有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/11 15:00
【資料】
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【項目】
144項目

事業等のリスク

当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合はその対応に最大限の努力をいたします。
また、以下の事項には将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は提出日時点において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
(1) 経済、金融動向に伴うリスク
① 景気動向について
宿泊需要は、大別するとビジネス需要と観光需要があり、景気減退による企業活動の縮小や給与水準の低下による支出意欲の低下によって、宿泊需要が減少する可能性があります。
② 金利変動について
当社グループの有利子負債には金利変動の影響を受けるものが含まれているため、金利上昇によって支払金利や調達コストが増加する可能性があります。
③ 国際情勢について
国際的な政治、戦争、テロ等の影響により原油・燃料価格が高騰することがあり、調達コストの増加につながる可能性があります。
(2) 競合他社の出店、競争過熱に伴うリスク
① 新規参入者を含めた競争について
既存の競合他社に加え、民泊という新業態の参入のほか、昨今は異業種からの業界参入もあり、競争激化により集客が低下し、当社グループが展開するホテルの稼働率が低下する可能性があります。
② 価格競争について
競争の激化により更なる過当競争が引き起こされ、価格が下落し、売上の減少につながる可能性があります。
(3) 事業遂行上のリスク
① 商品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク(客室)
客室においては、設備機器の不具合が発生することによって、電気や水・お湯が供給できなくなり、照明、空調、TV等の電化製品の停止や、風呂場、トイレの使用が不可能になるなど、宿泊及び企業イメージに対する影響が出る可能性があります。
② 商品やサービスの欠陥や瑕疵に関するリスク(料理)
飲食店や宴会場での料理提供においては、品質管理や食品衛生に十分注意をしておりますが、食中毒が発生した場合には、社会的信用の低下、個人への補償及び事業停止処分の可能性があります。
③ 人材に関するリスク
ホテル業は、人的サービスに拠る面が大きいことから、採用難などの人材確保が困難になる場合や、他社への人材流出により、事業運営が停滞する可能性があります。また、最低賃金の引き上げや、社会保障政策に伴う社会保険料率の引き上げ等による人件費の上昇、採用コストの増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは宿泊者の氏名・連絡先を宿泊システムにて保有しているほか、会員システムとして使用している「宿泊ネット」内に顧客情報を保有しています。これら情報がハッキング行為等により流出した場合、社会的信用の低下や、コンピュータウイルスへの感染によるシステム停止から事業運営が停滞する可能性があります。
⑤ 減損損失の計上
当社グループは、ホテル建物等の有形固定資産を保有しておりますが、今後一定規模を超える不動産価額の下落や、事業収支の悪化が発生した場合、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。
⑥ 会計基準変更に伴うリスク
現在、企業会計審議会において、いわゆるオペレーティング・リース取引のオンバランス処理が検討されております。当社では、借主側としてのオペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料が多額となると想定され(なお、当連結会計年度(2019年3月期)における借主側としてのオペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は16,310,534千円であり、本適用となればさらに増加する可能性があります。)、これらを含むオペレーティング・リース取引が会計基準変更に伴いオンバランス処理された場合、貸借対照表に大きな影響を与えるものとなり、経営成績及び財務指標に影響が及ぶ可能性があります。
⑦ 賃借不動産の継続利用の中断もしくは中途解約
当社グループは、ホテル不動産あるいは飲食店舗不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産所有者が破綻等の状態に陥った場合は、当該事業所の事業継続が困難となる可能性があります。また、賃貸借契約の途中で、当社グループの何らかの都合により契約を中途解約する場合は、残存期間分の未経過賃料のうちの一部を支払うか、補填する義務が生じる可能性があります。
⑧ 名古屋国際ホテルの閉館予定について
名古屋国際ホテルは、定期建物賃借契約終了に伴い、2020年9月に営業終了となる見込みであります。名古屋国際ホテル株式会社の2019年3月期の売上高は1,768,045千円、営業損失は22,875千円であります。営業終了の場合には、当社グループの売上高が減少する可能性があります。
(4) 自然災害や突発的事象発生のリスク
① 火災発生に関するリスク
設備の欠陥、瑕疵による火災(電化製品のショート、清掃不備による電源部から埃への着火等)や、お客様を起因とする火災(寝タバコ等)の発生により、社会的信用の低下や、事業停止処分、建物設備が焼失する可能性があります。
② 自然災害の発生に関するリスク
地震や、台風・大雨・大雪、火山の噴火等によって、建物設備の損壊のほか、交通網やライフラインの断絶で原材料(客室リネンや食材、飲料)の調達や、電気・水道・ガスの供給が困難になること、また従業員の出勤も困難になること等により、事業所の機能が停止する可能性及び宿泊意欲が低下することによる収益悪化の可能性があります。
③ 感染症の流行に関するリスク
新型インフルエンザに代表される感染症・感染病の流行等によって、拡散脅威による渡航規制の発生(国外客の減少)や、国内宿泊需要が減退する可能性があります。
(5) 法務リスク
① 法的規制について
当社グループは、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等の法的規制を受けております。当社グループは、これらの法令等の遵守に努めておりますが、現在の当該規制の強化や改正あるいは新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用や営業上の制約が発生する可能性があり、当社グループの事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
② 労務管理
法令に基づく適切な労務管理ができないこと等により従業員に重大な労働災害が発生した場合、ハラスメント行為についてホットラインの設置等の施策を講じていても完全に排除することができない場合等、労務問題によって当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
③ 不適切な景品表示
当社グループの広告宣伝は、当社各事業部及び子会社において内容確認を実施し、疑義が生じた場合には顧問弁護士に確認しておりますが、誤認を与える広告宣伝を実施した場合、当社グループの社会的な信用が低下し、あるいは、多額の課徴金や損害賠償が請求される等、当社グループの事業や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権の侵害
当社グループは、当社総務人事部を所管部署とし、商標権、著作権、特許権、意匠権等の知的財産権を管理しておりますが、他社による知的財産権の侵害により、当社グループの知的財産の価値が低下する可能性があります。また、当社グループでは他社の知的財産を侵害することのないよう、他社の知的財産権調査を実施しておりますが、当社グループが他社の知的財産を侵害している場合には、使用料支払いや損害賠償請求等により当社グループの損益に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 新規出店に係るリスク
当社グループは、今後も新規開発を進めていく予定ではありますが、出店候補地が確保できない場合、出店に必要な人材が確保できない場合、その他新規出店に際し当社グループに予期せぬ事由が発生した場合、また、当社グループが出店後近隣に競合他社が出店した場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 外注費目の安定調達・仕入価格の変動に係るリスク
当社グループは、清掃業務及びリネン業務を外注しております。清掃業務につきましては、人手不足による1室当たりの清掃単価の上昇、リネン業務に関しましては、原油高に伴い洗濯費用が高騰する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) レピュテーションリスク
当社及び藤田観光株式会社は、それぞれ独立した会社であり、当社は「ワシントンホテルプラザ」、藤田観光株式会社は「ワシントンホテル」というブランドで事業活動を行っております。この「ワシントンホテル」という商標は、両社で共同出願しチェーン展開を行っているため、投資家や一般消費者等が経営母体を誤認する可能性を否定できません。以上のことから、同ブランドで火災や食中毒などブランドイメージを毀損する事案が発生した場合には、当社グループのレピュテーションが低下することがあり、経営成績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 季節変動リスク
当社グループの事業は、第3四半期連結会計期間において宿泊客数の増加、忘年会等による飲食店・宴会場の利用客増加により需要が増加する一方で、第4四半期連結会計期間においては需要が減少する傾向があります。また同時期においてホテルの改装等を実施することも多くあり、第4四半期連結会計期間は、他の四半期連結会計期間と比べ、売上高及び利益が減少する傾向があります。以上のような季節変動要因により、当社グループの一時点における業績は通期の業績の分析には十分な情報とならない可能性があります。
なお、2019年3月期の各四半期連結会計期間の売上高及び営業利益は、以下のとおりであります。
単位:千円
第1四半期
連結会計期間
第2四半期
連結会計期間
第3四半期
連結会計期間
第4四半期
連結会計期間
売上高5,302,8945,459,4495,799,0684,849,223
営業利益809,923875,8621,083,280219,454

(注) 第1四半期連結会計期間、第2四半期連結会計期間、第3四半期連結会計期間、及び、第4四半期連結会計期間については、太陽有限責任監査法人による監査またはレビューを受けておりません。