有価証券報告書-第4期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 14:33
【資料】
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【項目】
116項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えている。
①貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上している。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。
②資産の評価
当社グループは、たな卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しているが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上している。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性がある。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価している。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性がある。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性がある。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性がある。
③繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上している。
将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性がある。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性がある。
④退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用している。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えているが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性がある。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ50億83百万円減少し、4,521億94百万円となった。これは、主にたな卸資産が減少したことなどによるものである。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ121億17百万円減少し、3,077億75百万円となった。これは、借入金が減少したことなどによるものである。有利子負債残高は、前連結会計年度末の1,889億90百万円から67億83百万円減少し、1,822億7百万円となった。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ70億34百万円増加し、1,444億19百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などによるものである。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の26.6%から2.2ポイント上昇し、28.8%となった。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
①概要
当連結会計年度の売上高は4,644億5百万円(前連結会計年度比 7.6%増、329億28百万円増)、営業利益は268億21百万円(同 38.9%増、75億16百万円増)、経常利益は245億26百万円(同 19.1%増、39億26百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は155億33百万円(同 61.0%増、58億88百万円増)となった。
②営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、75億16百万円増の268億21百万円となった。これは、中国など新興国経済の減速により生産や輸出面に弱さがみられたものの、円安・資源安の恩恵を受けた企業を中心に企業収益が改善し、雇用・所得環境の好転を背景に個人消費も底堅く推移したことの影響などによるものである。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載している。
③営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、26億32百万円減少し40億43百万円となった。
営業外費用は、為替差損が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、9億58百万円増加し63億38百万円となった。
④特別利益・損失
特別利益は、前連結会計年度においては、投資有価証券減資払戻差益として18億45百万円、固定資産売却益として13億97百万円、負ののれん発生益として6億4百万円計上した一方、当連結会計年度においては、特別利益を計上していない。
特別損失は、前連結会計年度においては、減損損失として62億1百万円、製品不具合対策費として9億20百万円、環境対策費として5億73百万円、段階取得に係る差損として5億69百万円計上した。当連結会計年度においては、減損損失として6億78百万円、固定資産撤去費として3億32百万円計上した。
⑤税金費用等
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、18億5百万円増加し70億15百万円となった。
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日本フルハーフ㈱、日軽エムシーアルミ㈱及び日本電極㈱の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度の13億28百万円に比べ、3億60百万円減少し当連結会計年度は9億68百万円となった。
⑥親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の96億45百万円に対して61.0%増の155億33百万円となり、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の17円74銭に対し当連結会計年度は28円56銭となり10円82銭の増加となった。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載している。
(5)資本の財源及び資金の流動性に関する分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ70億52百万円(24.0%)増加し、364億85百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、259億90百万円(220.6%)増加し、377億70百万円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の71億19百万円の支出に対し、当連結会計年度は194億19百万円の支出となった。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の175億81百万円の支出に対し、107億8百万円の支出となった。これは、主として長期借入れによる収入が増加したことなどによるものである。
②資金需要・調達及び流動性について
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意している。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要がある。
当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっている。
また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めている。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度117億80百万円、当連結会計年度377億70百万円であり、キャッシュ・フローの水準としては比較的安定していると当社グループは考えているが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があると認識している。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針である。