有価証券報告書-第69期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 15:00
【資料】
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【項目】
120項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益は底堅く推移しており、雇用環境・所得環境に改善が見られるなど緩やかな回復基調で推移しました。一方で、個人消費には依然として伸び悩みが見られるほか、英国のEU離脱問題や米国の大統領選後の新政権の政策方針による影響等、海外の政治・経済の動向による変動リスクが内在しており、景気の先行きについては不透明な状況が続いております。
当社グループが関係する事業環境のうち小売流通市場では、景気の先行きの不透明感から日常消費に対する消費動向は慎重な状態が続いております。加えて、業種を超えた競合の激化、労働力人口の減少による人件費関連コストの上昇などにより、依然として厳しい事業環境が続いております。
建設市場では、公共投資、民間投資共に建設需要は概ね堅調を維持しており、企業の設備投資姿勢は底堅く、受注環境は総じて良好に推移しておりますが、選別受注や工事代金の高騰に伴い、入札不調や工事規模・仕様の見直し、発注延期が発生するなど、注視が必要な事業環境となっております。
貿易事業では、とりわけ主力事業の医薬品市場においては、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進策の強化など、薬剤費抑制策が推進されている中、安定供給の面から製薬メーカーによる原料の複数購買化が進むなど企業間競争が激しくなっており、厳しい事業環境となっております。加えて、海外の政治・経済の動向等により為替が乱高下しており、為替の動向は引き続き注視が必要な状況が続いております。
このような状況下におきまして、当社は、平成28年11月に関東甲信越地域にホームセンター14店舗を運営しております株式会社Jマート(平成29年4月1日より商号変更、以下「株式会社綿半Jマート」として記載)を連結子会社化し、大都市圏への店舗網拡大やグループのスケールメリットの拡大を図っております。
また、当社グループは、「自然との共生」をビジョンとして、自然と共に暮らす「Green Life」を主軸に、「環境にやさしい安全な暮らし」、「自然な彩りを楽しむ暮らし」、「自然の恵みで元気な暮らし」を追求し、「元気に、楽しく、安心して、自然と共に暮らすこと」を実現すべく事業を展開しております。加えて、持株会社である当社を軸としてIT化の推進による収益力の向上、事業の効率化及び働き方改革の推進やコンプライアンスの強化に努めるとともに、各事業会社が顧客・マーケットに適合した事業展開を積極的に推進してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は927億80百万円(前期比4.5%増)、営業利益は19億69百万円(同14.6%増)、経常利益は19億94百万円(同16.2%増)となりました。また、株式会社綿半Jマートの連結納税への加入によって法人税等が減少したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は13億44百万円(同6.4%増)となりました。
当連結会計年度のセグメントごとの業績は次のとおりであります。
<スーパーセンター事業>スーパーセンター事業では、平成28年11月に取得しました株式会社綿半Jマートのホームセンター14店輔が加わり、店舗数はスーパーセンター11店舗、ホームセンター21店舗、食品スーパー5店舗の合計37店舗となっております。
収益面では、前期に豊科店及び塩尻店のスーパーセンター2店舗を新規オープンし、株式会社綿半フレッシュマーケットを取得したことや、当期に株式会社綿半Jマートを取得したこと等により、全店売上高は前期比117.1%と増収になっております。一方、既存店売上高は、スーパーセンター店舗を中心としたEDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略による月間特売の廃止や商品の絞込み、豊科店及び塩尻店のオープンに伴う松本地域における自社競合による影響を一時的に受けたことから、上期は前年同期比95.9%となりました。これに対して下期は、EDLPが徐々にお客様にも定着されてきており、順調に効果が表れていることに加え、ミックスマッチ(複数販売による割引)やレシートクーポン企画などもお客様から支持をいただいており、前年同期比100.4%と大きく回復基調を示しております。また、利益面では、食品のロス率改善、商品の絞込みによる仕入原価の低減及びセルフレジの導入による店舗オペレーションの効率化などEDLC(エブリデー・ロー・コスト)を追求することによる利益率の改善により大幅な増益となっております。
これらの結果、売上高は588億円(同16.6%増)、セグメント利益は10億14百万円(同68.8%増)となりました。
また、平成29年1月にグループ共同仕入を目的とした綿半パートナーズ株式会社を設立しております。
※EDLP戦略とは
特売期間を設定せず、年間を通して各商品を低価格でお客様に提供する価格戦略です。
商品仕入や店舗オペレーションにかかるコストを抑えることで、地域一番の安さを実現し、お客様に「いつでもお得」と感じて安心してご購入いただける価格を提供することにより、常にお客様に愛され支持され続ける店舗づくりを推進しております。
<建設事業>建設事業では、グループビジョンとして掲げている「自然との共生」の実現に向けて、「Green」を取り入れた暮らしを推進するため、建物とガーデンを一体で企画・デザイン、施工から維持メンテナンスまでをトータル提案するなど付加価値の向上に努めております。
収益面では、自走式立体駐車場工事を中心とした大型工事物件を採算性により選別受注した結果、受注高・売上高が大きく減少しており、前期に大型工事物件や比較的利益率の高い工事物件が集中していたことも重なり、前期と比較すると減収減益になっております。このような状況の中、モノ偏重から価値重視の提案型工事にシフトしていくことにより利益率の改善を図るとともに、採算性を重視した上での受注の確保及びITの活用による技術・ノウハウの共有、工事進捗管理の見える化による生産性の向上を図り、利益確保に努めております。
これらの結果、売上高は296億83百万円(前期比13.7%減)、セグメント利益は13億72百万円(同25.8%減)となりました。
<貿易事業>貿易事業では、「取扱い原薬数を増やす」「新商品により新市場へ参入する」を重点施策として取り組んでおり、新原料の市場への投入準備を積極的に進めるとともに、既存商品につきましても収益確保に努めてまいりました。また、「自然の恵みで元気な暮らし」をお客様に提供すべく、スーパーセンター事業と共同により、天然由来成分100%のスキンケアオイルを平成28年12月に発売開始するなど、付加価値のあるプライベートブランド商品の開発を推進しております。また、為替が乱高下する中、為替変動による好影響もあり、利益を押し上げております。
これらの結果、売上高は40億15百万円(前期比8.1%増)、セグメント利益は5億97百万円(同62.9%増)となりました。
<その他>売上高は2億80百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益は1億6百万円(同10.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は32億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億24百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果獲得した資金は、63億3百万円(前期は6億85百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の減少40億67百万円、税金等調整前当期純利益18億67百万円、減価償却費13億14百万円があった一方、仕入債務の減少6億49百万円、法人税等の支払額4億56百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、3億39百万円(前期は19億44百万円の使用)となりました。これは主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入3億90百万円があった一方、固定資産の取得による支出6億42百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は、46億39百万円(前期は16億93百万円の獲得)となりました。これは主に借入金の純減少が43億16百万円、配当金の支払額2億46百万円があったこと等によるものであります。