的なブランド活動を強力に推進しており、テレビCM等を通じた積極的な露出は、認知度向上をはじめとして様々な場面で好影響をもたらしています。さらに、ブランド強化の一環として、2021年2月より、CIロゴとブランドメッセージを刷新しました。特に、新ブランドメッセージ「ITで、社会の願い叶えよう。」では、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」で掲げる「デジタル技術を駆使したムーバー」として、社会課題を解決し、新たな価値を創造するグループを目指していくことを表現しています。
グループの働き方改革の推進とグループ間コミュニケーションの促進の観点において、東京地区の主要拠点を2つの基幹オフィスへ移転・集約を順次進めています。西新宿オフィスには主としてコーポレート機能を集約し、グループガバナンスの強化を図るとともに、新たに2021年2月中旬に開設した豊洲オフィスには主としてグループの事業機能を集約し、事業におけるグループの一体感の強化と構造転換の加速を図ります。なお、ニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭においてオフィスの在り方を見直したことによって東京地区におけるオフィスのフロア総面積は減少し、豊洲オフィスは「コミュニケーション・コラボレーションを行う場所」と位置付けたことに伴い、執務エリアの座席数を大幅に削減するとともにリモート形式を含めたコミュニケーションブースを増設しました。
なお、翌連結会計年度から開始する中期経営計画(2021-2023)達成のコミットメントをより高めるため、2021年5月12日開催の取締役会において、中期経営計画(2018-2020)より導入した業績連動型株式報酬制度の継続及び一部改定について、2021年6月24日に開催予定の第13期定時株主総会に付議することとしました。本制度は中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識を高め、株主と利害を共有することを目的としており、今回の改定では、グループ一体経営をさらに推進する観点から、対象者を当社取締役等から当社取締役等及び一部の子会社取締役等に拡大いたします。また、同様の目的から、役員報酬における業績連動比率を高めることも決定しています。
ロ.財務健全性を保ちつつ、社会価値の創造、DX価値提供力の強化のための積極的な成長投資
当社グループは、社会課題の視点から顧客に対して先回りしたビジネスへの転換を目指しており、中でも成長エンジンと位置付けるサービス型ビジネスの拡大に向けて、グループの成長・得意領域に対して重点的な投資を行うこととしています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がり、不確実性の高まる環境において、一層のデジタル化における価値競争力を強化するためには、財務健全性を堅持した上で、新サービス創出のための成長投資(ソフトウェア投資、人材投資、研究開発投資、M&A・出資等)が必要になります。
当社グループの最大の特徴である決済分野においても、昨今のキャッシュレス化の進展に伴い、スマートフォン利用に代表される関連技術の進展や様々な異業種の参入、FinTech企業の台頭等を背景に、大きな環境変化やそれに伴う新たなIT投資が見込まれます。このような状況を新たな成長機会と捉え、長年に亘り培ってきた決済分野の知見・ノウハウ等の強みを活かし、トータルブランド「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」のもとでサービス型ビジネスの事業展開を加速させています。中でも「デジタル口座」は当社の競争優位性を特に発揮でき、事業拡大が期待できるサービスです。現在、クレジットカードのイシュイング業務に必要な環境をトータルで提供する「クレジットカードプロセッシングサービス」を中期経営計画(2021-2023)の期間中に提供開始すべく準備を着実に進める等、積極的に推進しています。今後も「デジタル口座」を中心に、デジタルウォレット、セキュリティ、データ利活用といった、デジタル化する決済に求められる要素をカバーし、さらなる事業拡大を目指してまいります。加えて、決済分野のみに留まらず、地域・都市のスーパーシティ構想や当社が支援した「TOYOTA Wallet」のようなMaaS(Mobility as a Service)領域での決済プラットフォームの提供等を通じて、デジタル化を通じた利便性の高い社会に貢献してまいります。この一環として、国土交通省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に採択された沖縄全域におけるMaaS実証実験「沖縄MaaS」に参画し、「MaaSプラットフォームサービス」を活用した基盤の構築と提供及び本事業の企画立案を行いました。
また、DX価値提供力の強化に向けては、下記ハにあるとおり、有力なビジネスパートナーのM&A等を積極的に実施しています。
ハ.安定的な収益基盤確立のための施策推進・事業ポートフォリオの見直し継続
事業競争力の更なる強化に向け、不採算案件の撲滅やエンハンスメント領域の収益性向上のための革新活動、事業ポートフォリオの見直しを継続的に推進しています。これにより、当連結会計年度の売上総利益率が25.4%(前期比1.5ポイント増)にまで向上する等、成果は施策の進展に合わせて着実に表れています。
グループ全体最適による競争力強化に向けて継続推進しているグループフォーメーション整備の一環として、2020年4月実施のEDI事業に続いて当社の中央官庁・自治体等行政機関向け事業の一部を当社の子会社である株式会社インテックへ会社分割により承継させることを2020年11月に決定したほか、2021年2月には、デジタル技術を組み合わせたBPOの展開による競争力強化を目的として、当社子会社の株式会社アグレックスとネオアクシス株式会社を合併させることとしました。
また、当社は、2020年2月に、千代田化工建設株式会社の完全子会社である千代田システムテクノロジーズ株式会社のIT事業を新設分割により承継する会社「TIS千代田システムズ株式会社」の株式51%の取得に合意し、2020年10月より新会社を連結子会社化しました。千代田化工建設グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた戦略的パートナーシップの構築とともに、将来的には、新会社を通じて培ったノウハウを活用したITソリューション提供を目指します。さらに当社は2020年8月に、データ分析・AIのコンサルティング事業を展開する澪標アナリティクス株式会社を連結子会社化し、データ分析・AI領域を強化しました。同社との連携を深めることにより、データ分析を基軸とした顧客のDX推進への貢献度を高めてまいります。
その他、キャッシュレス決済ネットワークを提供する株式会社日本カードネットワークと共に、店舗向け業務支援のプラットフォーム提供やDX推進支援を目的とした合弁会社「tance(タンス)株式会社」を設立するなど、新たなサービス・価値の創造に向け、事業ポートフォリオの更なる強化に努めています。
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進
当社グループは、海外事業戦略において、「ASEANトップクラスのIT企業連合体」の組成を目指し、決済・銀行・ERPを重点事業領域と定めた上で、チャネル(拠点・顧客基盤)とテクノロジー(技術)の2つの観点から有力企業との資本・業務提携等を通じた積極的な事業領域拡大を推進しています。
チャネルの観点では、2020年3月に当社の持分法適用会社であるタイ王国のMFEC Public Company Limited(以下、「MFEC」という)の連結子会社化を目的として、同社株式に対する公開買付けをタイ王国の証券取引法及び現地法令に基づいて2020年7月から9月にかけて実施しました。この結果、同社に対する議決権比率は49.0%となり、支配力基準により、同社及び同社子会社の計11社は2020年10月5日付で当社の連結子会社となりました。MFECは、タイ国内のエンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーです。当社は、MFECのタイ国内における高いプレゼンス、サービスクオリティ及びバランスの取れた幅広い顧客基盤を高く評価し、2014年4月に資本・業務提携契約を締結し、それ以降、時間をかけながら相互理解のもとで幅広い分野で協業スキームの構築や追加出資を通じて関係強化を図ってきた末、今回の連結子会社化に至りました。今後はMFECの事業構造転換の加速及び当社グループの海外事業の規模拡大を実現し、当社グループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
テクノロジーの観点では、2020年5月に、量子コンピュータのソフトウェアを開発するシンガポールのスタートアップ企業であるEntropica Labs Pte. Ltd.と資本・業務提携し、同社の技術や開発者との連携を通じて量子コンピュータ技術をお客様に提供していくための技術者育成や市場開拓を進めていくこととしました。2021年2月には、タイ王国の流通大手であるJay Mart Public Company Limited(以下、「Jay Mart」という)の子会社でJay Martグループ事業へのテクノロジー活用を牽引するDX推進企業であるJ Ventures Company Limitedと資本・業務提携契約を締結しました。今後、Jay Martグループとのパートナーシップ強化ならびにDXプラットフォームをはじめとする事業協創を目指してまいります。
また、2020年2月に戦略的パートナーシップを目的として資本・業務提携した東南アジアトップクラスのスーパーアプリケーションを提供するGrab Holdings Inc.との間では、多岐にわたるテーマにおいて協議を進めています。その一環として、当社の強みであるペイメント領域において、同社決済サービスのITプラットフォームを合弁会社のGrabLink Pte. Ltd.を通じて提供していくこととなりました。また、当社と持分法適用会社である上海訊聯数据服務有限公司(CardInfoLink)が共同で立ち上げたモバイル決済ネットワーク「EVONET」に、「GrabPay」が接続する予定となりました。
このように、東南アジア最大のデジタルペイメントプラットフォームを展開するGrab Holdings Inc.との戦略的パートナーシップは、グローバル市場に向け最適な決済ソリューションを展開するという当社の目標をさらに前進させることになります。今後も同社との関係を一層強化し、東南アジアにおける金融・決済領域の協業拡大を目指すとともに、「GrabPay」等のキャッシュレスペイメントの利便性を高めるために、東南アジア及び日本でのデジタルペイメントのインフラ強化や新たな決済技術の開発にも共同で取り組んでまいります。
ホ.社員の働きがい向上とサービス化・デジタル化を牽引する多様性に富む人材投資
当社グループにおける最も重要な経営資源は人財です。そのため、社員の働きがい向上と人財マネジメントの強化により、多様な人財が活躍できる仕組み・風土の構築を推進しています。社員が仕事を通じて自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組む施策をまとめた「TIS人事本部マニフェスト」を策定し、多岐にわたる施策を積極的に推進しています。こうした取組みの結果、当社及び株式会社インテックは、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2021~ホワイト500~」に、昨年に続き認定されました。加えて、当社は厚生労働省主催の「グッドキャリア企業アワード2020」において大賞(厚生労働大臣表彰)を受賞する等、多くの外部評価を得るに至っています。
当社グループが注力する構造転換をさらに加速するためには、デジタル化を牽引する多様性に富む人材が柔軟で絶え間ない変化やこれまでにない価値を生み出し続けることが必要です。また、IT人材の獲得競争が進む中、採用・育成活動やビジネスパートナーとの関係強化等を通じ、持続的に優秀な人材の確保に努めるとともに、女性活躍推進を含む多様な人材活躍、健康経営、働き方改革を主軸にダイバーシティ&インクルージョンの取組みを推進し、社員と会社の価値交換性の継続的な向上に注力しています。この一環として、多様な人材が安心して働ける環境を実現するため、多様な「性の在り方」及び「家族の在り方」を前提とした制度整備を行うとともに、SOGI(Sexual Orientation & Gender Identity、性的指向及び性自認)やLGBT等の性的マイノリティの理解、受容に向け、啓蒙活動、専門の相談・問合せ窓口の設置等に取り組んでいます。
その他、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、2020年5月に計1,395,600株(取得価額の総額3,029百万円)の自己株式の取得を実施しました。
なお、当社は2021年4月1日から代表取締役社長が交代となり、新たな経営執行体制のもと、2021年4月から開始する中期経営計画(2021-2023)の着実な遂行を進めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末54,684百万円から28,240百万円増加の82,924百万円となりました。なお、 新型コロナウィルス感染症拡大影響による不測の事態に備えて資金の流動性を高めるために実施した資金調達等により、当連結会計年度末の資金は前連結会計年度末に比べて増加しておりますが、2021年4月より開始した中期経営計画(2021-2023)で保有水準と定める月商の2ヶ月程度となっており適正な水準にあります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は33,345百万円(前期比5,223百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益44,816百万円(同178百万円増)に、資金の増加として、非資金損益項目である減価償却費13,318百万円(同1,297百万円増)等があった一方、資金の減少として、法人税等の支払額16,484百万円(同1,276百万円増)等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は17,522百万円(前期比8,914百万円減)となりました。これは主に、資金の増加として、資本効率性の向上およびコーポレートガバナンス・コードへの対応の一環としての政策保有株式の縮減等により、投資有価証券の売却及び償還による収入10,969百万円(同2,204百万円増)等があった一方で、資金の減少として、サービス型事業推進のための積極的な投資実行等により、無形固定資産の取得による支出11,464百万円(同1,466百万円増)、グループ一体経営の強化およびニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭に置いた豊洲オフィスの開設等により、有形固定資産の取得による支出10,059百万円(同3,966百万円増)等があったことによるものです。また、投資有価証券の取得による支出は2,643百万円であり、海外事業戦略に基づいた資本・業務提携に伴う多額の出資等があった前連結会計年度に比べて大幅に減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は12,484百万円(前期比27,028百万円増)となりました。これは主に、資金の増加として、前述の資金調達等により、長期借入れによる収入23,536百万円(同20,036百万円増)等があった一方で、資金の減少として、配当金の支払額7,808百万円(同1,040百万円増)、自己株式の取得による支出6,567百万円(同2,414百万円増)、長期借入金の返済による支出1,468百万円(同5,716百万円減)等があったことによるものです。
なお、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは15,823百万円の黒字(同3,691百万円増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、アウトソーシング・ネットワーク及びソフトウェア開発についてのみ記載しております。
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度におけるソフトウェア開発に係る受注実績は、次のとおりであります。
(注)1.BPOはセグメントの特性によりソフトウェア開発がありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりであります。
b.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりであります。
c.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2.事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、事業規模・収益性および資本効率性を重視した経営指標を設定し、これらの拡大を目指しています。中期経営計画(2021-2023)では、「売上高5,000億円」「営業利益(営業利益率)580億円(11.6%)」「EPS(1株当たり当期純利益)の年平均成長率10%超」「戦略ドメイン比率60%」「社会課題解決型サービス事業売上高500億円」を掲げています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
イ.資金需要
当社グループの資金需要について、営業活動においては、材料・外注費及び人件費などの運転資金が主な内容になります。投資活動においては、2021年4月より開始した3か年の中期経営計画の中で掲げる1,000億円想定の投資戦略に基づき、DX提供価値の向上や新技術獲得のためのM&Aやソフトウェア開発投資、R&Dや人材育成などへの成長投資を実施する方針です。その他、経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした設備投資を予定しています。
ロ.財務政策
当社グループは、必要となる資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施することを基本とし、現金及び預金は月商の2ヶ月程度を保有する方針としております。借入金、社債等の調達については、調達コストの抑制の観点から格付「A」の維持を考慮して実施する前提としております。
なお、自己株式については、自己株式の保有は原則として発行済株式総数の5%を上限とし、5%を超過する保有分については消却することとしています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響については、現時点において依然として不確実性が高い状況にあるものの、当連結会計年度の第3四半期以降は当社グループの事業環境が概ね正常化していることを踏まえて会計上の見積りを行っております。ただし、海外の特定の地域やクロスボーダー取引に依拠する事業を行っている一部の海外持分法適用会社においては、引き続き翌連結会計年度も当該新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響があるものと仮定して会計上の見積りを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりとなります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、第3四半期累計期間までは緩やかな回復基調が続きましたが、第4四半期になって、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により急速に悪化し始め、先行きも不透明な状況となりました。
当社グループの属する情報サービス産業における当連結会計年度の事業環境は、期中に公表された日銀短観におけるソフトウェア投資計画(全産業+金融機関)がいずれも前年度比増加を示す等、デジタル技術の積極的な活用を通じた経営戦略実現を目指す企業のIT投資動向の強まりを反映して好調に推移しましたが、期末にかけて新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の企業で業況悪化に伴う投資抑制の動きもみられるようになりました。
このような状況の中、当社グループは、「グループビジョン2026」の達成に向けた土台構築のため、当連結会計年度から新たな3か年の中期経営計画を開始し、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現に向けて諸施策を推進しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末382,899百万円から68,172百万円増加の451,072百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末181,543百万円から48,421百万円増加の229,965百万円となりました。これは主に新型コロナウィルス感染症拡大影響による不測の事態に備えて資金の流動性を高めるために実施した資金調達等により現金及び預金が28,143百万円増加したことに加え、当連結会計年度中に連結子会社化した企業の影響等により受取手形及び売掛金が13,970百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末201,356百万円から19,750百万円増加の221,106百万円となりました。これは主に保有株式の時価変動による増加等があった一方で政策保有株式の縮減方針に基づく売却実施による減少等の結果として投資有価証券が6,893百万円増加したこと、グループ一体経営の強化およびニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭に置いた豊洲オフィスの開設等により建物及び構築物(純額)が5,205百万円増加したこと及びサービス型事業推進のための積極的な投資実行等によりソフトウエアおよびソフトウエア仮勘定が合計で4,910百万円増加したこと等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末134,942百万円から36,700百万円増加の171,642百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末88,479百万円から12,436百万円増加の100,915百万円となりました。これは主に長期借入金からの振替等により短期借入金が4,603百万円増加したことに加え、前述の連結子会社化した企業の影響等により支払手形及び買掛金が3,079百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末46,462百万円から24,264百万円増加の70,726百万円となりました。これは主に前述の資金調達等により長期借入金が17,532百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産合計)
純資産は、前連結会計年度末247,957百万円から31,472百万円増加の279,429百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加27,692百万円及び保有株式の時価変動等による投資有価証券評価差額金の増加8,728百万円の一方、配当金支払いによる利益剰余金の減少7,808百万円並びに自己株式取得及び処分による自己株式の増加(純資産は減少)3,475百万円等によるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末の63.3%から3.3ポイント低下の60.0%となりましたが、引き続き高い水準にあり、財務健全性を堅持しております。
また、 自己資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度の12.5%から1.7ポイント低下の10.8%となりましたが、これは親会社株主に帰属する当期純利益率6.2%(前期比0.4ポイント減)、総資産回転率1.1(同0.1ポイント減)及び財務レバレッジ1.7(同0.1ポイント増)の結果であります。
セグメント別の財政状態は以下のとおりです。
イ.サービスIT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて11,209百万円増加し、102,281百万円となりました。
ロ.BPO
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて31百万円減少し、2,584百万円となりました。
ハ.金融IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて5,181百万円増加し、27,274百万円となりました。
ニ.産業IT
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて6,740百万円増加し、60,811百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高448,383百万円(前期比1.1%増)、営業利益45,748百万円(同2.0%増)、経常利益39,257百万円(同14.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益27,692百万円(同5.8%減)となりました。
売上高については、上期は新規受注停滞等の影響を受けて厳しかったものの、下期は事業環境の正常化に伴い持ち直し、これに当連結会計年度中に子会社化した企業の増加分が加わったことから、通期では前期比増収となりました。営業利益については、生産性改善等により売上総利益率が25.4%(前期比1.5ポイント増)に向上したことで、処遇改善やブランド強化等、将来に向けた戦略的な投資を中心とした販売費及び一般管理費の増加を吸収し、前期を上回り、営業利益率は10.2%(同0.1ポイント増)となりました。一方、経常利益については、海外の特定の地域やクロスボーダー取引に依拠する事業を行っている一部の海外持分法適用会社が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことに伴って持分法による投資損失6,033百万円および貸倒引当金繰入額2,053百万円を計上したことから、前期を大きく下回りました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別損益が改善したものの、経常利益の減少を受けて、前期を下回りました。なお、当連結会計年度における特別利益は投資有価証券売却益をはじめとして9,709百万円(同986百万円減)、特別損失は減損損失や投資有価証券評価損等で4,150百万円(同7,978百万円減)を計上しました。
セグメント別の状況は以下の通りです。なお、各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含んでいます。
イ.サービスIT
当社グループ独自の業務・業種ノウハウを汎用化・テンプレート化した知識集約型ITサービスを提供するビジネス(初期構築・ERP等を含む。)で構成されています。
当連結会計年度の売上高は136,946百万円(前期比9.1%増)、営業利益は8,695百万円(同6.1%増)となりました。売上高については、当連結会計年度中に子会社化した企業の業績寄与に加え、主に決済関連やクラウド関連の事業拡大が牽引したことにより、ERP関連の減少をカバーし、前期比増収となりました。営業利益については、増収に伴う増益分が、事業強化のための先行投資費用の増加等の減益要因を吸収したことから、前期比増益となりました。この結果、営業利益率は6.3%(同0.2ポイント減)となりました。
なお、特定顧客について金融業界に特化した専門的な業務ノウハウをベースとしたビジネスから、当該業種ノウハウの汎用化・テンプレート化した知識集約型のビジネスへの展開により、当該顧客との取引は、前期は金融IT、当期はサービスITに計上されており、増加要因となりました。
ロ.BPO
豊富な業務・ITノウハウを活用し、マーケティング・販促業務や事務・契約業務等のビジネスプロセスアウトソーシングを提供するビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は35,453百万円(前期比5.2%増)、営業利益は3,105百万円(同18.4%増)となりました。コールセンター業務をはじめとするアウトソーシング需要の増加基調に加え、給付金対応等を受けて好調に推移した結果、前期比増収増益となり、営業利益率は8.8%(同1.0ポイント増)となりました。
ハ.金融IT
金融業界に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は110,660百万円(前期比3.3%減)、営業利益は15,320百万円(同2.6%増)となりました。根幹先顧客におけるIT投資は堅調なものの、企業活動の停滞による案件の遅れ等が影響し、売上高は前期比減収となりましたが、営業利益は案件採算性の向上等によって前期比増益を確保し、営業利益率は13.8%(同0.8ポイント増)となりました。
なお、特定顧客について金融業界に特化した専門的な業務ノウハウをベースとしたビジネスから、当該業種ノウハウの汎用化・テンプレート化した知識集約型のビジネスへの展開により、当該顧客との取引は、前期は金融IT、当期はサービスITに計上されており、減少要因となっているため、実勢ベースでは堅調に推移しました。
ニ.産業IT
金融以外の産業各分野に特化した専門的なビジネス・業務ノウハウをベースとして、事業の高付加価値化及び業務のIT化・ITによる業務運営の支援を行うビジネスで構成されています。
当連結会計年度の売上高は194,414百万円(前期比4.1%減)、営業利益は18,710百万円(同2.3%減)となりました。根幹先顧客における堅調なIT投資に加え、当連結会計年度中に子会社化した企業の業績寄与はあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴うIT投資抑制の動きが製造・流通・医療をはじめとする地方・中堅中小企業において特に強かったことから、前期比減収減益となりました。こうした中、営業利益率については案件採算性の向上等により、9.6%(同0.1ポイント増)となりました。
ホ.その他
リースなどの情報システムを提供する上での付随的な事業及びその他で構成されています。
当連結会計年度の売上高は8,837百万円(前期比0.3%増)、営業利益は938百万円(同0.7%増)となり、営業利益率は10.6%(同0.0ポイント増)となりました。
前述の通り、当連結会計年度は中期経営計画(2018-2020)の最終年度であり、同計画の5つの基本方針である「持続的な利益成長」「社員の自己実現重視」「コア事業への集中」「先行投資型への転換」「グローバル事業の拡大」のもと、スピード感のある構造転換と企業価値向上の実現に向けて、諸施策を推進いたしました。
前連結会計年度に中期経営計画(2018-2020)で定めた4つの重要な経営指標(戦略ドメイン比率、営業利益、営業利益率及びROE)の全てを1年前倒しで達成したことを受け、さらなる持続的な成長と企業価値向上を目指して以下のグループ経営方針を設定し、各種施策に精力的に取り組んできました。
<2021年3月期 グループ経営方針>イ.グループ一体経営の深化とともに、急激な環境変化に対する安全な職場環境・業務効率化の実現
ロ.財務健全性を保ちつつ、社会価値の創造、DX価値提供力の強化のための積極的な成長投資
ハ.安定的な収益基盤確立のための施策推進・事業ポートフォリオの見直し継続
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進
ホ.社員の働きがい向上とサービス化・デジタル化を牽引する多様性に富む人材投資
当連結会計年度においては、2020年4月から5月にかけて緊急事態宣言が発出される等、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受ける状況の中、事業継続を最優先課題と位置づけ、重要な社会インフラを支える使命と従業員の安全確保の両立を前提とした様々な取り組みを推進しました。また、社会全体の在り方が大きく変化する中で、新しい働き方についての取組みを推進する等、厳しい環境にもしなやかに向き合い、迅速果断な経営判断を行うことを通じて、グループの持続的な企業価値向上に努めました。
グループ経営方針に基づく主な取り組み状況は以下の通りです。
イ.グループ一体経営の深化とともに、急激な環境変化に対する安全な職場環境・業務効率化の実現
当社グループの近年における持続的な企業価値向上は、2016年7月の事業持株会社体制への移行とそれによるグループ一体経営に基づく取り組みが大きな推進力となっており、今後もグループ一体経営の深化が重要であると認識しています。
グループ経営管理の高度化・効率化の実現に向けて、「本社系機能高度化プロジェクト“G20”」を引き続き推進しています。新たなグループ基幹システム及びグループシェアードサービスは当初の予定通り2020年4月から始動しており、グループ一体経営のさらなる進展に寄与しています。
また、企業価値向上を支える経営基盤強化の一環として、「ビジネス機会の拡大」「人材採用力の向上」「働く誇りの向上」の実現を目指した戦略的なブランド活動を強力に推進しており、テレビCM等を通じた積極的な露出は、認知度向上をはじめとして様々な場面で好影響をもたらしています。さらに、ブランド強化の一環として、2021年2月より、CIロゴとブランドメッセージを刷新しました。特に、新ブランドメッセージ「ITで、社会の願い叶えよう。」では、グループ基本理念「OUR PHILOSOPHY」で掲げる「デジタル技術を駆使したムーバー」として、社会課題を解決し、新たな価値を創造するグループを目指していくことを表現しています。
グループの働き方改革の推進とグループ間コミュニケーションの促進の観点において、東京地区の主要拠点を2つの基幹オフィスへ移転・集約を順次進めています。西新宿オフィスには主としてコーポレート機能を集約し、グループガバナンスの強化を図るとともに、新たに2021年2月中旬に開設した豊洲オフィスには主としてグループの事業機能を集約し、事業におけるグループの一体感の強化と構造転換の加速を図ります。なお、ニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭においてオフィスの在り方を見直したことによって東京地区におけるオフィスのフロア総面積は減少し、豊洲オフィスは「コミュニケーション・コラボレーションを行う場所」と位置付けたことに伴い、執務エリアの座席数を大幅に削減するとともにリモート形式を含めたコミュニケーションブースを増設しました。
なお、翌連結会計年度から開始する中期経営計画(2021-2023)達成のコミットメントをより高めるため、2021年5月12日開催の取締役会において、中期経営計画(2018-2020)より導入した業績連動型株式報酬制度の継続及び一部改定について、2021年6月24日に開催予定の第13期定時株主総会に付議することとしました。本制度は中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献意識を高め、株主と利害を共有することを目的としており、今回の改定では、グループ一体経営をさらに推進する観点から、対象者を当社取締役等から当社取締役等及び一部の子会社取締役等に拡大いたします。また、同様の目的から、役員報酬における業績連動比率を高めることも決定しています。
ロ.財務健全性を保ちつつ、社会価値の創造、DX価値提供力の強化のための積極的な成長投資
当社グループは、社会課題の視点から顧客に対して先回りしたビジネスへの転換を目指しており、中でも成長エンジンと位置付けるサービス型ビジネスの拡大に向けて、グループの成長・得意領域に対して重点的な投資を行うこととしています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が広がり、不確実性の高まる環境において、一層のデジタル化における価値競争力を強化するためには、財務健全性を堅持した上で、新サービス創出のための成長投資(ソフトウェア投資、人材投資、研究開発投資、M&A・出資等)が必要になります。
当社グループの最大の特徴である決済分野においても、昨今のキャッシュレス化の進展に伴い、スマートフォン利用に代表される関連技術の進展や様々な異業種の参入、FinTech企業の台頭等を背景に、大きな環境変化やそれに伴う新たなIT投資が見込まれます。このような状況を新たな成長機会と捉え、長年に亘り培ってきた決済分野の知見・ノウハウ等の強みを活かし、トータルブランド「PAYCIERGE(ペイシェルジュ)」のもとでサービス型ビジネスの事業展開を加速させています。中でも「デジタル口座」は当社の競争優位性を特に発揮でき、事業拡大が期待できるサービスです。現在、クレジットカードのイシュイング業務に必要な環境をトータルで提供する「クレジットカードプロセッシングサービス」を中期経営計画(2021-2023)の期間中に提供開始すべく準備を着実に進める等、積極的に推進しています。今後も「デジタル口座」を中心に、デジタルウォレット、セキュリティ、データ利活用といった、デジタル化する決済に求められる要素をカバーし、さらなる事業拡大を目指してまいります。加えて、決済分野のみに留まらず、地域・都市のスーパーシティ構想や当社が支援した「TOYOTA Wallet」のようなMaaS(Mobility as a Service)領域での決済プラットフォームの提供等を通じて、デジタル化を通じた利便性の高い社会に貢献してまいります。この一環として、国土交通省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に採択された沖縄全域におけるMaaS実証実験「沖縄MaaS」に参画し、「MaaSプラットフォームサービス」を活用した基盤の構築と提供及び本事業の企画立案を行いました。
また、DX価値提供力の強化に向けては、下記ハにあるとおり、有力なビジネスパートナーのM&A等を積極的に実施しています。
ハ.安定的な収益基盤確立のための施策推進・事業ポートフォリオの見直し継続
事業競争力の更なる強化に向け、不採算案件の撲滅やエンハンスメント領域の収益性向上のための革新活動、事業ポートフォリオの見直しを継続的に推進しています。これにより、当連結会計年度の売上総利益率が25.4%(前期比1.5ポイント増)にまで向上する等、成果は施策の進展に合わせて着実に表れています。
グループ全体最適による競争力強化に向けて継続推進しているグループフォーメーション整備の一環として、2020年4月実施のEDI事業に続いて当社の中央官庁・自治体等行政機関向け事業の一部を当社の子会社である株式会社インテックへ会社分割により承継させることを2020年11月に決定したほか、2021年2月には、デジタル技術を組み合わせたBPOの展開による競争力強化を目的として、当社子会社の株式会社アグレックスとネオアクシス株式会社を合併させることとしました。
また、当社は、2020年2月に、千代田化工建設株式会社の完全子会社である千代田システムテクノロジーズ株式会社のIT事業を新設分割により承継する会社「TIS千代田システムズ株式会社」の株式51%の取得に合意し、2020年10月より新会社を連結子会社化しました。千代田化工建設グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた戦略的パートナーシップの構築とともに、将来的には、新会社を通じて培ったノウハウを活用したITソリューション提供を目指します。さらに当社は2020年8月に、データ分析・AIのコンサルティング事業を展開する澪標アナリティクス株式会社を連結子会社化し、データ分析・AI領域を強化しました。同社との連携を深めることにより、データ分析を基軸とした顧客のDX推進への貢献度を高めてまいります。
その他、キャッシュレス決済ネットワークを提供する株式会社日本カードネットワークと共に、店舗向け業務支援のプラットフォーム提供やDX推進支援を目的とした合弁会社「tance(タンス)株式会社」を設立するなど、新たなサービス・価値の創造に向け、事業ポートフォリオの更なる強化に努めています。
ニ.ASEANトップクラスのIT企業連合体を目指した成長戦略の推進
当社グループは、海外事業戦略において、「ASEANトップクラスのIT企業連合体」の組成を目指し、決済・銀行・ERPを重点事業領域と定めた上で、チャネル(拠点・顧客基盤)とテクノロジー(技術)の2つの観点から有力企業との資本・業務提携等を通じた積極的な事業領域拡大を推進しています。
チャネルの観点では、2020年3月に当社の持分法適用会社であるタイ王国のMFEC Public Company Limited(以下、「MFEC」という)の連結子会社化を目的として、同社株式に対する公開買付けをタイ王国の証券取引法及び現地法令に基づいて2020年7月から9月にかけて実施しました。この結果、同社に対する議決権比率は49.0%となり、支配力基準により、同社及び同社子会社の計11社は2020年10月5日付で当社の連結子会社となりました。MFECは、タイ国内のエンタープライズ向けITソリューション提供のリーディングプレイヤーです。当社は、MFECのタイ国内における高いプレゼンス、サービスクオリティ及びバランスの取れた幅広い顧客基盤を高く評価し、2014年4月に資本・業務提携契約を締結し、それ以降、時間をかけながら相互理解のもとで幅広い分野で協業スキームの構築や追加出資を通じて関係強化を図ってきた末、今回の連結子会社化に至りました。今後はMFECの事業構造転換の加速及び当社グループの海外事業の規模拡大を実現し、当社グループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
テクノロジーの観点では、2020年5月に、量子コンピュータのソフトウェアを開発するシンガポールのスタートアップ企業であるEntropica Labs Pte. Ltd.と資本・業務提携し、同社の技術や開発者との連携を通じて量子コンピュータ技術をお客様に提供していくための技術者育成や市場開拓を進めていくこととしました。2021年2月には、タイ王国の流通大手であるJay Mart Public Company Limited(以下、「Jay Mart」という)の子会社でJay Martグループ事業へのテクノロジー活用を牽引するDX推進企業であるJ Ventures Company Limitedと資本・業務提携契約を締結しました。今後、Jay Martグループとのパートナーシップ強化ならびにDXプラットフォームをはじめとする事業協創を目指してまいります。
また、2020年2月に戦略的パートナーシップを目的として資本・業務提携した東南アジアトップクラスのスーパーアプリケーションを提供するGrab Holdings Inc.との間では、多岐にわたるテーマにおいて協議を進めています。その一環として、当社の強みであるペイメント領域において、同社決済サービスのITプラットフォームを合弁会社のGrabLink Pte. Ltd.を通じて提供していくこととなりました。また、当社と持分法適用会社である上海訊聯数据服務有限公司(CardInfoLink)が共同で立ち上げたモバイル決済ネットワーク「EVONET」に、「GrabPay」が接続する予定となりました。
このように、東南アジア最大のデジタルペイメントプラットフォームを展開するGrab Holdings Inc.との戦略的パートナーシップは、グローバル市場に向け最適な決済ソリューションを展開するという当社の目標をさらに前進させることになります。今後も同社との関係を一層強化し、東南アジアにおける金融・決済領域の協業拡大を目指すとともに、「GrabPay」等のキャッシュレスペイメントの利便性を高めるために、東南アジア及び日本でのデジタルペイメントのインフラ強化や新たな決済技術の開発にも共同で取り組んでまいります。
ホ.社員の働きがい向上とサービス化・デジタル化を牽引する多様性に富む人材投資
当社グループにおける最も重要な経営資源は人財です。そのため、社員の働きがい向上と人財マネジメントの強化により、多様な人財が活躍できる仕組み・風土の構築を推進しています。社員が仕事を通じて自己実現を図り、より高い成果を生み出せるよう、職場風土・環境の整備に取り組む施策をまとめた「TIS人事本部マニフェスト」を策定し、多岐にわたる施策を積極的に推進しています。こうした取組みの結果、当社及び株式会社インテックは、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2021~ホワイト500~」に、昨年に続き認定されました。加えて、当社は厚生労働省主催の「グッドキャリア企業アワード2020」において大賞(厚生労働大臣表彰)を受賞する等、多くの外部評価を得るに至っています。
当社グループが注力する構造転換をさらに加速するためには、デジタル化を牽引する多様性に富む人材が柔軟で絶え間ない変化やこれまでにない価値を生み出し続けることが必要です。また、IT人材の獲得競争が進む中、採用・育成活動やビジネスパートナーとの関係強化等を通じ、持続的に優秀な人材の確保に努めるとともに、女性活躍推進を含む多様な人材活躍、健康経営、働き方改革を主軸にダイバーシティ&インクルージョンの取組みを推進し、社員と会社の価値交換性の継続的な向上に注力しています。この一環として、多様な人材が安心して働ける環境を実現するため、多様な「性の在り方」及び「家族の在り方」を前提とした制度整備を行うとともに、SOGI(Sexual Orientation & Gender Identity、性的指向及び性自認)やLGBT等の性的マイノリティの理解、受容に向け、啓蒙活動、専門の相談・問合せ窓口の設置等に取り組んでいます。
その他、経営環境の変化に柔軟に対応した機動的な資本政策を遂行し、株主利益及び資本効率の向上を図る一環として、2020年5月に計1,395,600株(取得価額の総額3,029百万円)の自己株式の取得を実施しました。
なお、当社は2021年4月1日から代表取締役社長が交代となり、新たな経営執行体制のもと、2021年4月から開始する中期経営計画(2021-2023)の着実な遂行を進めてまいります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末54,684百万円から28,240百万円増加の82,924百万円となりました。なお、 新型コロナウィルス感染症拡大影響による不測の事態に備えて資金の流動性を高めるために実施した資金調達等により、当連結会計年度末の資金は前連結会計年度末に比べて増加しておりますが、2021年4月より開始した中期経営計画(2021-2023)で保有水準と定める月商の2ヶ月程度となっており適正な水準にあります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は33,345百万円(前期比5,223百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益44,816百万円(同178百万円増)に、資金の増加として、非資金損益項目である減価償却費13,318百万円(同1,297百万円増)等があった一方、資金の減少として、法人税等の支払額16,484百万円(同1,276百万円増)等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は17,522百万円(前期比8,914百万円減)となりました。これは主に、資金の増加として、資本効率性の向上およびコーポレートガバナンス・コードへの対応の一環としての政策保有株式の縮減等により、投資有価証券の売却及び償還による収入10,969百万円(同2,204百万円増)等があった一方で、資金の減少として、サービス型事業推進のための積極的な投資実行等により、無形固定資産の取得による支出11,464百万円(同1,466百万円増)、グループ一体経営の強化およびニューノーマルを前提とした新しい働き方を念頭に置いた豊洲オフィスの開設等により、有形固定資産の取得による支出10,059百万円(同3,966百万円増)等があったことによるものです。また、投資有価証券の取得による支出は2,643百万円であり、海外事業戦略に基づいた資本・業務提携に伴う多額の出資等があった前連結会計年度に比べて大幅に減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は12,484百万円(前期比27,028百万円増)となりました。これは主に、資金の増加として、前述の資金調達等により、長期借入れによる収入23,536百万円(同20,036百万円増)等があった一方で、資金の減少として、配当金の支払額7,808百万円(同1,040百万円増)、自己株式の取得による支出6,567百万円(同2,414百万円増)、長期借入金の返済による支出1,468百万円(同5,716百万円減)等があったことによるものです。
なお、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは15,823百万円の黒字(同3,691百万円増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、アウトソーシング・ネットワーク及びソフトウェア開発についてのみ記載しております。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| サービスIT(百万円) | 126,702 | 121.0 | |
| BPO(百万円) | 24,671 | 117.7 | |
| 金融IT(百万円) | 108,988 | 96.7 | |
| 産業IT(百万円) | 187,828 | 104.8 | |
| 報告セグメント計(百万円) | 448,190 | 107.3 | |
| その他(百万円) | - | - | |
| 合計(百万円) | 448,190 | 107.3 | |
(注)金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度におけるソフトウェア開発に係る受注実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
| サービスIT | 55,037 | 102.4 | 20,367 | 133.0 |
| 金融IT | 68,490 | 93.5 | 28,541 | 100.5 |
| 産業IT | 113,795 | 95.4 | 34,887 | 98.1 |
| 合計 | 237,323 | 96.3 | 83,797 | 105.7 |
(注)1.BPOはセグメントの特性によりソフトウェア開発がありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| サービスIT(百万円) | 124,372 | 111.7 |
| BPO(百万円) | 32,702 | 106.6 |
| 金融IT(百万円) | 110,262 | 96.5 |
| 産業IT(百万円) | 176,706 | 96.4 |
| 報告セグメント計(百万円) | 444,043 | 101.0 |
| その他(百万円) | 4,340 | 104.5 |
| 合計(百万円) | 448,383 | 101.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載したとおりであります。
b.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載したとおりであります。
c.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2.事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであります。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、事業規模・収益性および資本効率性を重視した経営指標を設定し、これらの拡大を目指しています。中期経営計画(2021-2023)では、「売上高5,000億円」「営業利益(営業利益率)580億円(11.6%)」「EPS(1株当たり当期純利益)の年平均成長率10%超」「戦略ドメイン比率60%」「社会課題解決型サービス事業売上高500億円」を掲げています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
イ.資金需要
当社グループの資金需要について、営業活動においては、材料・外注費及び人件費などの運転資金が主な内容になります。投資活動においては、2021年4月より開始した3か年の中期経営計画の中で掲げる1,000億円想定の投資戦略に基づき、DX提供価値の向上や新技術獲得のためのM&Aやソフトウェア開発投資、R&Dや人材育成などへの成長投資を実施する方針です。その他、経常的な設備の更新のための増設、改修等を目的とした設備投資を予定しています。
ロ.財務政策
当社グループは、必要となる資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は有利子負債の調達を実施することを基本とし、現金及び預金は月商の2ヶ月程度を保有する方針としております。借入金、社債等の調達については、調達コストの抑制の観点から格付「A」の維持を考慮して実施する前提としております。
なお、自己株式については、自己株式の保有は原則として発行済株式総数の5%を上限とし、5%を超過する保有分については消却することとしています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響については、現時点において依然として不確実性が高い状況にあるものの、当連結会計年度の第3四半期以降は当社グループの事業環境が概ね正常化していることを踏まえて会計上の見積りを行っております。ただし、海外の特定の地域やクロスボーダー取引に依拠する事業を行っている一部の海外持分法適用会社においては、引き続き翌連結会計年度も当該新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響があるものと仮定して会計上の見積りを行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。