有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/05/16 15:00
【資料】
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【項目】
99項目

事業内容

当社グループは、当社及び連結子会社2社(Sansan Global PTE. LTD.及びSansan Corporation)の計3社により構成されており、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、「クラウドソフトウェア」に「テクノロジーと人力による名刺データ化の仕組み」を組み合わせた新しい手法を軸に、名刺管理をはじめとした企業やビジネスパーソンが抱えるさまざまな課題の解決につながるサービスを展開しております。具体的には、名刺をデータ化し、人と人のつながりを情報として可視化・共有できる、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を展開するSansan事業と、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの仕組みを取り入れ、名刺をビジネスのつながりに変える名刺アプリ「Eight」を展開するEight事業を運営しております。また、両事業共通の基盤として、名刺のデータ化等をデータ統括部門「DSOC(Data Strategy & Operation Center)」が担っており、新技術の開発とデータ入力オペレーションの改善を追求し続けております。
また、当社グループの提供する「Sansan」と「Eight」は、数多くの企業やビジネスパーソンが利用するサービスとなっており、名刺管理という極めて基本的なビジネスニーズと、そこに蓄積されるデータや情報が土台となっていることから、他のサービスやデータベースとの連携可能性が高く、ビジネスにおけるプラットフォームになり得る要件を兼ね備えているものと捉えております。したがって、ビジネス・プラットフォームとしての価値を高めていくことで、さまざまなビジネス機会にアクセスしやすいという特徴を有していると考えております。
なお、次の2事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1)Sansan事業(主要な会社:当社、Sansan Global PTE. LTD.、Sansan Corporation)
Sansan事業では、「Sansan, Where Business Starts 名刺管理から、ビジネスがはじまる」をコンセプトに、クラウド型の名刺管理サービス「Sansan」を法人向けに展開しております。「Sansan」の活用により、例えば、企業が抱える「名刺交換情報が社内で共有されていない」、「社内コミュニケーションが円滑にできていない」、「名刺情報が持つ価値に気付けていない」といった課題を解決し、企業に眠る名刺を事業活動に使える資産に変えることで、ビジネスの「出会い」の価値を最大化することができると考えております。ユーザー企業は名刺をスキャンするだけで、名刺情報は当社グループ及び外部の情報処理パートナーの入力オペレーター等により正確にデータ化され、クラウド型アプリケーションを通じて「AI名刺管理」を利用することができます。本機能では、各社員単位での名刺管理だけではなく、組織内での名刺情報の共有も可能となります。また、最新の人物情報が通知される人事異動ニュースの配信や一括メール配信機能等の幅広い顧客管理機能を備えております。更に、これらの基本的機能に加えて、同僚とスムーズな情報共有を可能にする社内電話帳や同僚の強みや知見を可視化する機能を備えた「同僚コラボレーション」、社内のデータベース連携や複雑な顧客データの高度な名寄せが可能な「顧客データHub」といった機能も提供しております。
クラウド上の名刺データにはパソコンやスマートフォンから素早くアクセスが可能であり、検索機能や電話・メッセージ機能等の活用を通じて、ビジネスパーソンに生産性向上、業務改善、コストの削減といった効果を提供しております。また、組織内で名刺情報の共有や企業内の顧客データの名寄せ等が行えることで、ユーザー企業のビジネス機会の創出につながる高度なマーケティング活動、顧客管理等が可能になると考えております。これらは、ユーザー企業が働き方改革を行う上でも重要な「労働生産性の向上」にも寄与すると考えております。
ビジネスモデルとしては、ユーザー企業の全社員によるサービス利用(全社利用)を前提としたライセンスへの月額課金を推進しております。ユーザー企業にて取り込まれる(データ化される)名刺の枚数を基に算出されるライセンス費用に、オプション機能の利用料やスキャナレンタル料等が加算されたものが月額利用料となりま
す。また、サービス導入時には、紙で保管されている大量の名刺のデータ化や導入支援等の付加サービスを有料で提供しております。
「Sansan」は、2019年5月期第3四半期末時点で契約件数5,738件、名刺管理サービス市場で81.9%(注1)のシェアを獲得しております。また、その利便性が評価され、継続的に利用されるサービスとなっており、直近12か月平均の月次解約率(注2)は1.0%以下に留まっております(2019年5月期第3四半期末時点では0.73%)。
2014年
5月期末
2015年
5月期末
2016年
5月期末
2017年
5月期末
2018年
5月期末
2019年
5月期
第3四半期末
契約件数(件)1,4852,4363,6124,5415,1475,738

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(2)Eight事業(主要な会社:当社)
Eight事業では、「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」をコンセプトに、単なる名刺管理だけではなく、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの仕組みを取り入れた新しいビジネスネットワークサービスとして名刺アプリ「Eight」を運営しております。2017年には、初のテレビコマーシャルを含む広告宣伝活動を展開し、ビジネスネットワークとしての価値を強く訴求してきた結果、手軽に名刺管理ができるサービスとして2019年5月期第3四半期末時点で、235万人のユーザー(注3)を有しております。
「Eight」の活用により、ビジネスパーソンが抱える「ビジネスの出会いを活かしきれていない」、「名刺情報に容易にアクセスできていない」、「ビジネスSNSを活用したいが友人を増やすことが目的ではない」といった課題を解決できると考えております。
「Eight」では、「Sansan」と同様に、名刺をスキャンするだけで、自分や交換相手の名刺情報が正確にデータ化されます。「Eight」では、まず利用ユーザーは自分の名刺を登録することで、ビジネスライフを通じて活用できる自身のページが作成され、プロフィール管理が可能となります。次に、交換相手の名刺を登録することで名刺管理機能が活用でき、クラウド上にデータ化された全ての名刺情報には、スマートフォンやパソコンから、いつでもどこでもアクセスが可能となります。また、ネットワーキング・サービスを通じてつながった相手の情報に変更があった場合には、登録した名刺情報が自動で最新の状態に更新され、通知が届くようになります。加えて、ビジネスチャットが送り合えるメッセージ機能も利用ができ、ユーザー自身が持つビジネスネットワークをよりスムーズに活用することが可能となります。更に、興味のある企業の情報の収集や転職活動等にも活用ができます。
ビジネスモデルとしては、プロフィール管理や名刺管理機能が無料で使用できるアプリをベースとし、一部利用機能を拡充した個人向け有料サービス「Eightプレミアム」や「Eight」における名刺共有を企業内で可能にするサービス「Eight 企業向けプレミアム」、転職潜在層(注4)のユーザーにアプローチ可能な採用関連サービス「Eight Career Design」、「Eight」のユーザーに対して広告配信ができるサービス「Eight Ads」等を提供しております。
(注)1.株式会社シード・プランニング「名刺管理サービスの市場とSFA/CRM関連ビジネス」(2018年11月)より引用した、2017年の金額シェアベースの値であります。
2.既存契約の月額課金額に占める、解約に伴い減少した月額課金額の割合であります。
3.ユーザー数の定義は、アプリをダウンロード後、自身の名刺をプロフィールに登録した認証ユーザー数であります。
4.早い時期での転職を視野に入れた積極的な転職活動は行っていないものの、将来的な転職の可能性が一定程度高い層のことであります。
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