有価証券届出書(新規公開時)

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2020/02/20 15:00
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55項目
第1【企業の概況】
(はじめに)
当社は、1972年4月に現在とは異なる事業を目的として株式会社ヤマギワ工作所の商号で設立され、1990年6月に株式会社ヤマギワ工作所から株式会社テックヤマギワに商号変更しました。その後、2004年2月に株式会社テックヤマギワから株式会社エイ・ピー・ツーに商号を変更し、2004年3月に翼システム株式会社情報企画事業部のソフトウェア事業(現データエンパワーメント事業)を譲受け、ウイングアークテクノロジーズ株式会社に商号を変更しました。
当社グループにて、現在のデータエンパワーメント事業を始めたのは2004年3月からでありますが、事業譲受の対象になった翼システム株式会社情報企画事業部は、同社の当時の主力事業であった自動車整備業向けパッケージソフト以外のソフトウェア分野での新規事業化を目的に、社内ベンチャーの位置づけで1993年10月に発足しました。その後、同事業部にて当社グループの現在の主力製品である帳票開発ソフトウェア「Super Visual Formade(以下「SVF」という。)」を1996年12月に、多次元高速集計検索エンジン「Dr.Sum」を2001年5月にそれぞれリリースし、事業として立ち上げました。その後、翼システム株式会社は同事業部を売却し資金化することとなり、2004年3月に株式会社アドバンテッジパートナーズをスポンサーとして、株式会社エイ・ピー・ツーへ事業譲渡を行い、株式会社エイ・ピー・ツーは商号をウイングアークテクノロジーズ株式会社に変更しました。2004年3月の事業譲受以降につきましては、2009年11月に会社分割によりウイングアークテクノロジーズ株式会社を新たに設立し、同社に当社のデータエンパワーメント事業を承継させると共に、当社の商号を1stホールディングス株式会社(旧1stホールディングス株式会社)に変更しました。
2010年12月に、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)(現東京証券取引所JASDAQ市場)に株式を上場し、2012年2月には、東京証券取引所市場第二部へ市場変更を行いましたが、2013年4月にオリックス株式会社をスポンサーとして、旧1stホールディングス株式会社の株式取得を目的として設立されたモノリスホールディングス株式会社が旧1stホールディングス株式会社の株式を対象に株式公開買付けを実施し、同年5月に成立したことをうけ、同年9月に同市場への上場を廃止いたしました。また、同年12月には、モノリスホールディングス株式会社が旧1stホールディングス株式会社を吸収合併し、同日に商号を1stホールディングス株式会社へ変更いたしました。さらに、2014年3月には、商号をウイングアーク1st株式会社(以下「旧ウイングアーク1st株式会社」という。)に変更いたしました。
その後、カーライル・グループが運営する投資ファンドであるCJP WA Holdings, L.P.の出資により、2016年3月に設立されたWACホールディングス株式会社が、同年4月に、旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を取得して完全子会社化したうえで、同年6月に吸収合併し、同日付でWACホールディングス株式会社からウイングアーク1st株式会社に商号変更を行い、実質的に事業を承継しました。上記の運営主体の変遷については、(7)の図表もご参照下さい。
(1)1stホールディングス株式会社への商号変更と東京証券取引所への上場
ウイングアークテクノロジーズ株式会社として事業を開始した2004年3月以降、大手SIerを中心としたパートナー販売網の構築、当社グループ独自の製品開発、企業買収や子会社設立によるグループの拡大等を推し進め、主力のソフトウェアである「SVF」、及び「Dr.Sum」を中心に順調に事業が拡大しました。その後、2009年11月に1stホールディングス株式会社(旧1stホールディングス株式会社)に商号変更するとともに、グループ全体の経営効率化を目的に持株会社体制に移行し、2010年12月に大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)(現東京証券取引所JASDAQ市場)に株式を上場し、2012年2月には東京証券取引所市場第二部へ市場変更を行いました。
(2)モノリスホールディングス株式会社によるマネジメント・バイアウト(以下「MBO(注1)」という。)の実施とウイングアーク1st株式会社への商号変更
モノリスホールディングス株式会社は、旧1stホールディングス株式会社の株式取得を目的として、旧1stホールディングス株式会社の代表取締役社長であった内野弘幸(現当社取締役会長)により2012年11月に設立されました。2013年4月8日にオリックス株式会社をスポンサーとして、株式公開買付けを実施、同年5月22日に成立し、同年9月に東京証券取引所市場第二部から上場を廃止しました。その後、同年12月にモノリスホールディングス株式会社を存続会社として、旧1stホールディングス株式会社を吸収合併し、商号を1stホールディングス株式会社へ変更しました。
(3)上場廃止の経緯
2012年当時、日本のIT市場は当社が主力としていた旧来の基幹システムを中心としたビジネスモデルから、クラウド、ビッグデータに代表される新しい技術やプラットフォームへの移行が急速に進みつつありました。また、世界的にもAmazon Web Service(注2)やForce.com(注3)など世界をシームレスに繋ぐ廉価かつ高品位のPaaS(注4)の加速度的普及の結果、アプリケーションソフトウェアベンダーは、PaaSベンダーが提供するクラウドプラットフォームを利用することにより、自社のアプリケーションソフトウェアをグローバルなクラウドサービスとして比較的簡単に提供することが可能となりました。このようなソフトウェア産業における構造転換は、世界の強豪アプリケーションソフトウェアベンダーが日本市場に参入する障壁を大幅に引き下げるものであり、日本市場で確固たる地位を築いていた当社グループにとっても、競争の激化が確実な情勢となっておりました。
2013年4月5日に公表した2012年度業績(2012年3月1日~2013年2月28日)についても、2012年4月13日に公表した予想値を下回る結果となりました。
このような状況の中、旧1stホールディングス株式会社の取締役会は、将来にわたって安定的かつ持続的に当社の企業価値を向上させていくためには、①事業構造の再構築(グループ内子会社の再編、人的・物的資源の再配分、業務プロセスの改善及び見直し等による事業構造の再構築)、②製品開発力強化(第三者との資本・業務提携による製品開発力の強化)、③グローバル化(アジア圏を含むグローバル市場の開拓)、④新規事業の創出(クラウド・ビッグデータ時代に対応した新製品・新サービスの展開を通じた成長戦略の遂行を更に加速)といった課題を解決することが急務であり、上場を維持したままかかる施策を実行した場合には、利益水準の低下やキャッシュ・フローの悪化などを伴うリスクがあったため、MBOによる非公開化という決断に至りました。
また、MBOの実施においては公開買付けを含む取引が少数株主にとって不利益なものとなっていないかが重要であるため、当社は、一般投資家への十分な情報開示に努めるとともに、旧1stホールディングス取締役会は、第三者算定機関及びリーガルアドバイザーからの情報を参考に当社の企業価値及び株主共同の利益の観点から慎重に協議を行いました。これらの結果、公開買付価格1株当たり880円は、基準日(2013年4月4日)から過去1ヶ月間、過去3ヶ月間、過去6ヶ月間の東京証券取引所市場第二部の終値に対して、それぞれ約42.6%、約46.2%、約54.1%のプレミアム、基準日の終値に対して約44.3%のプレミアムを加えた価格であり、当社の株主にとって妥当なものであると判断いたしました。
以上の経緯から、2013年9月に東京証券取引所市場第二部から上場を廃止しました。
(注)1.M&Aの手法のひとつで、会社の経営陣が、買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュ・フローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどを受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法のこと。
2.米国Amazon.com, Inc.が提供するクラウドプラットフォームサービス。
3.米国salesforce.com, Inc.が提供するクラウドプラットフォームサービス。現Lightning Platform。
4.「Platform as a Service」の略。インターネット経由で、ソフトウェアを構築及び稼動させるための土台となるプラットフォームや各種アプリケーションを提供するサービス及びその利用形態。
(4)上場廃止後の状況
2013年9月の非上場化後から「(3)上場廃止の経緯」で述べた課題に取り組み、経営基盤を盤石なものとするとともに、変化の激しいIT市場でさらなる成長を実現するための体制を構築いたしました。
① 事業構造の再構築
(a)グループ内子会社の再編
当社グループは、2004年の創業当時よりソフトウェアの開発会社と販売会社が分かれており、それぞれが個性を発揮することにより、全体として事業を拡大してきました。しかし、急速に変化する市場環境においては、市場のニーズをいち早く収集し、他社に先駆けて製品開発や機能強化に取り組む必要があり、開発機能と販売機能が分かれている体制はその点において課題が大きく、市場のニーズとは異なる製品開発を行うこともありました。このため、2014年3月に商号をウイングアーク1st株式会社(旧ウイングアーク1st株式会社)に変更すると同時に子会社3社(ウイングアーク株式会社、1stネクスパイア株式会社、ディジタル・ワークス株式会社)を吸収合併し、ソフトウェアの開発・販売を一体として行う組織体制としました。また、2016年6月にセキュリティサービス事業を行う子会社のバリオセキュア株式会社の全株式を売却し、コア事業であるデータエンパワーメント事業への選択と集中を進めました。
(b)人的・物的資源の再配分
非上場化以前は、要件が画一的なシステム開発案件に対して、ソフトウェアを当該システムの一部のツールとして販売するビジネスモデルが主力でしたが、クラウド、ビッグデータに関連する市場は、業種や業務ごとにデータの規模や性質、扱い方が全く異なります。そのため、従来は当社グループの販売パートナーに対する営業活動がメインであった営業本部を営業・ソリューション本部へと改組し、強みであるパートナーへの営業力は維持しつつ、業種や業務に精通した人材の確保、育成を行い、顧客への提案力の強化を図っております。この結果、現在のIoT(Internet of Things)や働き方改革といった新しい市場トレンドに対しても、スピーディに提案を行うことが可能となっております。
また、案件のカバー範囲をさらに広げるために、2013年9月に東北営業所、2016年3月に札幌営業所、2016年8月に新潟営業所、2017年11月に中四国営業所と従来手薄であった地方に営業拠点を設置し、少数の経験豊富な営業担当者で効率的な市場の開拓を行っております。
(c)業務プロセスの改善及び見直し
非上場化以降、業務のシステム化を推し進めており、バックオフィス部門の効率的な運営を目指しております。
当社のパートナー販売網は日本全国を網羅しており、営業は数多くの案件を管理していますが、従来はシステム的な制約もあり、全体の進捗や見込を正確に把握することは困難であり、担当は多くの工数を割かざるを得ない状況でした。そこで、2013年頃より自社のクラウドサービスを用いた営業改革ソリューションの構築を開始し、営業の見える化と業務の自動化を実現しました。現在は、さらに一歩進み、今後取るべきアクションまでを示唆するソリューションとなっており、営業改革の自社事例として、顧客に提案しております。
当社では、ソフトウェアを購入いただいた9割以上(2020年1月31日現在)の顧客と保守契約を締結しており、さらにクラウドサービスの拡大に伴って、サービス利用契約も年々増加し、売上成長に大きく寄与する一方、当該契約の更新作業は大きな負担となっておりました。業務量が増加するに従い、入力ミスや更新漏れも発生し、全社的な課題となっておりましたが、2016年2月に業務の効率化及び精度向上を目的にweb上で契約管理を行うシステムを導入いたしました。従来、紙ベースで行っていた契約手続きを顧客がweb上で行うことにより、当社、顧客双方の事務負担が軽減されるとともに入力ミスもなくなり、あわせて、契約が全てweb上で確認できることから、更新漏れが減少しました。
② 製品開発力強化
事業の効率化と開発力の強化を目的に、2014年3月に開発会社と販売会社を吸収合併した結果、営業部門やサポート部門が収集した市場のニーズを開発部門にタイムリーに伝えることが可能になり、非上場化以前は停滞していたソフトウェアやサービスの開発が加速しました。また、吸収合併以前は、会社ごとにそれぞれ個別のソフトウェアを開発していましたが、一体となる事により、技術やノウハウの共有が図られ、効率的な開発やソフトウェア同士の連携強化といった効果も表れています。
・非上場化以降のソフトウェアリリース及びアップデート
公表年月名称内容
2013年9月Dr.Sum EA TextOLAPテキストデータの定量的な分析機能を搭載したソフトウェア。
2014年1月SVF Ver.9.2多言語設定やプリンター対応機種の拡充、クラウド環境サポート等主に運用面を強化。
2014年3月MotionBoard Ver.5.0Excel連携、GIS機能、チャート表現等の機能を強化。
2015年5月MotionBoard Ver.5.5帳票レポート作成による分析結果の報告・共有、クラウドとオンプレミスのセキュアかつ効率的な連携等の機能を強化。
2016年5月MotionBoard Ver.5.6IoT(Internet of Things)データのリアルタイムによる可視化等の機能を強化。
2017年6月SPAスキャンした電子書類の自動仕分け機能や高速検索、電子書類のデータ活用等の機能を搭載したソフトウェア。
2017年10月Dr.Sum Ver.5.0ビッグデータに対応するため、処理性能を大幅に強化。
2018年6月SPA Ver.10.0OCRエンジンや文書ファイルのライフサイクル管理等の機能を強化。
2019年2月Dr.Sum Ver.5.1インメモリエンジンによるリアルタイムデータの高速集計機能の強化。
2019年2月MotionBoard Ver.6.0アーキテクチャをHTML5に変更。
2019年9月SPA Ver.10.2マルチフォームの紙帳票からのデータ抽出機能を追加。
2019年12月SVF Ver.10.0Excel様式を使用した印刷機能、多様化する帳票・閲覧環境をサポートする機能を実装。

資本・業務提携については、2017年6月に株式会社日立製作所の帳票ソフトウェア資産「EUR」を取得し、同社との帳票分野での連携を強化、2018年3月には東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(現ビジネスエンジニアリング株式会社)へ出資し、同社が強みとする製造業向けアプリケーションと当社のソフトウェア及びサービスを組み合わせたソリューション開発を進めております。また、2018年9月に伊藤忠商事株式会社及び鈴与株式会社と資本業務提携契約を締結し、共同での販路開拓やソリューション開発を進めております。
③ グローバル化
2014年3月に東南アジアでのソフトウェア及びサービスの販売を目的にシンガポールにWINGARC SINGAPORE PTE. LTD.を設立、2017年5月にオーストラリアでのクラウドサービスの立ち上げを目的として、SPACE-TIME RESEARCH PTY. LTD.(現WINGARC AUSTRALIA PTY LTD)を買収し、海外での販売を強化しております。また、東南アジアでは、2018年3月に出資を行った東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(現ビジネスエンジニアリング株式会社)と共同で現地製造業向けのソリューション開発を進めております。
④ 新規事業の創出
非上場化以降、クラウドをベースとした新規事業の開発を推し進めており、既存ソフトウェアのクラウド展開を始め、独自提供のクラウドサービスや他社クラウドとの連携サービス等、クラウド領域のラインナップを強化しております。
・非上場化以降のサービスリリース及びアップデート
公表年月名称内容
2014年12月3rd Party Data Galleryマーケティングや企画立案のためのオープンデータや外部のデータベンダーのデータの販売サービス。
2014年12月MotionBoard Cloudクラウド上のデータと社内データをつなぐMotionBoard Bridge ServiceやリアルタイムGEOコーディング等の機能を強化。
2015年2月SVF Cloud他のクラウドサービスと連携し、クラウド上での帳票作成や運用を可能とするサービス。
2016年4月MotionBoard Cloud IoT EditionIoT機器向けのリアルタイム用API(Application Programming Interface)等IoT機能を強化したオプションサービス。
2017年3月VyNDEXExcel上で、クラウドSFA(Sales Force Automation)であるsalesforceのデータマネジメントを可能とするサービス。
2018年7月SPA Cloudソフトウェア版と同等の機能に加え、各種サービスと連携可能なクラウドサービス。
2019年8月Dr.Sum Cloudソフトウェア版と同等の機能に加え、各種サービスと連携可能なクラウドサービス。

あわせて、M&Aにより、クラウド領域に強みを持った企業を獲得しており、当該企業の強みと当社技術とを組み合わせた新サービスの提供を進めております。2017年11月にクラウド上でのリテール向けサービスの提供を目的として株式会社リテールマーケティングメソドロジー(現株式会社リテールマーケティングワン)、2018年1月にクラウドプラットフォーム強化のため株式会社Everforthそれぞれの株式を取得し、子会社としました。
なお、MBOを実施し、上場廃止となった事業年度の前事業年度(2013年2月期)以降における経営成績の推移は以下のとおりであります。2017年2月期より国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しており、2016年2月期のIFRSによる連結経営成績等を合わせて記載しております。
(単位:百万円)

日本基準(連結)(注)2
旧1stホールディングス株式会社1stホールディングス株式会社旧ウイングアーク1st株式会社
決算年月2013年2月2014年2月
(注)3
2015年2月2016年2月
売上高12,86810,20113,45014,282
営業利益4,1773,0523,5633,814
経常利益3,9902,0263,1533,677
当期純利益1,9222291,6281,743
減価償却費245235282319
のれん償却費3681,0991,4511,473
EBITDA(注)6、94,7904,3875,2975,606

(単位:百万円)

IFRS(連結)(注)5
旧ウイングアーク1st株式会社ウイングアーク1st株式会社
決算年月2016年2月2017年2月
(注)4
2018年2月2019年2月
売上収益12,11313,28415,56617,287
営業利益4,3894,2274,2234,887
税引前利益4,2333,9084,0464,738
継続事業からの当期利益2,7102,5652,9243,292
親会社の所有者に帰属する当期利益3,3022,5652,9243,293
減価償却費及び償却費2828221,2941,259
EBITDA(注)6、94,6725,0495,5186,146

また、当社グループは、合併関連費用や上場関連費用等の非経常的な費用項目及び非継続事業に係る損益の影響を除外することで、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握する上で有用な情報を提供することを目的として、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下の算式により算出された調整後EBITDA及び調整後当期利益を重要な経営指標と位置付けております。2016年2月期以降の調整後EBITDA及び調整後当期利益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
IFRS(連結)(注)5
旧ウイングアーク
1st株式会社
ウイングアーク1st株式会社
決算年月2016年2月2017年2月
(注)4
2018年2月2019年2月
EBITDA(注)7、94,6725,0495,5186,146
(調整額)
M&A関連費用-71404
IFRS移行に伴う費用-185515
一過性の監査報酬費用--3364
一過性のインセンティブ報酬費用-125375-
上場関連費用(注)8--37228
本社移転費用---60
調整後EBITDA(注)94,6725,2646,0586,520

(単位:百万円)
IFRS(連結)(注)5
旧ウイングアーク
1st株式会社
ウイングアーク1st株式会社
決算年月2016年2月2017年2月
(注)4
2018年2月2019年2月
継続事業からの当期利益2,7102,5652,9243,292
(調整額)
M&A関連費用-71404
IFRS移行に伴う費用-185515
一過性の監査報酬費用--3364
一過性のインセンティブ報酬費用-125375-
上場関連費用(注)8--37228
本社移転費用---60
調整項目の税効果調整-△74△149△114
調整後当期利益(注)92,7102,7063,3153,553

(注)1.百万円未満を切り捨てて表示しております。
2.日本基準(連結)には、2016年6月に売却したバリオセキュア株式会社の数値が含まれております。なお、IFRS(連結)では非継続事業となっているため、含まれておりません。
3.1stホールディングス株式会社の2014年2月期の実質的な事業活動期間は、2013年6月1日から2014年2月28日までの9ヶ月間となっております。
4.当社の設立は2016年3月7日でありますが、2016年4月14日付で全株式を取得した旧ウイングアーク1st株式会社の事業年度開始の日は2016年3月1日であるため、旧ウイングアーク1st株式会社の2016年3月1日から同年4月13日までの期間の実績及び2016年4月14日から2017年2月28日までの期間の当社の実績を合算し、概算値を記載しております。また、当該概算値の算定にあたっては企業結合に伴うファイナンスコスト、デューデリジェンスコスト等1,270百万円を除外しております。なお、当該概算値は、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
5.当社グループでは、のれん及び一部の耐用年数を確定できない無形資産(商標権)を計上しておりますが、IFRSでは、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産の償却を行いません。なお、当該期間に係る日本基準で計上したのれん及び耐用年数の確定できない無形資産の償却費は、以下のとおりとなります。
(単位:百万円)
決算年月2016年2月2017年2月2018年2月2019年2月
のれん及び耐用年数の確定できない無形資産の償却費1,0971,7472,3792,399

6.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
7.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費
8.主に新規上場に係る弁護士費用及びコンサルティング費用となります。
9.EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益はIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、非現金支出項目及び毎期発生しないM&Aに関する費用、IFRS移行に伴う費用、上場後には発生しないと見込まれる上場関連費用等の非経常的な費用項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、又は競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。
なお、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、当期利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるEBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益は、同業他社の同指標又は類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
(5)オリックス株式会社の子会社からカーライル・グループが運営するファンドへの主要株主の異動
WACホールディングス株式会社は、旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を取得する目的でカーライル・グループが運営するファンドであるCJP WA Holdings, L.P.により、2016年3月7日に設立されました。
WACホールディングス株式会社は、LBO(Leveraged Buyout)を実施し、自己資金の他金融機関からの借入31,500百万円の外部資金調達を実施することで、旧ウイングアーク1st株式会社の代表取締役社長であった内野弘幸(現当社取締役会長)及びオリックス株式会社の子会社であるOPI2002投資事業組合から旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を2016年4月14日に取得しました。その後、WACホールディングス株式会社は同年6月1日を効力発生日として、旧ウイングアーク1st株式会社を消滅会社とする吸収合併を行い、同日付でWACホールディングス株式会社の商号をウイングアーク1st株式会社に変更しております。
のれんの減損については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (15)のれん及びその他の無形資産の減損について」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 13.のれん及びその他の無形資産 (4)のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト」をご参照下さい。借入金については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (16)有利子負債への依存と資金調達について」及び「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (株式会社三菱UFJ銀行等と締結しているタームローン契約)」をご参照下さい。
(6)非上場化による効果
当社グループは、非上場化以降、事業構造再構築のための子会社再編や大規模な組織変更、多額のコストを伴う社内のリストラクチャリング等を迅速に実施した結果、クラウドやビッグデータ等を主軸とした新戦略を遂行する事が可能となりました。この新戦略をもとに、当社独自のテクノロジーを搭載した業界に先駆けた新製品、サービスの開発、業種や業務に特化した提案力の強化、海外を含めた営業網の拡充、MotionBoard CloudやSVF Cloudなどのクラウドをベースとした新規事業の創出、子会社設立や出資、M&A等積極的な投資による成長戦略の補強といった事を実現し、海外事業等MBO時に策定した計画とは異なる部分があるものの、2019年2月期は過去最高の売上となりました。
(7)再上場する目的、理由
上述いたしましたとおり、非上場化以降、変化の速いIT市場において、当時認識していた以上の多くの課題に迅速に対処することにより、基幹システムを中心とした安定的なビジネスやパートナーシップによる広範な営業網等、非上場化以前の強みを損なうことなく、ビジネス領域の拡大と経営基盤の強化を両立し、MBOの目的であった、当社の競争優位性を維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させるという目的は現時点では達成できたものと考えております。このような状況のもと、2016年4月には、経営体制を刷新し、新たな中期経営計画を策定いたしました。当該計画では、新たなビジョンとして「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」を掲げ、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。
今後も引き続き厳しい経営環境が想定される中、経営計画を達成し、企業価値の増大及び株主価値の向上を実現するため、業種・業務に特化したクラウドベースの新事業へのさらなる投資や積極的なM&Aの実施を見据えた資金調達の多様化を図るとともに、円滑な事業遂行のため、社会的知名度・信頼性の向上、優秀な人材の確保、及び経営基盤の強化を図りたく、東京証券取引所への上場を予定しております。
当社の事業運営主体の変遷は以下のとおりです。
0201010_001.jpg
また、当社設立以降の当社グループの変遷は以下のとおりです。
0201010_002.png
(注) 点線内の8社が現在の連結子会社となります。