有価証券報告書-第4期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

【提出】
2018/05/30 15:30
【資料】
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【項目】
55項目

対処すべき課題

外食産業を取り巻く環境は、インバウンドの影響がある一部の地域を除き、少子高齢化により市場規模の拡大が期待できない中、競争が激化しております。また、消費嗜好が「モノ」から「コト」へ変化しており、その対応も求められております。経営環境としては、労働賃金の上昇や人材不足、地代家賃、物流運賃の上昇などもあり、今後も厳しい状況が継続すると想定されます。こうした状況を踏まえ当社グループは、「私たちは“珈琲を大切にする心から”を通してお客様に“くつろぐ、いちばんいいところ”を提供します」を経営理念に掲げながら、外部環境の変化に柔軟に対応し、これからもお客様満足度の向上並びに競争力の強化に取り組んでいく方針であります。
なお、具体的な施策は以下のとおりであります。
(1) コーヒー・パンの安定供給
当社グループの強みは、自社でコーヒー及びパンの製造設備を保有し、各店舗に毎日提供するサプイチェーンにあります。店舗が全国に拡大している中、安定供給が可能な体制を構築するため、2015年に千葉県に建設したパン工場に引き続き、コーヒー工場についても同エリアに建設中です。
(2) 既存店の収益力向上
当社グループにとりまして、既存店の収益力強化は極めて重要な課題と考えております。消費嗜好が「コト」に変化する中で、お客様の店舗体験を重要視してQSC(信頼の品質、スピーディで心地よいサービス、清潔で快適な環境)強化に取り組んでまいります。また、看板商品や定番商品の改良・販促を行うとともに、お客様のニーズを的確に捉えた新商品・季節商品の提供並びにお客様に喜んでいただける夏・冬のキャンペーン等の実施に取り組んでまいります。
(3) 新規出店の継続と出店エリアの拡大
当社グループでは、継続的な成長を遂げるためには、効果的な新規出店が重要であると考えております。FC加盟店の店舗展開を軸に、出店余地のある東日本エリア、西日本エリアへの出店を引き続き強化いたします。新規出店に際しては、賃料や建設コストの上昇が懸念される中、優良物件の確保が重要と考えております。また、入店型の個人経営者の掘り起こしも進めてまいります。海外展開については、当連結会計年度に海外初の直営店を台湾に出店いたしました。今後もアジアを中心に店舗展開ができるよう取り組んでまいります。出店形態としては、各国の環境を勘案し、FC展開あるいは直営店での展開を戦略的に検討してまいります。
(4) ブランドロイヤルティの向上
当社グループは、地域のお客様に「くつろぐ、いちばんいいところ」を提供するために50年間喫茶店チェーンを運営してまいりました。今後も地元の皆さまに愛され、地域社会の活性化に役立てるように店舗運営を磨いてまいります。また、当連結会計年度においては、店内閲覧雑誌として「くつろぎの時間(とき)」を中京3県で創刊しました。お客様の来店動機を高め、常連客化の促進を目指してまいります。
(5) フランチャイズ本部機能の充実
業容の拡大に応じリスク管理、コンプライアンス遵守の体制、内部統制システムなど本部機能強化に努めてまいります。人的資源を強化するため、社内人材の育成並びに即戦力となる人材の採用に取り組んでまいります。また、本部一括購買強化による商材の仕入最適化や出店エリアの拡大に応じた生産・物流体制の最適化による安定的で効率的な商品供給体制の構築を実現してまいります。
(6) 食の安全・安心に向けた取り組み
外食産業においては、食の安全・安心に関する社会的要求が非常に高くなっております。当社グループにおいては、品質管理規程に基づき、食品衛生法、JAS規格、その他の関連法規及び条例を遵守することに加えて、定期的に仕入商品の製造工場への衛生検査を実施することで、安全で衛生的な環境で製造された商品であることを確認しております。また、衛生マニュアルを当社グループの全事業所及び全FC加盟店に配布し、各人の意識向上に努めております。さらにスーパーバイザーの店舗巡回による衛生チェックや指導、外部専門機関による抜き打ちの店舗衛生検査を実施し、衛生管理の強化に努めてまいります。
(7) 新業態・新ビジネスの開発
新業態の展開においては、自社製造のコメダ謹製「やわらかシロコッペ」を7店舗出店しました。今後はオペレーションに改善を加えながら、継続拡大してまいります。さらに、当社グループの事業基盤を生かした新ビジネスの開発に取り組んでまいります。2018年3月に開店した「KOMEDA’S STAND」は当社グループ初のセルフカフェ業態への進出であり、事業モデルの早期確立を目指します。また、当社グループの強みを補強するノウハウや資産を有している企業あるいはシナジーが期待できる企業に対するM&A機会を検討してまいります。
(8) 人材の確保と育成の強化
今後の当社グループの成長には、優秀な人材の確保は必要不可欠と考えております。東京証券取引所及び名古屋証券取引所市場第一部上場により、当社グループの信用力及び知名度が向上し、これまでよりも優秀な人材を採用しやすくなりました。今後も即戦力となるべき人材を幅広く採用し、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
また、育成に関しては、職種・階層に分けての教育プログラムを組んでおり、今後も個人の業務スキル向上のための教育プログラムを増やしていく考えでございます。
(9) 新業態・新ビジネスの開発
今後の当社グループの成長には、既存の「珈琲所 コメダ珈琲店」の付加価値向上以外にも、コメダのブランド・お客様接点を活かした新業態及び新ビジネスの展開も課題と考えております。新業態の展開においては、中京エリアで長年あたためてきた「甘味喫茶おかげ庵」を「コメダ和(なごみ)喫茶おかげ庵」として関東で初めて出店いたしました。また、国内のみならず海外展開も視野に入れる必要があり、アジアを中心にエリア展開を推進してまいります。さらに、当社グループ事業とのシナジーが期待できる企業に対してはM&Aなども検討してまいります。