有価証券報告書-第36期(2023/10/01-2024/09/30)

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2024/12/25 15:46
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142項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、2024年4~6月期より輸出や設備投資が増加に転じたことに加え、労働力確保に向けた賃上げの動きが活発化し個人消費の増加が見られたこと等明るい兆しが見えてきました。一方、米中国間の対立による輸出入制限やサプライチェーンの見直し等世界経済のブロック化をはじめ、ウクライナ、中東、台湾情勢等の地政学リスクや米国大統領選の行方が日本経済に影響を及ぼす可能性は高く、景気の先行きは不透明さを増している状況にあります。
当社グループの主要顧客が属する金融分野における主なトピックスとしては、政府による「資産所得倍増プラン」に基づき、本年より貯蓄から投資へシフトする施策が新NISA制度として本格的に実行されたことが挙げられます。この政策により2023年6月末時点で旧制度の一般NISAとつみたてNISAの口座数が合計1,941万口座、買付額が32兆7,518億円であったのに対し、2024年6月末時点では新NISA口座数が2,427万口座、買付額が45兆3,880億円と口座数は1.3倍、買付額は1.4倍と大きく拡大する結果となりました。「資産所得倍増プラン」では、現預金を投資に変えていくことで持続的な企業価値向上の恩恵が資産所得の拡大という形で家計にも及ぶような好循環を実現させることを目指しており、本年はその契機となった1年だったといえます。
一方、テクノロジーの分野では、ChatGPTの急速な実用化による「生成AI活用革命」により、業務プロセスの自動化、省力化さらには個々の顧客属性・ニーズ・業種、業務に合わせたパーソナリゼーションを追求するための先進のAIテクノロジーを導入する実例が激増しています。2024年以降、新NISA革命と生成AI活用革命の2つの革命により、金融資産運用立国実現に向けた中長期的国策が加速しており、当社グループにおいてもその潮流の中で積極的な取組みを強力に推進している状況であります。
当社グループは当連結会計年度を2024年9月期に終了する中期経営計画の最終年度として位置づけ、「資産所得倍増プラン」に沿いながら金融レガシーシステムのDX化と日本人のゴールベースプランニングのDX化により、個人金融資産の最適なアセットアロケーションと世帯間移転、豊かな老後・円滑な相続を実現するための施策を継続的に実行しました。当連結会計年度における主なトピックスは次のとおりです。
① 当連結会計年度の売上高は8,178,887千円(前年度比1.6%増)と会社設立以来過去最大の売上高を計上しました。また、営業利益は297,347千円(前年度比8.4%減)、経常利益は308,986千円(前年度比6.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は156,755千円(前年度比29.3%減)となりました。
② 新NISA制度の導入に対する対応として、つみたて投資枠と成長投資枠の最適利用配分を決定し、さらに投資信託やETFの最適組合せをアバターが提案する生成AIアプリ、W2C(Wise Wealth to Customer)を開発しました。生成AIに係る多くの知見と実績、開発能力を有するFirework社と共同開発し、個人の資産形成と資産管理、さらには、金融資産を多く保有する高齢層から18歳以上の若い世帯への暦年贈与等による資産移転対策等、個人のパーソナリゼーションを追求した利便性の高い提案・支援システムであります。
③ また、生成AIを活用し汎用性の高いシステムとして、文書チェック・評価用新サービス「LibelliS」を新たに開発しました。保険会社が作成する募集関連文書については、法規制、各種ガイドライン等に照らし合わせて記載内容をチェックし正当性を評価する必要がありますが、本サービスは生成AIにより旧来のソリューションでは実現困難だった個々の保険会社の募集関連文書の固有のチェックや評価も可能となる先進的な機能を備えています。
④ プライベートバンキング業務向けにも生成AIを活用し、非上場株式の評価、企業の組織再編の提案、多様な相続対策・納税準備対策からのベストソリューションの選択、納税準備のためのアセットアロケーション、個別銘柄選択業務、さらにはそれらの詳細を説明する投資政策書の作成等、アセットマネジメントとタックスマネジメントの二つの領域を統合する生成AI活用システムも開発しました。
⑤ 生命保険会社向けには、変額個人年金保険、変額保険等の資産形成型の新商品を加えた生保設計書・申込書作成システムの開発プロジェクトやゴールベースプランニングシステムの再構築プロジェクト等の受託開発を継続的に行いました。一方、メガバンク向けには、新NISA制度を活用しながら個人投資家のポートフォリオを分析し、個別投資信託の組替えによる複数の投資目的の達成可能性を予想するゴールベースプランニングプラットフォームを提供しました。また、大手証券会社向けには、ロボアドバイザーによるファンドラップの組替えシミュレーションを提供し、国際分散投資と資産管理・運用の自動化を支援しました。
⑥ 2024年8月に、台湾及び東アジアのプライベートバンキングシステム分野でトップシェアを有する商智資訊股份有限公司(SoftBI社)と業務提携し、銀行、証券会社、金融商品仲介業者やファミリーオフィス事業向け資産管理プラットフォームを共同開発することで合意しました。本提携により、今後成長が期待される個人向け総合資産管理システム・資産家向け投資運用業のためのSaaSシステムの開発、使用許諾等、新しい事業領域のシステム開発に参入していく計画です。
⑦ 特に今後ファミリーオフィスコンサルティング事業を展開するために、100%子会社である株式会社Wealth Engineを設立しました。団塊の世代の大相続時代が到来する中、相続発生前後の個人保有資産の組替えと資産運用、次世代への資金移転が、円滑な財産分割、相続税の納税準備における重要なテーマとなることが予想されます。今後、キャピタル・アセット・プランニングが開発した資産管理・運用プラットフォームと生成AIを子会社Wealth Engineが有効に活用し、IFAや会計事務所、法律事務所とデジタルテクノロジーにより連携し、日本固有のマルチクライアントファミリーオフィス事業を推進してまいります。
なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。事業の売上区分別の業績は次のとおりであります。
(システム開発)
生命保険会社向けの①ライフプランシステム、②エステートプランシステム、③生保設計書システム、④生保申込書システム、⑤生命保険契約ペーパーレスシステム、⑥生保販売業務の省略化、効率化、自動化を実現するフロントエンドシステム、非金融機関向けの統合資産形成アドバイスシステム等の開発販売の結果、当連結会計年度のシステム開発売上高は7,594,645千円(前年度比0.4%増)となりました。
(使用許諾・保守運用)
ライフプランシステム等で使用する、CAPライブラリ(CAP/Lib)について、使用許諾契約や保守契約は引続き堅調であり、使用許諾・保守運用売上高は554,009千円(前年度比23.0%増)となりました。
(その他)
システムプラットフォームを活用した富裕層向けの資産管理コンサルティング契約の獲得を進め、その他売上高は30,232千円(前年度比2.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて450,276千円減少し、1,415,878千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、283,411千円の支出(前連結会計年度は1,216,480千円の収入)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益238,978千円、減価償却費349,458千円を計上した一方で、売上債権の増加640,581千円、法人税等の支払額123,150千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、178,018千円の支出(前連結会計年度は433,676千円の支出)となりました。これは主として有形固定資産の取得による支出80,468千円、無形固定資産の取得による支出65,626千円、差入保証金の差入による支出50,414千円を計上したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11,153千円の収入(前連結会計年度は104,536千円の支出)となりました。これは主として長期借入れによる収入700,000千円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出597,232千円、配当金の支払額91,614千円を計上したこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、システム開発事業の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、売上の区分別に示しております。
a. 生産実績
当連結会計年度におけるシステム開発売上の生産実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については生産に相当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
売上区分当連結会計年度
(自 2023年10月1日
至 2024年9月30日)
金額前年同期比(%)
システム開発(千円)6,128,96790.2
合計(千円)6,128,96790.2

(注) 金額は、販売価格で記載しております。
b. 受注実績
当連結会計年度におけるシステム開発売上の受注実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
売上区分当連結会計年度
(自 2023年10月1日
至 2024年9月30日)
受注高前年同期比(%)受注残高前年同期比(%)
システム開発(千円)6,630,43995.11,510,26878.1
合計(千円)6,630,43995.11,510,26878.1

(注) 金額は、販売価格で記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。
売上区分当連結会計年度
(自 2023年10月1日
至 2024年9月30日)
金額前年同期比(%)
システム開発(千円)7,594,645100.4
使用許諾・保守運用(千円)554,009123.0
その他(千円)30,232102.7
合計(千円)8,178,887101.6

(注) 1.「その他」は、富裕層向けコンサルティング、セミナー開催等に関する売上であります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
当連結会計年度
(自 2023年10月1日
至 2024年9月30日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
ソニー生命保険㈱2,318,50028.83,021,80936.9
三井住友海上あいおい生命保険㈱1,011,54812.6873,13710.7
㈱インフォテクノ朝日1,267,42515.8842,44410.3

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。
これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」を参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 経営成績の分析
(売上高)
生命保険会社向けには、変額個人年金保険等の資産形成型新商品を加えた生保設計書・申込書作成システムの開発やゴールベースプランニングシステムの再構築プロジェクト等の受託開発が継続しました。メガバンク向けには、個別銘柄を選択したポートフォリオの将来シミュレーション等を可能とする資産管理プラットフォームを提供しました。また、相続・事業承継・財産承継コンサルティングを自動化・効率化するウェルスマネジメントプラットフォームシステムの提供や人生100年時代を見据えた世界分散投資による資産形成を支援する確定拠出年金運用アプリの開発も継続的に行いました。証券会社向けには、ロボアドバイザーによるファンドラップシミュレーションを提供し、国際分散投資と資産管理の自動化を支援しました。これに伴い使用料課金も拡大し、全社売上高に占める使用料課金の割合は前年度の5.6%から6.8%に増加しています。
以上のような活動の結果、当連結会計年度の売上高は8,178,887千円(前年度比1.6%増)となり、過去最高の売上高を記録しました。
(営業利益)
当連結会計年度は、労務費・外注費等の採算管理強化により売上総利益が前年度比4.2%増加した一方、生成AIを活用したシステム開発強化に係る研究開発費の増加等により販売費及び一般管理費が前年度比7.3%増えたため、営業利益は297,347千円(前年度比8.4%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益として、受取利息及び配当金を18,133千円計上しました。また、営業外費用として、支払利息を19,121千円計上しました。この結果、経常利益は308,986千円(前年度比6.7%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計を82,222千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は156,755千円(前年度比29.3%減)となりました。
2) 財政状態の分析
<資産>当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて114,617千円増加し、5,660,565千円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて258,775千円増加し、3,816,001千円となりました。これは主として売掛金及び契約資産が640,581千円増加した一方で、現金及び預金が477,352千円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて144,158千円減少し、1,844,563千円となりました。これは主としてソフトウエア仮勘定が187,953千円、ソフトウエアが107,639千円減少した一方で、投資有価証券が89,726千円、建物及び構築物が54,545千円、差入保証金が49,294千円増加したこと等によるものであります。
<負債>当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて32,275千円減少し、2,364,382千円となりました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて164,641千円減少し、1,713,826千円となりました。これは主として未払法人税等が60,457千円、流動負債のその他に含まれる未払消費税等が86,566千円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて132,366千円増加し、650,555千円となりました。これは主として長期借入金が94,524千円増加したこと等によるものであります。
<純資産>当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて146,892千円増加し、3,296,182千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益を156,755千円、剰余金の配当を91,683千円、それぞれ計上したこと等によるものであります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2事業の状況 3事業等のリスク」を参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。
当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を、安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの資本の財源は、主に営業キャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、必要に応じて資金調達を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は1,439,051千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,415,878千円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上規模を表す売上高、収益性を表す営業利益、資本効率を表すROEを重視し、拡大を目指しております。当連結会計年度におきましては、売上高8,178,887千円、営業利益297,347千円を計上し、ROEは5.0%となりました。引続き事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させてまいります。

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