有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/08/10 15:00
【資料】
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【項目】
83項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因となり得る主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)事業環境に関わるリスクについて
①広告市場の動向による影響について
当社サービスの売上のうち、インターネット広告を含む各種広告にかかる素材利用が一定の割合を占めております。広告市場の変化や景気低迷による広告制作予算の削減等外部環境の変動により、当初想定していた収益を確保することができない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②競合について
当社が運営するクリエイティブ・プラットフォーム事業は、同様のビジネスモデルによる競合企業が国内・海外に複数存在しております。そのため、優秀なクリエイターの確保ができない場合や当社専属クリエイターが流出した場合、または優良素材の確保ができない場合には、取り扱う素材の量・質が低下する可能性があります。また新規参入や既存他社サイトの拡大(特に海外大手競合企業の日本進出)等の影響により購入者の獲得競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関わるリスクについて
①インターネット関連ビジネスについて
当社のサービスは、主にインターネットを媒介としておりますが、インターネットやスマートデバイスの更なる普及・利用拡大、関連市場の拡大等を背景として、当社が取り扱うデジタル素材の需要及び当社サービスの購入者数等は継続的に増加しております。
しかしながら、インターネット通信環境の悪化、スマートデバイスの普及の著しい鈍化、不正使用等の弊害の発生等、予期せぬ要因により今後の当社サービスの拡大を阻害するような状況が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②購入者のリピート率低下について
当社の事業は、購入者数の増加とともに、その購入者が安定してサービスを継続的に利用するリピート率を維持することが重要となっております。そのため、魅力的な素材を提供できない、ニーズをとらえられない等の理由により購入者の継続的な利用を確保できず、リピート率が大幅に低下した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③海外進出について
当社では、海外へのサービス展開に積極的に取り組んでおります。具体的には、サイトの多言語化に取り組み、平成25年7月に英語版、同年12月には中国語版サイトを開設しました。さらに、同年11月にシンガポールに現地法人PIXTA ASIA PTE.LTD.を設立し、東南アジアと東アジアを中心とした市場調査とローカル素材の調達を強化しております。また、平成27年7月に台湾支店である日商匹克斯塔圖庫股份有限公司台湾分公司を設立いたしました。
各国の市場への対応は、法令上、会計上、運営上のリスクにつながる可能性があり、そのようなリスクに対処できないこと等により、海外事業を推進していくことが困難となった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④クリエイターへの支払について
当社では、クリエイターへの販売報酬支払にあたり、当社独自の獲得クレジット単位による自主換金制度を採用しております。当該自主換金制度とは、最低支払基準額を超えた時点で、クリエイターが、自身の販売報酬の範囲内で希望する金額を、希望するタイミングに換金申請ができる制度であります。
このため、何らかの事態をきっかけにして、クリエイターによる自主換金が集中しキャッシュ・フローの調整が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営体制について
当社は、現時点においては小規模組織でありますが、今後さらなる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。特に、新規事業を立ち上げ、拡大成長させるための事業開発力、マネジメント能力を有する人材や、システム技術分野のスキルを有する人材の確保に努めるとともに、教育体制の整備を進め人材の定着と能力の底上げに努めております。
しかしながら、当社の求める人材が必要な時期に十分確保・育成できなかった場合や想定外の人材の流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び新規事業の拡大等に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)システム等に関するリスクについて
①システム障害について
当社は、運営サイトにおけるシステムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を推進し、トラブルが発生した場合においても、短時間で復旧できるよう努めております。
しかしながら、大規模なプログラム不良や大規模な自然災害の発生、想定を大幅に上回るアクセスの集中等により開発業務やシステム設備等に重大な被害が発生した場合、バックアップデータが損なわれるような事象が発生した場合、またはその他何らかの理由によりシステム障害等が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②技術革新について
当社が事業展開しているインターネット関連市場では、活発な技術革新が行われており、そのスピードが極めて速いことから、技術革新に応じたシステムの拡充及び事業戦略の修正等も迅速に行う必要があると考えております。そのため、当社では業界の動向を注視しつつ、迅速に既存サービスに新たな技術を展開できる開発体制の構築に努めております。
しかしながら、予期しない技術革新等が生じた場合、多額のシステム開発費用の発生や、当該技術革新等に適時な対応ができないことにより、当社が提供するサービスの競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)法的規制について
①一般的なインターネットにおける法的規制について
当社が展開する事業分野においては、「特定商取引に関する法律」「資金決済に関する法律」等をはじめとする法規制が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からの議論等、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。
このため、今後インターネット関連分野において新たな法律の制定や既存法令の改正による規制強化等がなされた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②個人情報取扱事業者であること
当社は、購入者に関する個人情報の取扱事業者であり、これらの個人情報を電磁的方法により記録し、管理しております。このため、当社では社内規程やルールの整備、社内管理体制の強化、社員教育の徹底、情報システムのセキュリティ強化等により、個人情報を保護するための管理機能の向上を図り、「個人情報の保護に関する法律」の遵守、個人情報の漏洩防止に努めております。
しかしながら、これらの個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③知的財産権、肖像権等について
当社においては、デジタル素材に係る著作権等の知的財産権を適切に管理し、その利用許諾をすることが事業の根幹であると認識しております。そこで、当社はクリエイターに対し、デジタル素材のアップロード時に権利に関する確認を行う、また特定の個人を識別することが可能な人物素材に関しては、被写体の署名を得た肖像権使用同意書の提出を必須とするなどの対応を行っております。さらに、その状況を当社の審査において確認するなど、権利が侵害されることのないようにサービスを設計しております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④デジタル素材の不正使用等について
当社において、利用規約及び関連するサイト内の表示により、デジタル素材の利用可能範囲を明確に購入者に提示しております。禁止行為は、素材の無断使用、風俗や出会い系サイトでの使用、虚偽内容の記載による使用等の項目にわたります。万一不正使用が発生した場合、速やかな通報が可能なように不正使用報告専用フォームをサイト内に設置し、各案件について、迅速に適切な対応にあたるよう努めております。
しかしながら、不正使用による訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他のリスクについて
①特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である古俣大介は、当社の創業者であり、設立以来代表取締役社長として経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。
当社では、組織を事業本部・事業部体制とし、各事業本部長には古俣以外の役員を任命するなど、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②税務上の繰越欠損金について
第10期事業年度末時点において、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の業績が事業計画に比して順調に推移することにより繰越欠損金が解消した場合は、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策について
当社は設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、将来における安定的かつ継続的な利益還元を行う前提として、事業基盤の整備状況、今後の事業展開、業績や財政状態などを総合的に勘案した上で配当を検討していきたいと考えております。
今後も当面の間は、事業拡大のための施策への投資を行い、中長期的に安定的な成長モデルを構築するために財務基盤を強固にすることが重要と考え、内部留保の充実を基本方針とさせていただきたいと考えております。なお、現時点において配当の可能性及びその実施時期等については未定であります。
④ベンチャーキャピタル等の持株比率について
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は2,006,440株であり、そのうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が保有する株式数は889,600株、保有比率は44.34%(議決権比率ベース)であります。
未公開株式に係るベンチャーキャピタル等の保有目的は、当該株式の新規株式公開以降において当該株式を売却し、キャピタルゲインを得ることにあります。よって、当社の株式公開後、当初の株主であるベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の全部または一部を売却することが想定され、その場合、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑤新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や意識を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は108,700株であり、発行済株式総数の5.42%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
⑥資金使途について
今回の新規株式公開による調達資金の使途につきましては、国内・海外における購入者獲得のための広告宣伝費用、事業にかかるシステム開発強化の費用、素材数増加のための施策に係る費用並びに企画・営業・管理人材の採用及び教育資金等に充当する予定であります。
しかしながら、当社の属する業界の特質上、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点での計画以外の使途にも充当される可能性があります。また、計画に沿って資金を使用した場合でも想定通りの投資効果を上げられない可能性もあります。