有価証券報告書-第13期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
ありたい姿の実現に向け、当社グループは“すべての従業員が「挑戦するDNA」と「社会に向き合う使命感」をもち、サステナブルな社会づくりと成長を目指します”というグループ人財理念を掲げています。
そして、多様な事業ポートフォリオを支えるグループ人財戦略として、『価値を創造する人づくり』『多様性と一体感のある組織づくり』『働きがいと働きやすさの向上』の3つの戦略を進めております。
1つ目の『価値を創造する人づくり』は、グループ理念と経営戦略に基づいた、人財の育成に関する方針です。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けてグループ理念の浸透を図るとともに、個別の事業領域にとどまらず全社的な視座で事業変革をリードできる「経営人財」や「事業変革人財」の育成、ならびに当社独自のKPIを用いたDX人財の育成と環境経営に基づく人財育成を掲げております。これらの人財を持続的に輩出することが、各事業の枠を越えたグループシナジーの創出や、新たなビジネスモデルへの変革を牽引する基盤となります。
2つ目の『多様性と一体感のある組織づくり』は、グループの価値創造を支える社内環境整備に関する方針です。女性管理職比率向上をはじめとする女性の活躍推進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組による多様な人財の活躍推進に加えて、イノベーティブな組織風土の醸成が、「挑戦するDNA」の体現やグループの価値創造には不可欠と考えております。多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が交わり、互いに共創する「一体感」のある組織風土を醸成することは、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想を生み出し、複雑化する社会課題や顧客ニーズに対するプレミアムな価値を創出し続ける原動力となります。
3つ目の『働きがいと働きやすさの向上』は、従業員一人ひとりを支える社内環境整備に関する方針です。健康経営の推進や、ライフステージに応じた多様な働き方の支援に加え、働きがいという観点でのワークエンゲージメントの向上も重要な施策として取り組み、モニタリングしております。従業員が安心と高いモチベーションを持って働ける環境を整備することは、優秀な人財の定着を確固たるものにするとともに、労働生産性の持続的な向上に直結するものと考えております。
これら3つの人財戦略に取り組むことで、グループ従業員に対して、心も身体も健康に、モチベーションと志をもって働ける環境を実現するとともに、生産性が高く広く社会に貢献する人財を輩出します。当社グループは人的資本経営に取り組むことで、2030年のありたい姿「価値を創造し続ける企業グループ」の実現を目指してまいります。
<人財理念と人財戦略>
A.グループ全体での取組
経営戦略、事業戦略と人財戦略がどれも一貫したものとなるよう、コーポレート部門が連携しながら各社の人事施策の推進を支援する、以下のようなグループ横断施策を展開しております。
・グループ理念の浸透
「WE ARE GREEN」は、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく私たちの姿勢を表現したグループスローガンです。
グループインナーサーベイ(Eラーニング形式)ではグループ従業員の意識向上を図るとともに、特にグループ各社執行役員については、どれだけ自身がグループ連携を実践できているかを示す「自分ゴト化」度を測定しております。2025年度は90%(計157名回答)の執行役員が実践していると回答し、前中期経営計画最終年度の2025年度目標を達成、高水準を維持しております。
また、「誰もが自分らしくいきいきと輝ける未来」の実現に向けたグループ横断でのインナーコミュニケーション企画「東キュン不動産ホールディングス」を展開し、それぞれが持つ”好き”=“キュン”をヒントに未来を発想するAIを通じて画像を生成し、グループ内共有やチームビルディングへの活用を行うことで、グループの一体感の醸成を図ってまいりました。
さらに2025年度は、従業員のグループへの所属意識を高め、各社のリソースを掛け合わせた広域渋谷圏戦略等の重点テーマを、グループ共創により力強く推進していくための新たな施策として、グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」を開催いたしました。アーバンスポーツの体験や観戦等を通じて、従業員とその家族がグループに「接する」「関わる」機会を創出し、「クリエイティブなカルチャー」への理解と「中期経営計画2030」の実現に向けた強固な土台を整備しております。
<グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」>
第7回全日本ブレイキン選手権の アーバンスポーツ体験会を当社施設で開催
ファミリー観覧を実施 (グループ従業員のほか、一般参加者も募集)
・DX人財の育成
全社方針である「DX」に基づき、DX事例の創出を目指して、グループ横断プロジェクトの実行と実践型学習・研修の両輪で人財基盤の構築を行っております。2022年2月にはTFHD digital株式会社を設立し、デジタル専門人財の採用を行い、グループ各社およびグループ全体のDX支援を行う体制を築きました。そうしたDX推進に向けた組織・制度の整備や既存・新規ビジネスの双方での具体的なDX事例などが評価され、経済産業省によるDX認定に2021年より継続して選出されております。
具体的な人財育成として、事業会社においてDX推進の中心的な役割を担う人財を「ブリッジパーソン」と定義し、2030年度までにDX推進人財10,000人育成という目標を掲げて取り組んでおります。ブリッジパーソン育成のために、データ・AI活用やデジタルマーケティングなど様々なデジタルスキル習得のためのプログラムを用意するほか、ビジネスモデル変革を担う人財を育成する実践型研修である未来洞察型プログラム「HD-X」では未来のデジタル事業構想をグループ会社の現場社員が参加してアイデア創出を行っております。
これらに加え、実践的なデジタルスキルの習得と高度なDX人財の育成を加速させることで、既存事業の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの変革と継続的なデジタルビジネスの創出を図るため、2025年度より新たにDX推進人財の最上位に位置する「スーパーブリッジパーソン」を設け、育成に取り組んでいます。各社からホールディングスのDX推進部門への異動・出向を通じて「高度なDX推進スキル習得」及び「DXプロジェクト推進経験」により高度なDX人財の育成を加速させています。
こうした当社のDXビジョン「Digital Fusion」で掲げる「EX(従業員体験価値)」「CX(顧客体験価値)」「BX(ビジネスモデル変革)」の3つのXの好循環を核とした戦略や、それを実現するための組織体制・高度なDX推進人財育成プログラムの実績が高く評価され、経済産業省と東京証券取引所が認定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄 2026」に選定されました。
<スーパーブリッジパーソン制度の新設>
・環境経営に基づく人財育成
当社グループが目指す「サステナブルな社会づくりと成長」を実現するためには、従業員一人ひとりが環境・社会課題を自らのビジネスを通じて解決し、新たな環境プレミアムを創出する風土の醸成が不可欠です。そのため、全社方針である「環境経営」に基づき、Eラーニングや体感型サステナブル研修、グループ社員のサステナビリティ意識浸透を企図した「サステナ月間」やサステナブル・アクション・アワードを通じて啓発を行っています。サステナブル・アクション・アワードでは、事業活動を通じた環境・社会課題解決の具体的な取組を表彰しています。2025年度は203案件(対前年+11件)という多くの応募が寄せられ、2022年度から2025年度までの累計応募数は699件となり、2025年度の目標であった累計応募数300件を大幅に達成。これらの取組を基盤とした「事業を通じた環境への取組件数」は2025年度実績で27件、累計132件となり、2030年度目標である累計100件以上を達成し、成果を創出しています。環境先進企業として、社員一人ひとりが環境への理解を促進し、環境価値の機会創出につながる人財育成を図っています。
・女性の活躍推進
女性の活躍推進については特に重要なテーマと捉え、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の基本理念に則り、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
女性の活躍を促進するために、当社グループは次の3つの方針で取り組んでおります。第一に、経営層のコミットメントです。女性の活躍推進を経営課題として捉えるために、「新卒女性採用比率」「女性管理職比率」「女性管理職候補比率」をKPIとして取り組んでおります。「新卒女性採用比率」は、2030年度目標は50%と掲げて採用活動に取り組んでおり、2026年4月実績は42%となりました。「女性管理職比率」は2030年度目標を20%以上と掲げており、2026年4月実績が10%という進捗です。「女性管理職候補比率」は女性管理職の一つ手前の等級(係長層)を対象とした指標で、2030年度目標を20%以上と設定し、2026年4月実績19%です。「女性管理職比率」は実績から一定の乖離がある目標値ではありますが、「女性管理職候補比率」の底上げを図ることで進めてまいります。
第二に、制度の取組です。各事業の特性に合わせ、ライフイベントとキャリアの継続を両立できる柔軟な支援体制の整備を進めております。具体的には、育休取得者の業務をカバーする周囲の従業員に向けた手当の導入(㈱東急コミュニティー)や育児短時間勤務の対象期間の延長(東急住宅リース㈱)など、各社の実態に即した制度を拡充しております。制度を利用する本人だけでなく、周囲の従業員も前向きに協働できる仕組みを整えることで、誰もがキャリアを諦めずに活躍し続けられる環境づくりを推進しております。
第三に、風土の取組です。制度があっても風土が伴わなければ、女性活躍は実現できないと考えております。女性管理職手前層を対象とした「次世代女性リーダー育成研修」をグループ5社に拡大して実施するとともに、研修卒業生を対象としたネットワーキングイベントを開催し、多様なリーダーシップの在り方やロールモデルの共有を支援しております。
その他、男性育児休業取得率について2030年100%と目標に掲げており、2025年度実績は93%となりました。男性も積極的に育児休暇を取得することで、男女間の職位の偏りがないよう、女性のキャリアパスや働き方を支援し、これまで以上の女性活躍を促進するとともに、男女賃金格差の改善に取り組んでまいります。
・多様な人財の活躍推進
多様な属性や価値観を持つ人財がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備し、新たなイノベーションと価値創造を継続的に生み出す組織基盤を構築するため、当社グループはDE&Iビジョンを策定しております。多様な属性の違いをお互いに認め、差別をなくすと共に公正な活躍機会を提供し、誰もが自分らしくいきいきと働ける環境作りに取り組みます。従業員に対しては「DE&I」理解深化のEラーニングを実施し、受講率をKPIとして設定、2030年度は受講率100%を目指しております。2025年度は「哲学対話」をテーマとしてHD全従業員必須で展開するとともにアンケート調査を実施し、各社へのフィードバックを通じて組織課題の解消を図っております。この結果、当年度の受講率は98%となり、目標達成に向けて着実に進捗しております。また、多様性を担保するためのKPIとして「キャリア採用者管理職比率」を設定、2030年度50%を目標と定めました。現状キャリア採用者管理職比率は55%となっており、既に目標達成済ですが、引き続き登用を続ける方針です。
さらに、新たな取組として東急プラザ原宿「ハラカド」でのLGBTQ+映画上映イベントの実施や「障がい者雇用情報連絡会」での情報共有を行っており、これらの取り組みが評価され、LGBTQ+に関する「PRIDE指標」における最高位「ゴールド」の連続受賞(東急不動産㈱、㈱東急コミュニティー)や、「プラチナくるみん」の認定取得(東急住宅リース㈱)など、外部からも高い評価を得ております。
また、多様な人財が安心して活躍できる基盤として、ビジネスを通じた人権の尊重を推進しております。2025年度には、従業員一人ひとりの人権に対する基礎知識の理解と意識向上を目的として「人権ハンドブック」を新たに発刊いたしました。人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や通報窓口(ヘルプライン)の適切な運用等を通じて、差別やハラスメントのない健全な職場環境を構築するとともに、サプライチェーン全体における人権課題にも対応し、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

・イノベーティブな組織風土の醸成
「挑戦するDNA」を継承し、会社の枠を超えたイノベーションを創出するために、「STEP」というグループ共創型社内ベンチャー制度を設立しております。「STEP」は「S(Start/Sustainable/Shibuya)」+「TFHD(東急不動産ホールディングス)Entrepreneur Program」の略称です。2019年度にグループ従業員を対象として開始し、2025年度には第7期を迎えました。2025年度時点で応募累計530件、内5件が事業化決定しております。2025年4月には事業化5件目となる株式会社ReINNを設立しました。民泊サービスを提供する会社として、日本の宿泊市場の再定義と未活用不動産資産の有効活用を目指す新たなサービスを展開いたします。
「STEP」では、審査の結果、会社設立ではなく、グループ内での施策として採用されたプロジェクトもあります。2025年度応募の「不動産業界のサポーティブスタッフのキャリア支援事業」の事業案は、東急不動産ホールディングスのグループ人事施策として姿を変えて始動し、専門知見を保有する有期雇用労働者の離職を防ぎ、即戦力人材としてグループ全体で継続雇用を維持する枠組みの構築を検討しております。このように、会社設立という手段だけに留めず、イノベーティブな組織風土が途切れぬようグループで多面的に取り組んでおります。
・健康経営の推進
従業員の幸福と健康維持・増進を重要な経営課題と捉えて、心身の健康に繋がる様々な施策に取り組んでいます。2030年度の目標として、健康診断受診率100%・ストレスチェック受検率100%・男性育児休業取得率100%を目標に掲げ、セミナーや啓蒙活動などに取り組んでいます。また、メンタルヘルス不調からの復職支援や、サステナ月間における「女性の健康セミナー」や「介護両立イベント」を開催し、ライフステージに応じた支援を拡充しております。2025年度の従業員の健康診断受診率は100%、ストレスチェック受検率は94%と高水準を維持しており、引き続き、従業員が健康で働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。
・柔軟な働き方の支援
効率性・生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現のため、柔軟な働き方を支援しています。主要会社(東急不動産㈱、東急リバブル㈱、㈱東急コミュニティー、東急住宅リース㈱、㈱学生情報センター)ではテレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)を継続して導入し、ITを活用して場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。東急不動産㈱では、副業制度についてもトライアルを実施しており、社員の挑戦と自律を支援しています。
・ワークエンゲージメントの向上
「中期経営計画2030」に掲げる目標の達成、ならびに強固な事業ポートフォリオの構築を実現するためには、それらを推進する全従業員が高いモチベーションと一体感を持って働ける環境整備が不可欠です。激化する人材獲得競争の中においても、優秀な人財の採用力と定着率を強固にし、持続的な企業価値の向上を目指すため、従業員の働きがいと安心を支える具体的な人的資本投資として、以下の取り組みを進めております。
第一に、従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングの実現に向け、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」を導入しています。2022年より開始した第1弾は2025年に終了し、対象となる従業員に残余財産を分配し、現在第2弾を実施しております。本プランを通じて従業員の持株会への加入を促進し、資本参加による株主視点の醸成と成長成果の共有を図ることで、会社と従業員の一体感を高めております。
第二に、グループのスケールメリットを最大限に活かした福利厚生の拡充として、グループ横断の共済制度の対象事業会社を順次拡大しております。各社単独では実現が困難な高水準のサポートを提供し、グループに所属する体験価値を向上させることで、従業員の採用力・定着率を高めています。
これら従業員向けのエンゲージメント施策に各社取締役向けの株式報酬制度の導入も決定し、経営陣から従業員まで全社一丸となって持続的な企業価値の向上を目指す体制を整えております。
B.資産活用型ビジネスにおける取組(東急不動産㈱)
資産活用型ビジネスを担う東急不動産㈱では、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けて、2022年度に人事制度を改定しました。目指すべき社員像を自ら知見と経験を広げ社会への価値創造を追求する「事業プロデューサー」と掲げ、その実現に向けて制度運用を開始し、体系化した研修プログラムによる人財育成を行っております。2025年度の一人あたり研修費用は154千円、一人あたり研修時間は19時間という実績となりました。
・自律的なキャリア形成を支える「全社員面談」
事業プロデューサーとして継続的に成長するためには、会社主導ではなく、従業員自身の自律的なキャリア形成が不可欠です。当社では、一人ひとりが「事業プロデューサー」としてのキャリアを“自分ごと”として真剣に考え、前向きに挑戦できるよう、人事部と全社員が直接対話を行う「マイプロデューサー面談(全社員面談)」を実施しております。この面談を通じて得られた本人の意向を、本人異動宣言制度(社内公募制度)やキャリアチャレンジ制度の運用に活かすことで、納得感のある適材適所の配置とキャリア支援を実現しております。
・多様な知見の定着を促す「キャリアオンボーディング」
既存事業の枠組みを超えた新規領域の開拓と、事業ポートフォリオの変革を加速させるため、当社では多様な知見を持つ総合職のキャリア採用を拡大しております。これらのキャリア人財が当社のカルチャーに早期にフィットし、持ち合わせた知見を事業価値へと変換できるよう、独自のキャリアオンボーディングプログラムを強化しております。
実務面でのサポートとして、直属の上司とは異なる同僚が専任のサポート役となる「ブラザー・シスター制度」を導入しております。入社初期の「社内の歩き方」ガイドとして、定期的なランチ会等を通じたコミュニケーションの機会を設け、気軽に相談できる関係性を構築することで、新しい職場環境へのスムーズな適応を支援しています。
また、カルチャー面での適応を促すため、2025年度にはキャリア入社社員を対象とした「社長講話・ランチ懇談会」を開催いたしました。社長自らが「挑戦するDNA」といった当社の歴史や社員への期待を直接語りかけるとともに、役員や人事部を交えた活発な意見交換の場を設けております。前職の価値観からのアンラーニング(学びほぐし)と当社組織風土への理解を同時に促進することで、高いエンゲージメントを引き出し、入社後の早期活躍と定着を後押ししております。
当日の様子
C.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急リバブル㈱)
東急リバブル㈱の強みは、お客様から寄せられる不動産売買・賃貸ニーズに対して、広い事業領域と事業間連携で確実に収益機会に繋げることができる体制・人財です。理念や営業戦略においても、自部門に限らず全社の事業・リソースを活用してお客様に付加価値を提供できる人財をマルチバリュークリエイター(MVC)と定義し、一人ひとりが創出する付加価値を最大化することで、情報生産性の持続的な向上を目指しております。
・理念浸透と組織風土改革
東急リバブル㈱では、「業界No.1」という目標に向けて社員のベクトルを合わせるため、経営の可視化とビジョン浸透に注力しております。社長自らが経営方針や事業戦略を説明し、直接質疑を交わす「社員説明会」や管理職を対象とした「経営フォーラム」、さらには社長と社員が直接対話する「車座ミーティング」などを継続的に開催し、経営陣と現場の一体感を高めております。これらの対話を通じ、顧客ロイヤルティ(NPS)と従業員エンゲージメント(eNPS)が連動して向上する好循環を生み出す組織風土改革を推進しております。
・MVC戦略の推進と「LIBANK」による情報生産性の向上
豊富な川上情報を広範な事業領域で最有効活用するため、部門の壁を越えた情報連携を積極的に推進しています。その中核施策として、全社情報集約ツール「LIBANK」を2025年度に新システムとしてリリースいたしました。物件登録の自動化や顧客ニーズとのマッチング機能を搭載したことで、部門を跨いだ情報共有が飛躍的に活性化しております。結果として、本部間成約が大幅に拡大するなど、具体的な収益向上と業務効率化(情報生産性の向上)という確かな効果を創出しております。
・自律的成長を促す育成体系の進化
こうしたMVCとしての事業間連携や付加価値創出をさらに加速させるため、2025年度より人財育成体系を改訂いたしました。従来より展開している、優秀営業担当者のノウハウを体系化した「虎の巻」プログラムや「キャリアチャレンジ制度(異動希望制度)」などに加え、各階層で求められる重点能力をスキルマップとして明確化し、実務課題と連動した実践的なプログラムを提供することで、環境変化に応じた価値を創出できる次世代のリーダー人財の輩出を図っております。
加えて、多様な人財が持続的に活躍できるよう、営業現場における「水日定休チーム」、「チームでの数量目標設定」のトライアル導入など、働き方の見直しと労働生産性向上の取り組みも並行して推進しております。
D.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱東急コミュニティー)
・「ソーシャル・プロフェッショナル」の育成と新人事制度の導入
㈱東急コミュニティーでは、変化する環境下でも持続的に価値を創造できる事業モデルへの転換に向け、2026年度より新人事制度を導入することを決定いたしました。本制度では、新たに求める人財像を「ソーシャル・プロフェッショナル」と定義し、同人財像の5つの行動指針と連動した「行動評価」を新たに導入することで、一人ひとりの挑戦と成果創出を強力に後押しします。
また、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため「マネジメント」と「プロ」の選択制や、従業員の希望や事情に応じたキャリア・働き方の選択肢を広げるため、従来の職群転換に加え、職掌転換制度を新たに導入しました。さらに、若手社員の昇格に必要な最短在級年数を大幅に短縮し、早期のステップアップ機会を拡充しております。これらにより従業員のモチベーションと定着率を高め、労働生産性の持続的な向上を図っております。
処遇面においては、年収に占める月例給の比率を高めて安定性を向上させつつ、業績・成果に応じたメリハリのある報酬体系へと刷新し、全社的なベースアップによる魅力ある報酬水準を実現しています。さらに、シニア制度を改定し、豊富な知識・経験を持つシニア層が長く活躍できる環境を整備しております。
E.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急住宅リース㈱)
・新企業理念(パーパス)の策定と浸透
東急住宅リース㈱では、設立10周年となる2024年度を節目とし、今後のさらなる収益拡大とブランド価値向上、そして従業員が「やりがい」をもって働ける会社を目指し、企業理念の再構築を行いました。
2025年4月に、会社が存在する意義を表す新パーパス「安心と快適の、未来をつくる」をはじめとする新たな理念体系(パーパス・ビジョン・バリュー)を策定いたしました。このプロジェクトは、全従業員が参画した分科会や各本部から選出された委員によるワークショップなど、約1年をかけて社内の多様な意見を交わしながら進められました。これにより、全従業員の向かうベクトルと価値基準が明確になり、より社会に求められる存在であり続けるための基盤が整いました。新理念の浸透を通じて従業員のワークエンゲージメントを最大化し、持続的な事業成長を実現してまいります。
F.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱学生情報センター)
・「働きがいNo.1」を実現する人事制度改革
㈱学生情報センターでは、中期経営計画に掲げる「働きがいNo.1」の実現と人的資本マネジメントの推進に向け、2026年度より新人事制度を導入いたします。
本改定では、社員の多様なキャリア志向に応えるため、「ゼネラリスト」「エキスパート」「プロフェッショナル」の3つのキャリアパスを新設いたしました。また、職務給のベースアップや残業手当の構造見直しにより、公正で納得性の高い処遇体系への引き上げを実施しております。さらに、会社の求める人物像に基づく「目標管理制度」を刷新し、評価の透明性向上と、1on1等を通じた対話・フィードバックの質を向上させることで、社員の自律的な成長と組織の持続的成長を促進しております。
ありたい姿の実現に向け、当社グループは“すべての従業員が「挑戦するDNA」と「社会に向き合う使命感」をもち、サステナブルな社会づくりと成長を目指します”というグループ人財理念を掲げています。
そして、多様な事業ポートフォリオを支えるグループ人財戦略として、『価値を創造する人づくり』『多様性と一体感のある組織づくり』『働きがいと働きやすさの向上』の3つの戦略を進めております。
1つ目の『価値を創造する人づくり』は、グループ理念と経営戦略に基づいた、人財の育成に関する方針です。長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けてグループ理念の浸透を図るとともに、個別の事業領域にとどまらず全社的な視座で事業変革をリードできる「経営人財」や「事業変革人財」の育成、ならびに当社独自のKPIを用いたDX人財の育成と環境経営に基づく人財育成を掲げております。これらの人財を持続的に輩出することが、各事業の枠を越えたグループシナジーの創出や、新たなビジネスモデルへの変革を牽引する基盤となります。
2つ目の『多様性と一体感のある組織づくり』は、グループの価値創造を支える社内環境整備に関する方針です。女性管理職比率向上をはじめとする女性の活躍推進や、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取組による多様な人財の活躍推進に加えて、イノベーティブな組織風土の醸成が、「挑戦するDNA」の体現やグループの価値創造には不可欠と考えております。多様なバックグラウンドや専門性を持つ人財が交わり、互いに共創する「一体感」のある組織風土を醸成することは、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想を生み出し、複雑化する社会課題や顧客ニーズに対するプレミアムな価値を創出し続ける原動力となります。
3つ目の『働きがいと働きやすさの向上』は、従業員一人ひとりを支える社内環境整備に関する方針です。健康経営の推進や、ライフステージに応じた多様な働き方の支援に加え、働きがいという観点でのワークエンゲージメントの向上も重要な施策として取り組み、モニタリングしております。従業員が安心と高いモチベーションを持って働ける環境を整備することは、優秀な人財の定着を確固たるものにするとともに、労働生産性の持続的な向上に直結するものと考えております。
これら3つの人財戦略に取り組むことで、グループ従業員に対して、心も身体も健康に、モチベーションと志をもって働ける環境を実現するとともに、生産性が高く広く社会に貢献する人財を輩出します。当社グループは人的資本経営に取り組むことで、2030年のありたい姿「価値を創造し続ける企業グループ」の実現を目指してまいります。
<人財理念と人財戦略>

A.グループ全体での取組
経営戦略、事業戦略と人財戦略がどれも一貫したものとなるよう、コーポレート部門が連携しながら各社の人事施策の推進を支援する、以下のようなグループ横断施策を展開しております。
・グループ理念の浸透
「WE ARE GREEN」は、多様なグリーンの力で、2030年にありたい姿を実現していく私たちの姿勢を表現したグループスローガンです。
グループインナーサーベイ(Eラーニング形式)ではグループ従業員の意識向上を図るとともに、特にグループ各社執行役員については、どれだけ自身がグループ連携を実践できているかを示す「自分ゴト化」度を測定しております。2025年度は90%(計157名回答)の執行役員が実践していると回答し、前中期経営計画最終年度の2025年度目標を達成、高水準を維持しております。
また、「誰もが自分らしくいきいきと輝ける未来」の実現に向けたグループ横断でのインナーコミュニケーション企画「東キュン不動産ホールディングス」を展開し、それぞれが持つ”好き”=“キュン”をヒントに未来を発想するAIを通じて画像を生成し、グループ内共有やチームビルディングへの活用を行うことで、グループの一体感の醸成を図ってまいりました。
さらに2025年度は、従業員のグループへの所属意識を高め、各社のリソースを掛け合わせた広域渋谷圏戦略等の重点テーマを、グループ共創により力強く推進していくための新たな施策として、グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」を開催いたしました。アーバンスポーツの体験や観戦等を通じて、従業員とその家族がグループに「接する」「関わる」機会を創出し、「クリエイティブなカルチャー」への理解と「中期経営計画2030」の実現に向けた強固な土台を整備しております。
<グループ横断イベント「TFHDアーバンスポーツフェス 2026」>

第7回全日本ブレイキン選手権の アーバンスポーツ体験会を当社施設で開催
ファミリー観覧を実施 (グループ従業員のほか、一般参加者も募集)
・DX人財の育成
全社方針である「DX」に基づき、DX事例の創出を目指して、グループ横断プロジェクトの実行と実践型学習・研修の両輪で人財基盤の構築を行っております。2022年2月にはTFHD digital株式会社を設立し、デジタル専門人財の採用を行い、グループ各社およびグループ全体のDX支援を行う体制を築きました。そうしたDX推進に向けた組織・制度の整備や既存・新規ビジネスの双方での具体的なDX事例などが評価され、経済産業省によるDX認定に2021年より継続して選出されております。
具体的な人財育成として、事業会社においてDX推進の中心的な役割を担う人財を「ブリッジパーソン」と定義し、2030年度までにDX推進人財10,000人育成という目標を掲げて取り組んでおります。ブリッジパーソン育成のために、データ・AI活用やデジタルマーケティングなど様々なデジタルスキル習得のためのプログラムを用意するほか、ビジネスモデル変革を担う人財を育成する実践型研修である未来洞察型プログラム「HD-X」では未来のデジタル事業構想をグループ会社の現場社員が参加してアイデア創出を行っております。
これらに加え、実践的なデジタルスキルの習得と高度なDX人財の育成を加速させることで、既存事業の枠組みを超えた新たなビジネスモデルの変革と継続的なデジタルビジネスの創出を図るため、2025年度より新たにDX推進人財の最上位に位置する「スーパーブリッジパーソン」を設け、育成に取り組んでいます。各社からホールディングスのDX推進部門への異動・出向を通じて「高度なDX推進スキル習得」及び「DXプロジェクト推進経験」により高度なDX人財の育成を加速させています。
こうした当社のDXビジョン「Digital Fusion」で掲げる「EX(従業員体験価値)」「CX(顧客体験価値)」「BX(ビジネスモデル変革)」の3つのXの好循環を核とした戦略や、それを実現するための組織体制・高度なDX推進人財育成プログラムの実績が高く評価され、経済産業省と東京証券取引所が認定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄 2026」に選定されました。
<スーパーブリッジパーソン制度の新設>

・環境経営に基づく人財育成
当社グループが目指す「サステナブルな社会づくりと成長」を実現するためには、従業員一人ひとりが環境・社会課題を自らのビジネスを通じて解決し、新たな環境プレミアムを創出する風土の醸成が不可欠です。そのため、全社方針である「環境経営」に基づき、Eラーニングや体感型サステナブル研修、グループ社員のサステナビリティ意識浸透を企図した「サステナ月間」やサステナブル・アクション・アワードを通じて啓発を行っています。サステナブル・アクション・アワードでは、事業活動を通じた環境・社会課題解決の具体的な取組を表彰しています。2025年度は203案件(対前年+11件)という多くの応募が寄せられ、2022年度から2025年度までの累計応募数は699件となり、2025年度の目標であった累計応募数300件を大幅に達成。これらの取組を基盤とした「事業を通じた環境への取組件数」は2025年度実績で27件、累計132件となり、2030年度目標である累計100件以上を達成し、成果を創出しています。環境先進企業として、社員一人ひとりが環境への理解を促進し、環境価値の機会創出につながる人財育成を図っています。
・女性の活躍推進
女性の活躍推進については特に重要なテーマと捉え、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)の基本理念に則り、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
女性の活躍を促進するために、当社グループは次の3つの方針で取り組んでおります。第一に、経営層のコミットメントです。女性の活躍推進を経営課題として捉えるために、「新卒女性採用比率」「女性管理職比率」「女性管理職候補比率」をKPIとして取り組んでおります。「新卒女性採用比率」は、2030年度目標は50%と掲げて採用活動に取り組んでおり、2026年4月実績は42%となりました。「女性管理職比率」は2030年度目標を20%以上と掲げており、2026年4月実績が10%という進捗です。「女性管理職候補比率」は女性管理職の一つ手前の等級(係長層)を対象とした指標で、2030年度目標を20%以上と設定し、2026年4月実績19%です。「女性管理職比率」は実績から一定の乖離がある目標値ではありますが、「女性管理職候補比率」の底上げを図ることで進めてまいります。
第二に、制度の取組です。各事業の特性に合わせ、ライフイベントとキャリアの継続を両立できる柔軟な支援体制の整備を進めております。具体的には、育休取得者の業務をカバーする周囲の従業員に向けた手当の導入(㈱東急コミュニティー)や育児短時間勤務の対象期間の延長(東急住宅リース㈱)など、各社の実態に即した制度を拡充しております。制度を利用する本人だけでなく、周囲の従業員も前向きに協働できる仕組みを整えることで、誰もがキャリアを諦めずに活躍し続けられる環境づくりを推進しております。
第三に、風土の取組です。制度があっても風土が伴わなければ、女性活躍は実現できないと考えております。女性管理職手前層を対象とした「次世代女性リーダー育成研修」をグループ5社に拡大して実施するとともに、研修卒業生を対象としたネットワーキングイベントを開催し、多様なリーダーシップの在り方やロールモデルの共有を支援しております。
その他、男性育児休業取得率について2030年100%と目標に掲げており、2025年度実績は93%となりました。男性も積極的に育児休暇を取得することで、男女間の職位の偏りがないよう、女性のキャリアパスや働き方を支援し、これまで以上の女性活躍を促進するとともに、男女賃金格差の改善に取り組んでまいります。
・多様な人財の活躍推進
多様な属性や価値観を持つ人財がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備し、新たなイノベーションと価値創造を継続的に生み出す組織基盤を構築するため、当社グループはDE&Iビジョンを策定しております。多様な属性の違いをお互いに認め、差別をなくすと共に公正な活躍機会を提供し、誰もが自分らしくいきいきと働ける環境作りに取り組みます。従業員に対しては「DE&I」理解深化のEラーニングを実施し、受講率をKPIとして設定、2030年度は受講率100%を目指しております。2025年度は「哲学対話」をテーマとしてHD全従業員必須で展開するとともにアンケート調査を実施し、各社へのフィードバックを通じて組織課題の解消を図っております。この結果、当年度の受講率は98%となり、目標達成に向けて着実に進捗しております。また、多様性を担保するためのKPIとして「キャリア採用者管理職比率」を設定、2030年度50%を目標と定めました。現状キャリア採用者管理職比率は55%となっており、既に目標達成済ですが、引き続き登用を続ける方針です。
さらに、新たな取組として東急プラザ原宿「ハラカド」でのLGBTQ+映画上映イベントの実施や「障がい者雇用情報連絡会」での情報共有を行っており、これらの取り組みが評価され、LGBTQ+に関する「PRIDE指標」における最高位「ゴールド」の連続受賞(東急不動産㈱、㈱東急コミュニティー)や、「プラチナくるみん」の認定取得(東急住宅リース㈱)など、外部からも高い評価を得ております。
また、多様な人財が安心して活躍できる基盤として、ビジネスを通じた人権の尊重を推進しております。2025年度には、従業員一人ひとりの人権に対する基礎知識の理解と意識向上を目的として「人権ハンドブック」を新たに発刊いたしました。人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や通報窓口(ヘルプライン)の適切な運用等を通じて、差別やハラスメントのない健全な職場環境を構築するとともに、サプライチェーン全体における人権課題にも対応し、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

・イノベーティブな組織風土の醸成
「挑戦するDNA」を継承し、会社の枠を超えたイノベーションを創出するために、「STEP」というグループ共創型社内ベンチャー制度を設立しております。「STEP」は「S(Start/Sustainable/Shibuya)」+「TFHD(東急不動産ホールディングス)Entrepreneur Program」の略称です。2019年度にグループ従業員を対象として開始し、2025年度には第7期を迎えました。2025年度時点で応募累計530件、内5件が事業化決定しております。2025年4月には事業化5件目となる株式会社ReINNを設立しました。民泊サービスを提供する会社として、日本の宿泊市場の再定義と未活用不動産資産の有効活用を目指す新たなサービスを展開いたします。
「STEP」では、審査の結果、会社設立ではなく、グループ内での施策として採用されたプロジェクトもあります。2025年度応募の「不動産業界のサポーティブスタッフのキャリア支援事業」の事業案は、東急不動産ホールディングスのグループ人事施策として姿を変えて始動し、専門知見を保有する有期雇用労働者の離職を防ぎ、即戦力人材としてグループ全体で継続雇用を維持する枠組みの構築を検討しております。このように、会社設立という手段だけに留めず、イノベーティブな組織風土が途切れぬようグループで多面的に取り組んでおります。
・健康経営の推進
従業員の幸福と健康維持・増進を重要な経営課題と捉えて、心身の健康に繋がる様々な施策に取り組んでいます。2030年度の目標として、健康診断受診率100%・ストレスチェック受検率100%・男性育児休業取得率100%を目標に掲げ、セミナーや啓蒙活動などに取り組んでいます。また、メンタルヘルス不調からの復職支援や、サステナ月間における「女性の健康セミナー」や「介護両立イベント」を開催し、ライフステージに応じた支援を拡充しております。2025年度の従業員の健康診断受診率は100%、ストレスチェック受検率は94%と高水準を維持しており、引き続き、従業員が健康で働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。
・柔軟な働き方の支援
効率性・生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現のため、柔軟な働き方を支援しています。主要会社(東急不動産㈱、東急リバブル㈱、㈱東急コミュニティー、東急住宅リース㈱、㈱学生情報センター)ではテレワーク制度およびフレックス勤務制度(またはスライド勤務制度)を継続して導入し、ITを活用して場所や時間にとらわれないフレキシブルな働き方を実現しています。東急不動産㈱では、副業制度についてもトライアルを実施しており、社員の挑戦と自律を支援しています。
・ワークエンゲージメントの向上
「中期経営計画2030」に掲げる目標の達成、ならびに強固な事業ポートフォリオの構築を実現するためには、それらを推進する全従業員が高いモチベーションと一体感を持って働ける環境整備が不可欠です。激化する人材獲得競争の中においても、優秀な人財の採用力と定着率を強固にし、持続的な企業価値の向上を目指すため、従業員の働きがいと安心を支える具体的な人的資本投資として、以下の取り組みを進めております。
第一に、従業員のファイナンシャル・ウェルビーイングの実現に向け、「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」を導入しています。2022年より開始した第1弾は2025年に終了し、対象となる従業員に残余財産を分配し、現在第2弾を実施しております。本プランを通じて従業員の持株会への加入を促進し、資本参加による株主視点の醸成と成長成果の共有を図ることで、会社と従業員の一体感を高めております。
第二に、グループのスケールメリットを最大限に活かした福利厚生の拡充として、グループ横断の共済制度の対象事業会社を順次拡大しております。各社単独では実現が困難な高水準のサポートを提供し、グループに所属する体験価値を向上させることで、従業員の採用力・定着率を高めています。
これら従業員向けのエンゲージメント施策に各社取締役向けの株式報酬制度の導入も決定し、経営陣から従業員まで全社一丸となって持続的な企業価値の向上を目指す体制を整えております。
B.資産活用型ビジネスにおける取組(東急不動産㈱)
資産活用型ビジネスを担う東急不動産㈱では、長期ビジョン「GROUP VISION 2030」の実現に向けて、2022年度に人事制度を改定しました。目指すべき社員像を自ら知見と経験を広げ社会への価値創造を追求する「事業プロデューサー」と掲げ、その実現に向けて制度運用を開始し、体系化した研修プログラムによる人財育成を行っております。2025年度の一人あたり研修費用は154千円、一人あたり研修時間は19時間という実績となりました。
・自律的なキャリア形成を支える「全社員面談」
事業プロデューサーとして継続的に成長するためには、会社主導ではなく、従業員自身の自律的なキャリア形成が不可欠です。当社では、一人ひとりが「事業プロデューサー」としてのキャリアを“自分ごと”として真剣に考え、前向きに挑戦できるよう、人事部と全社員が直接対話を行う「マイプロデューサー面談(全社員面談)」を実施しております。この面談を通じて得られた本人の意向を、本人異動宣言制度(社内公募制度)やキャリアチャレンジ制度の運用に活かすことで、納得感のある適材適所の配置とキャリア支援を実現しております。
・多様な知見の定着を促す「キャリアオンボーディング」
既存事業の枠組みを超えた新規領域の開拓と、事業ポートフォリオの変革を加速させるため、当社では多様な知見を持つ総合職のキャリア採用を拡大しております。これらのキャリア人財が当社のカルチャーに早期にフィットし、持ち合わせた知見を事業価値へと変換できるよう、独自のキャリアオンボーディングプログラムを強化しております。
実務面でのサポートとして、直属の上司とは異なる同僚が専任のサポート役となる「ブラザー・シスター制度」を導入しております。入社初期の「社内の歩き方」ガイドとして、定期的なランチ会等を通じたコミュニケーションの機会を設け、気軽に相談できる関係性を構築することで、新しい職場環境へのスムーズな適応を支援しています。
また、カルチャー面での適応を促すため、2025年度にはキャリア入社社員を対象とした「社長講話・ランチ懇談会」を開催いたしました。社長自らが「挑戦するDNA」といった当社の歴史や社員への期待を直接語りかけるとともに、役員や人事部を交えた活発な意見交換の場を設けております。前職の価値観からのアンラーニング(学びほぐし)と当社組織風土への理解を同時に促進することで、高いエンゲージメントを引き出し、入社後の早期活躍と定着を後押ししております。
当日の様子C.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急リバブル㈱)
東急リバブル㈱の強みは、お客様から寄せられる不動産売買・賃貸ニーズに対して、広い事業領域と事業間連携で確実に収益機会に繋げることができる体制・人財です。理念や営業戦略においても、自部門に限らず全社の事業・リソースを活用してお客様に付加価値を提供できる人財をマルチバリュークリエイター(MVC)と定義し、一人ひとりが創出する付加価値を最大化することで、情報生産性の持続的な向上を目指しております。
・理念浸透と組織風土改革
東急リバブル㈱では、「業界No.1」という目標に向けて社員のベクトルを合わせるため、経営の可視化とビジョン浸透に注力しております。社長自らが経営方針や事業戦略を説明し、直接質疑を交わす「社員説明会」や管理職を対象とした「経営フォーラム」、さらには社長と社員が直接対話する「車座ミーティング」などを継続的に開催し、経営陣と現場の一体感を高めております。これらの対話を通じ、顧客ロイヤルティ(NPS)と従業員エンゲージメント(eNPS)が連動して向上する好循環を生み出す組織風土改革を推進しております。
・MVC戦略の推進と「LIBANK」による情報生産性の向上
豊富な川上情報を広範な事業領域で最有効活用するため、部門の壁を越えた情報連携を積極的に推進しています。その中核施策として、全社情報集約ツール「LIBANK」を2025年度に新システムとしてリリースいたしました。物件登録の自動化や顧客ニーズとのマッチング機能を搭載したことで、部門を跨いだ情報共有が飛躍的に活性化しております。結果として、本部間成約が大幅に拡大するなど、具体的な収益向上と業務効率化(情報生産性の向上)という確かな効果を創出しております。
・自律的成長を促す育成体系の進化
こうしたMVCとしての事業間連携や付加価値創出をさらに加速させるため、2025年度より人財育成体系を改訂いたしました。従来より展開している、優秀営業担当者のノウハウを体系化した「虎の巻」プログラムや「キャリアチャレンジ制度(異動希望制度)」などに加え、各階層で求められる重点能力をスキルマップとして明確化し、実務課題と連動した実践的なプログラムを提供することで、環境変化に応じた価値を創出できる次世代のリーダー人財の輩出を図っております。
加えて、多様な人財が持続的に活躍できるよう、営業現場における「水日定休チーム」、「チームでの数量目標設定」のトライアル導入など、働き方の見直しと労働生産性向上の取り組みも並行して推進しております。
D.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱東急コミュニティー)
・「ソーシャル・プロフェッショナル」の育成と新人事制度の導入
㈱東急コミュニティーでは、変化する環境下でも持続的に価値を創造できる事業モデルへの転換に向け、2026年度より新人事制度を導入することを決定いたしました。本制度では、新たに求める人財像を「ソーシャル・プロフェッショナル」と定義し、同人財像の5つの行動指針と連動した「行動評価」を新たに導入することで、一人ひとりの挑戦と成果創出を強力に後押しします。
また、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため「マネジメント」と「プロ」の選択制や、従業員の希望や事情に応じたキャリア・働き方の選択肢を広げるため、従来の職群転換に加え、職掌転換制度を新たに導入しました。さらに、若手社員の昇格に必要な最短在級年数を大幅に短縮し、早期のステップアップ機会を拡充しております。これらにより従業員のモチベーションと定着率を高め、労働生産性の持続的な向上を図っております。
処遇面においては、年収に占める月例給の比率を高めて安定性を向上させつつ、業績・成果に応じたメリハリのある報酬体系へと刷新し、全社的なベースアップによる魅力ある報酬水準を実現しています。さらに、シニア制度を改定し、豊富な知識・経験を持つシニア層が長く活躍できる環境を整備しております。
E.人財活躍型ビジネスにおける取組(東急住宅リース㈱)
・新企業理念(パーパス)の策定と浸透
東急住宅リース㈱では、設立10周年となる2024年度を節目とし、今後のさらなる収益拡大とブランド価値向上、そして従業員が「やりがい」をもって働ける会社を目指し、企業理念の再構築を行いました。
2025年4月に、会社が存在する意義を表す新パーパス「安心と快適の、未来をつくる」をはじめとする新たな理念体系(パーパス・ビジョン・バリュー)を策定いたしました。このプロジェクトは、全従業員が参画した分科会や各本部から選出された委員によるワークショップなど、約1年をかけて社内の多様な意見を交わしながら進められました。これにより、全従業員の向かうベクトルと価値基準が明確になり、より社会に求められる存在であり続けるための基盤が整いました。新理念の浸透を通じて従業員のワークエンゲージメントを最大化し、持続的な事業成長を実現してまいります。
F.人財活躍型ビジネスにおける取組(㈱学生情報センター)
・「働きがいNo.1」を実現する人事制度改革
㈱学生情報センターでは、中期経営計画に掲げる「働きがいNo.1」の実現と人的資本マネジメントの推進に向け、2026年度より新人事制度を導入いたします。
本改定では、社員の多様なキャリア志向に応えるため、「ゼネラリスト」「エキスパート」「プロフェッショナル」の3つのキャリアパスを新設いたしました。また、職務給のベースアップや残業手当の構造見直しにより、公正で納得性の高い処遇体系への引き上げを実施しております。さらに、会社の求める人物像に基づく「目標管理制度」を刷新し、評価の透明性向上と、1on1等を通じた対話・フィードバックの質を向上させることで、社員の自律的な成長と組織の持続的成長を促進しております。