有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/05/09 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
104項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針
①社是
私たちは社業を通じ社会に貢献します
②経営の基本理念
・わが社の事業原点:パレットを通じ人々の生活を便利にすること
わが社はパレチゼーション(注)の普及を目指し、パレットの設計、開発製造、販売、レンタル、リサイクル及び物流コンサルティングを手掛けるトータルパレットマネジメントカンパニーとして、より高い品質、利便性、経済性を他社より優れたシステムと企画力で提供し効率的な物流基盤の整備に貢献する。
・わが社の目指す企業像:地球と人を尊重する会社
わが社は国際的視野で物事に取り組み、時代に対応して変化する柔軟性を備え、規模より内容を重視し、高付加価値企業の実現を目指し、環境に配慮した循環型社会の構築に貢献し、またわが社で働くすべての人達がワクワク・イキイキとし、会社を通じ自己実現できる環境を追求する。
・わが社の求める社員像:情熱あふれ常にチャレンジする人材
わが社の人材は常に向上を目指し、変化に対応する為に自己研鑽し、失敗を恐れず、物事に対し前向きに取り組み、責任を持って困難から逃げることなく、言うべきことは言い、聴くべきは聴く事によりオープンに相互理解を図り、信頼を高めるために常に挑戦する。
上記を経営の基本理念におき、「社会のインフラをシェアするupr:Social Sharing Supporter」として事業展開を行っております。
当社グループは、地球環境保全の取組みとして、東南アジアでの植林事業へ参画しております。当社が扱う木製パレットはインドネシアやマレーシア等東南アジアから輸入されており、その土地に再び木を植えることは、木材を利用するものとしての責務だと考えています。これまでにインドネシア、マレーシア、ミャンマーで植林を行ってまいりました。
また、当社発祥の地である山口県及び宇部市で様々な活動を通して地域貢献を行っております。宇部市とのネーミングライツ契約、ユーピーアール杯少年野球大会主催、レノファ山口FCへのスポンサー活動などが主な活動であります。
上記CSR活動に関しまして、第40期連結会計年度において63百万円を充てております。
(注)パレチゼーションとは、パレット(pallet)の上に商品を載せることによって、荷姿の標準化とフォークリフトによる機械荷役ができるメリットを持った物流システムのことであります。
(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
今後当社グループが既存のコア事業であるパレットレンタルを中心にその他物流IoTソリューション等により競合他社優位性を維持し続けるためには、「(3)経営環境及び対処すべき課題」に記載の課題に対処していくことが必要と認識しております。その課題に対応するため経営者として常に外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来に関する事業環境を把握し、最適な中期経営計画、年度計画を実施していく方針であります。そのため、現在は連結売上高及び連結経常利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として取締役会等で監視を行っております。
(3)経営環境及び対処すべき課題
物流業界を取り巻く環境は、平成29年7月28日に閣議決定された「総合物流施策大綱」において「強い物流」の構築による物流の生産性向上が求められており、サプライチェーンの最適化、労働時間短縮・労働環境改善の一環として手積みからパレット輸送への切替に関心が高まっております。またIoTやビッグデータ、AI等の新技術が登場するなど、物流を取り巻く環境は大きく変化しております。
そのような環境の中、当社グループは従来の保管用レンタルパレットに依存した収益構造を主要な課題と認識しております。今後は物流環境の変化に対応したソリューションを提供することで、新たな収益の柱となる事業を確立することが必要だと認識しております。具体的には以下の施策を進めてまいります。
①パレットプールシステムの体制確立:
物流業界における慢性的なドライバー不足・高齢化による労働力不足(図1)という現状に対して、パレットプールシステムによる一貫パレチゼーション(注)導入メリットを説明し、顧客の物流効率化や生産性向上に貢献できるよう取り組みます。そのため、国内外の営業拠点・デポを拡充するとともに、業界ごとのパレットプールシステム導入を進め、それをサポートするITインフラの拡充に注力してまいります。
②スマートパレットの販売拡大:
アクティブタグを利用したスマートパレットの拡販を推進してまいります。また、競争力を更に向上させるため、アクティブタグの低コスト化に注力します。
③ベストなアシストスーツの提供:
アシストスーツの商品ラインアップを拡充し、様々な用途に適応したアシストスーツを提供してまいります。
④海外現地法人の事業拡大:
当社はアセアン地域への進出を足掛かりにアジア№1のレンタル会社を目指しており、平成23年のシンガポールを皮切りに、タイ、マレーシアに順次現地法人を設立し、平成30年には新たにベトナムにも現地法人を設立し事業を開始いたしました。各国内の活動だけでなく、国際間の一貫パレチゼーションを推進し他社との差別化を図ることでアジアNo.1に向け事業を拡大してまいります。
⑤IoTサービスの収益性改善:
IoT技術の発達により様々なスタートアップ企業及び多様なニーズが生まれている中で、これまで積み上げてきた物流分野における位置情報ソリューション及び遠隔監視ソリューションのサービス提供により注力することで、顧客の信頼を獲得し収益性改善を目指します。
⑥カーシェアリングの拡大:
「所有から利用へ」という大きなトレンドを背景にカーシェアリングサービスが拡大しています。既存の顧客へのカーシェアリングシステムのレンタル及び販売増等を実現するとともに、新規の顧客を開拓し、カーシェアリングサービスの販路拡大を継続してまいります。
(注)荷物を出発地から到着地まで同一のパレットにのせたまま輸送を行うことです。拠点ごとの積み替えを行う必要がなくなり、荷役作業時間の短縮や積み替えによる荷物の汚損・破損等の発生防止等のメリットがあります。
(図)1.就業者数と年齢構成の推移
0202010_001.png出所)「労働力調査結果」(総務省統計局)