有価証券報告書-第23期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 15:00
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針等
当社グループ(当社及び連結子会社)は、2026年3月期に調整後連結営業利益5億円達成を業績目標(以下、「本業績目標」という。)に掲げ、積極的・戦略的なM&Aを実行し、ワンストップですべてのセキュリティソリューションを提供できる「セキュリティソリューションプラットフォーム」を有する、「ITエンジニア集団」を構築することを事業方針とし、「ITツール事業」及び「ITサービス事業」を展開しております。
(2)経営環境等
「ITツール事業」においては、中小企業向けサイバーセキュリティ製品群の販売パートナーに対し、人のセキュリティ意識「ヒトセキュリティ」の向上をテーマとして、「FB SAT(エフビーサット)」シリーズ(注1)を新たな切り口として提供し、既存販売パートナーのエンドユーザー企業への当社サイバーセキュリティ製品の販売機会の創出及び「FB SAT」をきっかけとした新規販売パートナー獲得に取り組んでおります。
また、当社が国内一次店として取り扱う「Cato SASE Cloud」では、販売パートナーとともに、継続して受注実績を積み重ねており、当社売上高の約37%を占める規模に拡大しております。Cato SASE Cloudのさらなる案件創出・獲得に向けて、2023年12月に株式会社フーバー・クロステクノロジーズ(以下、「FXT」という。)を共同設立し(注2)、サイバーセキュリティサービスの提供による付加価値と共に、受注拡大に取り組んでおります。
さらに、2024年1月には、韓国軍や政府機関などの重要組織・施設をはじめ、グローバル市場においてメガバンク、大手企業等への導入実績を有するNDR(Network Detection and Response)ソリューション製品「Network Blackbox」を国内提供する株式会社クワッドマイナージャパン(以下、「クワッドマイナージャパン」という。)とディストリビューター契約を締結し、国内総代理店として取り扱いを開始いたしました(注3)。今後、Cato SASE Cloudの販売で構築した販売パートナーネットワークを介して、国内市場での展開を加速してまいります。
働き方改革製品「Eye“247”Work Smart Cloud」は、デジタルマーケティングによる直接販売は概ね想定通りに推移し、着実に売上高を積み上げております。今後は、既存エンドユーザー企業の製品へのフィードバック及び導入検討企業のニーズを反映し、新たな機能追加を構想し、付加価値向上による継続率向上及び導入企業増加に取り組んでまいります。また、Eye“247”Work Smart Cloudの既存エンドユーザー企業への当社サイバーセキュリティ製商品の提案など、製商品サービスのクロスセル案件含め、より有機的に営業機会を創出してまいります。
「ITサービス事業」においては、M&Aの実行、PMIの成功、そしてパートナー企業との連携強化による事業拡大を展開しております。
M&Aの実行に関しては、2024年2月に、未経験者を戦力IT人材へ育成する独自プログラムを有する株式会社CONVICTION(以下、「CONVICTION」という。)の株式を取得し、連結子会社といたしました(注4)。人材需要の高い開発案件を強みとしており、今後のさらなる成長が期待されます。
また、PMIの成功に関しては、採用支援・人材紹介を提供する連結子会社株式会社アド・トップ(以下、「アド・トップ」という。)において、コロナ禍から続いていた赤字体質から黒字体質への転換を実現いたしました。拡大を続ける人材採用需要を背景に、今後のグループ利益への貢献が期待されます。また、アド・トップの既存クライアント企業へ当社働き方改革製品及び「FB SAT」シリーズの提供などグループ間での営業機会創出にも取り組み、売上高拡大を実現してまいります。
パートナー企業との連携強化に関しては、連結子会社GHインテグレーション株式会社(以下、「GHI」という。)にて、一部エンジニア派遣先プロジェクトの終了による待機人員の増加及び直近2~3年内の入社人員の退職などが重なり、売上高の停滞が見られました。GHIの共同株主である伊藤忠テクノソリューションズ株式会社とも協力して、IT人材の需要が継続して高い、開発案件やネットワークインフラ、データセンター関連プロジェクトの獲得に取り組んでおります。
当社は「ITツール事業」及び「ITサービス事業」のほか、2023年7月に投資専門子会社フーバー・インベストメント株式会社(以下、「フーバー・インベストメント」という。)を設立し(注5)、今後のキャピタルゲインが見込める企業への純投資を行っております。2023年12月にサイバーセキュリティプロフェッショナル人材の育成・提供するサイバーコマンド株式会社(以下、「サイバーコマンド」という。)に対する転換条項付融資(注6)、2024年3月にAI定性与信審査技術によるFintechサービスを提供するH.I.F株式会社の株式取得を行っております(注7)。
(注)1.「FB SAT」シリーズの詳細については、2023年10月13日付公表「新サービス開始に関するお知らせ」をご参照ください。
2.FXTの詳細については、2023年11月20日付公表「サイバーコマンド株式会社等との共同出資による新設会社設立(持分法適用関連会社化)に関するお知らせ」をご参照ください。
3.クワッドマイナージャパンとのディストリビューター契約の詳細については、2024年1月9日付公表「株式会社クワッドマイナージャパンとのディストリビューター契約締結に関するお知らせ」をご参照ください。
4.CONVICTIONの子会社化の詳細については、2024年2月26日付公表「株式会社CONVICTIONの株式の取得(連結子会社化)及び第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」をご参照ください。
5.フーバー・インベストメントの設立の詳細については、2023年6月26日付公表「投資子会社設立に関するお知らせ」をご参照ください。
6.フーバー・インベストメントによるサイバーコマンドへの転換条項付融資の詳細については、2023年11月16日付公表「当社連結子会社による第三者割当増資引き受けに関するお知らせ」及び同年12月8日付公表「(開示事項の変更)当社連結子会社による第三者割当増資引き受けに関するお知らせ」をご参照ください。
7.フーバー・インベストメントによるH.I.F株式会社の株式取得の詳細については、2024年3月18日付公表「当社連結子会社による第三者割当増資引き受けに関するお知らせ」をご参照ください。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、本業績目標の達成に向け、①「ITツール事業」において、当社セキュリティ製品の代理店網を通じた販売事業によって、当社グループの事業基盤の安定を図り、②これに加えて、新たなビジネスモデル(マーケティング・営業体制)を確立する事で成長を加速し、③さらに、主として「ITサービス事業」において、M&Aによって連結グループを拡大し、PMIを成功させることを、当社グループの課題として認識し、対処しております。
①当社セキュリティ製品の代理店網を通じた販売事業
主として中小企業向けに、当社セキュリティ製品を代理店網を通じて販売する事業は、収益性が高く、この事業が安定して成長することが、当社グループの事業基盤の土台となっております。当社は、代理店が満足する、最新で価格競争力のある当社セキュリティ製品を開発し、さらに当社セキュリティ製品の機能を補完する商材とパッケージ化する事により、競合他社製品との差別化を図ってまいりました。
当社が開発した次世代エンドポイントセキュリティ製品「Eye“247” Safety Zone 1.0」と、これにCheckPoint社製UTM等のハードウェア製品を組み合わせ、さらに従業員のセキュリティ意識向上を支援する標的型攻撃メール訓練サービス「FB SATMail」を標準搭載した多層防御型パッケージ製品の販売が2024年1月より開始し、進行期より本格化しております。
また、人のセキュリティ意識「ヒトセキュリティ」の向上をテーマとしたサービスシリーズ「FB SAT(エフビーサット)」は、標的型攻撃メール訓練サービスを皮切りに、セキュリティ教育プログラムサービス、セキュリティ診断サービスをビジネスパートナーと共に提供を開始しており、ITツール事業の働き方改革製品「Eye“247”Work Smart Cloud」についても、「ヒトセキュリティ」コンセプトから内部不正対策など経営者・企業のニーズに合致した新たな機能開発を予定しております。
当社のセキュリティツール製商品群とともに、「FB SAT」による従業員のセキュリティ意識向上によるセキュリティ強化支援を提供することで、セキュリティツールからサービスを包括的に提供する「セキュリティソリューションプラットフォーム」を構築してまいります。
あらゆるサイバーセキュリティ対策における代理店及び中小企業のニーズにワンストップで応えることで、当社グループの事業基盤を安定したものといたします。
②新たなビジネスモデル(マーケティング・営業体制)の確立
当社は、代理店網を使った中小企業向け販売事業にみられる、従来型ビジネスモデルに加えて、主としてITツール事業の働き方改革製品「Eye“247”Work Smart Cloud」において、SaaS型販売体系、デジタルマーケティングによるエンタープライズ案件の発掘、ハイタッチ営業によるクロージングといった新たなビジネスモデルへの挑戦をしてまいりました。
2023年12月に共同設立したFXTは、デジタル・コンテンツ・マーケティングによる確度の高い新規大型見込案件の創出、ソリューション・ハイタッチ営業体制によるクロージングという新たなビジネスモデルの確立を加速するとともに、その規模を拡大して、質を向上させるための活動を本格化しております。当社は、今後、当連結会計年度において、前期比約2.5倍の売上高成長を実現した「Cato SASE Cloud」及び国内総代理店として新たに取り扱いを開始した韓国軍や政府機関への導入実績を有するNDRソリューション製品「Network Blackbox」の国内市場展開について、FXTを起点とした販売拡大に取り組んでまいります。
こうした新たなビジネスモデルにおいては、マーケティング・営業をはじめとして、あらゆる職務の社員がエンジニア的な視点を持つことが要求され、採用・教育・提携・M&Aなどのあらゆる手段を通じて、「ITエンジニア集団」を体現する社員の割合を増やす必要があります。当社は、付加価値の高い「ITエンジニア集団」を構築し、デジタル・コンテンツ・マーケティングによる確度の高い新規大型見込案件の創出、ソリューション・ハイタッチ営業体制によるクロージングという新たなビジネスモデルを確立・拡大する事で、成長を加速するように取り組んでまいります。
③ M&Aによる連結グループ拡大とPMI
当社は、本業績目標のためには、現在の主力事業におけるオーガニック・グロースに加え、M&Aグロースによる成長加速が不可欠と考えており、2023年7月のフーバー・インベストメントの設立を経て、より積極的にM&Aを活用し、PMIを重視する方針を有しております。
アド・トップは、PMIにより当連結会計年度の後半において、黒字体質化が達成され、新たに当社グループ入りしたCONVICTION、グループ入り後4年目となるGHIとともに、進行期は通年における連結業績への寄与を見込んでおります。
「ITサービス事業」は、M&Aの活用による成長を比較的実現しやすい事業と捉えており、M&Aによる連結グループ拡大を着実に実行してまいります。また、PMIの過程において、「ITサービス事業」の会社間で人材採用、教育、労務管理、営業における経営資源と情報の共有をし、ベストプラクティスの相互適用による経営の質の向上を図ることを目指してまいります。さらに、「ITサービス事業」と「ITツール事業」の事業間においても、人材や顧客の相互活用によるシナジー効果を求める取り組みをしてまいります。
当社は、本業績目標の達成に向け、上記取り組みを着実に推進してまいります。