有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/14 15:00
【資料】
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【項目】
128項目

対処すべき課題

文中の将来に関する記載は、本書提出日現在、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は設立時より「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」を企業理念に掲げ、経営判断の拠り所としております。本理念のもと、当社では、AIを活用したコンテンツ自動生成技術とクラウドインプットを活用したコンセンサス情報の生成技術というコア・テクノロジーを金融・経済をテーマとする分野に利用し、様々な投資情報を提供しております。投資活動を含めた資産運用の情報インフラを担う会社としての役割と責務を認識し、今後も投資家に資するサービスを提供してまいります。
また、当社は2018年11月に社名を「株式会社みんかぶ」から「株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド」に変更しておりますが、「インフォノイド」は“情報(Information)”と“拘る者(Noid)”の造語であり、“MINKABU THE INFONOID - Minkabuこそが情報に拘るものである”は、当社の今後の成長ドライバーのスローガンそのものであります。当社のコア・テクノロジーの拡張性を活かし、情報への拘りを追求してその価値を具現化し、金融・経済のみならず、スポーツをはじめとした様々なテーマにおいて、直接的にまたは間接的に最終顧客の活動に寄与し、情報提供を通じて人々を豊かにし、社会に貢献してまいります。
(2)経営戦略等
当社は、上記の経営方針に基づき、金融・経済をテーマとする分野においては、投資活動等の資産運用の情報インフラを担う企業として、投資を行う全ての人が、意識的に、また無意識に当社サービスを利用する環境の構築を目指してまいります。そのため、メディア事業においては、既存サービスの深掘や他社との協業を通じて、更に細分化されたユーザーニーズに対応し、より幅広い層の獲得と各ユーザーの利用拡大を目指します。一方、ソリューション事業においては、商材の拡充やAI技術の汎用的展開等により顧客対象企業の多様化と顧客単価の上昇を推進してまいります。また、これまでの実績と経験を活かし、ノウハウ、開発、販売などのスコープの拡大を追求する事業譲受や企業買収も、経営戦略上の有効な手段と捉えております。
更に、当社の事業の核となる“情報”が持つ事業の拡張性や再現性に照らし、金融・経済に留まらない他分野においても、専門企業とのパートナーシップ等を通じて展開を図る考えであり、2018年12月にはスポーツビッグデータを保有するデータスタジアム株式会社と提携し、スポーツ情報分野への展開に着手いたしました。なお、海外展開に関しては、2017年3月期に従前のメディア事業における海外展開方針を転換し国内市場を軸とした事業展開を推進しており、現時点において海外拠点を設置する計画はありません。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営指標として売上高及びEBITDA、並びにEBITDAマージンを重視しております。また、各事業セグメントにおいて、業績動向を測る主な指標(KPI:Key Performance Indicator)として、メディア事業では当社が運営するウェブサイトを利用する月間ユニークユーザー数と訪問ユーザー数を、ソリューション事業では顧客数を参照しております。2018年12月までのKPIは、それぞれメディア事業の月間平均ユニークユーザー数が500万人超、同訪問ユーザー数が1,800万人超(いずれも2018年年初来平均)、ソリューション事業は金融機関を中心に100社を超える水準となっております。
(4)経営環境
金融・経済をテーマとする現在の事業領域におきましては、当社の経営環境は株式等資本市場の動向に影響を受けやすい状況にあります。また、当社が展開するメディア事業は、法制度等による直接的な参入規制はなく、一部機能について類似するサイトも多く存在しております。しかしながら当社が有する投資家の予想データ、企業の株価や企業情報等に基づく株価分析機能、速報性と網羅性の高い自動生成ニュース等、AIとクラウドインプット、ビッグデータの融合によって生成される独自性の高いコンテンツは、蓄積による高品質化という要素が強く存在し、当社が強みの一つとするウェブ検索エンジンの最適化技術と相まって、月間平均ユニークユーザー数500万人超(同訪問ユーザー数は1,800万人超)の高い支持を得て堅調に伸長しており、品質面での個人投資家に資するサービスとしての参入障壁から、競合する要素は少ないものと考えております。
AIやクラウドインプットを活用したインターネットを通じた情報生成配信技術により、情報の非対称性を可能な限り排除し、個人投資家市場の拡大に寄与し、既存ユーザーへの安定した情報提供の継続に加え、潜在投資家を市場に呼び込む仕組みの一端を提供することは当社の役割であると考え、投資家育成を視野に入れたメディアの深掘と拡大を推進してまいります。
また、メディア事業におけるデータ及びノウハウの蓄積を法人向けにプロダクト化して提供するソリューション事業においては、その優位性と独自性を活かした提案を行うことで他社との明確な差別化を図っており、競争優位にあると考えております。株式会社矢野経済研究所の調べ(『FinTech市場の実態と展望2018』)によれば、国内フィンテックの市場規模は既に1兆円を突破し、今後も高成長率を維持するとの試算も示されており、今後の成長分野であると考えております。
(5)事業上、財務上の対処すべき課題
今後当社が成長を遂げていくための事業上、財務上の対処すべき課題及びこれらへの対処方針は以下のとおりであります。
① 提供サービスの品質の維持向上
当社が提供するメディアサービス及びソリューションサービスは、その大半がインターネットを利用したサービスであり、システムの安定稼働は不可欠であり、ユーザーがいつでもどこでもストレス無く利用できる環境の提供や、提供コンテンツの速報性や網羅性並びに正確性等、サービスの品質の維持・向上は経営課題と認識しております。係る課題に対処するため、技術革新等に対応するシステム開発投資及び技術者等育成のための投資を継続的に行ってまいります。
② 収益基盤の強化
当社の売上高は、メディア事業及びソリューション事業のいずれも堅調に推移しているものと考えておりますが、更なる収益基盤の強化は経営課題と認識しております。そのため、メディア事業では、月間平均500万人超のUU数及び同1,800万人を超える訪問ユーザー数を有する大規模な投資家ユーザーベースの更なる拡大やそれらユーザーベースを活用した外部パートナーとの協業促進による収益機会の創造、より深化した情報提供を実現する課金サービスの導入によるユーザー当たりの収益増大等、各種収益の獲得を、ソリューション事業では、情報系フィンテックを核とした事業特性に鑑み、幅広い金融機関のニーズに対応する様々な情報ソリューションの提供に注力し、収益基盤の強化を図ってまいります。
③ 経営資源の最適配分と効率的運用
当社は、事業の拡大に則した人員確保を進めると同時に、限られた経営資源を有効に活用すべく業務執行の組織横断的連携と集中管理体制を構築しております。結果、組織運営の秩序が乱れた場合には、事業運営に影響が生じる可能性があり、限られた経営資源をもって各種事業リスクにどのように対処していくかが課題と認識しております。
係る課題に対処するため、経営資源の最適配分及び効率的な組織運用を目的とした社内規程の整備、並びにその周知徹底を継続的に行ってまいります。
④ 人材の確保及び育成
当社は、自律的な成長のためには、当社の理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材の採用及び確保、並びにその育成は重要であると認識しております。そのため、多様な働き方の整備や福利厚生・社内教育体制の充実等、従業員が高いモチベーションをもって働くことのできる環境の整備を継続して推進してまいります。
⑤ ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社は、持続的成長を遂げるためには、事業執行とガバナンスのバランス、並びに経営上のリスクを適切に把握しコントロールするための内部管理体制の強化が重要であると認識しております。そのため、社外取締役や監査等委員への報告体制の強化、監査等委員会と内部監査室並びに会計監査人による実効性ある三様監査を推進するとともに、役職員向けコンプライアンス研修の実施等を通じた個々人への意識づけ並びに内部監査室による定期的監査を継続的に実施してまいります。