有価証券報告書-第15期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 11:33
【資料】
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【項目】
63項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度における我が国の経済は、政府の経済政策や日本銀行による大規模金融緩和策の継続、米国経済の堅調な回復などを背景に円安・株高となり、輸出産業を中心に企業業績の改善を見せております。しかしながら、足元では急激な円安による個人の消費マインド低下の懸念や新興国を中心とした海外景気の下振れリスクの高まりなどを要因として、先行きが不透明な状況となっております。
当社が属する出版業界におきましても、依然として厳しい状況が続いており、出版科学研究所によると、平成26年の出版物推定販売金額は前年比4.5%減の1兆6,065億円で、昭和25年の調査開始以来、最大の下げ幅でありました。その内訳は、「書籍」7,544億円(前年比4.0%減)、「雑誌」8,520億円(同5.0%減)となっており、特に「雑誌」が厳しい状況にさらされております。しかしながら、インターネット発の出版物は、縮小する書籍市場内においても、引続き好調に推移しており、そのビジネスモデルに対する市場の注目度は高まっております。
このような環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、編集部員を増員することによりインターネット発の書籍化やその書籍の漫画化を加速させてまいりました。加えて、インターネット上に点在する良質なコンテンツ(小説・漫画等)の更なる確保にむけ、当社Webサイトの全面リニューアルや新サービス「投稿インセンティブ」の開始等を筆頭に、ユーザーにとってより利便性の高いサイト作りに積極的に取り組んでまいりました。
これらの活動により、当事業年度における出版点数は356点(前期比96点増)、新規Web連載漫画本数は32点(同13点増)、及びWebコンテンツ登録数は4,709点(同1,506点増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,664,274千円(前期比30.2%増)、営業利益は792,433千円(同22.6%増)、経常利益は771,209千円(同19.7%増)、当期純利益は455,606千円(同15.8%増)となり、6期連続で売上高・利益ともに過去最高を更新いたしました。
なお、書籍のジャンル別の概況は以下の通りであります。
(ライトノベル)
刊行点数を185点(前期比37点増)に増加させたこと、及び当社主力書籍『ゲート』のアニメ化発表に伴い、関連書籍の売行きが好調に推移したことにより、当事業年度の売上高は前期を上回る結果となりました。
(漫画)
ジャンル拡大の一環として、現在、最も注力している「漫画」の刊行点数は23点(前期比13点増)と、大幅に増加させたことに加え、主力である『ゲート』以外にも『Re:Monster(リ・モンスター)』、『ワールド・カスタマイズ・クリエーター』及び『Bグループの少年』等、発行部数2万部を超えるヒット作も数多く生み出し、業績を牽引しました。
また、Web連載漫画化も順調に推移しており、当事業年度では、新たに32点(前期比13点増)の連載を開始しました。その中には『とあるおっさんのVRMMO活動記』、『異世界でカフェを開店しました。』や『THE NEW GATE』等、最新話の更新日には、1日で1万人超の当社サイトユーザーに閲覧されている人気作品(注)が10タイトル以上含まれており、今後の更なる成長の布石を打つことに成功しました。
(注)Web連載漫画『ゲート』の場合、最新話の更新日には、1日で約3万人の読者が閲覧しております。
また、同タイトルを漫画として出版した場合、発行部数は約8万部となります。
(文庫)
『ゲート』の売行きが好調であることに加え、男性向けライトノベルの文庫版として、第2四半期会計期間に創刊した「アルファライト文庫」からは毎月堅調に一定のラインナップが刊行でき、かつ、売行きも安定的に推移したことにより、業績の下支えとなる実績をあげることができました。
(その他)
当事業年度に刊行した一般文芸書『居酒屋ぼったくり』がシリーズ累計発行部数21万部を突破し、当ジャンルの業績を牽引しました。また、取扱ジャンル拡大に向け、絵本『ママだいすき!』、『さむがりループとながぐつ』や、ビジネス書『ウーマノミクス』、『大学では教えてくれないビジネスの真実』及び、一般文芸書『座卓と草鞋と桜の枝と』等の刊行も行い、一定の実績をあげることができました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は前事業年度末より1,763,131千円増加し、2,475,383千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは143,121千円の収入となりました。この主な要因は、売上債権が653,126千円増加し、かつ法人税等の支払額が285,828千円発生する一方で、書籍売上が好調に推移したことにより税引前当期純利益が771,209千円計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは53,092千円の支出となりました。この主な要因は、本社移転に関わる敷金の支払55,012千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,673,101千円の収入となりました。この主な要因は、株式の発行による1,707,648千円の収入が発生したことによるものであります。