有価証券報告書-第8期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 15:24
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【項目】
148項目

業績等の概要

(1)業績
(当連結会計年度の概況)
当連結会計年度の世界経済は、米国は緩やかな景気拡大が続き個人消費などを中心に堅調に推移し、欧州でも下期にかけて緩やかな景気回復が見受けられましたが、中国を中心とした新興国経済が下期にかけて失速したほか、中東を中心とした地政学リスクの高まりもあり、全体としては不安定な状況で推移しました。日本経済については、上期は円安基調、原油安の影響もあって緩やかな回復基調で推移しましたが、年明け以降に為替が円高方向に推移したことから減速感が強まり、先行きは不透明な状況となっています。
こうした状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の全社売上高は、事業買収効果などもあり、前連結会計年度比で増収となりました。一方、全社損益は、オートモーティブ分野の用品(ディーラーオプション)事業や純正事業で計画を上回る新規受注獲得などにより期初計画外の先行開発費が増加したことや、主に上期に為替変動の影響を受けたことなどから、営業利益は前連結会計年度比で減益となりましたが、業容は安定してきました。
なお、当連結会計年度の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
損益為替レート米ドル約121円約122円約121円約115円
ユーロ約134円約136円約133円約127円
前期(参考)米ドル約102円約104円約114円約119円
ユーロ約140円約138円約143円約134円

*売上高
当連結会計年度における売上高は、事業買収効果などもあり、前連結会計年度比で約72億円増(2.5%増収)となる2,921億95百万円となりました。
平成27年4月1日付でASKを連結子会社化したことなどから、オートモーティブ分野は増収となりました。一方、米国無線子会社は増収となったものの、業務用無線事業が減収となったことなどから、パブリックサービス分野は減収となりました。また、平成27年4月28日付でテイチクの全株式を譲渡した影響などから、メディアサービス分野は減収となりました。
*営業利益
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度比で約23億円減(35.8%減益)となる42億21百万円となりました。
用品事業や純正事業において、計画を上回る新規受注獲得などにより期初計画外の先行開発費が増加したことなどから、オートモーティブ分野は減益となりました。また、業務用無線事業が減益となったことなどから、パブリックサービス分野は減益となりました。メディアサービス分野は、テイチクの全株式を譲渡した影響などから減益となりました。
*経常利益
当連結会計年度における経常利益は、主に営業利益の減少によって、前連結会計年度比で約22億円減(67.9%減益)となる10億18百万円となりました。
*親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、米国子会社における繰延税金資産の計上にともなう法人税等調整額を約△23億円(△は利益)計上しましたが、経常利益の減少に加え、前橋事業所の用途変更による減損処理で特別損失を約11億円計上したことなどから、前連結会計年度比で約15億円減(31.4%減益)となる31億94百万円となりました。
(セグメントごとの売上高及び損益)
セグメントごとの売上高及び営業利益は以下のとおりです。
当社は平成27年5月に策定した中長期経営計画「2020年ビジョン」の実現に向けて、製品を製造し販売する従来型の「製造販売業」から、顧客の課題を解決するためのソリューションを提供する「顧客価値創造企業」への進化を図るため、平成27年7月1日付でこれまでの「カーエレクトロニクス」「プロフェッショナルシステム」「光学&オーディオ」「ソフト&エンターテインメント」の4つの事業セグメントを、「オートモーティブ分野」「パブリックサービス分野」「メディアサービス分野」の3つの顧客業界分野別組織へ再編しました。
なお、セグメントごとの営業利益の合計額は、連結損益計算書の営業利益と一致しています。
セグメントごとの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しています。
(百万円)
セグメントの名称平成28年3月期平成27年3月期前連結会計年度比
オートモーティブ分野売上高138,540120,745+17,795
(旧カーエレクトロニクスセグメント)営業利益2771,347△1,070
パブリックサービス分野売上高80,89885,265△4,367
(旧プロフェッショナルシステムセグメント)営業利益1,8003,259△1,459
メディアサービス分野売上高67,23373,188△5,955
(旧光学&オーディオセグメント、旧ソフト&エンターテインメントセグメント)営業利益1,7691,880△111
その他売上高5,5425,820△278
営業利益37482+292
セグメント間消去売上高△19△10△9
合計売上高292,195285,010+7,185
営業利益4,2216,570△2,349
経常利益1,0183,176△2,158
親会社株主に帰属する当期純利益3,1944,654△1,460

(注)当連結会計年度より、これまでの「カーエレクトロニクス」「プロフェッショナルシステム」「光学&オーディオ」「ソフト&エンターテインメント」の4つの事業セグメントを、「オートモーティブ分野」「パブリックサービス分野」「メディアサービス分野」の3つの顧客業界分野別組織へ再編する報告セグメントの区分を変更しています。なお、前連結会計年度比については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた上で算出しています。
*オートモーティブ分野
当連結会計年度におけるオートモーティブ分野の売上高は、前連結会計年度比で約178億円増(14.7%増収)の1,385億40百万円、営業利益は同約11億円減(79.4%減益)となる2億77百万円となりました。
(売上高)
市販事業は、国内市場ではAV一体型カーナビゲーションシステム「彩速ナビ」、海外市場では米州でディスプレイオーディオの販売が堅調に推移したものの、中近東の景気低迷、欧州の市況低迷の影響などを受けたことから、減収となりました。
用品事業は、新規顧客向けディーラーオプション商品の出荷が開始されたことなどから、大幅な増収となりました。
純正事業は、平成27年4月1日付で連結子会社化したASKの売上高が加算されたことなどから、大幅な増収となりました。
(営業利益)
市販事業は、減収の影響を受けたものの、国内市場、米州市場が堅調に推移したことから増益となりました。
用品事業は、計画を上回る新規受注獲得などによって、期初計画外の先行開発費が増加した影響などから、減益となりました。
純正事業は、ASKの売上が加算されたことによる増益効果があったものの、次世代事業及び新規受注獲得にともなう開発費が増加したことなどから、減益となりました。
*パブリックサービス分野
当連結会計年度におけるパブリックサービス分野の売上高は、前連結会計年度比で約44億円減(5.1%減収)の808億98百万円、営業利益は同約15億円減(44.8%減益)となる18億円となりました。
(売上高)
無線システム(旧コミュニケーションズ)事業は、原油価格の下落などによる米州鉄道関連の業務用無線端末の販売減などが影響し、減収となりました。
業務用システム事業は、海外市場で商品ラインアップの絞り込みを進めた影響などから減収となり、ヘルスケア事業は、国内外市場とも販売が減少したことから減収となりました。
(営業利益)
無線システム事業は、上記減収要因の影響から減益となりました。なお、米国無線子会社のEFJTは、営業活動の強化を進めた効果が発現し、増収増益となりました。
業務用システム事業は、商品構成の変化やコスト削減効果などから増益となり、ヘルスケア事業は、減収の影響から減益となりました。
*メディアサービス分野
当連結会計年度におけるメディアサービス分野の売上高は、前連結会計年度比で約60億円減(8.1%減収)の672億33百万円、営業利益は同約1億円減(5.9%減益)となる17億69百万円となりました。
(売上高)
メディア事業は、民生用ビデオカメラが商品絞り込みの影響を受けましたが、プロジェクターが下期以降回復して前年同期実績を上回ったことなどから、ほぼ前年同期と同水準の売上高となりました。
エンターテインメント事業は、テイチクの全株式を譲渡した影響などから、減収となりました。
(営業利益)
メディア事業は、民生用ビデオカメラが商品構成の改善効果が発現したことや、映像デバイスが増収にともなって損失が減少したことなどから、増益となりました。
エンターテインメント事業は、テイチクの全株式を譲渡した影響から、減益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
*営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は122億58百万円となり、前連結会計年度比で約37億円増加しました。主な要因は、売上債権の減少や未払金の増減額に含まれる雇用構造改革費用の支出が大きく減少したことによるものです。
*投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は83億95百万円となり、前連結会計年度比で約45億円支出が増加しました。主な要因は、ASKの連結子会社化による連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が発生したことに加え、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
*財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は149億67百万円となり、前連結会計年度比で約75億円支出が増加しました。主な要因は、社債の償還による支出やシンワ株式の追加取得による支出によるものです。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年同期末比で約129億円減少し、415億51百万円となりました。