有価証券報告書-第12期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 15:00
【資料】
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【項目】
136項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 当社グループの経営理念及び経営方針
(a) グループ経営理念
郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。
(b) グループ経営方針
・ お客さまの生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。
・ 企業としてのガバナンス、監査・内部統制を確立しコンプライアンスを徹底します。
・ 適切な情報開示、グループ内取引の適正な推進などグループとしての経営の透明性を実現します。
・ グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
・ 働く人、事業を支えるパートナー、社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出します。
② 当社グループの経営戦略等
当社グループは、平成27年4月に、新たに平成27年度から平成29年度を計画期間とする「日本郵政グループ中期経営計画 ~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」を発表いたしました。「主要三事業の収益力と経営基盤の強化」、「ユニバーサルサービスの責務の遂行」、「上場を見据えたグループ企業価値の向上」の3点を中期的なグループ経営方針とし、その上で、現在当社グループが直面している「更なる収益性の追求」、「生産性の向上」、「上場企業としての企業統治と利益還元」という新たな3つの課題を克服するため、当社グループが一丸となって、郵便・物流事業の反転攻勢や郵便局ネットワークの活性化などの「事業の成長・発展のための戦略」、ITの活用や施設・設備への投資などの「ネットワークの拡大、機能の進化を支えるグループ戦略」に取り組み、将来にわたって「トータル生活サポート企業」として発展していくことを目指しております。
当社といたしましては、平成29年度におきましても、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保並びに郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ各社の経営の基本方針の策定及び実施の確保に努めてまいります。
そして、当社グループの企業価値向上を目指し、上記方針を踏まえたグループ各社の収益力強化策や更なる経営効率化等が着実に進展するよう、グループ運営を行ってまいります。あわせて、当社グループが抱える経営課題については、持株会社として、グループ各社と連携を深めながら必要な支援を行い、その解消に努めてまいります。コーポレートガバナンスの強化のため、グループ全体の内部統制に努めるとともに、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行い、不祥事再発防止等につきましても、取り組みを推進・管理してまいります。
さらに、引き続き、グループ各社が提供するサービスの公益性及び公共性の確保や、お客さま満足度の向上に取り組むとともに、当社グループの社会的責任を踏まえたCSR活動や東日本大震災・平成28年熊本地震の復興支援に、グループ各社とともに取り組んでまいります。
金融2社株式の売却については、当社としましては、郵政民営化法に従い、最終的には当社が保有するすべての金融2社株式を売却する方針ですが、その前提として、金融2社株式の売却に伴う当社と金融2社との資本関係の変化が、金融2社の経営状況並びに当社及び日本郵便に課されているユニバーサルサービス確保の責務の履行に与える影響を見極める必要があります。そこで、当社としましては、まずは、金融2社の経営状況及びユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響が軽微と考えられる、当社の保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めることとしております。なお、金融2社株式の2分の1以上を処分することにより、郵政民営化法により課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと緩和されることになります。
また、政府も当社株式の売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源に充てることを目的として、当社株式の売却を段階的に進めていくことが予想されますが、当社及び金融2社の企業規模に鑑みれば、3社の時価総額は相当程度の規模になることが想定されるため、3社の株式を短期間で大規模に売却することは、株式市場の需給の観点からは容易ではないと考えられます。従って、当社としましては、金融2社株式をいつまでに売却するかを明確に示すことはできませんが、株式市場の動向等の条件が許す限り、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めてまいります。
金融2社株式の売却に伴う手取金については、上場時の売却においては、その売却手取金を平成27年12月に実施した自己株式の取得の資金に充てましたが、今後の売却においては、その売却手取金を適切な投資機会に対して資本を投下し、企業価値の向上を図るとともに、必要に応じ、自己株式の取得を行うことにより資本効率の維持・向上を図ります。
金融2社株式の売却に伴う事業ポートフォリオの移行を実現するための手段として、当社グループ及びグループ各社の企業価値向上に資するような積極的な業務提携やM&Aも行ってまいります。
なお、当社グループにおいては、上場企業として株主への利益還元の基礎となる当期純利益を意識すべきと考えていることから、主要な経営指標として親会社株主に帰属する当期純利益を採用しています。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループにおける経営環境については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」の記載をご参照ください。
各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
郵便・物流事業におきましては、次の収益増加及び生産性向上・ネットワーク価値向上に向けた取り組みを行います。
(a) 収益増加に向けた取り組み
郵便・物流事業につきましては、引き続き、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便の利用の維持・拡大を図るとともに、受取利便性の高いサービスの推進、中小口のお客さまに対する営業の強化、お客さまの幅広いニーズに一元的に対応できる営業体制の構築に取り組みます。
また、郵便物の減少が続く中、機械化等による生産性向上や各種コスト削減に取り組むものの、近年の人件費単価の上昇等により郵便事業の収支が悪化している状況を踏まえ、今後も安定的なサービスの提供を維持するため、平成29年6月に郵便料金等の一部を改定しております。
さらに、デジタルメッセージサービス(「MyPost(マイポスト)」)については、その利用定着を図るとともに、政府の進めるマイナポータルとの連携やワンストップサービスに取り組みます。
なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール及びゆうパックの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。
(単位:百万通・百万個)
平成25年3月期平成26年3月期平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期
郵便18,86218,57218,18918,03017,730
ゆうメール3,1013,3243,3203,4733,563
ゆうパック382428527580632

(注) ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、平成28年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、平成27年3月期以降については、それぞれ10月以降の物数に当該変更を反映しております。
(b) 生産性向上・ネットワーク価値向上に向けた取り組み
ネットワークの最適化・高度化を目指し、集配局の内務作業の集中・機械化による郵便・物流ネットワーク再編に引き続き取り組みます。
また、郵便局の業務効率の向上を目指し、引き続き、集配業務の生産性の向上、輸送効率の向上に取り組むほか、業務運行に必要な労働力を確保できるよう、地域ごとの状況を踏まえた効果的な募集活動及び定着に向けた取り組みを行います。
② 金融窓口事業
金融窓口事業におきましては、次の収益増加及び生産性向上・ネットワーク価値向上に向けた取り組みを行います。
(a) 収益増加に向けた取り組み
銀行窓口業務及び保険窓口業務をはじめとする金融サービスにつきましては、金融2社と連携した研修を通じた社員の営業力強化や、投資信託の販売を通じ、金融預かり資産重視の営業スタイルの更なる浸透や新契約拡大、新規利用顧客の拡大を図ります。また、がん保険等の提携金融サービスにつきましても、研修等を通じ、社員の営業力強化に取り組みます。
物販事業につきましては、他社との提携等により、商品の拡充・開発を行うとともに、販売チャネルの多様化を推進します。
不動産事業につきましては、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設などの賃貸事業等を推進します。
また、引き続き、地域住民の利便性の向上に資することを目的とした「郵便局のみまもりサービス」の本格展開に向けた取り組みを行います。
(b) 生産性向上・ネットワーク価値向上に向けた取り組み
ネットワークの最適化・高度化を目指し、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化に取り組みます。郵便局の現金取扱いに関して、機器の増配備により資金管理体制の充実を図るとともに、郵便局への訪問支援や関連ツールの充実等による業務品質の向上に取り組みます。
③ 国際物流事業
国際物流事業におきましては、資源価格の下落及び中国経済・豪州経済の減速等を受け、当連結会計年度においてのれん等その他を減損損失として計上いたしました(当連結会計年度におけるのれん等その他の減損損失の計上については、上記、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」の記載をご参照ください。)。このような状況を受け、平成29年1月に実施したトール社経営陣の刷新に加え、部門の統廃合・簡素化といった組織体制の見直しや、それに伴う人員削減のほか、サービス品質の向上など、トール社の業績回復・将来の成長への基盤を整えるための対策に取り組みます。
当社グループとしましては、引き続きトール社をグローバル展開のための中核と位置づけ、グループの企業価値向上に資するよう、経営改善策を実行していきます。
④ 銀行業
ゆうちょ銀行は、郵便局のネットワークを中心としたリテール営業力が支える安定した資金調達や、強固な資本基盤、またこれらの特性を活かしたALM・運用戦略によって、安定的な利益を創出してまいりましたが、引き続き、厳しい経営環境下、全社一丸となって中期経営計画に盛り込んだ課題に取り組んでまいります。
特に、金利が低位で推移することにより、国債運用等のベース・ポートフォリオの収益減少が見込まれますが、安定的な利益を確保するため、手数料ビジネスの強化、国際分散投資等のサテライト・ポートフォリオの収益拡大、経費の効率的使用に注力します。
(a) 顧客基盤の確保と手数料ビジネスの強化
ゆうちょ銀行は、日本郵便(郵便局)を基盤とするリテール営業力を活用し、お客さまのニーズに適う商品・サービスを提供して、引き続きのご利用を促進します。
また、資産運用コンサルタントの増員・育成等によるリテール営業力の一層の強化と、お客さまの資産運用ニーズや投資経験にあわせた投資信託や変額年金保険等の資産運用商品を提案し、お客さまの資産運用ニーズを広くくみ取るため、郵便局の店舗網の更なる活用、人材育成支援により販売態勢を強化します。
ATM・決済サービスは、引き続き、ATMの戦略的な配置や、全国のファミリーマート店舗への小型ATMの設置を推進するとともに、送金決済サービスを拡充してお客さまの利便性の向上を図ります。
こうした取り組みにより、金利変動による影響を受けにくい手数料ビジネスの強化を図ります。
(b) 地域経済活性化への貢献
地域金融機関との連携による地域経済活性化ファンドへの出資は、今後も拡大します。ファンドを通じてゆうちょ銀行の資金を地域に還元することで、地域経済の活性化に貢献します。さらに、ファンド出資に係る知見の蓄積や専門人材の育成により、態勢強化を図るとともに、地域経済活性化ファンド以外の分野での連携についても、引き続き、ビジネス開拓・協働等に取り組んでまいります。
(c) サテライト・ポートフォリオの資産内容充実など運用の高度化・多様化
ベース・ポートフォリオでは、低金利環境の長期化により、資金運用を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあるものの、中長期的な安定収益の確保を目指し、金利動向に応じて機動的に運用します。
サテライト・ポートフォリオでは、収益の向上を目指し、国際分散投資に加え、新たな投資領域である、プライベート・エクイティ、不動産ファンド、ヘッジファンドなどのオルタナティブ投資の推進を図るとともに、既存の投資領域についても、相場動向に応じた機動的な運用に努めます。あわせて、引き続き、外貨資金の調達手段の多様化に取り組むとともに、専門的人材の採用・育成により運用態勢を強化します。
一方、リスク管理も、ストレス・テストの充実など将来の課題を見据え、高度化を目指します。また、オルタナティブ投資の推進に伴い、リスク管理態勢を強化するほか、外貨流動性リスク管理強化等に取り組みます。
(d) 経費の効率的使用
お客さまサービスの向上やゆうちょ銀行の成長に資する分野への投資は積極的に行う一方で、既定経費の削減やBPR(業務プロセスの変革による生産性の向上)を推進するなど、一層の経費の効率的使用に努めます。
(e) 内部管理態勢の充実・経営インフラの整備
各種研修等を通じたコンプライアンス意識の更なる浸透や、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)を実現するための方針を定めた上で、資産運用商品販売等においてその実践に努め、企業価値向上に向けた内部管理態勢の一層の強化に取り組みます。また、Fin Tech(金融とITの融合)への対応等、経営インフラの整備を図ります。
⑤ 生命保険業
かんぽ生命保険は、引き続き「お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指す」という方針のもと、持続的な成長に必要な経営基盤を確立してまいります。また、お客さまからの信用と信頼をいただけるよう日々努力を続けることが、「お客さま本位の業務運営」の実現につながるものと考え、平成29年4月に公表した「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を実践し、かんぽ生命保険の強みであるお客さまからの親近感、信頼感をさらに高めてまいります。
(a) 引受けから支払いまで簡易・迅速・正確に行う態勢整備
基幹系システムの更改を出発点とし、事務・システムの品質・生産性向上をさらに強固なものにしてまいります。
また、保険金支払審査業務及びコールセンター業務にIBM Watsonを導入いたしました。
今後も、このような最先端テクノロジーの活用等により、簡易・迅速・正確な事務・システムの構築をさらに推進するとともに、将来の成長・発展の基礎となるシステム開発力を強化してまいります。
(b) 販売チャネルの営業力強化
お客さま本位の募集活動の徹底により、お客さまの意向に適切にお応えし、真にお客さまにご満足いただける契約を結んでまいります。加えて、研修などによる営業人材の育成、キャンペーンの活用やライフプラン相談会等の推進によって営業機会を増大し、新契約を確保してまいります。
また、法人営業の更なる拡大を目指し、平成29年4月には、大企業を対象とした法人営業開拓、大規模団体設置及び職域営業に係る対応等を円滑に行うため、法人営業開発部を設置いたしました。これにより、大企業・大規模職域マーケットの開拓など、新たなマーケットの取り込みに取り組んでまいります。
(c) お客さまニーズに対応した商品開発、ご高齢のお客さまへのサービスの充実
保障性を重視した販売を強化するため、平成29年3月に新商品の認可を申請しました。
また、平成29年4月には、標準責任準備金を計算するための利率である標準利率が引き下げられたことを踏まえ、予定利率の改定を行うと同時に、主に入院特約の保険料の引下げを行うなど、保険料の総合的な改定を実施しております。貯蓄性の商品を中心に値上げとなりますが、保障性の商品については値下げになるものもあり、保険本来の保障の魅力を訴求した販売力に磨きをかけてまいります。
さらに、「かんぽプラチナライフサービス」のより一層の推進により、ご高齢のお客さまにやさしい、あたたかいビジネスモデルを追求してまいります。
(d) 運用収益力の向上
市場環境の変化に適切に対応するため、引き続き、リスク性資産への投資拡大による利回り確保や、オルタナティブへの投資拡大による運用対象の拡大、運用態勢の強化といった課題に継続的に取り組み、安定的な利益創出を目指してまいります。
(e) 内部管理態勢の強化
経営の根幹である「募集品質の確保、コンプライアンスの徹底」を図り、「お客さまの声」を経営に活かす取り組みを推進するとともに、上場会社としてコーポレートガバナンスの更なる高度化に取り組んでまいります。加えて、経営の健全性・適切性を確保するため、内部監査態勢及びリスク管理態勢の更なる強化に取り組んでまいります。
(参考)
過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。
(単位:万件)
契約の種類平成25年3月期平成26年3月期平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期
新契約(個人保険)220223238239244
簡易生命保険2,6932,3191,9951,6971,441
かんぽ生命保険9871,1661,3531,5351,715

(注) 平成19年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。

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