有価証券報告書-第103期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 13:21
【資料】
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【項目】
129項目

研究開発活動

研究開発の基本方針
当社グループは、環境に配慮し広範囲で高度な機能材料の開発に取り組むことにより、顧客要求にマッチした製品を提供し社会に貢献することを開発の基本方針としております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は349,358千円であります。なお、当連結会計年度における品目別の研究成果は次のとおりであります。
(1)自動車関連資材分野
① エンジン用濾材
エンジン用濾材は、用途として主に吸気用、潤滑油用、燃料用フィルターに使用されております。
天然パルプ、コットンリンター、ポリエステル等の合成繊維を主原料として、空気中のゴミ、他車から排出されるスス、潤滑油中のカーボン粒子、燃料中のゴミ、水分等を取り除き、エンジンに清浄な空気、燃料を供給すること及び潤滑油の性能を維持することができます。
当連結会計年度においては、国内だけでなくインドを含めた東南アジア向けの多塵地域に適した濾材開発に取り組みました。
また、近年フィルターに求められる高性能化(ロングライフ・高効率)に対応する手段として、紙と不織布のコンポジット化が可能になる実験用貼り合せ装置の導入を進めております。
② クラッチ板用摩擦材
クラッチ板用摩擦材は、主にオートマチック自動車用のクラッチ板用摩擦材として使用されております。
多種多様な原材料を当社の技術により混合、定着させてシート化し、優れた耐摩耗、耐久、耐熱、高摩擦性能を有する高品質な紙となっております。
当連結会計年度においては、VA活動としてより安価な原材料の使用可能性を検討し、品質及び原価低減の両立に取り組むとともに、製造工程、原料成分の最適化による生産効率及び品質の向上に取り組みました。
③ 鉛蓄電池用セパレータ原紙
鉛蓄電池用セパレータ原紙は、ポリエチレンパルプ、シリカ粉体を主体原料とし、主に高い信頼性が要求される特殊産業車両用、据え置き型バックアップ用などの鉛蓄電池セパレータに使用されております。
当連結会計年度においては、顧客要求にマッチした製品作りを行うため、当社の製造工程に適合した原材料への見直しを実施し、生産適性の向上と原価低減の両立に取り組みました。また、製造条件の最適化を追求することにより品質の改良維持に取り組みました。さらに、新たな市場可能性についての調査、検討を行いました。
(2)水処理関連資材分野
① 分離膜用資材
主に分離膜用資材(分離膜支持体)として、世界の水処理用逆浸透膜メーカーが製造する逆浸透膜モジュールに使用されております。
当社は専用の抄紙機及び熱圧加工機を保有しており、ポリエステル繊維100%の湿式不織布である当社の分離膜支持体は平滑性に優れ、安定した物性で連続生産が可能であり、分離膜を形成するのに最適であります。
分離膜方式による水処理方法は、蒸発方式と比較して、低コストで環境負荷小、需要変動への柔軟性などから、近年導入事例が増加しております。
当連結会計年度においては、さらなる販売量拡大に向けて、生産プロセスの合理化や新たな工程管理による品質向上などに取り組みました。また、新たな市場開拓に向けて、積極的なサンプルワークを進めるとともに、各顧客要求にマッチした製品を開発してきました。
② M-fine(エム・ファイン)
M-fine(エム・ファイン)とは、当社が提供するメンブレン(ナノレベルの微細な孔径を有する分離膜)及び水処理等のモジュール・ユニットの総称であります。
このM-fineを、当社の事業領域を機能材料から機能部材や機能部品へ拡げるための商品の一つとするべく、廃水処理に使用されるMBR(膜分離活性汚泥法)用浸漬膜及びユニットの事業化推進に取組みました。
その結果、市場展開に関しては安定顧客の獲得を、品質向上に関しては生産環境の整備を、それぞれ進めることが出来ました。
(3)一般産業用資材分野
① CARMIX(カルミックス)
CARMIX(カルミックス)とは、当社が提供する炭素複合材の総称であります。
現在、CARMIX CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチック)マットに注力しており、更なる品質・性能の向上に取り組んでおります。当社のCARMIX CFRTPマットは、不連続炭素繊維を主原料としており、立体成形性や成形後の切削等加工性が良好であることなどを活かして、輸送機器関連や家電・電子機器等、幅広い市場への用途開発を図ってまいりました。
また、CARMIX熱拡散シートは、お客様のご要望にお応えするために、放熱・熱拡散性能の向上に取り組んでまいりました。これにより、電子デバイス等熱源対策を必要とする市場への展開を加速させることができました。
さらに、当連結会計年度においては電子機器関連のみならず自動車関連まで様々な分野での顧客要求を確認し、新たな機能を活かした立体成形体(CFRTP)や放熱材(熱拡散シート)の商品化に向けて開発を進めております。