有価証券報告書-第12期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/27 15:46
【資料】
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【項目】
118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果により緩やかな回復基調が続いており、個人消費も緩やかに持ち直しております。ただし、海外経済や金融資本市場変動による影響が懸念されます。
国内化粧品市場においては、前年の下期以降、陰りが見られていた訪日観光客のインバウンド消費が、再び増加に転じたことにより、堅調に推移しております。なお、インバウンド消費を除く市場規模は前年並みと推察されます。海外化粧品市場においては、中国、アジアでは堅調に成長し、緩やかな拡大傾向が続いております。
このような市場環境のもと、今年度からスタートした4ヶ年中期経営計画(2017年から2020年)に基づき、国内のさらなる収益性向上と海外事業での黒字化、次世代の成長ブランド創出を達成すべく、取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は次のとおりとなりました。
売上高は、基幹ブランドであるPOLAブランドや、育成ブランドであるTHREEブランド及びDECENCIAブランドの好調により、前年同期比11.8%増の244,335百万円となりました。営業利益は、売上高増による売上総利益増加と費用の効率化により、前年同期比44.9%増の38,881百万円、経常利益は前年同期比44.7%増の39,250百万円となりました。以上の結果により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比66.2%増の27,137百万円となりました。
なお、当連結会計年度より、当社連結子会社において企業結合の一部として取得した耐用年数を確定できない無形資産に係る繰延税金負債を認識する方法に会計方針を変更しており、遡及適用後の数値で前年同期との比較を行っております。
[業績の概要]
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前年同期
増減額(百万円)増減率(%)
売上高218,482244,33525,85311.8
営業利益26,83938,88112,04144.9
経常利益27,12139,25012,12844.7
親会社株主に帰属する
当期純利益
16,32827,13710,80966.2

[セグメント別の業績]
売上高(外部顧客への売上高)
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前年同期
増減額(百万円)増減率(%)
ビューティケア事業202,446227,13324,68612.2
不動産事業3,0432,694△349△11.5
その他12,99214,5071,51511.7
合 計218,482244,33525,85311.8


セグメント利益又は損失(△)(営業利益又は損失(△))
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
前年同期
増減額(百万円)増減率(%)
ビューティケア事業25,90438,12112,21647.2
不動産事業1,3951,082△313△22.4
その他△133△314△180
セグメント利益の調整額
(注)
△326△8318
合 計26,83938,88112,04144.9

(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費などを連
結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第5
経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等) 3 報告セグメントごとの売上高、 利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)
ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」「H2O PLUS」を、育成ブランドとして「THREE」 「DECENCIA」「ORLANE」を展開しております。
POLAブランドでは、長期的な安定成長を果たすべく、ブランドの浸透、プロフェッショナルなビューティーディレクターの採用・育成に向けた投資を行っております。国内市場においては、日本で初めて承認されたシワを改善する薬用化粧品「リンクルショット メディカル セラム」を1月に発売しました。シワに悩む多くの女性の声に応えたシワを改善するという商品特長と対面カウンセリング、プロモーションでの積極的な情報発信により、お客さまの増加と、その他製品とのクロスセルに繋がっております。加えて、訪日観光客によるインバウンド売上が化粧品に拡大したことにより、好調に推移しております。海外市場においては、中華圏でのブランド認知拡大により、全体として好調に売上成長しております。以上の結果、POLAブランドは前年同期を上回る売上高となりました。
ORBISブランドでは、ブランド進化による更なる成長と収益向上を目指し、ブランド発信の強化、SNSを活用したお客さま獲得と2回目購入率の向上に取り組んでおります。国内市場においては、主力商品である「アクアフォース」シリーズを1月に全面刷新しました。また、SNSを活用したコミュニケーションの強化を行ったものの、前期の広告宣伝費抑制の影響を受け、顧客総数が減少し、前年同期を下回る売上高となりました。海外市場においては、中国市場及びシンガポール市場では成長トレンドを維持しております。以上の結果、ORBISブランドは前年同期を下回る売上高となりました。
海外ブランドについては、Jurliqueブランド及びH2O PLUSブランドの本拠地である豪州・米国での事業成長を目指した取り組みを行ってまいりました。Jurliqueブランドは、トラベルリテール市場での苦戦に加え、豪州における来店客数減少の影響を受け、前年同期を下回る売上高となりました。H2O PLUSブランドは、昨年6月のリステージ商品への切り替えに伴う一時的な出荷増の影響に加え、ロシアへの出荷減により、前年同期を下回る売上高となりました。一方で、昨年の中国事業撤退に伴う一時費用の解消により、前年同期を上回る営業利益となりました。
育成ブランドについては、THREEブランドやDECENCIAブランドの好調により、前年同期を上回る売上高となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は227,133百万円(前年同期比12.2%増)、営業利益は38,121百万円(前年同期比47.2%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当連結会計年度は、市況や他社状況を勘案した入居条件の見直しや、ビルの価値向上に向けた取り組みを行ったものの、昨年譲渡したポーラ恵比寿ビルの影響により、前年同期を下回る売上高となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,694百万円(前年同期比11.5%減)、営業利益は1,082百万円(前年同期比22.4%減)となりました。
(その他)
その他に含まれている事業は、医薬品事業及びビルメンテナンス事業であります。
医薬品事業では、化粧品や医薬部外品研究で培ってきた当社グループの研究成果を活用し、新規医薬品の開発・製造・販売及び医薬品の製造受託を行っております。当連結会計年度は、重点領域である皮膚科領域にリソースを集中した継続的な活動に加え、尋常性ざ瘡治療配合剤「デュアック®配合ゲル」の販売や、2016年に発売された爪白癬治療剤「ルコナック®爪外用液5%」及び「ヘパリン類似物質外用泡状スプレー0.3%[PP]」により、前年同期を上回る売上高となりました。
ビルメンテナンス事業は、当社グループ会社を主な取引先とし、ビルの運営管理を行っております。当連結会計年度においては、継続した営業活動により好調に受注を拡大したことにより、前年同期を上回る売上高となりました。一方で、人材獲得競争の激化による費用効率の悪化により、前年同期を下回る営業利益となりました。
以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は14,507百万円(前年同期比11.7%増)、営業損失は314百万円(前年同期は営業損失133百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ486百万円増加し、75,944百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、35,333百万円の収入(前年同期比50.0%増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益38,430百万円、減価償却費6,551百万円、未払金等の増加によるその他の負債の増減額3,912百万円により資金は増加し、一方で、売上債権の増減額3,373百万円、法人税等の支払額9,943百万円により資金は減少しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、22,065百万円の支出(前年同期は16,379百万円の収入)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入17,500百万円により資金は増加し、一方で、資金運用計画に沿った余剰資金の運用に伴う有価証券の取得による支出10,900百万円並びに投資有価証券の取得による支出21,912百万円、有形固定資産の取得による支出5,727百万円、無形固定資産の取得による支出1,787百万円により資金は減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、12,945百万円の支出(前年同期比29.1%増)となりました。主な要因は、配当金の支払額11,608百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出610百万円によるものであります。