訂正有価証券届出書(新規公開時)
事業等のリスク
本有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 介護保険制度の改正について
当社が行っている介護・医療分野におけるカナミッククラウドサービスについては、介護保険法の影響を強く受けます。
介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われ(介護保険法附則第2条)、また3年に1度介護報酬の見直しが行われることになっており、平成27年にも介護保険法及び介護報酬の改正が行われました。介護保険法や介護報酬の改正が行われた場合、これらの改正に対応するための適時なシステム開発が必要となります。一方、医療及び介護業界全般で市場の停滞・縮小や、一部大手事業者による寡占化、廃業の増加など、新たな市場動向の変化が生じることも想定されます。
こうした状況は、同業他社も同様の条件であるため、開発において他社に先んじることや差別化を図ること、適切な価格戦略を取ることがそのまま他社との格差を広げ、シェアの拡大に直結することになりますが、逆に遅れをとった場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな市場動向の変化が業績の拡大に寄与する場合もある一方で、当社サービスの導入延期やサービス利用数の削減、他社サービスへの乗り換えなどに繋がった場合は、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 他社との競合について
現在、国内で介護・医療分野におけるクラウドサービス事業を展開する競合企業が複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入を検討する企業が増加する可能性があります。
しかし、医療介護業界のシステム構築には、業界に精通した知識や経験が必要とされるため、参入障壁が高いと考えられます。その中で当社のカナミッククラウドサービスは、自治体・医療・看護・介護の連携に関してシステム内でのコミュニケーションが可能な多職種間連携を実現する介護請求・業務管理システムとして介護保険制度施行時の平成12年より提供されているシステムであり、当該システムにより国が目指す「地域包括ケアシステム」の実現に寄与するとともに、市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。
今後も、各地域に根ざしたサービスの提供、地域連携のさらなる推進により、患者、要介護者、全ての医療・介護事業者といった医療・介護業界全体のユーザーの利便性を向上させ、情報共有プラットフォームの構築を推進してまいりますが、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社のサービスはインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社は技術者の採用・育成やスマートフォンに関する技術やノウハウの取得に注力しております。しかしながら、このような技術やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社の対応が遅れた場合には、当社の競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の管理について
当社は、展開する各サービスの運営過程において、ユーザーより個人情報を取得することがあります。当該個人情報の管理については、権限を有する者以外の閲覧をシステム上で制限しております。また、当社では個人情報保護マネージメントシステムを設定し、従業員に対して研修を実施しております。さらに、より一層の情報セキュリティの安全性を確保するために、平成18年5月にプライバシーマークを取得し、平成26年5月に4回目の更新を行いました。しかしながら、外部からの不正なアクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が流出した場合には、当社の社会的信用を失墜させ、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ システム障害について
当社のサービスは、当社のウェブサイトを主な情報通信手段としており、サービスの信頼性及び取引の安全性の観点からも、当社の事業用ITインフラは障害に強い設計としております。また、管理を強化するため、情報システム開発及び運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しております。さらに、今後の高齢者人口の増加をにらみ、サーバー容量等についても十分な容量を確保しております。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故等が起こった場合、当社役職員の操作過誤が生じた場合、ハッカー等外部からの侵入による不正行為が生じた場合、さらに高齢者人口の増加に伴い当社ユーザーが爆発的に増加した場合等には、システム障害やサーバー容量不足による当社コンピューターシステムの機能の低下、誤作動や故障等の深刻な事態を招く可能性があります。これらの事態が生じた場合には、インターネット上のウェブサイトを主な情報提供手段とする当社はサービス提供及び営業取引に深刻な影響を受け、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社は、当社の提供するサービスの基礎をなすシステムについて、特許権を有しております。
しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社の事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社に対する訴訟やクレーム等が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万が一当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 業績の季節変動性について
介護保険制度の改正は4月から実施されることが通例となっており、新制度開始までに当社クラウドサービスのバージョンアップを、新制度が施行される4月初めまでに実施することが求められます。また、地域包括支援センターを運営する自治体及び委託を受ける介護事業者は、新年度が始まる4月に導入を図ることが多く、需要がこの時期に偏る傾向があります。その結果、当社の業績は法改正のタイミングに連動してピークを迎える傾向にあります。
第15期事業年度及び第16期事業年度の売上高及び営業利益の変動は以下の通りであります。
現在はこれらの変動性に適切に対応できる体制を整備しておりますが、事業環境等の変化により季節変動性に大きな変化が生じた場合や、当社がこれらの季節変動性に適切に対応する体制がとれなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の取締役会長山本稔は、当社の創業者であり、設立以来、経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において取締役としての役割を果たしております。
当社では、同氏以外の者へ代表権を付与するなど、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織であること及び人材の確保及び育成について
当社は平成28年7月31日現在、従業員数が61名と小規模な組織であり、内部管理体制もそれに応じたものとなっております。また、カナミッククラウドサービスにおけるユーザーの利便性の向上には、当社システムの付加価値増加のためのシステム開発が必要であり、これに対応できる人材を確保・育成することが今後の事業の成長においても不可欠であります。
事業の成長とともに人員の採用及び育成を行っていくとともに、内部管理体制の強化を行っていく方針でありますが、人員採用などが適切に行えなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社の継続的な成長のためには、内部管理体制が適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が拡大することにより、内部管理体制が有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスについて
当社は、法令その他諸規則、社会規範を遵守すべく、「倫理規範」を制定し、役職員に対してその周知、徹底を図っております。また、研修等を通じて、継続的にコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分なコンプライアンス体制の構築が追いつかず、法令違反等が生じた場合、ユーザー及び取引先等の信頼失墜を招く、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ サービスの安全性及び健全性について
当社のカナミッククラウドサービスは医療・看護・介護・自治体といった多職種他法人の垣根を越えた情報共有を可能にするシステムとなっており、高度なセキュリティ対策を施すことにより安心して利用していただける環境を整えておりますが、ユーザーを通じて個人情報の流出や、健全性を損なう情報の発信、違法行為などが行われる危険性があります。それらはシステムの利用規約において禁止事項にするとともに当社の責任範囲を限定しておりますが、当社が法的責任を問われ、また法的責任を問われない場合でもサービスのブランドイメージ悪化を招くことにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社のコンテンツサービスは、インターネット広告サービスとホームページ作成サービスを手掛けており、それらコンテンツに関する権利関係や健全性に対する確認を取る体制は十分に整えておりますが、利用に関連して風評問題が発生した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 特定のサービスへの依存について
当社は、カナミッククラウドサービス、コンテンツサービス、その他サービスを提供しておりますが、現在、全体の売上高に占めるカナミッククラウドサービスの割合が多く、同サービスに依存しております。当社といたしましては、収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、コンテンツサービスの拡大や、新たに当社の柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおります。しかしながら、現在時点において主要サービスであるカナミッククラウドサービスが顧客のニーズと乖離した場合や競合他社に対する優位性を喪失するなどの事態に陥った場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規事業展開に伴うリスクについて
当社では、既存システムを活用した新規事業の開発を進めております。新規事業の展開にあたっては、当初見込み通りの展開ができず投資を回収できなくなる可能性があり、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社は新機能の開発計画を立て進捗管理を適切に行っておりますが、開発が想定通りに立ち上がらなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 株式価値の希薄化について
当社は、ストック・オプション制度を採用しており、本書提出日現在、同ストック・オプションによる潜在株式は150,000株であり、潜在株式も含めた株式総数の12.0%に相当しております。これらは、当社の業績・業容の拡大のための手段として実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではないと考えております。しかしながら、新株予約権の行使が行われた場合には、当社株式の1株当たりの価値は希薄化いたします。
② 資金使途について
当社が今回計画している公募増資による資金調達の使途につきましては、主にサービスの拡大に備えたシステム及び関連設備への投資、人員拡充における採用費用及び広告宣伝費等に充当する予定であります。
しかしながら、当社が属する業界の急速な変化により、当初の計画通りに資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
③ 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして位置付けており、株主への長期的な利益還元を実現するため、内部留保資金を充実し、環境の変化を先取りした積極的な事業展開を行う必要があると考えております。
当社は現在、成長過程にあり、そのため内部留保資金の充実を図ることで、財務体質の強化と事業拡大のための投資等により株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
また、今後の配当政策の基本方針としては株主への利益還元と内部留保充実を総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
④ 訴訟等について
これまで、当社に対して、業績に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。また、現時点において提起される見通しもありません。しかしながら、知的財産権侵害の訴訟等が提起され、当社に不利な判断がなされた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 固定資産に係る減損リスクについて
当社は、事務設備備品等の固定資産及びソフトウエア資産を有しており、これらは潜在的に資産価値の下落による減損リスクにさらされております。当社では、対象となる資産について減損会計ルールに基づき適切な処理を行っております。しかしながら、今後資産価値が低下した場合は、当社の業績等が影響を受ける可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 介護保険制度の改正について
当社が行っている介護・医療分野におけるカナミッククラウドサービスについては、介護保険法の影響を強く受けます。
介護保険法については、定期的に法律全般に関する検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等が行われ(介護保険法附則第2条)、また3年に1度介護報酬の見直しが行われることになっており、平成27年にも介護保険法及び介護報酬の改正が行われました。介護保険法や介護報酬の改正が行われた場合、これらの改正に対応するための適時なシステム開発が必要となります。一方、医療及び介護業界全般で市場の停滞・縮小や、一部大手事業者による寡占化、廃業の増加など、新たな市場動向の変化が生じることも想定されます。
こうした状況は、同業他社も同様の条件であるため、開発において他社に先んじることや差別化を図ること、適切な価格戦略を取ることがそのまま他社との格差を広げ、シェアの拡大に直結することになりますが、逆に遅れをとった場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな市場動向の変化が業績の拡大に寄与する場合もある一方で、当社サービスの導入延期やサービス利用数の削減、他社サービスへの乗り換えなどに繋がった場合は、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 他社との競合について
現在、国内で介護・医療分野におけるクラウドサービス事業を展開する競合企業が複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入を検討する企業が増加する可能性があります。
しかし、医療介護業界のシステム構築には、業界に精通した知識や経験が必要とされるため、参入障壁が高いと考えられます。その中で当社のカナミッククラウドサービスは、自治体・医療・看護・介護の連携に関してシステム内でのコミュニケーションが可能な多職種間連携を実現する介護請求・業務管理システムとして介護保険制度施行時の平成12年より提供されているシステムであり、当該システムにより国が目指す「地域包括ケアシステム」の実現に寄与するとともに、市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。
今後も、各地域に根ざしたサービスの提供、地域連携のさらなる推進により、患者、要介護者、全ての医療・介護事業者といった医療・介護業界全体のユーザーの利便性を向上させ、情報共有プラットフォームの構築を推進してまいりますが、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社のサービスはインターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。また、ハード面においては、スマートフォンの普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社は技術者の採用・育成やスマートフォンに関する技術やノウハウの取得に注力しております。しかしながら、このような技術やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社の対応が遅れた場合には、当社の競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費などの支出が拡大する可能性があり、その結果、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の管理について
当社は、展開する各サービスの運営過程において、ユーザーより個人情報を取得することがあります。当該個人情報の管理については、権限を有する者以外の閲覧をシステム上で制限しております。また、当社では個人情報保護マネージメントシステムを設定し、従業員に対して研修を実施しております。さらに、より一層の情報セキュリティの安全性を確保するために、平成18年5月にプライバシーマークを取得し、平成26年5月に4回目の更新を行いました。しかしながら、外部からの不正なアクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が流出した場合には、当社の社会的信用を失墜させ、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ システム障害について
当社のサービスは、当社のウェブサイトを主な情報通信手段としており、サービスの信頼性及び取引の安全性の観点からも、当社の事業用ITインフラは障害に強い設計としております。また、管理を強化するため、情報システム開発及び運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しております。さらに、今後の高齢者人口の増加をにらみ、サーバー容量等についても十分な容量を確保しております。しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、自然災害や事故等が起こった場合、当社役職員の操作過誤が生じた場合、ハッカー等外部からの侵入による不正行為が生じた場合、さらに高齢者人口の増加に伴い当社ユーザーが爆発的に増加した場合等には、システム障害やサーバー容量不足による当社コンピューターシステムの機能の低下、誤作動や故障等の深刻な事態を招く可能性があります。これらの事態が生じた場合には、インターネット上のウェブサイトを主な情報提供手段とする当社はサービス提供及び営業取引に深刻な影響を受け、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社は、当社の提供するサービスの基礎をなすシステムについて、特許権を有しております。
しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社の事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社に対する訴訟やクレーム等が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万が一当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 業績の季節変動性について
介護保険制度の改正は4月から実施されることが通例となっており、新制度開始までに当社クラウドサービスのバージョンアップを、新制度が施行される4月初めまでに実施することが求められます。また、地域包括支援センターを運営する自治体及び委託を受ける介護事業者は、新年度が始まる4月に導入を図ることが多く、需要がこの時期に偏る傾向があります。その結果、当社の業績は法改正のタイミングに連動してピークを迎える傾向にあります。
第15期事業年度及び第16期事業年度の売上高及び営業利益の変動は以下の通りであります。
第15期事業年度(自 平成26年10月1日 至 平成27年9月30日) | |||||
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 会計年度計 | |
売上高(千円) (構成比) | 221,234 (21.2%) | 337,807 (32.4%) | 247,723 (23.8%) | 235,005 (22.6%) | 1,041,770 (100.0%) |
営業利益(千円) (構成比) | 25,639 (10.5%) | 156,537 (64.1%) | 29,662 (12.2%) | 32,291 (13.2%) | 244,130 (100.0%) |
第16期事業年度(自 平成27年10月1日 至 平成28年9月30日) | |||||
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 会計年度計 | |
売上高(千円) | 248,007 | 328,264 | 280,692 | - | - |
営業利益(千円) | 33,114 | 105,556 | 77,788 | - | - |
現在はこれらの変動性に適切に対応できる体制を整備しておりますが、事業環境等の変化により季節変動性に大きな変化が生じた場合や、当社がこれらの季節変動性に適切に対応する体制がとれなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の取締役会長山本稔は、当社の創業者であり、設立以来、経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において取締役としての役割を果たしております。
当社では、同氏以外の者へ代表権を付与するなど、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織であること及び人材の確保及び育成について
当社は平成28年7月31日現在、従業員数が61名と小規模な組織であり、内部管理体制もそれに応じたものとなっております。また、カナミッククラウドサービスにおけるユーザーの利便性の向上には、当社システムの付加価値増加のためのシステム開発が必要であり、これに対応できる人材を確保・育成することが今後の事業の成長においても不可欠であります。
事業の成長とともに人員の採用及び育成を行っていくとともに、内部管理体制の強化を行っていく方針でありますが、人員採用などが適切に行えなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社の継続的な成長のためには、内部管理体制が適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が拡大することにより、内部管理体制が有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ コンプライアンスについて
当社は、法令その他諸規則、社会規範を遵守すべく、「倫理規範」を制定し、役職員に対してその周知、徹底を図っております。また、研修等を通じて、継続的にコンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分なコンプライアンス体制の構築が追いつかず、法令違反等が生じた場合、ユーザー及び取引先等の信頼失墜を招く、もしくは訴訟を提起されるという事態が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ サービスの安全性及び健全性について
当社のカナミッククラウドサービスは医療・看護・介護・自治体といった多職種他法人の垣根を越えた情報共有を可能にするシステムとなっており、高度なセキュリティ対策を施すことにより安心して利用していただける環境を整えておりますが、ユーザーを通じて個人情報の流出や、健全性を損なう情報の発信、違法行為などが行われる危険性があります。それらはシステムの利用規約において禁止事項にするとともに当社の責任範囲を限定しておりますが、当社が法的責任を問われ、また法的責任を問われない場合でもサービスのブランドイメージ悪化を招くことにより、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社のコンテンツサービスは、インターネット広告サービスとホームページ作成サービスを手掛けており、それらコンテンツに関する権利関係や健全性に対する確認を取る体制は十分に整えておりますが、利用に関連して風評問題が発生した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 特定のサービスへの依存について
当社は、カナミッククラウドサービス、コンテンツサービス、その他サービスを提供しておりますが、現在、全体の売上高に占めるカナミッククラウドサービスの割合が多く、同サービスに依存しております。当社といたしましては、収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、コンテンツサービスの拡大や、新たに当社の柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおります。しかしながら、現在時点において主要サービスであるカナミッククラウドサービスが顧客のニーズと乖離した場合や競合他社に対する優位性を喪失するなどの事態に陥った場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規事業展開に伴うリスクについて
当社では、既存システムを活用した新規事業の開発を進めております。新規事業の展開にあたっては、当初見込み通りの展開ができず投資を回収できなくなる可能性があり、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社は新機能の開発計画を立て進捗管理を適切に行っておりますが、開発が想定通りに立ち上がらなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 株式価値の希薄化について
当社は、ストック・オプション制度を採用しており、本書提出日現在、同ストック・オプションによる潜在株式は150,000株であり、潜在株式も含めた株式総数の12.0%に相当しております。これらは、当社の業績・業容の拡大のための手段として実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではないと考えております。しかしながら、新株予約権の行使が行われた場合には、当社株式の1株当たりの価値は希薄化いたします。
② 資金使途について
当社が今回計画している公募増資による資金調達の使途につきましては、主にサービスの拡大に備えたシステム及び関連設備への投資、人員拡充における採用費用及び広告宣伝費等に充当する予定であります。
しかしながら、当社が属する業界の急速な変化により、当初の計画通りに資金を使用した場合でも、想定通りの投資効果をあげられない可能性があります。
③ 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして位置付けており、株主への長期的な利益還元を実現するため、内部留保資金を充実し、環境の変化を先取りした積極的な事業展開を行う必要があると考えております。
当社は現在、成長過程にあり、そのため内部留保資金の充実を図ることで、財務体質の強化と事業拡大のための投資等により株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
また、今後の配当政策の基本方針としては株主への利益還元と内部留保充実を総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
④ 訴訟等について
これまで、当社に対して、業績に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。また、現時点において提起される見通しもありません。しかしながら、知的財産権侵害の訴訟等が提起され、当社に不利な判断がなされた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 固定資産に係る減損リスクについて
当社は、事務設備備品等の固定資産及びソフトウエア資産を有しており、これらは潜在的に資産価値の下落による減損リスクにさらされております。当社では、対象となる資産について減損会計ルールに基づき適切な処理を行っております。しかしながら、今後資産価値が低下した場合は、当社の業績等が影響を受ける可能性があります。