有価証券報告書-第5期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/05/31 13:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
55項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社グループを取り巻く外食産業は、個人消費の低迷が続いていることに加え、記録的豪雨や猛暑、地震などの自然災害により客数に影響を受けました。また、労働力不足やアルバイト・パート時給の上昇による人件費の増加、物流運賃の上昇などもあり、引き続き厳しい経営環境となりました。
このような事業環境のもと、当社グループはこれからの成長を見据えて、50周年を契機に“心にもっとくつろぎを”プロジェクトを開始いたしました。これは、「くつろぐ、いちばんいいところ」を持続させるための、「KOMEDA COMES TRUE.」を合言葉にしたコメダ式サステナビリティ活動です。その取り組みとして、2018年9月より三菱商事株式会社様ご協力のもと、世界でサステナビリティ活動をリードする農産物事業会社から珈琲豆の調達を始めました。
また、外部環境の変化に柔軟に対応し、お客様の店舗体験価値を高めるとともに、事業領域を拡大していくことで競争力を強化するため、経営方針を、店舗運営にとって一番大切なQSCのそれぞれの概念を進化させ、Q:もっといいもの、S:もっといいこと、C:もっといいところ、といたしました。
(2) 対処すべき課題
外食産業を取り巻く環境は、一部のインバウンド影響を除き、少子高齢化により市場規模の拡大が期待できない中、競争が激化しております。経営環境としては、個人消費の伸びが依然として弱い状況が続いていることに加え、労働力不足や人件費・地代家賃・物流運賃の上昇、2019年10月に予定されている消費増税などもあり、今後も厳しい状況が継続すると想定されます。
こうした状況を踏まえ当社グループは、これからの成長を見据えて、“心にもっとくつろぎを”として掲げた50周年ミッション宣言のもとで、新たな経営方針に基づき以下の取り組みを実行してまいります。
① コーヒー・パンの安定供給
当社グループの強みは、自社でコーヒー及びパンの製造設備を保有し、各店舗に毎日提供するサプライチェーンにあります。店舗が全国に拡大している中、安定供給が可能な体制を構築するため、2015年に千葉県に建設したパン工場に引き続き、コーヒー工場についても同エリアに新設し、2018年8月に稼働しております。
② 食の安心・安全に向けた取り組み
外食産業においては、食の安心・安全に関する社会的要求が非常に高くなっております。
当社グループにおいては、品質管理規程に基づき、食品衛生法、JAS規格、その他の関連法規及び条例を遵守することに加えて、定期的に仕入商品の製造工場への衛生検査を実施することで、安全で衛生的な環境で製造された商品であることを確認しております。また、衛生マニュアルを当社グループの全事業所及びFC加盟店に配布し、各人の意識向上に努めております。さらにスーパーバイザーの店舗巡回による衛生チェックや指導、外部専門機関による抜き打ちの店舗衛生検査を実施し、衛生管理の強化に努めてまいります。
③ 既存店収益力の強化
当社グループにとって、既存店の収益力強化は極めて重要な課題と考えております。お客様の店舗体験を重要視してQSC(信頼の品質、スピーディで心地よいサービス、清潔で快適な環境)強化に取り組んでいくととともに、“心にもっとくつろぎを”感じていただくために、様々な施策に取り組んでまいります。また、看板商品や定番商品の改良・販促を行うとともに、お客様のニーズを的確に捉えた新商品・季節商品の提供並びにお客様に喜んでいただける夏・冬のキャンペーン等の実施に取り組んでまいります。
④ フランチャイズ本部機能の充実
業容の拡大に応じリスク管理、コンプライアンス遵守の体制、内部統制システムなど本部機能強化に努めてまいります。人的資源を強化するため、社内人材の育成並びに即戦力となる人材の採用に取り組んでまいります。また、本部一括購買強化による商材の仕入最適化や出店エリアの拡大に応じた生産・物流体制の最適化による安定的で効率的な商品供給体制の構築を実現してまいります。
⑤ ブランドロイヤルティの向上
当社グループは、地域のお客様に「くつろぐ、いちばんいいところ」を提供するために50年以上にわたり喫茶店チェーンを運営してまいりました。今後も地元の皆さまに愛され、地域社会の活性化でお役に立てるように店舗運営を磨いてまいります。また、当連結会計年度においては、店内閲覧雑誌として「くつろぎの時間(とき)」を東海3県で発刊しております。さらに、コメダファンのお客様による座談会や試食会を行うコメダ部の活動を通じて、お客様の声をサービスや商品開発に活かしております。これからも地元密着でお客様の来店動機を高め、常連客化の促進を目指してまいります。
⑥ 新規出店の継続と出店エリアの拡大
当社グループでは、継続的な成長を遂げるためには、効果的な新規出店が重要であると考えております。FC加盟店の店舗展開を軸に、出店余地のある東日本エリア、西日本エリアへの出店を引き続き強化し、優良物件の確保に注力いたします。また、入店型の個人経営者の掘り起こしも進めてまいります。海外展開については、当連結会計年度に台湾に合弁会社を設立し3号店目を出店いたしました。今後もアジアを中心に店舗展開を進めてまいります。出店形態としては、各国の環境を勘案し、FC展開あるいは直営店での展開を戦略的に選択してまいります。
⑦ 新業態・新ビジネスの開発
新業態の展開においては、おかげ庵では初のコメダ珈琲店併設型店舗として東日本エリア2号店目を出店しました。自社製造のコメダ謹製「やわらかシロコッペ」においては、15店舗を出店しました。今後も店舗オペレーションに改善を加えながら、継続拡大してまいります。
さらに、当社グループの事業基盤を活かした新ビジネスの開発に取り組んでまいります。2018年3月に開店した「コメダスタンド」は当社グループ初のセルフカフェ業態への進出であり、事業モデルを検証してまいります。また、当社グループの強みを補強するノウハウや資産を有している企業あるいはシナジーが期待できる企業に対するM&A機会を検討してまいります。
⑧ コーポレートサステナビリティ活動への取り組み
既存事業の競争力を高めるとともに、事業領域の拡大を視野に入れた、新しい経営方針(Q:もっといいもの、S:もっといいこと、C:もっといいところ)のもと、経済価値の追求にとどまらず、社会課題解決に向けた非経済価値の追求を、“心にもっとくつろぎを”プロジェクトにより積極的に推進してまいります。