有価証券報告書-第6期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/20 16:10
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146項目

業績等の概要

(1)業績
(当連結会計年度の概況)
当連結会計年度の世界経済は、米国では積極的に財政・金融政策を推し進めるなど雇用や住宅をはじめとして改善傾向が多く見られ緩やかな景気回復の動きが見られた一方で、欧州は依然として景気の低迷が続き、中国やブラジルをはじめとする新興国の成長鈍化など、本格的な回復を示すには至りませんでした。また、日本経済は各種政策の効果による輸出環境の改善や、消費税増税前の駆け込み需要により個人消費が増加するなど回復基調が見られるものの、世界経済全体では依然として不透明な状況が続きました。
こうした状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の全社の売上高は前年実績を上回りました。損益についてはカーエレクトロニクスセグメントをはじめ全セグメントが減益となり、全社の営業利益は前連結会計年度比で大幅な減益となりましたが、第3四半期より推進している「原価総改革」、「販売改革」、「緊急対策」などの事業再建策の効果などにより、下半期の営業利益は前年実績を上回り、回復の兆しがはっきりしてきました。
なお、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
損益為替レート米ドル約99円約99円約100円約103円
ユーロ約129円約131円約137円約141円
前期(参考)米ドル約80円約79円約81円約92円
ユーロ約103円約98円約105円約122円

*売上高
当連結会計年度における売上高は、第1四半期にシンワを連結子会社化した影響と為替変動による円換算額の増加などによりカーエレクトロニクスセグメントが増収となり、前期のタイ洪水の影響から回復し、東京特殊電線の情報機器事業を承継したプロフェッショナルシステムセグメントも増収となったことから、欧州経済低迷や商品絞り込みの影響などによる光学&オーディオセグメントの減収、一部主力作品の発売延期などによるソフト&エンターテインメントセグメントの減収を吸収し、前期比で約98億円増(3.2%増収)の3,163億43百万円となりました。
*営業利益
当連結会計年度における営業利益は、対米ドルの円安によって円換算原価が20%以上上昇し、カーエレクトロニクスセグメントの市販事業、OEM事業や光学&オーディオセグメントのイメージング事業などの国内事業が主に上半期に大幅な赤字となったこと、海外もカーエレクトロニクスセグメントの市販事業、イメージング事業などの販売が不振となったことに加え、ソフト&エンターテインメントセグメントも一部主力商品の発売延期や海外でのパッケージメディア市場縮小の影響などから、全セグメントが減益となり、前期比で約52億円減(54.0%減益)の44億21百万円となりました。
*経常利益
当連結会計年度における経常利益は、営業外収支は改善したものの営業利益が減少したことから、前期比で約32億円減の70百万円の損失となりました。
*当期純利益
当連結会計年度における当期純利益は、経常利益の減少に加え、第3四半期より実施した国内早期希望退職者募集や海外拠点改革にともなう特別損失計上などにより、ケンウッド・ジオビットの株式譲渡による特別利益計上があったものの、税金費用の増加もあり前期比で約77億円減の65億71百万円の損失となりました。
なお、当連結会計年度の法人税等合計は、税金費用の増加などにより前期比で約15億円増加し、少数株主利益が同約6億円増加しました。
(セグメントごとの売上高及び損益)
セグメントごとの売上高及び営業利益(△は損失)は以下のとおりです。
平成25年6月25日付の組織変更により、事業セグメントを変更しています。
なお、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、第2四半期より新事業セグメントを報告セグメントとする売上高、セグメント利益等の集計、報告を行っています。本項においても、当連結会計年度について、新事業セグメントに基づき記載しています。なお、以下の記載では、前年同期についても、現在の新事業セグメントの区分を適用して集計したものを用いています。
なお、セグメントごとの営業利益(△は損失)の合計額は、連結損益計算書の営業利益(△は損失)と一致しています。
セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しています。
(百万円)
セグメントの名称平成26年3月期平成25年3月期前期比
カーエレクトロニクス売上高113,95694,443+19,513
セグメント営業利益△5601,939△2,499
プロフェッショナルシステム売上高96,95291,830+5,122
セグメント営業利益3,5344,020△486
光学&オーディオ売上高74,65687,069△12,413
セグメント営業利益8531,203△350
ソフト&エンターテインメント売上高36,39540,858△4,463
セグメント営業利益5772,044△1,467
その他売上高6,1346,024+110
営業利益16395△379
セグメント間消去売上高△11,752△13,644+1,892
合計売上高316,343306,580+9,763
営業利益4,4219,603△5,182
経常利益△703,106△3,176
当期純利益△6,5711,146△7,717

*カーエレクトロニクスセグメント
当連結会計年度におけるカーエレクトロニクスセグメントは、シンワの連結子会社化や円安による円換算額の増加などにより、売上高は前期比で約195億円増(20.7%増収)の1,139億56百万円となりました。
市販事業は、国内市場では、低価格化傾向にある中で、AV一体型カーナビゲーションシステム「彩速ナビ」の販売が年間を通じて堅調に推移したことに加え、消費税増税前の駆け込み需要もあり、売上が拡大しました。また、海外市場では、欧米におけるカーオーディオ市場縮小の影響を受けたものの、円安効果もあったことから売上は拡大し、市販事業は増収となりました。
OEM事業は、自動車メーカー向けAV一体型カーナビゲーションシステムや、車載機器用CD/DVDドライブメカニズムが減少したものの、シンワの連結子会社化により、増収となりました。なお、シンワ、ディーラーオプション、車載機器向け光学デバイス等を含めた車載関連のOEM比率は約43%となり、前期の約37%から増加しました。
しかし市販事業で第3四半期に国内市場に投入した円安対応モデルによる損益改善効果や、消費税増税前の駆け込み需要による増収効果、シンワの連結子会社化による増益効果があったものの、市販事業の現地通貨ベースでの海外における販売減、及び市販事業、OEM事業ともに国内事業における大幅な対米ドルの円安による円換算原価の上昇の影響を主に上半期に大きく受けたことから、カーエレクトロニクスセグメント全体の営業利益は、同約25億円減の5億60百万円の損失となりました。
*プロフェッショナルシステムセグメント
当連結会計年度におけるプロフェッショナルシステムセグメントは、前期にタイ洪水の影響があったプロフェッショナル&ヘルスケア事業の回復や、コミュニケーションズ事業が円安効果などから増収となり、売上高は前期比で約51億円増(5.6%増収)の969億52百万円となりました。コミュニケーションズ事業は、最大市場である北米が政府緊縮財政の影響などを受けましたが、円安効果などから増収となりました。
プロフェッショナル&ヘルスケア事業は、平成25年7月に東京特殊電線から医用画像表示用ディスプレイ事業を譲り受けた影響に加え、国内での放送事業者向け無線システムなどの新規受注が増加するなど、国内を中心に販売が回復したことから増収となりました。
しかし、プロフェッショナル&ヘルスケア事業で国内販売回復にともなう増益効果があったものの、コミュニケーションズ事業の北米の販売が政府緊縮財政の影響などにともなって減益となったことなどから、プロフェッショナルシステムセグメント全体の営業利益は同約5億円減(12.1%減益)となる35億34百万円となりました。
*光学&オーディオセグメント
当連結会計年度における光学&オーディオセグメントは、映像・光学デバイス事業が増収となったものの、イメージング事業、オーディオ事業が減収となり、売上高は前期比で約124億円減(14.3%減収)の746億56百万円となりました。
オーディオ事業は、AVアクセサリー分野が堅調に推移しましたが、ホームオーディオ分野が商品絞り込みやスマートフォン普及の影響で販売減となり、減収となりました。
イメージング事業は、国内外市場の大幅縮小によりカムコーダ分野が苦戦し、減収となりました。
映像・光学デバイス事業はプロジェクター分野が高精細な業務用4Kモデルの好調などにより販売増となり、車載機器用ピックアップ分野の販売も回復したことから、増収となりました。
しかし、オーディオ事業はホームオーディオ分野で、第3四半期に発売したハイレゾリューション音源再生対応モデルなどの高付加価値商品の拡販効果などから増益となったものの、イメージング事業はカムコーダ分野の国内販売比率が高く、円換算原価の大幅な上昇に加え、国内外市場の急激な縮小により大幅な減益となったことから、光学&オーディオセグメント全体の営業利益は同約4億円減(29.1%減益)の8億53百万円となりました。
*ソフト&エンターテインメントセグメント
当連結会計年度におけるソフト&エンターテインメントセグメントは、コンテンツビジネスが、音楽関連で新人、中堅の作品群がCMタイアップやテレビ番組主題歌採用の効果などにより好調に推移したものの、一部主力作品の発売延期などにより減収となりました。受託ビジネスは、海外でのパッケージメディア市場縮小の影響などにより減収となり、ソフト&エンターテインメントセグメント全体の売上高は前期比で約45億円減(10.9%減収)の363億95百万円、営業利益は同約15億円減(71.8%減益)の5億77百万円となりました。
当連結会計年度における主なヒット作品は、以下のとおりです。
(ビクターエンタテインメントの主なヒット作品)
・桑田佳祐 BD&DVD「昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦」
・家入レオ アルバム「a boy」、シングル「チョコレート」
・Dragon Ash アルバム「THE FACES」
・サザンオールスターズ BD&DVD「SUPER SUMMER LIVE 2013 “灼熱のマンピー!!G★スポット解禁!!”胸熱完全版」、シングル「ピースとハイライト」
・SMAP シングル「シャレオツ/ハロー」、シングル「Joy!!」
・斉藤和義 アルバム「斉藤」&「和義」
・「あまちゃん 歌のアルバム」、「連続テレビ小説 「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック 2」、「連続テレビ小説 「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック」
・クリープハイプ アルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」
・星野源 アルバム「Stranger」、シングル「ギャグ」(映画「聖☆おにいさん」主題歌)
・高橋真梨子 アルバム「高橋40年」、BD・DVD「LIVE Re:So fine」
(テイチクエンタテインメントの主なヒット作品)
・STARDUST REVUE アルバム「Stage Bright~A Cappella & Acoustic Live~」、DVD「STARDUST REVUE LIVE TOUR「B.O.N.D.」2012-2013」・関ジャニ∞ シングル「ひびき」、「キング オブ 男!」、アルバム「JUKE BOX」、シングル「へそ曲がり/ここにしかない景色」
・風男塾 アルバム「POWER OF WIND」、シングル「チェンメン天国」
・ちあきなおみ アルバム「ほのぼのと、切なさと、懐かしさと、ちあきなおみの"黄昏のビギン"はあなたの恋する勇気をサポートします。」
・LIFriends シングル「愛して止まないロックンロール」
・BEGIN BOXセット「ビギンの一五一会BOX」
・シシド・カフカ アルバム「カフカナイズ」
・怒髪天 アルバム「ドリーム・バイキングス」
・島津亜矢 シングル「縁(えにし)」
(2)キャッシュ・フロー
*営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は149億43百万円となり、前期比で約52億円収入が増加しました。主な要因は、当連結会計年度において税金等調整前当期純損失を計上したものの、たな卸資産の減少による収入の増加があったことによるものです。
*投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度においてにおいて投資活動により減少した資金は106億58百万円となり、前期比で約27億円支出が減少しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出の減少に加え、子会社株式の売却による収入の増加によるものです。
*財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は95億81百万円となり、前期比で約10億円支出が増加しました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が増加したことによるものです。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末比で約28億円減少し、547億37百万円となりました。