訂正有価証券報告書-第10期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/10/07 11:39
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【項目】
70項目

事業等のリスク


当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に係るリスクについて
① インターネット広告市場について
近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネットはテレビに次ぐ広告媒体となっております。特に、当社の主力事業である運用型ディスプレイ広告(DSPなど)の市場規模は急速に拡大しており、当社の業績も拡大傾向にあります。
しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新、その他予期せぬ要因等により、インターネット市場における業界環境が変化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② アドテクノロジー業界について
インターネット広告市場では、広告の表示方法や販売手法など広告の効果を向上させるための様々な取組みや技術の導入が行われております。当社も配信システムの改善、新たな機能の追加などを行うことにより、競争力の維持・強化に努めております。しかしながら、インターネット広告における新たな手法や新たな技術が出現した場合、当社が提供している広告配信システムの競争力が著しく低下することにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業界における技術革新について
インターネット関連分野における技術革新は著しく進展しております。インターネットを利用して事業を運営している会社は、常に業界動向、技術革新、顧客ニーズの変化等に即座に対応する必要があります。技術革新によるスマートフォンやタブレットの急速な普及のようにユーザーの利用環境が変化する事も予想され、当社がこのような環境変化への対応に時間を要した場合には、競争力の低下を招き、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について
現時点において、当社の主力事業である運用型ディスプレイ広告サービスに関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかし、インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社の運用型ディスプレイ広告を行う際に、成果のトラッキング及び不正行為防止のために使用している技術(Cookieの使用等)が規制、制限された場合には、代替手段の開発に多額の投資が必要となり、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有害コンテンツを含む広告及びパートナーサイトに対する規制について
当社が運営している運用型ディスプレイ広告サービスは、広告主の募集において、サービス申込時に審査を行うなど、規約を設けて手続面での管理を実施しております。また、申込み時だけでなくその後も当社の社員がサイトの内容など規約の遵守状況を定期的にモニターする体制をとっており、規約に違反する行為が見られた場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。
当社では、サービスを提供する際に規約等により独自の基準を設けており、法令や公序良俗に反する広告及び掲載されているコンテンツを排除するように規制並びに管理をしております。また、当該規制の対象となる広告並びにパートナーサイトの内容については「特定商取引に関する法律」等を念頭におき、広告主が運営するWebサイトの内容について定期的な確認を行い、当社の基準に反する広告コンテンツ等が存在している場合は、広告主に対して警告を行い排除に努めております。当社が行なった警告に従わない場合は契約の解除等の対策を行っております。しかしながら、広告主が法令や公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を継続した場合には、当社の信用が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合サービスについて
当社は、インターネット広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営体制に係るリスクについて
① 特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社では、事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。また当社では、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している従業員が、各部門の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、特定の分野についてはこれらの人物のノウハウに依存している面があります。このため当社では、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び技術スタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社の事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社は、平成17年8月に設立し、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ オペレーションリスクについて
当社の各サービスでは、顧客企業の商品マスタや物件情報等を日々取り扱っており、煩雑で件数も膨大になります。それに付随する、オペレーション上のミスが発生する可能性があります。当社では、ミスの軽減を図るため、システムでの管理により、業務基盤の整備を進めておりますが、事務処理における事故・不正等が起きた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティー管理について
当社は、レコメンデーションサービス及び運用型ディスプレイ広告サービスの提供にあたり会員情報や銀行口座の情報等の個人情報を取得及び利用しておりません。しかしながら、取引データの管理や、社内における顧客企業等の情報及び個人情報についてもその取扱いには細心の注意を払い、法令を遵守するほか入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について最大限の取組みを行っております。しかしながら、以上のような当社の努力にもかかわらず、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出等が発生した場合には、当社への損害賠償の請求や当社の社会的信用の失墜等によって、当社の事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社は、当社の提供するサービスの基礎をなす技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社の事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社に対する訴訟やクレーム等が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ スマートフォン分野への事業展開について
今後はスマートフォンの利用が活発化するものと見込まれております。当社としてもPC向けサービスのスマートフォン対応を進めておりますが、インターネットのスマートフォンでの利用が大きく拡大した場合、PCからのサービス利用と同等の利用者数や利用時間を獲得できない可能性があります。その場合には当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 設備及びネットワークの安定性について
インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透してきており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社の設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。当社は、運用型ディスプレイ広告の運営サービスを提供し、また成果の集計管理をシステムを通じて提供しております。システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味するため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。
しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社の設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に影響が生じることが考えられ、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 京セラコミュニケーションシステム株式会社との関係について
当社と「デクワス.DSP」(現在は、名称変更をして、「KANADE DSP」)の共同開発を行いました京セラコミュニケーションシステム株式会社は、当社と業務提携を行っており、パーソナライズ・アドサービスにおいて共同で「KANADE DSP」のサービス開発・提供を行っております。平成27年6月期の「KANADE DSP」の売上全体に占める割合は、15.1%となっております。当社と京セラコミュニケーションシステム株式会社は良好な関係を築いており、現時点において当該会社との取引関係等に支障は生じていないものの、京セラコミュニケーションシステム株式会社の方針の変更等により、当社との業務提携が解消又は修正されたことにより当社との関係に変化が生じた場合には、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 成果報酬型の料金体系について
パーソナライズ・アドサービスの成果報酬型の料金体系で課金を行う案件において、パーソナライズ・エンジン「デクワス」がユーザーの行動履歴などの情報を収集し解析する学習期間が必要となり、顧客企業と契約した成果が出るまでは、顧客企業から得られる売上よりも当社が買い付ける広告枠費が多くなるという現象が発生するケースがあります。
広告枠費については、当社でも日々管理をしているものの、その結果として損失が発生し、損失が膨らむと、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① ストック・オプションによる株式価値の希薄化について
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は209,694株であり、発行済株式総数の10.3%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
② 資金使途について
平成26年12月19日付で、株式会社東京証券取引所マザーズ市場に上場したことに伴う、公募増資による調達資金の使途については、当社の展開するサービスの広告配信量及び取り扱うデータ量の増加に対応するためのサーバー等の設備、当社に蓄積させるデータを保管するデータセンターの利用料の増加及び通信回線料の増加への投資に充てるとともに、人員拡充に伴うオフィス移転及びオフィス構築費用及びインターネット広告市場の成長を背景として、インターネット広告等の受注件数拡大による売上の増加に伴い広告枠費用等も増加することから売上回収までの運転資金に充当する予定であります。なお、データセンターの利用料は、当社に蓄積されるデータが増加すればするほど、サーバーの増設が必要となり、結果としてデータセンターにおいてサーバーを保管する面積が必要となるため、利用料が増加するものであります。
しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。
③ 配当政策について
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、事業基盤の整備状況、今後の事業展開、業績や財政状態などを総合的に勘案したうえ、配当を検討していきたいと考えております。これからしばらくの期間については、既存事業領域はもちろんのこと、更にその周辺領域においても魅力的な事業機会が存在する、又は新たに発見できると考えており、当面は更なる成長に向けたサービスの拡充、組織の構築などに投資を行うことが株主価値の最大化に資すると考え、その原資となる内部留保の充実を基本方針とする考えであります。
④ 税務上の繰越欠損金について
当社は、第6期までは当期純損失を計上しており、第7期で初めて当期純利益が計上されたものの、第8期、第9期は当期純損失を計上し、第10期で再び当期純利益を計上したものの、本書提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。
そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
第9期事業年度末の繰越利益剰余金は△528,484千円となっておりましたが、当事業年度は、当期純利益21,680千円を計上いたしました。その結果、第10期事業年度末の繰越利益剰余金は、△506,803千円となりました。
当社は、毎期確実に利益を計上することを目指して、繰越利益剰余金のマイナスを早期に解消することを経営の最優先課題と認識しておりますが、事業の進捗が計画どおりに進まない場合、解消までに時間を要する可能性があります。