有価証券報告書-第7期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 13:07
【資料】
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【項目】
101項目

対処すべき課題

研究開発型の創薬企業である当社グループにおいては、事業計画達成の蓋然性を高める上で、対処すべき課題を次のように考えております。
(1)研究開発ポートフォリオの強化
新規プロジェクトを研究開発ポートフォリオへ継続的に追加するために、以下の方策を採ってまいります。
・ 独自の評価系及びデータベース等を活用して社内で新規標的分子を見出し、プロジェクト増加を目指してまいります。
・ 既存の研究開発ポートフォリオから新規適応症を目指すプロジェクトを展開するよう努めてまいります。
・ 当社グループが主軸とする疼痛疾患及び消化管疾患以外の領域については、外部研究機関との共同研究によるプロジェクトを追加するよう努めてまいります。特に当社グループの技術・ノウハウを積極的に活用できるイオンチャネル創薬プロジェクトについては、他社との共同研究も積極的に進め、開発化合物の早期創出を目指します。
・ 新たに産学連携による探索研究活動を推進し、最先端のサイエンスに基づく新規プロジェクトを増加させるよう努め、中長期的な研究成果の収益化を目指してまいります。
(2)開発プロジェクトの臨床試験の推進と各プロジェクトの価値向上
当社グループは、保有の開発化合物について、「選択と集中」により、自社リソースを活用する「Coreプログラム」と外部リソースを活用する「戦略的オプションプログラム」に分類し、活動を進めております。
「Coreプログラム」については、当社グループ独自の強みを活かし、以下の取り組みを行っております。
・ 当連結会計年度に前臨床試験が終了したモチリン受容体作動薬(RQ-00201894)、5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)については、進捗したデータをもとに、第Ⅰ期臨床試験の準備を進めるとともに、第8期連結会計年度中の臨床試験の実施、導出、あるいは共同開発提携を目指してまいります。
・ 5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)及びアシッドポンプ拮抗薬(RQ-00000004)は、内部リソースを集中することに加え、外部リソースの導入も視野に入れ、プログラムの価値を向上させることにより収益の増大及び実現化を目指してまいります。
また、「戦略的オプションプログラム」については、導出した子会社を通じて外部リソースの導入を図ることで開発ステージをアップさせ、プロジェクトの価値を向上させて将来的な収益の獲得を目指してまいります。
(3)導出推進体制の強化
当社グループの所有する開発化合物の導出を実現するために以下の方策を採ってまいります。
・ 適切な導出先候補企業を選択することと顧客にとって最適な導入のタイミングを判断するために、顧客情報の収集・分析を一層強化するよう努めてまいります。
・ 導出候補先企業のライセンス部門は元より、経営陣、研究開発部門の責任者、その他あらゆる人的関係を通じてアプローチを行ってまいります。
(4)アライアンス・マネジメントの強化
導出先企業との協力体制の下、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、さらには長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、以下のような方策を採ってまいります。
・ Meiji Seikaファルマ株式会社に権利を再許諾したジプラシドン(RQ-00000003)は、日本国内での第Ⅲ相臨床試験開始に向けて支援を継続してまいります。
・ Durata Therapeutics, Inc.(米国)に権利譲渡したダルババンシン(RQ-00000002)は、日本における第Ⅲ相臨床試験開始に向けて支援を継続してまいります。
・ CJ第一製糖株式会社(現:CJヘルスケア株式会社、韓国)に導出したRQ-00000004、RQ-00000010並びに、Aratana Therapeutics, Inc.(米国、動物医薬品企業)に導出した開発候補化合物(RQ-00000007、RQ-00000005)については、その開発推進をサポートし、マイルストーン収入及びロイヤリティー収入の早期獲得を目指します。さらに、アジア地域への導出を実施したプロジェクトは、導出先企業とともに、欧米及び日本等への導出を目指して連携することにより、グローバルな医薬品事業展開が可能となるよう進めてまいります。
(5)財務基盤の強化
当社グループでは、研究開発活動の先行的な推進に伴い、設立以来、継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが生じております。今後も研究開発投資等の資金需要の増加が予想されますが、企業価値の向上と事業の継続性を目指して以下の方策を採ってまいります。
① 資金調達と保有資産の活用
当連結会計年度において、当社グループは、新株予約権の発行や保有する資産の有効活用により、研究開発資金の獲得を行いました。引き続き安定収入獲得までの資金調達の検討と実施に取り組んでまいります。
② 戦略的な資金の使用
当社グループは、新たに産学連携に積極的に取り組んでまいりました。当連結会計年度において名古屋大学に産学協同研究部門を設置し、アカデミアとのコラボレーションを積極的に活用して創薬研究を加速してまいります。併せて研究開発拠点の移転を行い、外部とのコラボレーションをより強化するとともに、抜本的な固定費削減を行います。また、更なる筋肉質な企業体質を目指して、引き続き経費削減にも努めてまいります。
③ プロジェクトのバリューアップ
当社グループは、早期収益化に取り組むとともに、外部リソースを活用して開発ステージを進めることでプロジェクトのバリューアップを図り、将来の収益拡大及び収益実現性の向上を目指してまいります。
④ 成果主義による従業員へのインセンティブの検討と実行
当社グループの事業継続及び事業拡大に当たっては、医学・薬学・農学・獣医学・化学などの分野における専門的な知識と技能を有する人材を多数、必要としております。また、マネジメントやIT、知財、統計解析などに優れた人材も欠かせません。こうした人材の確保や研鑽を促すために、成果主義による従業員へのインセンティブの検討と実行を最優先課題として取り組んでまいります。
(6)薬事関連法規制を遵守する体制の更なる充実
医薬品の研究開発は、各国の薬事規制当局の基準に従い、有効性・安全性及び品質が確立された医薬品を創出する必要があります。当社グループは、設立直後からこれらの基準を遵守する体制の構築を強く意識し、SOP(研究開発に関する標準手順書)の作成・改定やこれらの基準に関する社員教育を実施し、事業活動を行ってまいりました。今後も、上述の基準について常に最新の情報を収集するとともに、遵守体制の更なる強化に努めていく方針であります。