訂正有価証券報告書-第15期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/07/04 12:04
【資料】
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【項目】
172項目
事業機会①⑤ 「環境負荷低減商品の拡大」や「持続可能な原料活用商品の提供」の事例
社内認定制度「meiji サステナブルプロダクツ」の取り組み強化による事業機会の創出
バリューチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、物流、消費)において、サステナビリティ活動に積極的に取り組み、社会課題解決型商品としてお客様に訴求することで、新たな価値の創造を目指します。
事業機会サスプロ認定基準主な要件事項
機会① 環境負荷低減商品の拡大環境に配慮した容器包装プラスチック使用量削減、再生プラスチック・バイオマス素材使用、リサイクルしやすい設計など
機会⑤ 持続可能な原料活用商品の提供人権と環境に配慮した調達認証原料の使用、
環境配慮農法により生産された原料の使用など

事業機会③ 「感染症トータルケアビジネス」の事例
<新規モダリティの獲得>当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認を取得しました。今回の承認は、次世代 mRNAワクチン(レプリコン)として世界初となります。「コスタイベ筋注用」は、新規の sa‐mRNA技術を使用しており、少量の mRNAで高い免疫応答が期待できます。当社グループは、先進的なモダリティ技術を獲得し、将来に向けた新たなワクチン開発の技術基盤を築いてまいります。
ⅰ デングウイルス感染症に対する新規ワクチンの開発
気候変動による温暖化や降水量の変化に伴い、病原微生物の生息地や生活環境が変化しつつあります。この結果、デングウイルス感染症の発生地域が拡大しています。
原因となるデングウイルスは、ヒトにデング熱、デング出血熱及びデングショック症をおこす蚊媒介ウイルスの一種で、1型から4型までの4種の血清型がヒトでの流行に関与しています。WHO報告によると熱帯・亜熱帯地域の100カ国以上で流行が見られ、世界人口の約50%に相当する39億人が感染リスクにさらされ、毎年1~4億人が感染するとされています。年間3.9億人が感染し、9,600万人が発症したとする推計も報告されています。
また、デング出血熱により5歳未満の子供を中心として毎年50万人が重症化による入院治療を必要としており、うち約2.5%が死亡しています。
KD-382は、非臨床試験において1回の接種でデングウイルスの4つの血清型すべてに対して良好な免疫原生と防御効果を示すことが確認されています。また、健康成人を対象として実施した第Ⅰ相臨床試験において、KD-382は忍容性と良好な免疫原性を示し、1回の接種で4つの血清型すべてに対する中和抗体誘導能を確認しました。デングウイルス感染症は小児の重症化リスクが高いことから、現在、小児における安全性と免疫原性を検討するため、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援のもと、第Ⅱ相臨床試験の準備が進められており、デングウイルス感染症の予防に向けた新たな選択肢として期待されています。
ⅱ 薬剤耐性(AMR)対策に向けた新規β-ラクタマーゼ阻害剤の開発
薬剤耐性菌の出現と蔓延は世界的な脅威であり、日本国内においても「AMR対策アクションプラン」のもと、対策が進められています。とりわけ、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)は、重症感染症治療における「最終兵器」とされるカルバペネム系抗菌薬が無効な耐性菌として世界中で脅威となっております。
このような中、当社グループが創出した新規β-ラクタマーゼ阻害剤「Nacubactam(開発コードOP0595)」は、既存の抗菌薬との併用により、薬剤耐性菌に対する有効性が期待されています。「サイレントパンデミック」と呼ばれる薬剤耐性(AMR)は世界的な課題であり、当社グループは新薬を通じてAMR対策に貢献してまいります。
(3) 指標と目標(進捗状況含む)
当社グループでは、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、明治グループの長期環境ビジョンである「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、それぞれのビジョンに基づいてマテリアリティとKPIを設定しています。長期環境ビジョンにおいて、気候変動に関するKPIは、パリ協定の努力目標である世界全体の平均気温を1.5℃ に抑えることを目標としています。
気候変動に関わるリスクや機会への対応は、環境負荷低減活動に加えて、原材料調達など多岐にわたります。そのため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗状況を確認し、達成に向けて計画的に取り組んでおります。また、これらの取り組みは、明治ROESG®指標の一部として評価され、役員報酬に反映されます。
Scope1、2、3における移行計画の推進のため、2026中期経営計画において「ESG投資」を500億円と設定し、サステナビリティ施策を着実に推進します。主な施策は、以下のとおりです。
・酪農業のGHG排出量削減に向けた取り組み
・ペニシリン原薬の国産化
・太陽光発電設備の導入
・脱フロン対策(例:ノンフロンターボ冷凍機の導入)
・脱プラスチック対策(例:小型ペットボトル軽量化に向けた設備導入)
・水使用量の削減(例:小型ペットボトルライン リンス水循環化による節水対策)
<インターナルカーボンプライシング制度の見直し>2024年度から、インターナルカーボンプライシング制度の炭素価格を1t-CO₂当たり5,000円から15,000円に変更し、カーボンプライシング本格導入後の円滑な対応に向けた準備も進めております。
<サステナビリティボンドの発行>当社のサステナビリティビジョンを達成するための必要資金として、2021年にサステナビリティボンドを発行し、資金調達を実施しています。
※ サステナビリティ関連の資金調達に関しては、当社のウェブサイト「サステナブルファイナンス」をご参照
ください。(https://www.meiji.com/sustainability/stance/finance/)
<2023中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
主要
インパクト
項目KPI
短・中期目標長期目標2023年度進捗
カーボンプライシングの導入CO₂排出量2030年度までに自社拠点での
CO₂総排出量(Scope1、2)を50%以上削減、Scope3を30%以上削減(2019年度比)
2050年までにサプライチェーン全体でCO₂などの温室効果ガス排出量を実質ゼロにScope1、2:
19.6%
Scope3:4.8%
※2、3
再生可能エネルギー使用量2030年度までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率を50%以上へ拡大2050年までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率100%を達成17.4%
プラスチック
使用量
2030年度までに国内の容器包装などのプラスチック使用量を25%以上削減(2017年度比)再生資材などを活用し容器包装に使用する新たな自然資本を最小化18.3%
※2、4
水調達リスク水使用量2030年度までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を15%以上削減(2020年度比)2050年までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を2020年度比で半減15.7%
※2
主要原材料の持続可能な調達カカオ豆2026年度までにサステナブルカカオ豆の調達比率を100%へ-62.5%
パーム油2023年度までにRSPO認証パーム油への100%代替-100.0%
木材(紙)2023年度までに環境配慮紙への100%代替(製品の容器・包装に使用する紙)-100.0%
生乳酪農家の経営に関する支援活動Meiji Dairy Advisory(MDA)を年間400回以上実施、及び2023年度までに累計2,150回以上実施-522回/年
累計2,422回

※1 明治ROESG®のうち気候関連の評価項目に係る部分を区分して割合を示すことは困難であると認識しています。
※2 進捗については、基準年度からの削減率(%)を記載しています。なお、算出値については第三者保証取得
前の数値であるため、変更の可能性があります。
※3 Scope3はScope1、2以外の間接排出で、バリューチェーンからのCO₂排出量です。
Scope3カテゴリ1は2022年度から原材料の購入重量を使用し、IDEA(Ver.3.2.0)の係数を利用して算出しています(2021年度までは原材料の購入金額を使用)。KPI進捗は、基準年度である2019年度のScope3カテゴリ1の排出量を2022年度に採用した算出方法で計算し、その数値をもとに算出しています。また、2023年度から㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱を対象範囲に追加したことに伴い、KPI進捗は、2019年度における㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱のScope3カテゴリ1,4,9の実績を加えて算出しています。
※4 プラスチック使用量削減値については、2022年度実績をもとにしています。
なお、当社グループにおける2023年度のGHG排出量(Scope1、2、3)の実績については、下記の当社ウェブサイトで開示しております。(https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/)
<2026中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
中長期の目指す姿主な取り組み指標(KPI)2026年度
目標
サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援・Meiji Dairy Advisory
(MDA)取り組み戸数
累計100戸以上
個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。・〈生乳〉酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進・〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数累計30戸以上
・〈カカオ〉メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大・〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率100%
・〈パーム油〉森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進・〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率2024年度中に
目標設定
・〈紙〉製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え・〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率
※対象範囲:事務用品、定型発行物
100%