有価証券報告書-第10期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
当行では、以下のとおり中期経営計画を策定し、具体的な対処すべき課題として同計画を推進しています。
<第4期中期経営計画(2021~2023年度)>日本を含む多くの国・地域では、引き続きコロナ禍が経済に大きな影響を及ぼしている状況であり、同時に、ポスト・コロナを見据えた世界的な復興のためには、産業・社会の構造的な変革の必要性が明確になっております。国際社会では、気候変動問題に対処するための円滑なエネルギー移行の実現や、包摂的で持続可能な開発・成長の達成に向けた意欲的な取り組みが急務とされています。また、産業界では、新常態における消費ニーズや地政学リスクの高まりを視野に入れ、グローバル・サプライチェーンの見直し・最適化への動きが続くと同時に、急速なデジタル化・イノベーションの進展に適応するための国際的な連携が模索されています。
当行は、こうした課題に対処するため、今般、2021~2023年度を対象とする第4期中期経営計画を策定いたしました。第4期中期経営計画(2021~2023年度)においては、「国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展きます。」という企業理念の下、今後10年先を見据えたあるべき姿として、「海図なき世界情勢の中で、日本の力で未来を築く『羅針盤』でありたい。」という中長期ビジョンを掲げることといたしました。この中長期ビジョンの下、第4期中期経営計画では、6つの重点取組課題、17の具体的な取組目標を定めております。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(参考)<経営諮問・評価委員会の評価>各目標の達成度合いを総合した重点取組課題ごとの評価は、社外の有識者及び社外取締役より構成される経営諮問・評価委員会において決定されます。2021年度事業運営計画(中期経営計画において設けた個々の指標について、各年度に取り組むべき目標を設定したもの)に対する経営諮問・評価委員会の評価は以下のとおりです。
<株式会社国際協力銀行ESGポリシー>当行は2021年10月28日に以下の内容の「株式会社国際協力銀行ESGポリシー」を公表しました。
(1) サステナビリティの実現に向けた取組方針について
現在、国際経済社会は、気候変動への対処や経済・社会・環境のバランスの取れた持続可能な開発・成長の模索といった共通の課題を抱えています。こうした課題を踏まえ、当行は、2021年6月に公表した第4期中期経営計画の重点取組課題の一番目の柱として、「国際経済社会の持続可能な発展に向けた地球規模の課題への対処」を掲げました。当該重点取組課題のもと、グリーンファイナンス、トランジションファイナンス、ソーシャルインパクトファイナンスによる金融面での支援を通じ、グローバルアジェンダの解決に積極的に取り組んでいきます。組織面では、第4期中期経営計画及び第2期働き方改革基本計画に基づき、職員の多様性を活力とする組織文化の醸成、自律的なキャリア形成・能力開発の支援、職員が活力をもって持続的に働ける環境の整備等に取り組んでいきます。
また、当行は、日本企業及び国際経済社会の脱炭素化・SDGs推進に向けた取組を積極的に支援し、その取組の成果をステークホルダーに対して適切に開示・公表するなど、JBICとしてのサステナビリティ推進体制の強化を図るため、今後、組織体制に関し、所要の見直しを実施していきます。
当行は、これまで培ってきたステークホルダーとの関係や海外ネットワーク、政策金融機関としてのリスクテイク機能を生かし、第4期中期経営計画等における取組を推進することにより、中長期ビジョンとして掲げる「日本の力で未来を築く羅針盤」としての役割を果たすことを目指し、国際経済社会の持続可能な発展や地球規模課題の解決というグローバルなサステナビリティの実現に向け、積極的に貢献していきます。
(2) 気候変動問題への対応方針について
サステナビリティのうち、気候変動問題への対応は国際経済社会にとって特に喫緊の課題となっています。2015年12月に採択されたパリ協定を契機として、世界的に気候変動問題への対応が加速しており、日本政府は、2020年10月に2050年までに温室効果ガス排出量を全体としてゼロとすることを目指すカーボンニュートラル宣言を行いました。パリ協定の実現に向けては、先進国だけでなく、新興国・途上国における脱炭素社会に向けたエネルギートランジションが急務になっています。
当行は、こうした昨今の国際経済社会の気候変動問題に対する急速な取組強化の潮流や日本政府の方針を踏まえ、2021年10月31日より開催される第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の開催に先立ち、以下のとおり、気候変動問題に対する今後の対応について公表します。当行は今後も日本の公的金融機関として、日本政府の政策等に基づき、気候変動問題に関する取組を金融面から積極的に支援していきます。
(i) パリ協定の国際的な実施に向けた貢献
当行は、パリ協定の国際的な実施に向け、2030年までの自らの温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの達成、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロの達成を追求していきます。 また、ホスト国政府等との継続的なエンゲージメントを通じ、新興国・途上国における脱炭素社会に向けたエネルギートランジションを加速させ、世界全体でのカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
(ii) 気候変動関連ファイナンスの強化
パリ協定が掲げる目標の達成には巨額の資金が必要となることから、民間資金動員も含め、資金フローを脱炭素化に向けて適合させていく必要があります。当行としては、政策金融機関としてのリスクテイク機能や対外交渉力の発揮・強化を通じ、グリーンイノベーションの促進とともに、ホスト国政府等とのエンゲージメントや多国間連携による、新興国・途上国のエネルギートランジションの加速を後押ししていきます。さらには、気候変動問題に係る情報発信、グリーンボンドの発行などの取組(注)により、世界の脱炭素化に向けた動きを金融面からリードしていきます。
また、2021年6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)における合意に従い、排出削減措置のない石炭火力発電への支援を停止するとともに、新技術の活用によるクリーンな発電への移行に繋がる取組を後押ししていきます。
(iii) TCFD提言に基づく気候関連情報開示の推進
当行は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2019年10月に、金融安定理事会(FSB)が設置したタスクフォース(気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD))の趣旨に賛同を表明しており、TCFD提言に賛同する企業等が一体となって議論する場として設立されたTCFDコンソーシアムにも参画しております。今後、TCFDのフレームワークを踏まえた情報開示を推進していきます。
(iv) 環境社会に配慮した出融資等の取組
当行は、1999年に「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を制定・公表して以来、同ガイドラインに基づき、出融資等の対象となる全てのプロジェクトにおいて、環境や地域社会に与える影響への適切な配慮がなされていることを確認してきました。今後も、環境社会配慮全般に関する国際的枠組みや「公的輸出信用と環境社会デューディリジェンスに関するコモンアプローチ」に関する経済協力開発機構(OECD)での議論等を踏まえつつ、広範なパブリック・コンサルテーション等を通じた議論も経た上で、適時に見直しを行い、国際経済社会の環境変化を先取りした取組を継続していきます。
(注) 当行は、国際資本市場協会(International Capital Market Association)のガイドラインに基づき「JBICグリーンボンドフレームワーク」を策定し、同ガイドラインの「グリーンボンド原則2021」との適合性に対する外部評価(セカンド・パーティ・オピニオン)をSustainalytics Japan Inc.(サステイナリティクス社)より取得しています。
当行は、グリーンファイナンスを通じて、世界の温室効果ガス削減及び我が国の脱炭素化に向けた新たなエコシステムの形成に貢献するため、2021年10月に策定したグリーンボンドフレームワークに基づき、グリーンファイナンスに必要な資金を調達することを目的として、2022年1月にグリーンボンドを発行しました。
<新型コロナウイルス感染症に係る対応>(1)既往案件・債務者に対する適切なモニタリング
2019年度第4四半期から始まった新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の変化や不確実性の高まりに伴い、債務者等の財務状況悪化やプロジェクトの建設遅延・操業への影響等を通じ、債務者等に影響が生じ得るところ、当行与信ポートフォリオの特性を踏まえ、引き続き、与信集中管理や予兆管理等の枠組を活用しつつ、業況や債権回収の見通しにつき適切にモニタリングしていきます。
(2)日本政府の経済対策を踏まえた日本企業の海外事業活動の支援
当行は、2021年1月、日本企業の海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援及び質の高いインフラ整備支援を目的として2020年1月に創設された「成長投資ファシリティ」の「質高インフラ環境成長ウインドウ」と「海外展開支援ウインドウ」を廃止の上、新たに、ポスト・コロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、日本企業による、①脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開やその他海外事業活動、②サプライチェーンの強靱化を目的とした「脱炭素推進ウインドウ」と「サプライチェーン強靱化ウインドウ」から構成される「ポストコロナ成長ファシリティ」を創設しております。また、2021年6月には、「成長投資ファシリティ」の「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」の実施期限を2021年12月末に延長しています(「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」は2021年12月末日で終了しております)。なお、2020年3月には、新型コロナウイルス感染症の発生により影響を受けた企業を対象に相談窓口を設置しており、当該窓口も通じ、日本企業のニーズに対応しました。
<ウクライナ侵略に伴う対ロシア制裁について>当行は、我が国企業による海外事業展開や資源確保等を支援する観点からロシア向けに出融資保証業務を実施してまいりました。こうした中、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本政府を含む各国政府等は対ロシア制裁を実施しており、これを受けてロシア政府からは大統領令等の対抗措置の実施が発表されております。また、これによって、市場環境等の変化も生じております。このような状況を踏まえ、当行としても、各国政府等による制裁やこれを受けたロシア政府の対抗措置の動向を注視しつつ対応を進めております。
<第4期中期経営計画(2021~2023年度)>日本を含む多くの国・地域では、引き続きコロナ禍が経済に大きな影響を及ぼしている状況であり、同時に、ポスト・コロナを見据えた世界的な復興のためには、産業・社会の構造的な変革の必要性が明確になっております。国際社会では、気候変動問題に対処するための円滑なエネルギー移行の実現や、包摂的で持続可能な開発・成長の達成に向けた意欲的な取り組みが急務とされています。また、産業界では、新常態における消費ニーズや地政学リスクの高まりを視野に入れ、グローバル・サプライチェーンの見直し・最適化への動きが続くと同時に、急速なデジタル化・イノベーションの進展に適応するための国際的な連携が模索されています。
当行は、こうした課題に対処するため、今般、2021~2023年度を対象とする第4期中期経営計画を策定いたしました。第4期中期経営計画(2021~2023年度)においては、「国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展きます。」という企業理念の下、今後10年先を見据えたあるべき姿として、「海図なき世界情勢の中で、日本の力で未来を築く『羅針盤』でありたい。」という中長期ビジョンを掲げることといたしました。この中長期ビジョンの下、第4期中期経営計画では、6つの重点取組課題、17の具体的な取組目標を定めております。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
| 中長期ビジョン(ありたい姿) |
| 海図なき世界情勢の中で、日本の力で未来を築く「羅針盤」でありたい。 |
| 重点 取組課題 | 取組目標・評価指標 | ||||||||||||||||||||
| Ⅰ 国際経済社会の持続可能な発展に向けた地球規模の課題への対処 | |||||||||||||||||||||
| 1. 脱炭素社会の実現に向けたエネルギー変革への対応 ● 世界の温室効果ガス削減及び我が国の脱炭素化に向けた新たなエコシステムの形成に貢献するため、再生可能エネルギー・省エネルギー、スマートエナジー(蓄電技術等)、グリーン・モビリティ、スマートシティ、水素の製造・輸送利活用推進等に関する事業へのファイナンスを通じ、温室効果ガス削減やグリーンイノベーションの普及を支援 ● ホスト国による持続可能なエネルギー移行へのエンゲージメントを図りつつ、環境負荷低減に資する事業の拡大に貢献するため、エネルギー転換、CCUS/カーボンリサイクル、アンモニア・水素混焼等に関する事業へのファイナンスを通じ、世界のエネルギー移行に向けた取り組みを支援
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| 2. 社会的課題の解決に資する事業に対する支援 ● 健康・福祉・衛生の向上、雇用創出、持続可能な都市・居住空間の形成など、持続可能な成長に向けたホスト国の社会的課題解決への取り組みに貢献するため、医療環境の整備・拡充(感染症対策、病院・医療機器)、基礎的インフラへのアクセス(上下水道、地方電化・分散型電源、情報通信)、生活環境の整備(都市開発・防災、公共交通)、衛生環境の向上(廃棄物処理・再生利用、海洋プラスチックごみ対策)、食の安全・持続可能な食糧システム(フードバリューチェーン)など、ホスト国の社会的課題の解決に資する事業支援
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| Ⅱ 産業・社会構造の変革下における我が国産業の国際競争力強化支援 | |||||||||||||||||
| 1. 国際的なサプライチェーンの強靭化・再構築への対処 ● 我が国企業によるグローバルなサプライチェーンの再編、及び新規市場開拓のための現地サプライチェーン構築に向けた取り組みに貢献するため、我が国企業による海外向け新規設備投資(事業拠点の移設、新設及び増設に係る投資)や現地裾野産業、海外の産業集積地におけるインフラ整備など、我が国企業によるグローバルなサプライチェーン強靭化・再構築を支援
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| 2. デジタル変革等に向けた我が国企業のM&A・技術獲得への支援 ● 急速なデジタル変革の進展に対応するため、ビジネスモデルの再構築や先端技術の開発・獲得を行う我が国企業の取り組みを後押しするため、デジタル技術をはじめとする海外の先進的な技術・ノウハウの獲得などに対するファイナンスを通じ、デジタル変革期における我が国企業の国際競争力強化を支援
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| Ⅲ 質の高いインフラ海外展開に向けた戦略的取り組みの推進 | |||||||||||||
| 1. 我が国企業の強みを生かした海外インフラ事業への参画に対する支援 ● ホスト国における債務持続可能性、プロジェクトのライフサイクルコストに照らした経済性などを確保し、環境・社会面での影響などに配慮した質の高い海外インフラの普及に貢献するため、我が国企業によるコアとなる技術の活用やオペレーション&メンテナンス(O&M)等への継続的関与などによる質の高い海外インフラ展開を支援
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| 2. 多国間連携・国際金融機関等との連携の推進 ● 多様な資金の出し手との協調・連携を通じ、世界のインフラニーズに対応していくため、日米豪印を含む多国間連携や国際金融機関等との協調による案件の発掘・形成に向けた取り組みを推進
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| Ⅳ 経済情勢の変化に即応した政策金融機能の発揮 | |||||||||||||||||
| 1.コロナ禍の影響を受けた海外事業に対する機動的対応 ● 危機対応業務(危機対応緊急ウインドウに基づく融資)の着実な実施 ● 国際金融環境の変化への機動的な対応(適切な与信管理を含む) | |||||||||||||||||
| 2.政策的重要性の高い国・地域に対する戦略的取り組み ● 政策的重要性の高い国・地域における出融資保証案件の組成に向けた戦略的取り組み(多国間連携による取り組みやアフリカ向け事業支援の拡充を含む)
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| 3.中堅・中小企業支援を含む政策金融機関としての業務の着実な実施 ● 重要資源の確保や我が国産業の海外展開支援など政策金融の着実な実施 ● 地域金融機関をはじめとする民間金融機関との連携強化や情報発信等を通じ、中堅・中小企業の海外進出を支援
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| 4.政策金融としてのリスクテイク機能の強化 ● 特別業務の活用等によるリスクテイク機能の強化、及び現地通貨建融資等を活用したファイナンス手法の多様化 ● 政策金融機関としての対外交渉力・対外発信力の強化
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| 5.民間資金動員の更なる推進 ● 当行の出融資保証業務及び貸付債権の流動化を通じ、民間事業投資及び民間金融機関による融資を含む民間資金の動員を積極的に推進
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| Ⅴ 外部環境の変化に対応する業務体制の整備 | |
| 1. ビジネス環境の変化への対応を可能とする業務体制の整備 ● ビジネス環境・顧客ニーズの変化、SDGs・気候変動問題への対処、ESG投資に関する世界的潮流等の外部環境を踏まえた業務体制の整備 | |
| 2. 金利指標改革への適切な対応 ● 出融資保証業務における代替金利指標への円滑な移行、システム改修・与信事務プロセスの見直しを含む金利指標改革(LIBOR廃止)への適切な対応 | |
| 3. ウィズ・コロナ/ポスト・コロナ下における適切かつ効率的な審査・与信管理 ● リモート環境の制約下における適切かつ効率的な審査・与信管理の実施 ● コロナ禍の長期化や金利指標改革等の国際情勢・社会環境の変化に対応するリスク管理 | |
| 2021年度実績 | |
| ・ESGポリシーの策定、グリーンボンドの発行、環境ガイドライン改定に向けた取組等、気候変動・サステイナビリティに関する業務上の対応を実施。 ・代替金利指標への移行に関し、システム改修、貸出・調達に関する事務フロー整備(内規改正含む)等を行い、代替金利指標での取引を開始。 ・バーチャル実査等リモート環境下の対応を進めるとともに、気候変動リスクの検討を実施。 | |
| Ⅵ 新常態に対応する効率的な組織運営 | |
| 1. 新常態に対応するデジタル環境の整備 ● 業務プロセスの迅速な見直し・改善及び電子化、ロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)の効果的活用 ● リモートワークの常態化を見据えた情報システムのユーザ利便性向上に向けた機能強化、及び情報システムの安定性・安全性の確保 | |
| 2. 多様な職員の能力と活力を引き出す人材育成と働き方改革の推進 ● 職員の多様性を活力とする組織文化の醸成と自律的なキャリア形成・能力開発の支援 ● 職員が活力を持って持続的に働ける環境の向上に向けた取り組み | |
| 3. コンプライアンス態勢の実効性強化 ● 実効性と効率性を両立したコンプライアンス態勢の整備 | |
| 2021年度実績 | |
| ・業務プロセスの見直し・改善、RPAの活用を着実に進めるとともに、2021年6月策定の第2期働き方改革基本計画に基づき、新入行員(含むキャリア採用)サポート体制強化、育児・介護両立支援策の強化等の関連諸施策を実施。 ・コンプライアンス態勢については、事案処理・再発防止策策定プロセスの効率化の検討、公益通報者保護法改正を踏まえた内部通報制度の更新等に対応。 |
(参考)<経営諮問・評価委員会の評価>各目標の達成度合いを総合した重点取組課題ごとの評価は、社外の有識者及び社外取締役より構成される経営諮問・評価委員会において決定されます。2021年度事業運営計画(中期経営計画において設けた個々の指標について、各年度に取り組むべき目標を設定したもの)に対する経営諮問・評価委員会の評価は以下のとおりです。
| ・ 国際協力銀行(JBIC)は、第4期中期経営計画(2021~2023年度)において、6つの重点取組課題を設定し、その下に17の取組目標を置いて、その目標達成に取り組んでいる。中期経営計画初年度は、業務面では、特に、サプライチェーン支援等コロナの影響を踏まえた日本企業のファイナンスニーズに着実に対応するとともに、案件形成に注力した年度となった。組織分野でも、取組目標において設定した目標を概ね達成するなど、業務・組織両面において、着実に成果を上げている。特に、業務分野では、脱炭素社会の実現に資する案件、社会的課題の解決につながる案件支援を実施し、組織分野では「株式会社国際協力銀行ESGポリシー」策定やグリーンボンド発行を行うなど、SDGs・気候変動問題への対応につき、業務・組織両面で成果を上げている。重点取組課題毎の評価は以下のとおり。 ・ 重点取組課題Ⅰについて:グリーンファイナンスの承諾件数は目標数に届かなかったものの、トランジションファイナンス、ソーシャルインパクトファイナンスに関しては、承諾件数及び取組件数双方とも目標を達成した。また、開発途上国の再生可能エネルギー発電事業等や全世界の水素関連事業を投資対象とするファンドへの出資や、人工構造たんぱく質素材の製造を行う企業への融資等、地球規模の課題解決に資する時宜にかなった案件を複数支援した点を高く評価する。 ・ 重点取組課題Ⅱについて:現地裾野産業支援や民間金融機関を通じたM&A支援に関しては、外部環境の影響等もあり、承諾実績を計上できなかった。一方、我が国企業のサプライチェーン構築・再編に関する案件承諾件数は目標を大きく超過するとともに、M&A支援については、大手半導体製造会社及び大手小売会社による大型買収案件など、特徴ある案件への支援を行った点を評価。 ・ 重点取組課題Ⅲについて:我が国企業がコア技術やO&M等で関与する案件の承諾件数は目標に届かなかったものの、取組件数は目標を大幅に超過して達成。次年度以降承諾件数につながることを期待。多国間連携策による案件承諾件数も目標未達であったが、世界各国の公的金融機関と連携し、再生可能エネルギーの導入やエネルギー・トランジションの推進等脱炭素化社会の実現に資する案件への支援を行った点を評価。 ・ 重点取組課題Ⅳについて:政策的重要性の高い国・地域における案件、アフリカ向け案件及び特別業務による案件等、案件組成の難易度が高い、又は時間を要する案件の承諾件数が目標を大きく下回った。一方、政策的重要性の高い国・地域における案件の取組件数については、日米豪連携をはじめとする多国間連携や国際機関との連携を通じた取り組みを数多く実施しており、次年度以降案件承諾につながることを期待。また、「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」の下で我が国企業の支援を積極的に実施した点、及び中堅・中小企業向け案件について目標を大きく上回って案件承諾を行った点を評価。 ・ 重点取組課題Ⅴについて:サステナビリティ・気候変動に係る取組方針をまとめた「株式会社国際協力銀行ESGポリシー」を第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に先立って公表し、2022年1月には初めてグリーンボンドを発行するなど、組織として気候変動問題等の課題へプロアクティブに取り組んだことを高く評価。その他、「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」の実施期間延長や脱炭素化に対応したあるべき組織体制の検討など、外部環境や顧客ニーズを踏まえた所要の対応の実施、日本円及び英ポンドに関する代替金利指標への円滑移行に向けて適切に対応したこと、バーチャル実査等コロナ禍における新しい審査プロセスを実施したこと等も評価。 ・ 重点取組課題Ⅵについて:業務プロセスの見直し(BPR)、RPA(Robotic Process Automation)の更なる活用や業務の電子化に係る具体的検討など、デジタル環境の整備を推進するとともに、人材育成体制の拡充、育児・介護と仕事の両立支援策の導入等、第2期働き方改革基本計画に基づく諸施策を実施した点を評価。 |
<株式会社国際協力銀行ESGポリシー>当行は2021年10月28日に以下の内容の「株式会社国際協力銀行ESGポリシー」を公表しました。
(1) サステナビリティの実現に向けた取組方針について
現在、国際経済社会は、気候変動への対処や経済・社会・環境のバランスの取れた持続可能な開発・成長の模索といった共通の課題を抱えています。こうした課題を踏まえ、当行は、2021年6月に公表した第4期中期経営計画の重点取組課題の一番目の柱として、「国際経済社会の持続可能な発展に向けた地球規模の課題への対処」を掲げました。当該重点取組課題のもと、グリーンファイナンス、トランジションファイナンス、ソーシャルインパクトファイナンスによる金融面での支援を通じ、グローバルアジェンダの解決に積極的に取り組んでいきます。組織面では、第4期中期経営計画及び第2期働き方改革基本計画に基づき、職員の多様性を活力とする組織文化の醸成、自律的なキャリア形成・能力開発の支援、職員が活力をもって持続的に働ける環境の整備等に取り組んでいきます。
また、当行は、日本企業及び国際経済社会の脱炭素化・SDGs推進に向けた取組を積極的に支援し、その取組の成果をステークホルダーに対して適切に開示・公表するなど、JBICとしてのサステナビリティ推進体制の強化を図るため、今後、組織体制に関し、所要の見直しを実施していきます。
当行は、これまで培ってきたステークホルダーとの関係や海外ネットワーク、政策金融機関としてのリスクテイク機能を生かし、第4期中期経営計画等における取組を推進することにより、中長期ビジョンとして掲げる「日本の力で未来を築く羅針盤」としての役割を果たすことを目指し、国際経済社会の持続可能な発展や地球規模課題の解決というグローバルなサステナビリティの実現に向け、積極的に貢献していきます。
(2) 気候変動問題への対応方針について
サステナビリティのうち、気候変動問題への対応は国際経済社会にとって特に喫緊の課題となっています。2015年12月に採択されたパリ協定を契機として、世界的に気候変動問題への対応が加速しており、日本政府は、2020年10月に2050年までに温室効果ガス排出量を全体としてゼロとすることを目指すカーボンニュートラル宣言を行いました。パリ協定の実現に向けては、先進国だけでなく、新興国・途上国における脱炭素社会に向けたエネルギートランジションが急務になっています。
当行は、こうした昨今の国際経済社会の気候変動問題に対する急速な取組強化の潮流や日本政府の方針を踏まえ、2021年10月31日より開催される第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の開催に先立ち、以下のとおり、気候変動問題に対する今後の対応について公表します。当行は今後も日本の公的金融機関として、日本政府の政策等に基づき、気候変動問題に関する取組を金融面から積極的に支援していきます。
(i) パリ協定の国際的な実施に向けた貢献
当行は、パリ協定の国際的な実施に向け、2030年までの自らの温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの達成、2050年までの投融資ポートフォリオのGHG排出量ネットゼロの達成を追求していきます。 また、ホスト国政府等との継続的なエンゲージメントを通じ、新興国・途上国における脱炭素社会に向けたエネルギートランジションを加速させ、世界全体でのカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
(ii) 気候変動関連ファイナンスの強化
パリ協定が掲げる目標の達成には巨額の資金が必要となることから、民間資金動員も含め、資金フローを脱炭素化に向けて適合させていく必要があります。当行としては、政策金融機関としてのリスクテイク機能や対外交渉力の発揮・強化を通じ、グリーンイノベーションの促進とともに、ホスト国政府等とのエンゲージメントや多国間連携による、新興国・途上国のエネルギートランジションの加速を後押ししていきます。さらには、気候変動問題に係る情報発信、グリーンボンドの発行などの取組(注)により、世界の脱炭素化に向けた動きを金融面からリードしていきます。
また、2021年6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)における合意に従い、排出削減措置のない石炭火力発電への支援を停止するとともに、新技術の活用によるクリーンな発電への移行に繋がる取組を後押ししていきます。
(iii) TCFD提言に基づく気候関連情報開示の推進
当行は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2019年10月に、金融安定理事会(FSB)が設置したタスクフォース(気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD))の趣旨に賛同を表明しており、TCFD提言に賛同する企業等が一体となって議論する場として設立されたTCFDコンソーシアムにも参画しております。今後、TCFDのフレームワークを踏まえた情報開示を推進していきます。
(iv) 環境社会に配慮した出融資等の取組
当行は、1999年に「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を制定・公表して以来、同ガイドラインに基づき、出融資等の対象となる全てのプロジェクトにおいて、環境や地域社会に与える影響への適切な配慮がなされていることを確認してきました。今後も、環境社会配慮全般に関する国際的枠組みや「公的輸出信用と環境社会デューディリジェンスに関するコモンアプローチ」に関する経済協力開発機構(OECD)での議論等を踏まえつつ、広範なパブリック・コンサルテーション等を通じた議論も経た上で、適時に見直しを行い、国際経済社会の環境変化を先取りした取組を継続していきます。
(注) 当行は、国際資本市場協会(International Capital Market Association)のガイドラインに基づき「JBICグリーンボンドフレームワーク」を策定し、同ガイドラインの「グリーンボンド原則2021」との適合性に対する外部評価(セカンド・パーティ・オピニオン)をSustainalytics Japan Inc.(サステイナリティクス社)より取得しています。
当行は、グリーンファイナンスを通じて、世界の温室効果ガス削減及び我が国の脱炭素化に向けた新たなエコシステムの形成に貢献するため、2021年10月に策定したグリーンボンドフレームワークに基づき、グリーンファイナンスに必要な資金を調達することを目的として、2022年1月にグリーンボンドを発行しました。
<新型コロナウイルス感染症に係る対応>(1)既往案件・債務者に対する適切なモニタリング
2019年度第4四半期から始まった新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の変化や不確実性の高まりに伴い、債務者等の財務状況悪化やプロジェクトの建設遅延・操業への影響等を通じ、債務者等に影響が生じ得るところ、当行与信ポートフォリオの特性を踏まえ、引き続き、与信集中管理や予兆管理等の枠組を活用しつつ、業況や債権回収の見通しにつき適切にモニタリングしていきます。
(2)日本政府の経済対策を踏まえた日本企業の海外事業活動の支援
当行は、2021年1月、日本企業の海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援及び質の高いインフラ整備支援を目的として2020年1月に創設された「成長投資ファシリティ」の「質高インフラ環境成長ウインドウ」と「海外展開支援ウインドウ」を廃止の上、新たに、ポスト・コロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、日本企業による、①脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開やその他海外事業活動、②サプライチェーンの強靱化を目的とした「脱炭素推進ウインドウ」と「サプライチェーン強靱化ウインドウ」から構成される「ポストコロナ成長ファシリティ」を創設しております。また、2021年6月には、「成長投資ファシリティ」の「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」の実施期限を2021年12月末に延長しています(「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」は2021年12月末日で終了しております)。なお、2020年3月には、新型コロナウイルス感染症の発生により影響を受けた企業を対象に相談窓口を設置しており、当該窓口も通じ、日本企業のニーズに対応しました。
<ウクライナ侵略に伴う対ロシア制裁について>当行は、我が国企業による海外事業展開や資源確保等を支援する観点からロシア向けに出融資保証業務を実施してまいりました。こうした中、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本政府を含む各国政府等は対ロシア制裁を実施しており、これを受けてロシア政府からは大統領令等の対抗措置の実施が発表されております。また、これによって、市場環境等の変化も生じております。このような状況を踏まえ、当行としても、各国政府等による制裁やこれを受けたロシア政府の対抗措置の動向を注視しつつ対応を進めております。