有価証券報告書-第25期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/23 11:18
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、お客様とともに未来を創造し、ITで夢のある社会づくりに貢献することを企業理念として、多様な情報化ニーズにお応えすべく、ソフトウエア開発と運用が一体となった柔軟でスピーディーなITソリューションを基盤とした総合情報サービス企業として、お客様に満足感のあるサービスを提供することを使命として経営に努めております。
(2)経営戦略
当社グループは、社員が健康でいきいきとした「最も働きやすく働きがいのある会社」となること、高品質・高付加価値のサービスを提供する「お客様にとって最も信頼の厚いITパートナー」となることの2点を「長期ビジョン」として掲げ、その実現のため経営目標である「持続的に成長可能な経営基盤の構築」の更なる前進を図るべく、長期経営計画「Challenge2021セカンドステージ」の以下の6つの重点施策に取り組んでおります。
① データセンタービジネスの強化・拡大
② SIビジネスの変革・強化・拡大
③ 新規事業・サービスの創出
④ 営業戦略の拡充と実効性の向上
⑤ 競争力強化に向けた人事施策の推進(働き方改革の推進)
⑥ 経営基盤高度化とCSR活動の推進
(3)経営環境
① 企業構造
当社グループは、AGS株式会社を中心に、ソフトウエア開発やシステム機器販売などを行うAGSビジネスコンピューター、システムの管理・運用や人材派遣などを行うAGSプロサービス、ITコンサルティングやBCMコンサルティングなどを行うAGSシステムアドバイザリーの4社で構成され、当社の強みの一つである「コンサルティングから、システム構築、保守・運用までのワンストップでのサービス提供」が可能な企業構造としております。こうした企業構造を基盤として、グループ全体のシナジー効果を最大限発揮し、多様な情報化ニーズに迅速かつ柔軟に対応していくことにより、企業価値の一層の向上を図っております。
② 市場環境
当社グループが属します情報サービス産業におきましては、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進化により、あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」や「AI」が急速に普及しており、「次世代通信」5Gの本格化とも相まって、これら新たな技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が様々な業種・分野で進み、ビジネス環境の大きな転換期を迎えております。このような環境のもと、企業が情報サービスに求めることは、将来の成長、競争力強化のための新たなデジタル技術を活用したこれまでにないビジネスやサービスの創出となっております。
一方、今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるIT投資計画の見直し・抑制などについて、十分に注視していく必要があります。
当社グループでは、このような事業環境の変化を積極的な成長の機会と捉え、IT技術を活用したビジネス変革や新たなビジネスモデル創出に不可欠なレガシーシステムのモダナイゼーション(近代化)を実現するためにクラウドネイティブ技術への取組みを強化してまいります。
③ 顧客基盤
当社は、株式会社りそな銀行のシステム関連の子会社であったことから、当社グループにおいて、金融関連のお客様や、自治体・諸団体様、銀行取引に関連する法人のお客様など、金融・公共・法人の幅広い分野で、優良な顧客基盤を有しており、また長年にわたってノウハウや実績を積み重ねてまいりました。こうした営業活動から、現在は、各分野の売上高の割合はほぼ均等で、市場環境に柔軟に対応できるバランスのとれた顧客ポートフォリオを構成し、安定的な成長を維持しております。
④ 競合他社との競争優位性
当社グループは、データセンターを基盤として、情報処理サービスを中心に総合的なソリューション・サービスを提供しております。データセンタービジネスはクラウドサービスの需要増加などから今後も拡大を続けていくものとみられる一方、同業他社との競合が予想されますが、当社グループのデータセンターは、東京都心部から約25㎞、東京・新宿から電車で40分以内の利便性の高い「都市型データセンター」としており、また震災の影響を受けにくい強固な地盤と洪水による水害の危険性が少ない立地地盤、最新のビル免震技術を導入している点等は、競合他社比で大きな強みであると認識しております。
また、「①企業構造」においても述べましたとおり、当社グループは、当社及び連結子会社間の緊密な連携により「コンサルティングから、システム構築、保守・運用までのワンストップでのサービス提供」が可能な企業構造としており、この点を強みとして、多様化・複雑化する情報化ニーズへの迅速かつ柔軟な対応を行うことで推進を図ってまいります。
加えて、当社がかつて株式会社りそな銀行のシステム関連の子会社であったこともあり、当社グループは、金融機関様、自治体様、公共諸団体様といった、優良なお客様の業務に関し、長年積み重ねてきた経験や、専門性の高い業務ノウハウを生かした、システム構築・運用業務に強みを持っており、重点施策の一つである「データセンタービジネスの強化・拡大」と一体で、これらの強みを最大限に活かした業務運営を行ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① データセンタービジネスの強化・拡大
IT技術の進化により、ますます、データセンターやクラウドサービスのニーズは高度化、複雑化するものと予想されます。この高度化、複雑化したニーズに適切に対応するため、「さいたまiDC」のフロア増床を着実に実施するとともに、インフラ設備等の高度化・最新化を図り、新たなマーケットや新たな顧客を開拓する等、データセンタービジネスの強化・拡大を推進してまいります。
② SIビジネスの変革・強化・拡大
お客様の情報システムへのニーズが「所有」から「利用」へシフトしており、当社SIビジネスにおいても、労働集約型の受託開発に代表される従来型のビジネスモデルから、サービス提供型のビジネスモデルへのシフトが求められております。これを踏まえ、「AI」、「IoT」などの次世代IT技術への取組みを加速させ、各IT技術を活用した付加価値の高いサービス提供型のシステム構築が可能な企業へ変革を図ってまいります。併せて、お客様のレガシーシステムのモダナイゼーション実現のため、クラウドネイティブ技術(マイクロサービスやコンテナ技術等)に計画的に取り組むことで、開発効率や保守効率の向上などを継続的に実施し、SIビジネスの強化・拡大を図ってまいります。
③ 新規事業・サービスの創出
成長の源泉として新たなサービスや商品を創出することが重要であるとの認識のもと、企業における戦略的IT活用ニーズの高まりに対応し、デジタル技術(AI、IoT、クラウドネイティブアプリケーションなど)やオープンイノベーションなどを活用した新規サービス(AI-OCRソリューションなど)や新規事業の創出を2019年4月に組成した「デジタルイノベーション推進部」を中心に引き続き、推進してまいります。
④ 営業戦略の拡充と実効性の向上
顧客のビジネス環境変化に対応するため顧客リレーション及びAGSグループ間の連携を強化し、提案型のソリューション営業の一層の強化を図るとともに、新規顧客開拓、既存顧客の深掘を通じて、強固な顧客基盤を構築してまいります。併せてアライアンス先との関係強化や新規アライアンス先の発掘などにより販売チャネルの多様化や強化を推進してまいります。
⑤ 競争力強化に向けた人事施策の推進(働き方改革の推進)
優秀なIT人材の確保、AIやデータサイエンス人材の育成、キャリア形成への取組み等、当社コアビジネスに資する人材確保への投資を強化するとともに、チャレンジ意欲が高い社員や高い専門性を持つ社員を積極的に評価し、当社ビジネスの競争力強化を図るべく、現在、人事制度の見直しを図っております。今後も継続して、多様な働き方の環境整備により、社員がお互いに切磋琢磨し成長し合える、働き甲斐のある会社となるべく働き方改革を推進してまいります。
⑥ 経営基盤高度化とCSR活動の推進
当社は高い社会性や公共性を有している情報サービス事業者として、経営の健全性・透明性の確保に向けた経営管理体制の強化に努めるとともに、M&Aや新規市場への参入等、経営環境の変化に対応できるよう、リスク管理やコンプライアンス(法令等遵守)をはじめとする内部管理体制の充実を図ってまいります。また、グループを跨る様々な経営課題に対応するため、グループ経営統括担当を中心とした一体感のある透明性の高いグループ運営を推進してまいります。CSR活動については、SDGsへの取組みによる当社事業を通じた社会的課題の解決と併せて、環境保全活動やIT人材育成等に取り組んでいくことで、株主価値の最大化に努めるなど、ステークホルダーの満足度を高めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主をはじめ全てのステークホルダーの期待に応えるためには、いたずらに企業規模の拡大のみを追求することなく、資本の有効活用や経営の効率化を図りつつ利益を増加させることによって企業価値を高めることが重要であると考えております。経営指標としては、収益力を表す営業利益を重視しております。
長期経営計画「Challenge2021セカンドステージ」の最終年度(2022年3月期)の目標値は、売上高21,030百万円、営業利益1,050百万円、経常利益1,040百万円、親会社株主に帰属する当期純利益710百万円、ROE6.0%であります。