訂正有価証券報告書-第17期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて178百万円増加し、2,311百万円となりました。これは主に現金及び預金が59百万円増加したこと、前渡金が31百万円増加したこと,建設仮勘定が91百万円増加したこと等によるものであります。
流動資産は1,937百万円となりました。主な内容は、現金及び預金1,796百万円等であります。固定資産は373百万円で、主な内容は建物及び構築物149百万円、機械装置及び運搬具21百万円、工具、器具及び備品32百万円、建設仮勘定91百万円等であります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて81百万円増加し、180百万円となりました。これは主に未払金の増加73百万円等によるものであります。
流動負債は170百万円となりました。主な内容は未払金129百万円、未払法人税等35百万円等であります。固定負債は10百万円となりました。主な内容は資産除去債務8百万円等であります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて96百万円増加し、2,130百万円となりました。これは主に第10回新株予約権の行使、第11回新株予約権の行使及び第13回新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ699百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失1,267百万円の計上に伴い利益剰余金のマイナスが1,267百万円拡大したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度の91.1%から89.8%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は8百万円(前連結会計年度比△95.8%)、研究開発費用とその他経費を合わせた販売費及び一般管理費は1,279百万円(前連結会計年度比108.9%)を計上しました。営業損失は1,273百万円(前連結会計年度は983百万円の損失)、営業外収益に受取賃貸料4百万円等、営業外費用に在外子会社の財務諸表項目の換算により生じた為替差損7百万円、第10回新株予約権、第11回新株予約権及び第13回新株予約権の行使による新株発行に係る登録免許税等の株式交付費4百万円等により経常損失は1,285百万円(前連結会計年度は988百万円の損失)、特別利益として経済産業省の「平成28年度戦略的基盤技術高度化支援企業」助成金の助成金収入18百万円、退職した従業員に係る新株予約権失効による新株予約権戻入益1百万円により、親会社株主に帰属する当期純損失は1,267百万円(前連結会計年度は884百万円の損失)となりました。
なお、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ670百万円増加し、1,796百万円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用したキャッシュ・フローは、1,260百万円(前連結会計年度は854百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が1,265百万円となったこと、特別利益として公的助成事業による助成金の受取額が18百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得したキャッシュ・フローは568百万円(前連結会計年度は661百万円の支出)となりました。これは定期預金の払戻による収入611百万円、有形固定資産の取得による支出42百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得したキャッシュ・フローは1,362百万円(前連結会計年度はなし)となりました。これは,主に新株予約権の行使による株式の発行による収入1,361百万円等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループの製品は、すべて製造委託しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
| 事業の名称 | 受注高 (千円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前年同期比 (%) |
| 医薬事業(製品売上高) | 25,617 | 248.5 | 17,220 | ― |
| 合計 | 25,617 | 248.5 | 17,220 | ― |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
| 事業の名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| 医薬事業(製品売上高) | 8,397 | 29.9 |
| 医薬事業(研究開発等収入) | ― | ― |
| 合計 | 8,397 | 4.2 |
(注) 1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
| Cipla USA Inc. | 170,129 | 85.8 | ― | ― |
| 日本新薬株式会社 | 25,295 | 12.8 | 8,024 | 95.5 |
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
なお、この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度において、当社グループでは独自の経皮製剤技術であるILTS®(Ionic Liquid Transdermal System)やNCTS®(Nano-sized Colloid Transdermal System)、並びにマイクロニードルアレイ技術を用いて、低分子から高分子に至る様々な有効成分の経皮吸収性を飛躍的に向上させることにより、新しい付加価値を持った医薬品を開発することを事業の中核に据え、「CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)」「MRX-1OXT:中枢性鎮痛貼付剤(オキシコドンテープ剤)」「MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)」「MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン含有貼付剤)」の4つの自社起源パイプラインについて、製品化に向けた開発を推し進めてきました。また、当連結会計年度において共同開発契約あるいは技術ライセンス契約を製薬会社と締結した2つの協業パイプラインについても、提携先製薬会社と共同であるいは提携先製薬会社をサポートする形で製品化に向けた開発を推し進めてきました。加えて、後続パイプラインの研究開発及び提携候補先との契約交渉を行うなど、事業の拡大を図ってきました。
当社グループの主要パイプラインの開発進捗状況は、以下のとおりです。

<開発コード CPN-101(MRX-4TZT):痙性麻痺治療薬(チザニジンテープ剤)>ILTS®を用いて中枢性筋弛緩薬であるチザニジンのテープ型貼付剤を製剤開発したものです。2017年4月に、インドの製薬会社 Cipla Ltd.(インド マハーラーシュトラ州ムンバイ、CEO:Umang Vohra、以下「Cipla」という。)の米国100%子会社であるCipla USA Inc.(米国デラウエア州ウィルミントン、CEO:Nikhil Lalwani)との間で、CPN-101(MRX-4TZT)に関する世界的な開発・販売ライセンス契約(ただし、東アジアを除く)を締結しました。その後、Ciplaグループ内の再編により、契約相手先はCipla Technologies, LLC(米国カリフォルニア州サンディエゴ、CEO:Vikram Sudarsan、以下「Cipla Tech」という。)に変更となっております。現在、筋弛緩薬の経皮製剤が存在しない中、経皮製剤化することにより経口剤と比較して、有効血中濃度の持続性、眠気や口渇等の副作用の低減等の利点が期待されます。2017年9月より、第Ⅲ相臨床試験及び新薬承認申請(NDA:New Drug Application)に向けた開発計画の一環として、CPN-101(MRX-4TZT)の薬剤特性に関する有用な情報を得ることを期待して第Ⅰ相臨床試験の追加試験(P1a')を実施してまいりました。2018年1月に当試験において事前に規定していた基準を満たした結果が得られております。今後は、提携先のCipla Techとともに、次ステップの臨床開発を進めてまいります。
<開発コード MRX-1OXT:中枢性鎮痛貼付剤(オキシコドンテープ剤)>ILTS®によって、経皮難吸収性の中枢性鎮痛薬であるオキシコドンの経皮浸透度を飛躍的に高めると同時に、皮膚に対する安全性も満たすテープ型貼付剤を製剤開発したものです。オピオイド貼付剤における乱用及び誤用の抑制・防止を目的として開発した当社独自の新たな経皮吸収型製剤技術AMRTS®(Abuse and Misuse Resistant Transdermal System)を用いたMRX-1OXTについて、2017年4月に、米国規制当局であるアメリカ食品医薬品局(FDA :Food and Drug Administration)と、治験許可申請(IND:Investigational New Drug application)に先立って行う面談会議(pre IND meeting)を実施し、協議の結果、当社の開発方針がFDAによって確認されました。2017年10月より第Ⅰ相臨床試験を実施し、2018年2月にMRX-1OXTは疼痛治療に十分な血中薬物濃度を実現できる可能性が高いことが示されました。現在、製剤の粘着性等の改良を進めており、2019年に第Ⅰ相臨床試験の追加試験(P1b:反復PK(Pharmacokinetics)試験)を実施する計画です。
米国では、オキシコドンを始めとする強い鎮痛作用を有するオピオイド鎮痛剤が大きな市場(2016年 約7,500億円、出所:FDA 2018年3月1日付“FDA Analysis of Long-Term Trends in Prescription Opioid Analgesic Products: Quantity, Sales, and Price Trends”より推計)を形成しています。その一方で、オピオイド鎮痛剤の乱用から2014年には200万人が薬物依存に陥り、オピオイド鎮痛剤の過量摂取により1999年から2015年にかけて18万人以上が死亡、また、幼児が使用後のオピオイド貼付剤を誤って咀嚼したり貼付することで死亡する等、オピオイドの乱用及び誤用事故が大きな社会問題となっており、トランプ米大統領がオピオイド乱用の蔓延について「公衆衛生の非常事態」を宣言する等、米国政府・規制当局は重点的にその対策に取り組んでいます。当社は、オピオイド貼付剤における乱用及び誤用事故の抑制・防止を目的としてAMRTS®を開発しました。AMRTS®を用いたMRX-1OXTは、より安全で安定した疼痛管理をもたらすものと期待しています。
<開発コード MRX-5LBT:帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(リドカインテープ剤)>ILTS®を用いた新規のリドカインテープ剤であり、帯状疱疹後の神経疼痛を適応症としているリドカインパップ剤Lidoderm®の市場をターゲットとして、第一に米国で開発を進めている製品です。2018年6月に先行指標製品であるLidoderm®との検証的な比較臨床試験において、505b2開発過程の中で最も重要な指標であるLidoderm®との生物学的同等性を示す結果を得ました。その後、新薬承認申請(NDA)に向けたデータパッケージについて米国規制当局であるFDAと協議を行っておりましたが、2018年11月の面談会議の結果、MRX-5LBTが慢性疾患治療薬として長期に亘り連続使用される可能性が十分あることより、長期の安全性を確認する試験を中心に、当初想定していたよりも多くの試験が必要となりました。今後は、FDAから要求された安全性等を確認するための臨床試験及び非臨床試験等を実施する資金を早期に確保して、現行計画通り2020年に新薬承認申請(NDA)を実施したいと考えています。
米国におけるリドカイン貼付剤市場は、2017年において555億円(509million USドル)、2020年には610億円(560million USドル)に増加すると推測(出所:Datamonitor Healthcare by Informa PLC)されています。MRX-5LBTは、Lidoderm®と比較して、高い経皮吸収効率ゆえに薬物搭載量が少なく、テープ剤ゆえに貼り易く粘着力に優れており、また臨床試験結果より皮膚安全性が高いことが期待されています。
<開発コード MRX-7MLL:アルツハイマー治療薬(メマンチン含有貼付剤)>当社では、ILTS®とは別に、薬物をナノコロイド化することにより経皮吸収性を飛躍的に向上させる独自の経皮製剤技術NCTS®を用いた経皮吸収型医薬品の研究開発にも取り組んでいます。MRX-7MLLは、NCTS®を用いてアルツハイマー治療薬であるメマンチンを含有した貼付剤を製剤開発したものです。2018年7月に米国での臨床試験を実施するための非臨床試験を開始しました。2018年12月には、治験前相談(pre IND meeting)に対する回答を米国規制当局であるFDAより入手し、現在実施中の非臨床試験内容で第Ⅰ相臨床試験を開始するのに十分であることが確認されました。また、新薬承認取得に向けて、メマンチン経口剤との生物学的同等性を示すことができれば、MRX-7MLLの有効性を示す臨床試験(第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験)は必要ではないことも確認されました。これにより、早期の新薬承認申請(NDA)が可能になったと考えています。2019年に、治験許可申請(IND)をFDAに提出予定です。
2017年において米国アルツハイマー治療薬市場は約1,500億円であり、そのうちメマンチン経口剤が約750億円を占めています(出所:Datamonitor Healthcare by Informa PLC)。1日1回の経口剤に対して、アルツハイマー患者さん及びケアに当たるご家族や医療従事者が投薬状況を目視確認できる、3日に1回あるいは1週間に1回の貼付剤という選択肢を提供することにより、アルツハイマー患者さん及びケアに当たるご家族や医療従事者のQOL(quality of life)及びコンプライアンスの向上(飲み忘れ等の防止)に貢献したいと考えています。
<第一三共との共同開発品>2018年2月に、NCTS®を用いた或る開発候補品について、第一三共株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 真鍋淳、以下「第一三共」という。)との間で共同開発契約を締結しました。製造販売承認取得を目指して、第一三共と共同で開発を進めております。
<武田薬品工業への技術ライセンス>2018年8月に、武田薬品工業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長CEO クリストフ・ウェバー、以下「武田薬品工業」)との間で、武田薬品工業の或る重点疾患領域におけるパイプラインに関して、当社独自の経皮吸収技術を適用する技術ライセンス契約を締結しました。本契約は、武田薬品工業の或る重点疾患領域におけるパイプラインを対象に、当社独自の経皮吸収製剤技術ILTS®およびNCTS®を用いて、新たな経皮吸収製剤を創製することを目指すものです。武田薬品工業は、この新たな経皮吸収製剤について全世界で開発および商業化する権利を有し、当社は技術移転等において武田薬品工業の開発をサポートしています。
上記パイプライン以外にも、製薬会社等と共同で、あるいは当社グループ独自でILTS®、NCTS®やマイクロニードルアレイを活用した製剤開発を進めています。
<上市製品>当社グループでは、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤「ヨードコート軟膏」等の製品を提携先の製薬会社を通じて販売しており、当連結会計年度の製品売上として8百万円を計上しました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発資金及び運転資金であります。
これらの資金は基本的に自己資金によっておりますが、必要に応じて増資や新株予約権の発行により資金を調達することとしております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社グループには、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が当連結会計年度において存在していると判断しておりますが、2013年2月13日の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う資金調達及び上場以降適時に実施してまいりました資金調達により、翌連結会計年度の研究開発活動を展開するための資金は確保できており、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。また、上記「②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」でも述べましたとおり、各パイプラインの開発・進捗状況をモニタリングした上でマイルストン収入や契約一時金等の早期獲得を図っていく所存です。
今後も引続き事業基盤並びに財務基盤の強化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。