訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/03/04 15:00
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【項目】
115項目

業績等の概要

(1)業績
第48期連結会計年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
当連結会計年度の世界経済を振り返りますと、米国では消費が堅調に推移し、失業率の低下が見られるなど景気は持続的な回復基調にありますが、欧州ではギリシャ等南欧諸国の金融情勢の悪化やユーロ安の進行により、ドイツ、フランスに景気減速傾向が見られ、中国では不動産価格下落や内需の減速等で実質GDP成長率が鈍化するなど、景気の減速感が見られました。一方、国内経済は、急激な円安・株高が進行し、原油価格の値下がり等の経済環境の改善は見られたものの、消費税増税による個人消費の低迷、本格化しない民間設備投資などにより経済成長率は鈍化しました。
当社グループが属するエレクトロニクス業界におきましては、パソコンや民生電子機器の需要は低迷しましたが、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末市場及び車載市場が引き続き好調に推移し、全体を牽引しました。
このような事業環境の下、当社グループでは、前連結会計年度の売上高増加に大きく寄与した特定製品の取扱高が減少したものの、車載機器や産業機器など成長分野への優先的リソース配分、各拠点連携によるグローバル優良企業への営業強化などにより新たな受注を確保する一方、Low Cost Automation(自社開発の自動・省力化設備投資、以下「LCA」という)化、省人化、省スペース化に努め、アジア各拠点の最低賃金上昇による費用負担増加を抑制してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、1,135億66百万円(前連結会計年度比12.9%減)、営業利益は20億42百万円(前連結会計年度比8.8%増)、経常利益は24億98百万円(前連結会計年度比12.9%増)となり、当期純利益は15億25百万円(前連結会計年度比9.2%増)となりました。
当社グループは、EMS事業とその他の事業を営んでおりますが、EMS事業以外は開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
なお、EMS事業の製品分野別の売上高とその他の事業の売上高は以下のとおりであります。売上高の金額については、連結相殺消去後の数値を記載しております。
① EMS事業
当社グループの主たる事業であるEMS事業においては、売上高1,132億18百万円(前連結会計年度比13.0%減)となりました。製品分野別の業績の概況は次のとおりであります。
(車載機器)
主要顧客との資本業務提携により中長期的なビジネスの深耕、拡大に繋がっており、中国市場が牽引し世界的に自動車市場が堅調に推移したことや、資本業務提携先以外でも当社グループの品質向上活動や営業戦略が認められ、動力系制御基板等の取扱高が増加したことにより、売上高は314億63百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。
(産業機器)
世界的な省エネ気運の拡大が市場を牽引しました。欧州での景気減速の影響を受けた欧州顧客についても、中長期的には重要市場と位置づけ、全拠点にて営業活動を強化した結果、インバーター用基板等の取扱高が増加したことにより、売上高は238億30百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
(コンシューマー製品)
タイにおける新工場の本格稼働により、中国から生産シフトした分を含め光学機器等向けの取扱高が増加したことにより、売上高は142億87百万円(前連結会計年度比58.0%増)となりました。
(OA機器)
最終メーカーの中国から東南アジア各国へのシフトの影響を受け、ベトナムでの取扱高は増加しましたが、その他の東南アジア各国にシフトした分は吸収できず、全体ではやや減少となり、売上高は276億97百万円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。
(情報通信機器)
前期の売上高増加に大きく寄与した世界的なソフトウェアメーカーが手掛ける特定製品が顧客側の在庫調整により大幅に減少したことにより、売上高は124億98百万円(前連結会計年度比63.0%減)となりました。
(その他)
アミューズメント分野は、国内市場縮小の影響を受け、取扱高が減少しており、売上高は34億41百万円(前連結会計年度比54.9%減)となりました。
② その他の事業
製造業向けの人材派遣業が好調に推移したため、売上高は3億48百万円(前連結会計年度比24.3%増)となりました。
第49期第3四半期連結累計期間(自 平成27年4月1日 至 平成27年12月31日)
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、比較的堅調な米国経済と、伸び悩む新興国経済のコントラストが鮮明になりました。
米国において、住宅、労働市場が底堅さを維持し、米国は9年半振りに政策金利を引き上げました。一方で、中国において経済成長の鈍化が浮き彫りとなり、ロシアやブラジル等は原油等資源安で深刻な打撃を受け、ドル高・新興国通貨安となりました。また、欧州においてテロや難民問題が生じて地政学的リスクが高まり、大手自動車メーカーの不正摘発は経済活動の足枷となりました。
我が国経済におきましては、3年目に入ったアベノミクス効果で年度当初こそ円安により企業業績が改善し、設備投資が増加しましたが、新興国経済のスローダウンや円安一服により、経済成長は一進一退となり総じて伸び悩みました。
当社グループが属するエレクトロニクス業界におきましては、好調だったスマートフォンが、一巡感から一時の勢いを失い、レーザープリンター等OA機器も振るいませんでした。他方、電装化が進む車載関連機器は好調を維持し、電力・ガスのスマートメーターも高水準で推移しました。
このような事業環境の下、当社グループでは、LCAや三票制(設備工程能力票・作業負荷分析票・標準作業票を用い、標準的且つ効率的な生産方法を制定すること)の活用による生産活動改善に注力したほか、基幹システムの統一化を推進致しております。
また、バリューチェーンの拡充を目的に、中国広東省東莞市のプラスティック成形品メーカーを買収し、UMC Dongguan Plastics Co., Ltd.(三和盛塑胶製品(東莞)有限公司)として子会社化し、外装品を内製化して金型ビジネスにも参入しており、今後の受注拡大に向けた基盤の一つとしております。
この間の具体的成果としましては、過年度から準備していた車載向け動力系制御基板の量産を開始致しましたほか、営業のリソース強化による中華系顧客からの新規受注や、顧客の中国生産撤退を肩代わるビジネスが軌道に乗り始めており、デジタル家電やOA機器等の取扱い減少を補って、新たな成長路線を築きつつあります。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は833億21百万円、営業利益は16億13百万円、経常利益は15億28百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億49百万円となりました。
当社グループは、EMS事業とその他の事業を営んでおりますが、EMS事業以外は開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
なお、EMS事業の製品分野別の売上高とその他の事業の売上高は以下のとおりであります。売上高の金額については、連結相殺消去後の数値を記載しております。
① EMS事業
当社グループの主たる事業であるEMS事業の売上高は、830億16百万円となりました。製品分野別の業績の概況は次のとおりであります。
(車載機器)
SUV車が世界的に流行したことや、電装化の進展で車両1台当たりの基板数が増加傾向にあり、新たに環境対応車向け動力系基板も受注したことから、売上高は237億42百万円となりました。
(産業機器)
主要顧客が中国系企業の台頭や設備投資減少に伴う需要減で苦戦したものの、国内市場でのスマートメーター向けや、中国・ベトナム市場での欧州系メーカーからの受注増により堅調に推移し、売上高は162億78百万円となりました。
(コンシューマー製品)
既存日系顧客の市場競争力低下の影響を受け、売上高は107億9百万円となりました。
(OA機器)
完成品メーカーの中国からアセアン各国への拠点移動に対し、中国拠点からベトナム拠点への移管を行い、落ち込みをカバーしましたが、OA機器全体の需要伸び悩みから、売上高は194億94百万円となりました。
(情報通信機器)
タイ拠点において資本業務提携先からの新規製品の量産立上げが進みましたが、中国拠点においてスポット受注の終了と既存顧客の在庫調整が長引いて取扱高が減少し、売上高は68億73百万円となりました。
(その他)
アミューズメント分野は、国内市場縮小の影響から取扱高が減少し、売上高は59億18百万円となりました。
② その他の事業
人材派遣業が好調に推移し、売上高は3億4百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、未払金の減少、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が25億6百万円(前連結会計年度比13.7%増)と増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ14億38百万円増加し、当連結会計年度末には79億90百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は33億41百万円(前連結会計年度比48.8%増)となりました。これは主に仕入債務の減少額5億円及び為替差益6億39百万円に対し、たな卸資産の減少額12億77百万円及び税金等調整前当期純利益25億6百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は29億10百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。これは主に海外拠点の設備投資の増加による有形固定資産の取得による支出25億53百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は77百万円(前連結会計年度比92.1%減)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出63億53百万円に対し、長期借入れによる収入62億54百万円及び株式の発行による収入4億80百万円によるものであります。