有価証券報告書-第21期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 12:47
【資料】
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【項目】
123項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の方針
当社グループは、「人のチカラで 世界を便利に」をビジョンに掲げております。
当社の考える「人のチカラ」とは、Web上にネットワークされた世界中の人の英知・マンパワーを指しております。Webの進化によって可能となった場所や時間に制約を超えた「人のチカラ」の活用によって、今までにない便利なサービスを世の中に提供することで、社会に貢献していくことを目指しております。
(2) 経営環境
平成30年版「情報通信白書」によると、日本の生産年齢人口は2017年から2040年にかけて約1,600万人減少することが推計されており、労働力不足による経済規模の縮小、国際競争力の低下といった社会的・経済的な課題が深刻化することが危惧されております。そのような状況の中、当社グループは「人のチカラで 世界を便利に」というビジョンのもと、「深刻化する労働力不足を解決する企業」として様々な領域において労働力の代替ソリューションとなる事業をSaaSを中心に複数展開しております。
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2020年版」によると、国内SaaS市場規模は、2019年度において6,016億円となっており、2024年度には11,178億円に達すると予測されております。また、CGS事業のリソース供給源であるクラウドソーシングの市場規模については、矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2018-2019」によると、2018年度の流通金額規模(仕事依頼金額ベース)は前年度比34.8%増の1,820億円となっており、2021年度には2,610億円に達すると予測されています。
また、CGS事業の中でも主力サービスである官公庁等の入札情報を提供する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」を巡る環境として、国内入札市場における年間契約額は、2017年度において21.9兆円と、毎年安定的に年間20兆円超の発注がなされる市場規模が維持(中小企業庁「官公需契約の手引」より)されております。NJSSのTAM(Total Addressable Market)については、NJSSのメインターゲットとなる落札実績のある企業数が約40万社(NJSSのデータベースより)であることに加え、今後は入札資格未保有の企業もターゲットとなると想定されるのに対し、NJSSの有料契約件数は2021年3月末時点では3,960件に止まっていることから、将来的には数十倍の有料契約件数の拡大の余地があると考えております。
競合企業の状況や当社の優位性については、現在、国内でクラウドソーシング・サービスを展開する競合企業は複数存在しますが、当社グループは、クラウドソーシング・サービスのみならず、そのワーカーをリソースとするCGS事業、そして企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO事業を展開しており、それらの相互のシナジーによって優位性を築いていると考えております。優位性を更に強固なものにするためにも当社では、新たなCGS事業を継続的に生み出し続けていきたいと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症は、前連結会計年度から続き当社の事業及び業績に影響を与えることが予想されます。新型コロナウイルス感染症の当連結会計年度の業績への影響については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に、今後、当社の事業及び業績に与えうる影響の予想については「2 事業等のリスク (特に重要なリスク) (1)新型コロナウイルス感染症拡大のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは「人のチカラで 世界を便利に」というビジョンのもと、「深刻化する労働力不足を解決する企業」として中長期的に企業価値を最大化させたいと考えております。そのため2019年5月14日に短期的な利益追求ではなく中長期的な企業価値の向上を企図した5カ年の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)を策定し、2020年3月期及び2021年3月期を先行投資期間と位置づけ、下記中期方針の3つの柱に注力してまいりました。
① 「NJSS」の継続成長化
契約総受注額の拡大と解約総額の改善に向けた営業プロセスの最適化やプロダクトのリニューアル等を行うことによって、中長期的な事業価値の向上を図る。
② ストックビジネスとなる新規CGS事業の創出・育成
「えんフォト」と「fondesk」を新規CGS事業の柱として、システムや人員等への投資を積極的に行うことによって、ストックビジネスとしての育成を図る。
③ BPOの高利益率化
営業・施工体制の見直しによる売上高向上とコスト改善を通じて、利益率の向上を図る。
2021年3月期までの中期経営経営計画の全社及びセグメント別の進捗及び各施策の取組状況は以下のとおりです。

① 「NJSS」の継続成長化
営業プロセスの最適化に基づく人員増強や2021年3月期上期中のリリースに向けた各種取り組みに注力しております。2021年3月期までは、主に営業プロセスの最適化やウェビナーの開催・web広告の展開などのマーケティング施策が奏功し、ARPU(有料契約一件当たりの日割り売上高)、解約率、LTV(顧客生涯価値)、ARR(年間定額収益)といった各種KPIが改善されました。
以上より、①の課題に対する取り組みについては、着実に進捗したと考えております。
② ストックビジネスとなる新規CGS事業の創出・育成
NJSSへの売上・利益依存脱却を図るため第2、第3の柱となる事業として「fondesk」と「えんフォト」を育成するための投資を積極的に実施いたしました。
「fondesk」においては、各種マーケティング施策を積極的に展開したうえ、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの社会浸透に伴うバックオフィス業務のDX化を支援するサービスの一つとしての認知を拡大させ、2021年3月末時点で有料契約件数が2,230件(2020年3月末比1,884件増加)となるなど当連結会計年度において大きく成長いたしました。「えんフォト」においては、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年4月に発令された緊急事態宣言下において保育園・幼稚園の各種イベント縮小等の懸念がありましたが、ネガティブな影響が限定的に止まったうえ、日常生活の写真需要等により底堅く推移いたしました。また、そのような不透明な環境下においても2020年12月にえんフォトとのシナジー創出を目的とした出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」を運営するOurPhoto株式会社の全株式取得による完全子会社化や冊子制作機能「フォトブック」の開発に注力するなど、サービス成長及びユーザー利便性の向上のための各種施策を着実に実施いたしました。
以上より、②の課題に対する取り組みについては、着実に進捗したと考えております。
③ BPOの高利益率化
BPO事業におきましては、アップセルの強化や徳島第一・第二センターの安定稼働により高利益率化を図った結果、当連結会計年度におけるセグメント利益率が11.3%(前連結会計年度は4.0%)となるなど、利益率を向上させることができました。その他、AI-OCRと人力をかけ合わせた新たなSaaS型データ自動化サービスである「eas(イース/Entry Automation System)」の開発に注力するなどサービス成長のための取り組みにも着手いたしました。
以上より、③の課題に対する取り組みについては、着実に進捗したと考えております。
この通り、中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度までにおいて、着実に各種施策が進捗したうえ、当社の想定を上回る売上高成長を果たすことができました。また、今後もさらに積極的な投資を実行することにより一層の売上高成長を見込めると考えており、そのような状況の中、当社はSaaS企業としてさらなる売上高成長を目指すことが企業価値の最大化に資すると考え、売上高成長の加速化と中期経営計画5年目となる2024年3月期のEBITDA目標1,500百万円達成の両立を実現するため、2022年3月期においてもさらに成長投資を加速させることといたしました。あわせまして中期経営計画において掲げた2023年3月期及び2024年3月期の業績予想についても、2021年5月14日に修正しております。新たに掲げた目標達成に向けて優先的に対処すべき事業上の課題は以下の3つであり、いずれも特に優先度の高い対処すべき事業上の課題として対処していきたいと考えております。
① NJSSのSaaS事業としての更なる成長
当連結会計年度では前連結会計年度から引き続き注力した営業体制の最適化により、順調にサービスを成長させることができました。一方でNJSSをSaaS事業として更に成長させるためには、契約件数を伸ばしつつLTV(顧客生涯価値)の最大化を図る必要があり、これらを達成するために2022年度3月期においては契約件数増加トレンドの継続・チャーンレートの更なる抑制・アップセルの強化等の施策へ注力し、事業価値を向上させていきたいと考えております。
② 新規CGS事業の成長促進
NJSS以外のCGS事業「fondesk」・「えんフォト」は、いずれも当連結会計年度において成長いたしましたが、全社的には依然としてNJSSが売上高の50%を超え、営業利益の大半を稼ぎ出す状況が続いており、当社グループが更に成長するためにはNJSSに次ぐ新たな柱となるサービスが必要であると考えております。そのため2022年3月期においては、「fondesk」におけるマーケティング施策の継続的実施や「えんフォト」におけるシステム開発・契約園数拡大・「OurPhoto」とのシナジー創出等を進めることによって、新規CGS事業の成長を図る次第です。
③ BPO事業の高利益率化の継続と新規サービス「eas」による成長加速
一般的にBPOビジネスは設備や人員の確保に伴う固定費の発生により利益率が低くなりがちですが、当連結会計年度においてはアップセルの強化や徳島第一・第二センターの安定稼働等が進んだ結果、セグメント利益率が11.3%(前連結会計年度は4.0%)と利益率を向上させることができました。2022年3月期においても引き続き利益率の向上を図りつつ、AI-OCRと人力をかけ合わせた新たなSaaS型データ自動化サービスである「eas(Entry Automation System)」の拡販も進めていくことで、事業成長を加速させていきたいと考えております。
この先、労働力不足が懸念される社会において「人のチカラで 世界を便利に」というビジョンのもと、「深刻化する労働力不足を解決する企業」としてこれら各種課題に対応することで、既存サービスの成長および新規サービスの創出を図り、売上高成長を加速させて企業価値の最大化を目指していく所存であります。
また、当連結会計年度は各種施策に対する積極投資を着実に実施した年度となりましたが、当連結会計年度末時点において、現金および預金が約33億円、有利子負債控除後のネット・キャッシュが約32億円、自己資本比率が52.6%となっていることから、財務の健全性には懸念がなく、現時点で財務上の課題は特段ないものと考えております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021年5月14日に修正した中期経営計画における業績予想はいかのとおりです。
当社では、中期経営計画達成に資するM&A等を積極的に検討するという観点から、EBITDAを経営上の目標の達成状況を判断するための重要指標として位置付けております。
《2022年3月期~2024年3月期 連結業績予想値》
2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売上高3,900百万円4,800百万円5,800百万円
EBITDA△250百万円50百万円1,500百万円
営業損失△340百万円
経常損失△340百万円
親会社株主に帰属する当期純損失△380百万円

《(参考)当初中期経営計画 2022年3月期~2024年3月期 連結業績予想値》
2022年3月期2023年3月期2024年3月期
売上高3,300百万円4,800百万円
EBITDA400百万円1,500百万円

なお、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。
現在、当社グループの業務は通常通り運営されておりますが、新型コロナウイルスに関連して経営環境が大幅に変化した場合など、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす変化が更に観測された場合は、改めてお知らせいたします。

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