有価証券報告書-第11期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:28
【資料】
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【項目】
121項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を検討し、評価性引当金を設定することにより減額しております。評価性引当金の必要性を検討するに当たり、将来の課税所得を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性の検討は毎期行っており、計上されている繰延税金資産の金額と回収見込み金額との差額は、法人税等調整額に計上され、当期純利益を増減させることになります。
② 固定資産の減損
当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、当連結会計年度において帳簿価額の回収が困難と見込まれる固定資産につき減損処理を行なっております。なお、前述以外の固定資産については、将来の収益計画に基づき減損処理の必要性を判断していますが、将来の収益獲得が見込めなくなった場合には、減損損失が発生する可能性があります。
③ 退職給付債務
当社の従業員退職給付債務及び費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と相違した場合又は前提条件を変更した場合、その影響額は数理計算上の差異として認識し、退職給付に係る制度を変更した場合、その影響額は過去勤務費用として認識します。これら数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期に費用処理されない部分については、税効果を考慮の上その他の包括利益として認識し、退職給付に係る負債に含めて計上しております。よって、前提条件と実際の差異が生じたり、制度変更を行った場合、その他の包括利益、繰延税金資産及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。
④ 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、破産更生債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、貸倒引当金を計上しております。なお、相手先の財政状態の悪化により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上が必要になる場合があります。
(2) 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、22,731百万円となり、前連結会計年度と比較して1,427百万円の増加となりました。その主な要因は、システムLSI事業のテスト受託及びWLP・BUMP受託や台湾子会社が増加したことによるものです。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、17,594百万円となり、前連結会計年度と比較して81百万円の減少となりました。その主な要因は、青梅事業所の事業再構築に伴う人件費等の減少によるものです。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,353百万円となり、前連結会計年度と比較して55百万円の増加となりました。その主な要因は、租税公課の増加等によるものです。
(営業利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度における営業利益は、2,783百万円となり、前連結会計年度と比較して1,453百万円の増加となりました。
(営業外収益)
当連結会計年度における営業外収益は、133百万円となり、前連結会計年度と比較して46百万円の減少となりました。その主な要因は、為替差益の減少等によるものです。
(営業外費用)
当連結会計年度における営業外費用は、361百万円となり、前連結会計年度と比較して158百万円の増加となりました。その主な要因は、支払補償費の増加等によるものです。
(経常利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度における経常利益は、2,555百万円となり、前連結会計年度と比較して1,249百万円の増加となりました。
(特別利益)
当連結会計年度における特別利益は、100百万円となり、前連結会計年度と比較して47百万円の増加となりました。その主な要因は、固定資産の売却益が49百万円増加したことによるものです。
(特別損失)
当連結会計年度における特別損失は、1,440百万円となり、前連結会計年度と比較して438百万円の増加となりました。その主な要因は、前連結会計年度においては、事業構造改善費用951百万円を計上しており、当連結会計年度においては、ウエハレベルパッケージに関する事業の譲渡の決定に伴う減損損失及び事業譲渡損失引当金繰入額として1,292百万円を計上したことなどによるものです。
(親会社株式に帰属する当期純利益)
上記の諸要因により、当連結会計年度における親会社株式に帰属する当期純利益は、464百万円(前連結会計年度は477百万円の損失)となりました。
(3) 財政状態に関する分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は35,834百万円となり、前連結会計年度末比509百万円の増加となりました。これは主に、有形固定資産が2,352百万円減少した一方で、現金及び預金が2,593百万円増加したことによるものです。
(負債)
負債は12,180百万円となり、前連結会計年度末比447百万円の増加となりました。これは主に、設備投資のために長期借入金が2,041百万円増加した一方、返済によりリース債務が1,424百万円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は23,653百万円となり、前連結会計年度末比61百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を465百万円計上した一方で、為替レートが円高に振れたことから為替換算調整勘定が313百万円減少したことによるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は7,073百万円となり、前連結会計年度末比193百万円の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,616百万円の純収入(前年同期比6.1%の収入増)となりました。これは主に、減価償却費の計上5,220百万円及び税金等調整前当期純利益の計上1,215百万円により資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,091百万円の純支出(前年同期比7.5%の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,908百万円により資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、772百万円の純収入(前年同期は783百万円の純支出)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出が2,410百万円となりましたが、長期借入金の増加2,419百万円、セール・アンド・リースバック取引による収入988百万円などにより資金が増加したことによるものです。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、半導体のテスト受託を主な事業としており、この事業は受託量の増加や受託対象製品の増加に際して、使用する測定装置等の投資が先行し、数年にわたって回収していく構造となっております。従って、所要資金の調達については、長期借入金等の長期安定的な調達方法を取ることに留意しております。この結果、キャッシュ・フローに関し、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては減価償却費が、投資活動によるキャッシュフローについては新規設備投資の増減が、財務活動によるキャッシュ・フローにおいては長期借入金及びリース債務等の長期有利子負債の増減が、それぞれ主な変動要因となっております。
手許流動性、すなわち、現金及び現金同等物の水準については、業績の変動に対応するため、連結売上高の3ヶ月分以上の確保が望ましいと考えております。当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物の残高は7,073百万円であり、当連結会計年度売上高の約4ヶ月分を確保しております。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの売上高は、特定顧客への依存度が高いため、当該顧客の生産動向が当社業績に大きな影響を与えます。例えば、当社グループの主力受託品であるDRAMは、スマートフォンやタブレットなどに使用されるテスト時間の長い製品(モバイルDRAM)と主にPCに使用されるテスト時間の短い製品に分かれ、テスト時間の長いモバイルDRAMの生産量の増減や製品ミックスの変化によるテスト装置の稼動率の変化が当社業績に影響を与えます。
また、当社グループの主要顧客であるマイクロンメモリ ジャパン株式会社が、今後の事業を進める中で、当社グループの受託量が増減する可能性があり、当社業績に影響を与える可能性があります。
WLP・BUMP受託におきましては、平成28年4月1日付で、青梅事業所のウエハレベルパッケージに関する事業を会社分割(新設分割)により新たに設立した青梅エレクトロニクス株式会社に承継させるとともに、同社の全株式をアオイ電子株式会社(香川県高松市)に譲渡しております。
当社グループといたしましては、特定の顧客に依存することなく、資源を集中すべきところは集中した上で、より多くの顧客から、様々な種類の製品を受託するべく、営業活動を強化しております。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
半導体市場は、従来からのコンピューティング機器向けに加え、スマートフォンやIoT製品と言ったモバイル機器や電子化が進む車載機器向けの成長などにより、中長期的にはグローバルな成長が期待されております。また同時に、これまで同様、厳しい企業間競争がグローバルに継続すると考えております。このような状況の中で、当社グループは、既存の人的能力と設備能力を最大限に引き出し、企業価値の向上を目指してまいります。
具体的には、技術提案力、開発力、治工具設計力と、高品質で効率的なオペレーションを実現してまいります。そのために、工程運営能力を有する経験豊富なエンジニアと、世界的な規模を有するメモリテスタや国内最大規模のロジックテスタを、市場動向に合わせて日本と台湾の各生産拠点に最適配置することで、他社との差別化を図り、顧客開拓、受託製品の拡大を目指してまいります。