有価証券報告書-第14期(2024/03/01-2025/02/28)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)における当社グループを取り巻く経済環境は、世界的な金融引き締めに伴う影響により不透明感はありましたが、経済活動は緩やかに正常化に向かっております。通信インフラの高度化やデジタルサービス、SNSの普及や多様化とともに、データ流通量は爆発的な増加傾向(総務省「情報通信白書令和5年版」)にあります。新型コロナウイルス感染拡大後は非接触・非対面での生活を可能とするデジタル化が日常となり、オンラインショッピングや動画視聴サービスなどの利用が拡張、またあらゆる主体や個人が情報の発信者となり得るSNSの活用も進んでいます。一方で、SNSをはじめとした動画配信・投稿サイトにおける偽・誤情報拡散や炎上事象、ネット上の誹謗中傷の投稿、組織内部からの機密情報持ち出しなど課題も多発し、日本経済活動に与える影響は甚大かつ深刻化しており、国内外の情報セキュリティの市場規模は年々伸張の一途をたどり、当社グループのニーズは益々高まっております。
(a) 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ485,869千円増加し、7,383,893千円となりました。
当連結会計年度末における流動資産は、4,067,543千円となり、前連結会計年度末に比べ1,140,924千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が961,275千円、及び販売用不動産が260,494千円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、3,316,350千円となり、前連結会計年度末に比べ655,054千円減少いたしました。これは主にソフトウエアが68,649千円増加、のれんが726,130千円減少、投資有価証券が110,827千円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,226,924千円増加し、5,515,062千円となりました。
このうち、流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,039,837千円増加し、3,079,285千円となりました。これは主に短期借入金が158,797千円増加、1年内返済予定の長期借入金が552,818千円増加、及び未払金が231,000千円増加したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ187,087千円増加し、2,435,776千円となりました。これは主に社債が100,000千円増加、及び長期借入金が74,649千円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ741,055千円減少し、1,868,831千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失860,379千円等によるものであります。
(b) 経営成績
当連結会計年度の連結業績において、事業領域拡張に合わせた新ミッション「安全なデジタル社会をつくり、日本を前進させ続ける。」のアップデートや、これまでの知見を活用し社会インフラの老朽化や環境問題への対応、安全・快適・有効に最大限機能させるべく、「スマートシティ事業」を新たなセグメントに設置し、ミッションの実現に向けて、事業を推進してまいりました。
しかしながら、AIセキュリティ事業の2023年10月にサービス提供を開始したAIK assignの受注リードタイム長期化などによって、警備DX領域のトップライン伸長が計画どおりに進捗しておらず、AIセキュリティ事業に係る営業利益は当初計画を130百万円下回りました。また、スマートシティ事業のプロパティ・マネジメント領域において、一部オーナーの物件売却等が発生したうえに、営業人員の不足により新規管理物件の獲得が大きくは進まなかったことも重なり、スマートシティ事業に係る営業利益は、当初計画を210百万円下回っております。これを受けて、当社連結子会社の株式会社メタウンにおける、2025年2月期の実績と当初想定していた事業計画の乖離状況を踏まえ、慎重に検討した結果、特別損失(のれんの一部減損損失)を計上することとしました。さらに、株式会社JAPANDXが自治体に展開している「DX-Pand(デクスパンド)」について、新地創交付金への制度変更に伴い、大幅な機能拡張と仕様の変更が生じ、事業計画の見直しを行った結果、特別損失(固定資産の減損損失)を計上することとなりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は7,317,064千円(前年同期比12.0%増)となり、EBITDAは608,806千円(前年同期比9.3%増)、営業利益は93,326千円(前年同期比48.7%減)、経常利益は68,849千円(前年同期比52.0%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は860,379千円(前年同期は257,302千円の利益)となりました。
(注) 当社グループの業績の有用な比較情報として、EBITDAを開示しております。EBITDAは、税引前当期純損益から利息及び非現金支出項目(減価償却費及び償却費等)の影響を除外しております。EBITDAの計算式は以下のとおりです。
・EBITDA=税引前当期純損益+支払利息+減価償却費及び償却費等の非現金支出項目
(c) セグメントごとの経営成績
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、地域の総合マネジメントソリューションの実現を目指して、新たに「スマートシティ事業」をセグメントに設置しました。それらを受けて、事業セグメントの区分方法を見直し、株式会社エフエーアイを「AIセキュリティ事業」に、株式会社メタウン、アクター株式会社を新設の「スマートシティ事業」に区分しております。なお、以下の前年同期比については、同様の区分方法により組み替えた数値で比較しております。
(デジタルリスク事業)
デジタルリスク事業は、営業秘密情報の持ち出しなどの社内に潜むリスクを検知するインターナルリスク対策と主にSNSやブログ、インターネット掲示板などWeb上のソーシャルメディアに起因するリスク対策を支援するソーシャルリスク対策から構成されております。
インターナルリスク対策は、昨今話題となっている営業秘密等の機密情報持ち出し対策や、経済安全保障の観点による情報管理強化支援を目的に製造業・金融業を中心に新規導入が進み、KPIとしていたユーザーID数は31万IDまで増加しました。1案件あたりの平均ID数は4,500程度となっており、エンタープライズ企業とそのグループ会社への展開が進んでいます。
ソーシャルリスク対策は、リスク検知時の初動対応コンサルティングを含むWebリスクモニタリングを主力サービスとして提供しております。また、SNSリスク低減のための社内規程作成支援や従業員向け研修の提供など、幅広い形で企業のSNSリスク対策を支援いたしました。
以上の結果、売上高は2,514,348千円(前年同期比9.7%増)、セグメント利益は1,150,530千円(前年同期比7.3%増)となりました。
(AIセキュリティ事業)
AIセキュリティ事業は、警備DXで新時代の安全保障をつくることを目指して、フィジカルな警備保障サービスを運営しつつ、運営の中で生じる課題解決のためのDXソリューションの開発・提供で警備業界のDX化に取り組んでいます。
警備保障サービス領域は、2025年開催の大阪万博を見越した大阪拠点も順調に立ち上がっております。一方で、北海道地域における積雪量が少なかった影響や首都圏における下期採用状況の鈍化によって、KPIであるポスト数の達成率が98.7%にとどまりました。
警備DX領域は、警備会社と依頼者の警備受発注マッチングプラットフォームであるAIK orderなどの警備業務DXサービスを展開しています。AIK assignの受注リードタイム長期化などによって、トップライン伸長が計画どおりに進捗していない状況が継続しておりました。この状況を打開すべく、警備現場における人手不足を解決する採用ソリューションの展開、警備ネットワークを活用したコンシェルジュ型サービスの展開で業績の底上げに取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は1,621,867千円(前年同期比0.9%増)、セグメント損失は40,959千円(前年同期は37,562千円のセグメント利益)となりました。
(DX推進事業)
DX推進事業は、デジタルを活用した人に優しい社会への変革を目指して、主に地方自治体を対象とした行政の住民サービスのデジタル化支援を行う自治体DX領域、並びにSESとラボ型開発のハイブリッドで事業会社のDX支援を行う事業会社DX領域の二つを事業の柱として取り組んでいます。
自治体DX領域は、自治体ビジネス特有の下期偏重の事業構造を有しています。年度末に掛けて、スマート公共ラボ for GovTechプログラムや、DX-Pandのサービス提供開始が増加し、両サービスを提供する自治体数は146まで増加しました。
事業会社DX領域では、事業セグメント内の営業連携強化や、提供能力拡大を目指したDX人材の獲得にも取り組みました。また、下期偏重の事業構造からの脱却を目指して、生成AI事業に着手するとともに、放送局等メディア向けDX支援に強みを持つJDXソリューションズ株式会社のグループ参画を実現するなど、積極的な投資を継続し、事業領域の拡大を推進いたしました。
以上の結果、売上高は1,804,645千円(前年同期比52.6%増)、セグメント利益は9,453千円(前年同期比85.0%減)となりました。
(スマートシティ事業)
スマートシティ事業は、スマートな街づくりで地方創生に貢献することを目的に、プロパティ・マネジメント領域のデジタル化から着手し、そのデジタル化の領域をビル・施設、そして地域に広げることを目指しています。また、スマートな街づくりを念頭においた、自治体のインバウンドマーケティング支援や、マップ検索特化型集客ツールであるミセシルベの提供を開始し、地方創生につながる動きも加速しています。
一方で、プロパティ・マネジメント領域は、一部オーナーの物件売却等が発生したことに加えて、営業人員の不足により新規管理物件の獲得が大きくは進まなかったことも重なり、大幅な管理物件数の減少が生じました。その他、収益不動産の売買を通じた管理物件の獲得を進めるべく専門の不動産売買チームを組成し、不動産売買取引からの収益拡大を計画しておりましたが、不動産売買を専門とする人員の採用に遅れが生じるなど、不動産売買事業が想定通りの立ち上げとならなかったことが大きく業績に影響を与えました。
以上の結果、売上高は1,483,846千円(前年同期比7.1%減)、セグメント損失は110,361千円(前年同期は23,098千円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ955,675千円増加し、2,511,838千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、587,694千円(前年同期は、76千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失692,574千円、減価償却費150,804千円、減損損失749,193千円、のれん償却額369,021千円、投資有価証券評価損14,588千円、売上債権の減少127,528千円、未払金の増加212,954千円、及び販売用不動産の増加260,494千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、570,563千円(前年同期は、690,382千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出127,377千円、無形固定資産の取得による支出375,385千円、投資有価証券の取得による支出111,433千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出240,489千円により減少する一方、投資有価証券の売却による収入228,735千円等により増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、938,547千円(前年同期は、589,847千円の獲得)となりました。これは、短期借入金の純増加額158,797千円、長期借入れによる収入1,505,000千円、非支配株主からの払込みによる収入129,500千円等により増加する一方、長期借入金の返済による支出939,645千円等により減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b) 受注実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメント名の名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
| デジタルリスク事業 | 2,506,856 | 9.4 |
| AIセキュリティ事業 | 1,617,242 | 1.8 |
| DX推進事業 | 1,712,378 | 58.9 |
| スマートシティ事業 | 1,480,586 | △6.2 |
| 合計 | 7,317,064 | 12.0 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
販売実績の総販売実績に対する割合が10%を上回っている相手先がないため、記載を省略しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、次の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の分析
経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要は、運転資金に加え、新規事業への事業投資や投資有価証券の取得であります。
現状、これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入れによって調達しておりますが、必要に応じて、増資や社債発行等により柔軟に対応することとしております。
(3) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、テクノロジーの発展によって生じる新たなリスク対策を講じるデジタルリスク事業や、デジタル化の余地が大きく残る警備業界のデジタル化を支援するAIセキュリティ事業、行政サービスのデジタル化を中心に企業・自治体のDX支援を行うDX推進事業、不動産ビジネスのデジタル化からスマートな街づくりを目指すスマートシティ事業の4つの事業で、コーポレートミッションである「安全なデジタル社会をつくり、日本を前進させ続ける。」の実現を目指します。
2025年5月29日に開示の通り、2026年2月期を初年度とする3ヵ年経営計画では、時価総額200億円超を中長期のターゲットとした経営計画の策定・推進を掲げております。なお、2026年2月期の連結業績予想は、保守的に策定し、売上高82億円、営業利益3.8億円、当期純利益は、1.7億円を見込んでおります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。