有価証券報告書-第11期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。
(A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。
(B)産学官連携による最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。
(C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。
② 目標とする経営指標
当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発化合物(*)の研究開発を促進することにより、早期に多くの開発化合物(*)を導出することを目標として事業活動を推進しております。
③ 中長期的な会社の経営戦略
一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。
こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。
(A)導出及びアライアンスマネジメント戦略
当社グループの営業活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを導出対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごとの導出、あるいは剤形ごとの導出、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。
また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。
(B)研究開発戦略
a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化
当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。平成26年度からは、名古屋大学に産学協同研究部門を設置し、アカデミアにおける最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出に取り組んでおります。
また、現在国内外製薬会社と行っている「Research Collaboration」も引き続き取り組むことで研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。
b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現
臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用したさらなるプロジェクト価値の向上により早期収益を実現し、開発の加速化による将来的な収益の獲得を目指します。
(2) 経営環境
医薬品市場は、先進国においては、高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しており、かつての「ハイリスク・ハイリターン」型のビジネスモデルから、「超ハイリスク・ミドルリターン」型のビジネスモデルへのシフトを余儀なくされております。日本においては、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなっており、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になったことから、新薬の薬価抑制とともに、ジェネリック医薬品のシェアを「平成29年央に70%以上とするとともに平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする。」ことが掲げられた「経済財政運営と改革の基本方針2015」が平成27年6月末に閣議決定されました。この80%目標の具体的な達成時期については、平成29年6月の閣議決定において、「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」と定められ、実施に向けた政策が実行に移されつつあります。
このような経営環境の中で当社グループは、創薬ベンチャーとして画期的な新薬を研究開発・上市するためには、次の(3)にあげた5点が最重要課題であると認識しております。
(3) 対処すべき課題
当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。
① 研究開発ポートフォリオ(*)の強化
創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、新規性の高い開発化合物(*)を継続的に創出し、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。医薬品開発先進国である米国では、新たに上市される医薬品の約6割がアカデミアや創薬ベンチャー企業発と言われております。我が国においてもアカデミアや創薬ベンチャー企業からの創薬が進む中、当社グループは平成26年度から名古屋大学に産学協同研究部門を設置し、アカデミアにおける最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出に取り組んでおります。当社グループでは、以下の方策を採ってまいります。
・独自の評価系及びデータベース等を活用した開発化合物(*)の早期創出と新規適応症の拡大
・イオンチャネル(*)創薬における当社グループの強みを活かした共同研究による開発化合物(*)の早期創出
・産学官連携による共同研究を推進し、最先端の創薬研究に基づく開発化合物(*)の拡充
② リソースの選択と集中による各プロジェクトの価値向上
当社グループは、保有する開発化合物(*)の研究開発について、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために開発化合物(*)のステータスに応じて以下の方策を採ってまいります。
・導出準備プログラム:当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム
・導出済みプログラム:第Ⅱ~Ⅲ相臨床試験を中心に導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム
・共同研究プログラム:探索ステージを基本に当社グループと製薬会社、双方が持つ強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム
③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化
当社グループが有する開発化合物(*)を製品上市するためには、臨床開発を実施しなければなりませんが、開発を推進し、リスクを最小化するためには、パートナーとなる製薬会社と提携し導出を行う必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。導出後は、一日も早い製品上市を目指して導出先企業へのデータ提供や定期的なコミュニケーションを図ることで開発の推進を積極的に支援してまいります。
④ 財務基盤の強化
当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を行うなど、資金調達の多様化を図ってまいります。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の更なる強化に努めてまいります。
⑤ 人材の獲得
当社グループの経営資源の第一は、人であると考えています。今後、新薬の探索及び開発、適応拡大を進捗させるために、適切な人材を適宜、確保していく予定であります。
(1) 経営方針
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。
(A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。
(B)産学官連携による最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。
(C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。
② 目標とする経営指標
当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発化合物(*)の研究開発を促進することにより、早期に多くの開発化合物(*)を導出することを目標として事業活動を推進しております。
③ 中長期的な会社の経営戦略
一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。
こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。
(A)導出及びアライアンスマネジメント戦略
当社グループの営業活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを導出対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごとの導出、あるいは剤形ごとの導出、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。
また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。
(B)研究開発戦略
a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化
当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。平成26年度からは、名古屋大学に産学協同研究部門を設置し、アカデミアにおける最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出に取り組んでおります。
また、現在国内外製薬会社と行っている「Research Collaboration」も引き続き取り組むことで研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。
b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現
臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用したさらなるプロジェクト価値の向上により早期収益を実現し、開発の加速化による将来的な収益の獲得を目指します。
(2) 経営環境
医薬品市場は、先進国においては、高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しており、かつての「ハイリスク・ハイリターン」型のビジネスモデルから、「超ハイリスク・ミドルリターン」型のビジネスモデルへのシフトを余儀なくされております。日本においては、少子高齢化も相まって現役世代の負担がますます重くなっており、一定の自己負担で高水準の医療を受けられる仕組みの維持が困難になったことから、新薬の薬価抑制とともに、ジェネリック医薬品のシェアを「平成29年央に70%以上とするとともに平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする。」ことが掲げられた「経済財政運営と改革の基本方針2015」が平成27年6月末に閣議決定されました。この80%目標の具体的な達成時期については、平成29年6月の閣議決定において、「2020年(平成32年)9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する。」と定められ、実施に向けた政策が実行に移されつつあります。
このような経営環境の中で当社グループは、創薬ベンチャーとして画期的な新薬を研究開発・上市するためには、次の(3)にあげた5点が最重要課題であると認識しております。
(3) 対処すべき課題
当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。
① 研究開発ポートフォリオ(*)の強化
創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、新規性の高い開発化合物(*)を継続的に創出し、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。医薬品開発先進国である米国では、新たに上市される医薬品の約6割がアカデミアや創薬ベンチャー企業発と言われております。我が国においてもアカデミアや創薬ベンチャー企業からの創薬が進む中、当社グループは平成26年度から名古屋大学に産学協同研究部門を設置し、アカデミアにおける最先端の創薬研究から革新的な開発化合物(*)の創出に取り組んでおります。当社グループでは、以下の方策を採ってまいります。
・独自の評価系及びデータベース等を活用した開発化合物(*)の早期創出と新規適応症の拡大
・イオンチャネル(*)創薬における当社グループの強みを活かした共同研究による開発化合物(*)の早期創出
・産学官連携による共同研究を推進し、最先端の創薬研究に基づく開発化合物(*)の拡充
② リソースの選択と集中による各プロジェクトの価値向上
当社グループは、保有する開発化合物(*)の研究開発について、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために開発化合物(*)のステータスに応じて以下の方策を採ってまいります。
・導出準備プログラム:当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム
・導出済みプログラム:第Ⅱ~Ⅲ相臨床試験を中心に導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム
・共同研究プログラム:探索ステージを基本に当社グループと製薬会社、双方が持つ強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム
③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化
当社グループが有する開発化合物(*)を製品上市するためには、臨床開発を実施しなければなりませんが、開発を推進し、リスクを最小化するためには、パートナーとなる製薬会社と提携し導出を行う必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。導出後は、一日も早い製品上市を目指して導出先企業へのデータ提供や定期的なコミュニケーションを図ることで開発の推進を積極的に支援してまいります。
④ 財務基盤の強化
当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を行うなど、資金調達の多様化を図ってまいります。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の更なる強化に努めてまいります。
⑤ 人材の獲得
当社グループの経営資源の第一は、人であると考えています。今後、新薬の探索及び開発、適応拡大を進捗させるために、適切な人材を適宜、確保していく予定であります。