有価証券報告書-第19期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。
最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。2017年には、希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、iPS細胞を使った加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症等の臨床研究及び治験が進められております。
当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置づけ、2つのセグメントに分け、推進しております。
研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品、iPS細胞作製受託などの研究サービス、及び細胞測定機器を提供しております。研究用途であるため、医薬品のような製造販売承認は必要とされず、新しい技術を比較的短期間で事業化し収益を上げることができる特長があり、現時点では、研究支援事業の売上が全体の90%以上を占めております。当社では、iPS細胞を中心とした幅広い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を保有しており、競争優位性の高い製品やサービスを世界中で展開し、短中期の収益の柱として推進しております。
一方、メディカル事業では、現在、脊髄小脳変性症を対象とした再生医療製品ステムカイマル及び、横断性脊髄炎及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたiPS神経グリア細胞の研究開発を進めております。ステムカイマルの国内第II相臨床試験において、2020年2月に第1例目の被験者への投与が開始され、2021年2月に全被験者の登録が完了いたしました。引き続き、早期の製造販売承認の取得を目指してまいります。さらに、当期には安全性の高い臨床用iPS細胞の受託作製サービスを新たに開始いたしました。製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の2つを展開しております。
再生医療に関しては、上市までに臨床試験を行い製造販売承認を取得する必要があるため、研究支援事業より事業化に時間が必要とされますが、日本では2014年の法改正により、世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整いつつあります。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法)」では、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることが可能になりました。これにより、患者様に対して新たな治療機会を早期に提供すると共に、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できます。
また、経済産業省の報告書(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約5~10兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。
このように、再生医療を中長期的な成長事業と位置づけ、早期の製造販売承認の取得を目指します。
さらに、メディカル事業では、臨床検査受託サービスにも力を入れ、日本では新型コロナウイルスPCR検査、インドでは無侵襲型出生前検査(NIPT)を新たに開始いたしました。当社では、2005年から臨床検査受託サービスを実施しておりますが、今後とも新たな検査項目を追加し、事業を拡大してまいります。
短中期的な収益の柱である「研究支援事業」と、中長期的な成長事業である「メディカル事業」の両方を組み合わせることで、短期→中期→長期と、持続的な成長を目指します。
新型コロナウイルスの感染拡大が前期の後半から始まりました。当社の事業は、長期的に新型コロナウイルスの影響を受けるものではありませんが、当期の第1四半期において、日本では緊急事態宣言が出され、海外各国でもロックダウンの措置がなされるなど、一時的に大きな影響が出ました。第2四半期以降は回復傾向となったものの、感染拡大は収束に至らず、全体を通して、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた年度となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,286百万円(前期比7.2%増)、営業損失は1,048百万円(前期908百万円の損失)、経常損失は788百万円(前期891百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は812百万円(前期1,016百万円の損失)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
a.研究支援事業
研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品及びiPS細胞作製受託などの研究サービスを提供しております。最先端技術を集約した製品・サービスを上記研究機関に提供することで、画期的な新薬や治療法の開発に貢献してまいります。現在、世界中の製薬企業では、動物愛護の観点や、ヒトと動物の種の違いによる試験結果の差といった問題点などから「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んでいます。今後、ヒト細胞実験が普及することで、これまで十数年かかっていた新薬開発のプロセスが大幅に短縮され、さらに、従来と比べて性能の高い新薬が開発できることが期待されています。中でもヒトiPS細胞はその中心的存在として注目を集めており、例えば、アルツハイマー病患者から作製したiPS細胞を研究で使うことで、アルツハイマー病の病態解明及び新薬開発が加速されると期待されています。
当社グループでは、第3世代RNAリプログラミング技術及び各種細胞への分化誘導技術など、ヒトiPS細胞に関する世界最先端の技術プラットフォームを保有しており、さらに、がん細胞やヒト組織を医療機関から調達する幅広いネットワークも保有しております。これら技術優位性の高い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を最大限活用することで、上記の「動物実験からヒト細胞実験」へのシフトを先取りした事業を進めております。具体的には、iPS細胞研究用の研究試薬製品、患者の組織からiPSを作製する病態モデル細胞の作製、ヒト組織を用いた新薬の薬効薬理評価、ヒト生体試料のバンキングなどがあります。
さらに、上記の研究用製品及び研究サービスに加え、2019年9月より、Axion BioSystems社(米国)の細胞測定機器の国内販売を開始しております。同社の細胞測定機器では、当社iPS神経細胞及び疾患モデル細胞を効果的に測定できるため、創薬スクリーニング技術として総合的なソリューションを顧客に提供しております。
新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の研究開発が世界中の製薬企業およびバイオベンチャーで精力的に進められておりますが、患者から採取した生体試料(血液、血清)は、その重要な研究材料になります。当社では、米国の医療機関とのネットワーク及び生体試料バンクのノウハウを活用して、新型コロナウイルス患者由来の生体試料を採取し、世界中の製薬企業に提供しております。
また、VIROCLINICS-DDL社(本社:オランダ)との間で、同社の行う臨床開発プロジェクトに、パートナーとして提携することで合意し、2020年9月から2021年4月の期間、インフルエンザの臨床開発プロジェクトの受託業務を行っております。
この結果、売上高は1,200百万円(前期比7.1%増)、セグメント利益は93百万円(前期12百万円の損失)となりました。
b.メディカル事業
再生医療分野においては、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞の臨床応用を目指した研究が世界中で盛んに行われており、将来、再生医療製品がグローバルで巨大産業に成長することが見込まれています。
特にiPS細胞は、体の様々な細胞に分化させる事が可能であることから、有効な治療法のない難病に対する臨床応用に大きな期待が寄せられています。iPS細胞を医療に応用する場合の最大の技術課題は安全性の確保ですが、当社では、遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの低い、高品質で臨床応用に適したiPS細胞を作製する「RNAリプログラミング技術」を開発・保有しております。RNAリプログラミングの技術優位性を活かし、iPS細胞の早期の臨床応用を目指しております。
メディカル事業では以下の事業を推進しております。
(a) 体性幹細胞製品ステムカイマル
ヒト細胞加工製品ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した再生医療製品であり、当社は脊髄小脳変性症を対象とした日本における独占的商業ライセンス契約を締結しております。
脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまう事により、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の希少疾患です。ステムカイマルの投与により、症状の進行を抑制する効果が期待されています。ステムカイマルは、腕の血管から静脈注射(点滴)で投与するため、侵襲性が低い治療法になります。
日本国内で、第II相臨床試験を実施しており、2020年2月には、国立学校法人名古屋大学において、第1例目の被験者への投与を開始し、2021年2月に、予定通り全被験者の登録が完了しました。
本治験では、「多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検、並行群間比較」という非常にエビデンスレベルが高いデザインを採用しており、今後、安全性と有効性について評価を行い、早期の製造販売承認の取得を目指します。なお、本治験は、これまで新型コロナウイルスの影響を受けること無く、スケジュール通り進んでおります。
台湾では、ステミネント社が第II相臨床試験を完了しており、これまでに重篤な安全性の問題は見られていないことが確認されています。有効性については、現在データの解析が行われています。米国でも、ステムカイマルの治験計画届(IND)がFDAの承認を得ております。
また、日本では、2018年12月に厚生労働省による大臣承認を経て、希少疾病用再生医療等製品として指定されており、開発に係る経費の助成金(最大50%)、優遇税制措置、及び優先審査等の支援措置を受けることができるようになっております。
当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、本プロジェクトを積極的に推進してまいります。
(b) iPS神経グリア細胞製品
iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、各種神経変性疾患に対するiPS細胞再生医療製品として研究開発を行っております。本プロジェクトを加速させるため、2018年4月に、米国Q Therapeutics Inc.(キューセラピューティクス、以下、Qセラ社)との間で合弁会社「株式会社MAGiQセラピューティクス」を設立いたしました。Qセラ社は中枢神経系の再生医療に特化したベンチャー企業であり、Qセラ社の創業者である、Mahendra Rao博士はアメリカ国立衛生研究所(NIH)再生医療センターの初代ディレクターも務めた、神経幹細胞の世界的に著名な研究者です。合弁会社では、当社のiPS細胞技術とQセラ社の中枢神経系の技術を組み合わせることで、iPS神経グリア細胞の開発を加速しております。
当期においては、iPS神経グリア細胞を用いた前臨床試験(動物実験)を公益財団法人実験動物中央研究所と実施し、また、iPS神経グリア細胞の製造のため「殿町・リプロセル再生医療センター」(神奈川県ライフイノベーションセンター内)の整備を進めました。同施設は、2021年3月に厚生労働省関東信越厚生局より再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA3200006)を取得しております。
(c) 臨床用iPS細胞
iPS細胞による再生医療の研究開発は世界中で精力的に行われており、日本でも、加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症等の臨床研究及び治験が進められています。再生医療に用いるiPS細胞には高い安全性と品質、さらに各国の医療ガイドラインに準じることが必要とされます。
安全性の高いiPS細胞を作製するためには、iPS細胞を作るプロセスである「リプログラミング」が重要になります。リプログラミング技術は様々報告されていますが、当社では遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの低い最先端の「RNAリプログラミング技術」を開発・保有しております。本技術を利用すること で、臨床応用に最適なiPS細胞を作製することができます。
当期に、製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の2つを立ち上げました。
「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」では、医薬品製造の規制であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠してiPS細胞を大量製造し、再生医療製品の出発材料として製薬企業等に提供します。日米欧の規制に準拠していることが強みになります。
「パーソナルiPS」は、将来の疾患に備え、個人のiPS細胞を作製し保管するサービスです。個人のiPS細胞を予め作製することで、治療までの期間を短縮でき、さらに免疫拒絶の低い移植治療を実現します。
(d) 臨床検査受託サービス
2005年に衛生検査所として登録して以来、臓器移植に関連した臨床検査受託サービスを行っており、これまで日本全国300以上の医療機関との取引実績があります。主力検査項目は、免疫拒絶に関わるHLAタイピング及び抗HLA抗体検査になります。
2021年3月に、新型コロナウイルスPCR検査を新たに開始いたしました。変異株を見逃さず検出できるスマートアンプ試薬(株式会社ダナフォーム社製)を用い、さらに陽性検体に対しては迅速に変異株の特定検査を行うことが強みになります。個人、法人、医療機関を対象として本PCR検査を拡大してまいります。
さらに、インド子会社では、2021年3月、無侵襲型出生前検査を新たに開始いたしました。これは、母体の血液から高精度に赤ちゃんの染色体異常を調べる検査になります。インド子会社で保有している次世代ゲノム解析技術を応用し、今後とも臨床検査事業を拡大してまいります。
この結果、売上高は85百万円(前期比8.4%増)、セグメント損失は371百万円(前期183百万円の損失)となりました。
なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が510百万円あります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて1,984百万円減少し、2,601百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は648百万円(前期は689百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失811百万円が発生した一方、減価償却費58百万円、仕入債務の増加額66百万円等の発生によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は1,416百万円(前期は1,217百万円の獲得)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得による支出2,007百万円が発生した一方で、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入654百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は4百万円(前期は6百万円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入4百万円があったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.メディカル事業に生産実績はありません。
(2) 受注実績
当社は、主として需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べて485百万円減少し、5,244百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金の減少1,984百万円、有価証券の増加1,400百万円であります。固定資産は前連結会計年度末に比べて19百万円減少し、802百万円となりました。主な内訳は、建物及び構築物(純額)の減少19百万円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べて146百万円増加し、553百万円となりました。主な内訳は、買掛金の増加70百万円、前受金の増加62百万円であります。固定負債は前連結会計年度末に比べて15百万円増加し、103百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の増加14百万円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べて667百万円減少し、5,391百万円となりました。主な内訳は、資本金の増加34百万円、資本剰余金の増加34百万円、利益剰余金の減少812百万円、その他有価証券評価差額金の増加50百万円であります。
(2) 経営成績の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、継続的な研究開発費の支出があげられます。研究支援事業については、研究試薬製品、細胞製品ともに、積極的な研究開発を行っており、2021年3月期における研究開発費の総額は662百万円と、販売費及び一般管理費の約43%を占めており、今後も研究開発活動を積極的に推進する予定であります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要のうち主なものは、研究支援事業における製品・サービスの研究開発やグローバル展開の推進及びメディカル事業における再生医療製品の導入や開発等によるものの他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。しかしながら、事業収益がこれらの資金需要を賄うには十分ではないことから、公的助成金、第三者割当増資による調達資金を利用しています。なお、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,601百万円、短期的な資金運用を行っている有価証券が2,000百万円あり、十分な流動性を確保しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5) 経営戦略の現状と見通し
2022年3月期の経営成績につきましては、売上高2,106百万円(当期比63.8%増)、営業損失377百万円(当期は1,048百万円の損失)、経常損失157百万円(当期は788百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失157百万円(当期は812百万円の損失)を見込んでおります。
連結経常損失、連結当期純損失の予想額は、為替を一定の水準として推移することとして策定しており、為替損益を業績予想に織り込んでおりません。本業績見通しにおける外国為替レートは、1米ドル=110円、1英ポンド=140円、1印ルピー=1.65円を前提としております。
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本では緊急事態宣言が出され、海外各国でもロックダウンの措置がなされるなど、一時的に大きな影響が出ましたが、現在は徐々に措置が緩和されています。このため、一時的な影響はあるものの、早期に回復すると見込んでおります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
また、経営者の視点による経営成績等の状況についての認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」をご参照ください。なお、当社グループにおいては、事業計画に基づく事業の成長と早期の黒字化を重要指標として売上高、各段階損益について分析を行っております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。
最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。2017年には、希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、iPS細胞を使った加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症等の臨床研究及び治験が進められております。
当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置づけ、2つのセグメントに分け、推進しております。
研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品、iPS細胞作製受託などの研究サービス、及び細胞測定機器を提供しております。研究用途であるため、医薬品のような製造販売承認は必要とされず、新しい技術を比較的短期間で事業化し収益を上げることができる特長があり、現時点では、研究支援事業の売上が全体の90%以上を占めております。当社では、iPS細胞を中心とした幅広い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を保有しており、競争優位性の高い製品やサービスを世界中で展開し、短中期の収益の柱として推進しております。
一方、メディカル事業では、現在、脊髄小脳変性症を対象とした再生医療製品ステムカイマル及び、横断性脊髄炎及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたiPS神経グリア細胞の研究開発を進めております。ステムカイマルの国内第II相臨床試験において、2020年2月に第1例目の被験者への投与が開始され、2021年2月に全被験者の登録が完了いたしました。引き続き、早期の製造販売承認の取得を目指してまいります。さらに、当期には安全性の高い臨床用iPS細胞の受託作製サービスを新たに開始いたしました。製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の2つを展開しております。
再生医療に関しては、上市までに臨床試験を行い製造販売承認を取得する必要があるため、研究支援事業より事業化に時間が必要とされますが、日本では2014年の法改正により、世界で最も再生医療の産業化に適した環境が整いつつあります。「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称 薬機法)」では、治験において安全性が確認され、有効性が推定された再生医療等製品に対して早期承認(条件・期限付き承認)を与えることが可能になりました。これにより、患者様に対して新たな治療機会を早期に提供すると共に、治験期間の短縮や治験費用の削減が期待できます。
また、経済産業省の報告書(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備「根本治療の実現」に向けた適切な支援のあり方の調査」)によると、再生医療産業のグローバルでの市場規模は2030年で約5~10兆円となっており、今後、巨大市場に成長することが見込まれています。
このように、再生医療を中長期的な成長事業と位置づけ、早期の製造販売承認の取得を目指します。
さらに、メディカル事業では、臨床検査受託サービスにも力を入れ、日本では新型コロナウイルスPCR検査、インドでは無侵襲型出生前検査(NIPT)を新たに開始いたしました。当社では、2005年から臨床検査受託サービスを実施しておりますが、今後とも新たな検査項目を追加し、事業を拡大してまいります。
短中期的な収益の柱である「研究支援事業」と、中長期的な成長事業である「メディカル事業」の両方を組み合わせることで、短期→中期→長期と、持続的な成長を目指します。
新型コロナウイルスの感染拡大が前期の後半から始まりました。当社の事業は、長期的に新型コロナウイルスの影響を受けるものではありませんが、当期の第1四半期において、日本では緊急事態宣言が出され、海外各国でもロックダウンの措置がなされるなど、一時的に大きな影響が出ました。第2四半期以降は回復傾向となったものの、感染拡大は収束に至らず、全体を通して、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた年度となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,286百万円(前期比7.2%増)、営業損失は1,048百万円(前期908百万円の損失)、経常損失は788百万円(前期891百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は812百万円(前期1,016百万円の損失)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
a.研究支援事業
研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品及びiPS細胞作製受託などの研究サービスを提供しております。最先端技術を集約した製品・サービスを上記研究機関に提供することで、画期的な新薬や治療法の開発に貢献してまいります。現在、世界中の製薬企業では、動物愛護の観点や、ヒトと動物の種の違いによる試験結果の差といった問題点などから「動物実験からヒト細胞実験」への大きなシフトが進んでいます。今後、ヒト細胞実験が普及することで、これまで十数年かかっていた新薬開発のプロセスが大幅に短縮され、さらに、従来と比べて性能の高い新薬が開発できることが期待されています。中でもヒトiPS細胞はその中心的存在として注目を集めており、例えば、アルツハイマー病患者から作製したiPS細胞を研究で使うことで、アルツハイマー病の病態解明及び新薬開発が加速されると期待されています。
当社グループでは、第3世代RNAリプログラミング技術及び各種細胞への分化誘導技術など、ヒトiPS細胞に関する世界最先端の技術プラットフォームを保有しており、さらに、がん細胞やヒト組織を医療機関から調達する幅広いネットワークも保有しております。これら技術優位性の高い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を最大限活用することで、上記の「動物実験からヒト細胞実験」へのシフトを先取りした事業を進めております。具体的には、iPS細胞研究用の研究試薬製品、患者の組織からiPSを作製する病態モデル細胞の作製、ヒト組織を用いた新薬の薬効薬理評価、ヒト生体試料のバンキングなどがあります。
さらに、上記の研究用製品及び研究サービスに加え、2019年9月より、Axion BioSystems社(米国)の細胞測定機器の国内販売を開始しております。同社の細胞測定機器では、当社iPS神経細胞及び疾患モデル細胞を効果的に測定できるため、創薬スクリーニング技術として総合的なソリューションを顧客に提供しております。
新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の研究開発が世界中の製薬企業およびバイオベンチャーで精力的に進められておりますが、患者から採取した生体試料(血液、血清)は、その重要な研究材料になります。当社では、米国の医療機関とのネットワーク及び生体試料バンクのノウハウを活用して、新型コロナウイルス患者由来の生体試料を採取し、世界中の製薬企業に提供しております。
また、VIROCLINICS-DDL社(本社:オランダ)との間で、同社の行う臨床開発プロジェクトに、パートナーとして提携することで合意し、2020年9月から2021年4月の期間、インフルエンザの臨床開発プロジェクトの受託業務を行っております。
この結果、売上高は1,200百万円(前期比7.1%増)、セグメント利益は93百万円(前期12百万円の損失)となりました。
b.メディカル事業
再生医療分野においては、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞の臨床応用を目指した研究が世界中で盛んに行われており、将来、再生医療製品がグローバルで巨大産業に成長することが見込まれています。
特にiPS細胞は、体の様々な細胞に分化させる事が可能であることから、有効な治療法のない難病に対する臨床応用に大きな期待が寄せられています。iPS細胞を医療に応用する場合の最大の技術課題は安全性の確保ですが、当社では、遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの低い、高品質で臨床応用に適したiPS細胞を作製する「RNAリプログラミング技術」を開発・保有しております。RNAリプログラミングの技術優位性を活かし、iPS細胞の早期の臨床応用を目指しております。
メディカル事業では以下の事業を推進しております。
(a) 体性幹細胞製品ステムカイマル
ヒト細胞加工製品ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した再生医療製品であり、当社は脊髄小脳変性症を対象とした日本における独占的商業ライセンス契約を締結しております。
脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまう事により、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の希少疾患です。ステムカイマルの投与により、症状の進行を抑制する効果が期待されています。ステムカイマルは、腕の血管から静脈注射(点滴)で投与するため、侵襲性が低い治療法になります。
日本国内で、第II相臨床試験を実施しており、2020年2月には、国立学校法人名古屋大学において、第1例目の被験者への投与を開始し、2021年2月に、予定通り全被験者の登録が完了しました。
本治験では、「多施設共同、プラセボ対照、ランダム化、二重盲検、並行群間比較」という非常にエビデンスレベルが高いデザインを採用しており、今後、安全性と有効性について評価を行い、早期の製造販売承認の取得を目指します。なお、本治験は、これまで新型コロナウイルスの影響を受けること無く、スケジュール通り進んでおります。
台湾では、ステミネント社が第II相臨床試験を完了しており、これまでに重篤な安全性の問題は見られていないことが確認されています。有効性については、現在データの解析が行われています。米国でも、ステムカイマルの治験計画届(IND)がFDAの承認を得ております。
また、日本では、2018年12月に厚生労働省による大臣承認を経て、希少疾病用再生医療等製品として指定されており、開発に係る経費の助成金(最大50%)、優遇税制措置、及び優先審査等の支援措置を受けることができるようになっております。
当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、本プロジェクトを積極的に推進してまいります。
(b) iPS神経グリア細胞製品
iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、各種神経変性疾患に対するiPS細胞再生医療製品として研究開発を行っております。本プロジェクトを加速させるため、2018年4月に、米国Q Therapeutics Inc.(キューセラピューティクス、以下、Qセラ社)との間で合弁会社「株式会社MAGiQセラピューティクス」を設立いたしました。Qセラ社は中枢神経系の再生医療に特化したベンチャー企業であり、Qセラ社の創業者である、Mahendra Rao博士はアメリカ国立衛生研究所(NIH)再生医療センターの初代ディレクターも務めた、神経幹細胞の世界的に著名な研究者です。合弁会社では、当社のiPS細胞技術とQセラ社の中枢神経系の技術を組み合わせることで、iPS神経グリア細胞の開発を加速しております。
当期においては、iPS神経グリア細胞を用いた前臨床試験(動物実験)を公益財団法人実験動物中央研究所と実施し、また、iPS神経グリア細胞の製造のため「殿町・リプロセル再生医療センター」(神奈川県ライフイノベーションセンター内)の整備を進めました。同施設は、2021年3月に厚生労働省関東信越厚生局より再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき「特定細胞加工物製造許可」(施設番号:FA3200006)を取得しております。
(c) 臨床用iPS細胞
iPS細胞による再生医療の研究開発は世界中で精力的に行われており、日本でも、加齢黄斑変性、パーキンソン病、虚血性心筋症等の臨床研究及び治験が進められています。再生医療に用いるiPS細胞には高い安全性と品質、さらに各国の医療ガイドラインに準じることが必要とされます。
安全性の高いiPS細胞を作製するためには、iPS細胞を作るプロセスである「リプログラミング」が重要になります。リプログラミング技術は様々報告されていますが、当社では遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクの低い最先端の「RNAリプログラミング技術」を開発・保有しております。本技術を利用すること で、臨床応用に最適なiPS細胞を作製することができます。
当期に、製薬企業向けとして、「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」、個人向けとして「パーソナルiPS」の2つを立ち上げました。
「GMP-iPS細胞マスターセルバンク」では、医薬品製造の規制であるGMP(Good Manufacturing Practice)に準拠してiPS細胞を大量製造し、再生医療製品の出発材料として製薬企業等に提供します。日米欧の規制に準拠していることが強みになります。
「パーソナルiPS」は、将来の疾患に備え、個人のiPS細胞を作製し保管するサービスです。個人のiPS細胞を予め作製することで、治療までの期間を短縮でき、さらに免疫拒絶の低い移植治療を実現します。
(d) 臨床検査受託サービス
2005年に衛生検査所として登録して以来、臓器移植に関連した臨床検査受託サービスを行っており、これまで日本全国300以上の医療機関との取引実績があります。主力検査項目は、免疫拒絶に関わるHLAタイピング及び抗HLA抗体検査になります。
2021年3月に、新型コロナウイルスPCR検査を新たに開始いたしました。変異株を見逃さず検出できるスマートアンプ試薬(株式会社ダナフォーム社製)を用い、さらに陽性検体に対しては迅速に変異株の特定検査を行うことが強みになります。個人、法人、医療機関を対象として本PCR検査を拡大してまいります。
さらに、インド子会社では、2021年3月、無侵襲型出生前検査を新たに開始いたしました。これは、母体の血液から高精度に赤ちゃんの染色体異常を調べる検査になります。インド子会社で保有している次世代ゲノム解析技術を応用し、今後とも臨床検査事業を拡大してまいります。
この結果、売上高は85百万円(前期比8.4%増)、セグメント損失は371百万円(前期183百万円の損失)となりました。
なお、管理部門にかかる費用など各事業セグメントに配分していない全社費用が510百万円あります。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて1,984百万円減少し、2,601百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は648百万円(前期は689百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失811百万円が発生した一方、減価償却費58百万円、仕入債務の増加額66百万円等の発生によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は1,416百万円(前期は1,217百万円の獲得)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得による支出2,007百万円が発生した一方で、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入654百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は4百万円(前期は6百万円の獲得)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入4百万円があったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 研究支援事業(千円) | 654,303 | 92.3 |
| 合計(千円) | 654,303 | 92.3 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.メディカル事業に生産実績はありません。
(2) 受注実績
当社は、主として需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 研究支援事業(千円) | 1,200,362 | 107.1 |
| メディカル事業(千円) | 85,921 | 108.4 |
| 合計(千円) | 1,286,284 | 107.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べて485百万円減少し、5,244百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金の減少1,984百万円、有価証券の増加1,400百万円であります。固定資産は前連結会計年度末に比べて19百万円減少し、802百万円となりました。主な内訳は、建物及び構築物(純額)の減少19百万円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べて146百万円増加し、553百万円となりました。主な内訳は、買掛金の増加70百万円、前受金の増加62百万円であります。固定負債は前連結会計年度末に比べて15百万円増加し、103百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の増加14百万円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末に比べて667百万円減少し、5,391百万円となりました。主な内訳は、資本金の増加34百万円、資本剰余金の増加34百万円、利益剰余金の減少812百万円、その他有価証券評価差額金の増加50百万円であります。
(2) 経営成績の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、継続的な研究開発費の支出があげられます。研究支援事業については、研究試薬製品、細胞製品ともに、積極的な研究開発を行っており、2021年3月期における研究開発費の総額は662百万円と、販売費及び一般管理費の約43%を占めており、今後も研究開発活動を積極的に推進する予定であります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要のうち主なものは、研究支援事業における製品・サービスの研究開発やグローバル展開の推進及びメディカル事業における再生医療製品の導入や開発等によるものの他、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。しかしながら、事業収益がこれらの資金需要を賄うには十分ではないことから、公的助成金、第三者割当増資による調達資金を利用しています。なお、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は2,601百万円、短期的な資金運用を行っている有価証券が2,000百万円あり、十分な流動性を確保しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(5) 経営戦略の現状と見通し
2022年3月期の経営成績につきましては、売上高2,106百万円(当期比63.8%増)、営業損失377百万円(当期は1,048百万円の損失)、経常損失157百万円(当期は788百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失157百万円(当期は812百万円の損失)を見込んでおります。
連結経常損失、連結当期純損失の予想額は、為替を一定の水準として推移することとして策定しており、為替損益を業績予想に織り込んでおりません。本業績見通しにおける外国為替レートは、1米ドル=110円、1英ポンド=140円、1印ルピー=1.65円を前提としております。
新型コロナウイルスの感染拡大により、日本では緊急事態宣言が出され、海外各国でもロックダウンの措置がなされるなど、一時的に大きな影響が出ましたが、現在は徐々に措置が緩和されています。このため、一時的な影響はあるものの、早期に回復すると見込んでおります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
また、経営者の視点による経営成績等の状況についての認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績」をご参照ください。なお、当社グループにおいては、事業計画に基づく事業の成長と早期の黒字化を重要指標として売上高、各段階損益について分析を行っております。