有価証券報告書-第12期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 16:11
【資料】
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【項目】
127項目
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
<第5期中期経営計画(2024~2026年度)>国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略、先進国とグローバルサウスの関係性の大きな変化、サプライチェーンの再構築やエネルギー・食料問題を含む経済安全保障の確保、インフレと債務コスト増等の国際金融環境の変化といった歴史的・構造的課題や変化に直面し、世界情勢は不確実性を増しています。また、気候変動問題への対処は、引き続き国際社会の喫緊の課題ですが、脱炭素化社会の実現と持続可能な経済成長の両立にあたっては、革新的な技術によるブレークスルーが必要不可欠となっています。
当行はこうした諸課題の解決に向けて、今般、2024~2026年度を対象とする第5期中期経営計画を策定しました。本中期経営計画では、“Navigate toward and Co-create a Valuable Future”を取組のテーマとし、日本と世界、官と民をつなぐ政策金融機関として、特別業務等の独自のリスクテイク機能・国際金融への知見を駆使し、民間資金の動員も行いつつ、世界の課題解決を先導し、未来を共に創っていくことを目指します。本取組のテーマも踏まえ、以下のとおり、4つの重点取組課題、11の具体的な取組目標を定めております。
重点取組課題Ⅰ 持続可能な未来の実現
取組目標① カーボンニュートラルと経済発展の統合的実現への貢献
● 再生可能エネルギー、省エネルギー、水素・アンモニア、カーボンリサイクル燃料、蓄電池、資源循環(サーキュラーエコノミー)、次世代モビリティ、省エネ建築物、エネルギー転換及び二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCS/CCUS)等に関する事業へのファイナンスを通じ、世界のグリーン・トランスフォーメーション(GX)に向けた取組や、各国のカーボンニュートラルへの多様な道筋を踏まえたエネルギー・トランジションに向けた取組を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数10433
取組件数3912
取組目標② ホスト国との協働による社会課題解決への貢献
● 医療環境の整備(病院・医療機器・医療ネットワーク)、レジリエントな基礎インフラの整備(上下水道、交通インフラ、防災、地方電化・分散型電源、情報通信)、衛生環境の向上(廃棄物処理・再生利用)、自然資本の保全・回復(海洋プラスチック対策等)、食糧安全保障の確保(フードバリューチェーン)など、持続可能な成長に向けたホスト国の社会課題解決に資する事業を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数3912
取組件数165
取組目標③ サステナビリティ経営の責任ある実行
● 気候変動問題を中心とするサステナビリティに関する先駆的取組の推進
● 広範なサステナビリティ関連事項(例:自然資本・人権・ジェンダーなど)の先端的動向の調査・分析と発信
● 気候変動関連のリスク管理(移行リスク・物理リスク)やサステナビリティ関連情報開示・発信を含む取組の高度化

重点取組課題Ⅱ 我が国産業の強靱化と創造的変革の支援
取組目標④ 我が国のエネルギー安全保障の確保、国益に資する
バリューチェーン/サプライチェーン強靱化及び先端的産業基盤への支援
● 我が国のエネルギー安全保障の確保に資するエネルギー案件、海外向け設備投資・輸出案件を含む我が国企業のグローバルなバリューチェーン/サプライチェーンの強靱化に資する案件、ベースメタルやクリティカルミネラルズ等の鉱物資源の権益確保・輸入に係る案件等への支援を通じ、我が国産業の強靱化を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数7924
取組件数2911
取組目標⑤ 革新的技術・事業の展開支援
● スタートアップ企業へのファイナンスやバリューアップの取組及び商業化・実用化へ向けた我が国企業による投資案件、技術・事業化リスク等に着目した案件、先端技術・事業の確保を念頭に置いた我が国企業によるM&A案件や株式会社JBIC IG Partnersが組成するファンドを通じた出資案件などへのファイナンスを通じ、我が国産業の創造的変革を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数4011
取組件数197
取組目標⑥ グローバルに活躍する中堅・中小企業の海外展開支援
● 地域金融機関等の民間金融機関との連携強化や情報発信を通じ、グローバルに活躍する中堅・中小企業を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数18060
取組件数9030
重点取組課題Ⅲ 戦略的な国際金融機能の発揮による独自のソリューション提供
取組目標⑦ 我が国の対外経済政策の構築・実現に貢献する案件への支援
● 日米豪や日米豪印戦略対話(QUAD)を含む多国間連携、ウクライナ・周辺国復興支援、グローバルサウスとの連携強化、アジアゼロエミッション共同体(AZEC)など、時代の趨勢に応じて変化する我が国の対外経済政策の構築・実現に貢献する取組を支援
3年通期目標2024年度目標
案件の承諾件数5322
取組件数5418
取組目標⑧ 戦略的な情報分析を通じた独自のソリューションの提供
● 情報収集・分析機能の発揮を通じた、対外発信の強化や本行業務・戦略の高度化
重点取組課題Ⅳ 価値創造に向けた組織基盤の強化・改革
取組目標⑨ 人的資本経営の実践
● 組織課題を見据えた新たな人材戦略の策定・導入
● 役職員の能力が最大限発揮できる組織運営を行う人的資本経営の確立
取組目標⑩ DXによる業務効率化・業務推進基盤の整備
● IT基盤の更なる強化や、業務の不断の見直しと先端技術(生成AI等)の活用のベストミックス・アジャイルな推進による業務効率化の実現と業務推進基盤の整備
取組目標⑪ エンゲージメントの高い組織づくり・組織の基盤強化と安定・効率的運営
● 経営主導の具体的な組織変革を通じたエンゲージメントの高い組織づくり
● 価値創造を支える組織の根幹業務の強化と安定的・効率的運営

(参考)<経営諮問・評価委員会の評価>各目標の達成度合いを総合した重点取組課題ごとの評価は、社外の有識者及び社外取締役より構成される経営諮問・評価委員会において決定されます。2021~2023年度中期経営計画(2023年度事業運営計画を含む)に対する経営諮問・評価委員会の評価は以下のとおりです。
JBICは、2021年6月に公表した第4期中期経営計画(2021~2023年度)において、脱炭素社会の実現に向けたイノベーションや、不可逆的に進展するエネルギー変革・デジタル変革を見据え、「変革の時代の羅針盤」をテーマに、「地球規模の課題への対処」、「我が国産業の国際競争力強化」、「インフラ海外展開」、「政策金融機能の発揮」、「業務体制の整備」、「効率的な組織運営」という6つの重点取組課題を設定し、その下に17の取組目標を置いて、組織としての注力事項を明確化し、業務に取り組んだ。以下では、まず、2021~2023年度中期経営計画の最終年度である2023年度事業運営計画業務実績を総評した上で、2021~2023年度中期経営計画を総評する。
1. 2023年度事業運営計画に係る重点取組課題毎の評価
■ 2023年度は中期経営計画最終年度であり、業務面では、目標未達の指標もあったが、合計承諾件数は前年度比増となり、案件形成等に係る取組件数も目標を大きく超える指標が大宗を占めるなど、3年間の取組の成果を示しつつ、次期中計期間での案件実現にも繋がる年度となった。重点取組課題毎の評価は以下のとおり。
▶ 重点取組課題Ⅰ「地球規模の課題への対処」:グリーンファイナンス及びトランジションファイナンスは前年比増の目標設定の影響で目標数に届かなかったものの、承諾件数では過去2年を上回った。ソーシャルインパクトファイナンスも同様に目標数には届かなかったが、過去2年並の承諾件数を達成。また、案件形成等に係る取組件数は目標を大きく超えて達成し次期中計での案件組成につなげたこと、アフリカ向け再エネ案件やトルコ向け地震復興支援案件等、ホスト国の社会課題解決に貢献する案件に取り組んだことを評価する。
▶ 重点取組課題Ⅱ「我が国産業の国際競争力強化」:裾野産業支援及び我が国企業のサプライチェーン構築・再編案件は前年比増の目標設定にも関わらず概ね目標を達成。海外先進技術等の獲得に資するM&A支援案件については、製薬事業やイノベーション関連支援を通じ目標を達成。また、JBIC法改正を踏まえた、本邦企業のサプライチェーン強靱化のための海外事業資金を対象とする国内融資や本邦企業による海外での資源引取案件を早期実現したこと、及び、半導体・EV・蓄電池といった戦略的重要分野における案件発掘を行い、次期中計での成果実現につなげたことを、件数には表れない要素として高く評価する。
▶ 重点取組課題Ⅲ「インフラ海外展開」:我が国企業のコア技術の活用やO&M等への継続的関与による海外インフラ展開案件については概ね承諾件数目標を達成しつつ、取組件数は目標を大きく上回った。また、多国間連携について、有志国の開発金融機関等との連携を進め、台湾やドイツにおける再エネ案件等の政策的に重要なインフラ案件への支援を組成・実現したことを質の高い取組として高く評価する。
▶ 重点取組課題Ⅳ「政策金融機能の発揮」:特別業務の案件組成の進捗に課題を残し、出融資の実行額も当初予算を下回る結果となった点について、政策金融機能をより発揮し取組を実現すべきであったと評価。次期中計期間では、JBIC法改正に伴う特別業務の対象分野拡充も踏まえ、我が国や国際社会が抱える課題の解決へ向けて政策金融に求められる機能を機動的に発揮することを期待する。
▶ 重点取組課題V「業務体制の整備」:ウクライナ復興・周辺国支援特命駐在員の設置やスタートアップ支援態勢の検討などのJBIC法改正を踏まえた取組や、気候変動に関する移行リスク・物理リスクに係るシナリオ分析の実施やTCFD開示の拡充を通じたサステナビリティ推進体制の強化等、次期中計における業務推進にもつながる取組を進めた点を評価する。
▶ 重点取組課題Ⅵ「効率的な組織運営」:電子決定・文書管理システムの導入及びクラウド化の推進による各種業務の電子化の大きな進展、オフィスレイアウト変更の実現による執務環境の改善を通じ、テレワーク制度の定着を含む多様な働き方を促す取組を実現したことを評価する。人的資本に係る取組については、継続的且つ更なる取組に期待。

2. 2021~2023年度中期経営計画に係る評価
■ 本中期経営計画期間には、コロナ禍が漸く終息の兆しを見せる中、ロシアによるウクライナ侵攻、エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの再構築の必要性の高まり等、世界の不確実性が増すこととなった。かかる中、JBICは、コロナ危機対応支援と並行し、日本企業によるサプライチェーンの再構築・強靱化やデジタル変革を見据えた海外投資支援を進めつつ、ホスト国の社会的課題への対処などのグローバルな課題への取組を進め、JBIC法改正を踏まえた体制整備も進めるなど、今後にも繋がる成果をあげたものと評価する。具体的には以下のとおり。
▶ 重点取組課題Ⅰ「地球規模の課題への対処」:全世界の水素関連事業を投資対象とするファンドへの出資などの脱炭素関連支援、医療、フードバリューチェーン、都市交通、廃棄物処理・再利用等の広範な分野への支援を実施。加えて、アフリカ向け再エネ案件やトルコ向け地震復興支援案件等、ホスト国の社会課題解決に貢献する案件等にも取組むなど、幅広い支援を行った。
▶ 重点取組課題Ⅱ「我が国産業の国際競争力強化」:製薬事業やイノベーション関連支援等の特徴あるM&A案件を支援。半導体に関しては、大手半導体製造会社による買収案件や半導体バリューチェーンの強靱化に資する日本企業の海外事業支援も実施、その他EV・蓄電池といった重要分野での取組も積極的に進めた。今後、4期中計期間中に発掘を進めた案件を実現していくことを期待する。
▶ 重点取組課題Ⅲ「インフラ海外展開」:国家間・地域間の政治経済関係が複雑化する中、戦略的に重要な国・地域において、世界各国の公的金融機関との多国間連携を積極的に推進し、台湾やドイツにおける再エネ事業に代表される案件を組成・実現するなどの意義の深い成果をあげた。
▶ 重点取組課題Ⅳ「政策金融機能の発揮」:日米豪や日米豪印連携等を通じて政策的重要性の高い国・地域における案件に取り組んだが、特別業務の案件組成の進捗に課題を残し、出融資の実行額も低水準にとどまるなど、政策金融機能をより発揮し取組を実現すべきであったと評価。次期中計期間では、JBIC法改正に伴う特別業務の対象分野拡充も踏まえ、我が国や国際社会が抱える課題の解決へ向けて政策金融に求められる機能を機動的に発揮することを期待する。
▶ 重点取組課題V「業務体制の整備」:ESGポリシーの公表、グリーンボンドの発行、サステナビリティ統括部や関連会議体の設置、移行リスク・物理リスクに係るシナリオ分析、TCFD開示の実施・拡充といったサステナビリティ推進体制の強化を着実に進めた。また、JBIC法改正を通じた機能強化を実現するとともに、ウクライナ復興・周辺国支援特命駐在員の設置やスタートアップ支援態勢の検討など、法改正を踏まえた取組も進めた。
▶ 重点取組課題Ⅵ「効率的な組織運営」:育児・介護両立支援策の強化等の関連施策、新入行員のオンボーディング支援の充実化や新しい研修プログラムの導入等、第2期働き方改革基本計画に基づく取組を進めた。また、電子決定・文書管理システムの導入及びクラウド化の推進による各種業務の電子化、オフィスレイアウトの変更による、コロナ禍も経て多様な働き方を可能にする業務環境の改善を進めた。人的資本に係る取組については、継続的且つ更なる取組に期待。
■ 足許では、脱炭素へ向けた世界全体での取組が必要とされる中、不確実化する国際情勢を受けてエネルギー安全保障や経済安全保障の重要性が増すなど、グローバルな課題が高度化・複雑化している。かかる中、JBICには、カーボンニュートラルと経済成長の両立の支援、エネルギー安全保障やサプライチェーン再構築等による経済安全保障を踏まえた我が国産業の強靱化といった重要課題の解決に率先して取り組むことが期待される。そのためには、ホスト国の課題解決に共に取り組む姿勢を持ちつつ、多国間連携やリスクテイク機能を活用したJBIC独自のソリューションの提供を図り、課題解決に先導的に取り組むことが求められる。外部環境や顧客のニーズを踏まえつつ、効率的な組織運営や人的資本に係る取組など不断の組織改革も進めながら、こうした重要課題に対してJBICならではの方法で取り組むことを期待する。

<ウクライナ侵略に伴う対ロシア制裁について>当行は、我が国企業による海外事業展開や資源確保等を支援する観点からロシア向けに出融資保証業務を実施してまいりました。こうした中、2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本政府を含む各国政府等は対ロシア制裁を実施しており、これを受けてロシア政府からは大統領令等の対抗措置が実施されております。また、これによって、市場環境等の変化も生じております。このような状況を踏まえ、当行としても、各国政府等による制裁やこれを受けたロシア政府の対抗措置の動向を注視しつつ対応を進めております。

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