有価証券報告書-第19期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/26 16:20
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針について
当社グループは、「ヒトを変え、事業を変え、そして社会を変える。」を企業ビジョンとして掲げ、ブランドコンサルティング領域、食関連領域、宇宙関連領域、投資領域において事業を展開してまいりました。各事業会社が迅速かつ柔軟な事業展開に取り組み、これまで培ってきたメディアマーケティング領域を活かしつつ、更なる事業拡大と企業価値向上を実現させることが重要課題と捉えております。そのうえで、市場環境の変化に迅速に対応し、グループ経営の強化、人的資本や経営資源の効率化を進め、既存事業に囚われない新規事業の創出と事業領域の拡大を実現するため、2025年10月1日付で当社グループは持株会社体制へ移行いたしました。
持株会社体制への移行後は、子会社である各事業会社はそれぞれの領域において柔軟かつ迅速な経営判断のもと事業を展開してまいります。それに伴い、これまでのメディア・コンテンツを主軸とする事業から地域観光資源開発・地域レガシー産業のDXや高付加価値化などの地域創生事業への転換を進め、地域創生を基軸とした新規事業の創出と事業領域の拡大に努め、INCLUSIVE Holdingsグループ全体の企業価値向上を目指してまいります。
当連結会計年度において当社グループは、ブランドコンサルティング事業、食関連事業、宇宙関連事業、投資事業の4セグメントにおいて事業展開をおこなっております。
① ブランドコンサルティング事業
ブランドコンサルティング事業は、事業会社および自治体ほか各種団体向けブランドコンサルティングやプロデュース企画、SNS運用支援等のメディアマーケティング、地域資源を有効活用する地域創生事業を展開しております。
当事業領域においては、短期的には、案件ごとの利益率向上を重要指標と捉え、既存・新規を問わず取引先との関係強化と並行して当社の強みを発揮できる案件の選択と集中を推進してまいります。また、ブランディング支援や企業向けPRコンサルティングなどにおいては、ブランドを体験することで価値を生み出す「場のメディア化」施策を掲げております。中長期的には、地域ブランドを発掘し、埋もれていた地域資源の価値を創出する地域創生事業に注力するなかで、グループ会社との連携により、観光拠点や既存施設のリブランディングや観光を含めた地域産業の活性化に貢献する社会的影響力の大きなプロジェクトへの取り組みを進めております。
内製化傾向の強い事業会社のデジタルマーケティングの領域において、事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進支援、コンサルティングとともに運営メディアの獲得と広告関連サービスのアップセルとクロスセルに注力しております。
ブランドコンサルティング事業の成長戦略は次のとおりです。
・「場のメディア化」の推進
空間プロデュースのノウハウを元に従来のブランディング構造を転換する発想で、来場者・ユーザーの体験と感動を設計し、ブランドを体験してもらう、「場のメディア化」を推進します。来場者・ユーザーが訪れる場所をメディアとすることで膨大かつコアな情報を発信し、ブランド価値の向上につなげます。
・社会的インパクトの大きなプロジェクトの主導
2025年夏開催の大阪・関西万博におけるシグネチャーパビリオン「EARTH MART」総合プロデュースや、2026年3月にオープンしたJR高輪ゲートウェイ駅に誕生した総合文化施設「MoN Takanawa」総合プロデュースなど、企画から空間デザイン、運営まで一気通貫のプロデュース体制をもとに影響力の大きなプロジェクトを展開します。
・地域ブランドのIP(Intellectual Property:知的財産)化
当社グループが支援する地域観光施設や拠点におけるブランド、デザイン、物語を知的財産(IP)として保護し、それらを多角的に展開することで収益を生み出す資産へと構築し、活用します。
② 食関連事業
食関連事業は、当社グループの株式会社下鴨茶寮の持つ安政三年(1856年)創業の下鴨茶寮というブランドを基盤として、インバウンド需要を満たす京都・東京の店舗運営と料亭ブランドを基軸にしたデパ地下店舗運営、EC事業などに取り組んでおります。
当該事業領域においては、店舗運営やEC事業など事業形態の拡大に伴い自社製造体制を見直し、多様な製造販売ルートに対応した商品開発体制を構築いたしました。また大幅な円安を背景としたインバウンド消費を見越し、新商品の開発を進めるとともに国内リアル店舗での高単価高付加価値サービスの提供に注力しております。EC事業においては、ヒトの感性を大事にしつつAI技術を最大限活用し、需要予測による無駄の排除、マーケティングの自動最適化を実現し、同事業の売上拡大を図ります。中長期的には、下鴨茶寮のブランド価値を強化し、新たな地域への事業展開やEC事業の海外展開など、新たなサービス開発と事業展開を強化していく方針です。
食関連事業セグメントの成長戦略は次のとおりです。
・感性×AI
ヒトの感性を損なうことなくAIを最大限活用し、需要予測やマーケティングの自動最適化を実現し、EC事業の売上拡大に貢献します。
・食の高付加価値化
多様な流通チャンネルに対応する商品開発、海外富裕層を対象とする高収益なブランドプロダクトへの転換を進めます。
・下鴨茶寮のECビジネスモデルの横展開
AI技術を活用した需要予測とマーケティングの自動最適化をパッケージ化して事業会社向けサービスとして展開を進めます。
③ 宇宙関連事業
宇宙関連領域においては、LAND INSIGHT株式会社の衛星データ利活用によるDX事業展開を強化します。当事業の中心となる自治体農業行政における現地調査支援サービス「圃場(ほじょう)DX」は、行政の効率化に大きく寄与する重要な技術基盤となりつつあり、DXサービスにおける標準化を目指してまいります。今後は、農業に加えて、林業・防災・固定資産調査分野等において、地方自治体向けのDXソリューションとしてのサービス開発に注力いたします。LAND INSIGHTでは、この成長領域においてリーディングポジションを確立すべく、技術開発・パートナーシップ・政策連携の各面から積極的な取り組みを進めております。
宇宙関連事業セグメントの成長戦略は次のとおりです。
・「圃場DX」全国実装
支援先のひとつである宮崎県では、県内6協議会(7市町村)での実証の結果、現地調査が必要な農地数を最大8割削減できるという実効性の高さが証明されました。これらの高いサービス優位性をもって、さらなる自治体シェア拡大をすすめてまいります。
・行政DX=自働化、防災・固定資産調査など他の領域への展開
各自治体との協業体制の構築を進め、自治体の課題を直接取り込むことで、行政自働化を進めております。また、引き続き官民連携による地域創生DXとして、自治体向け行政効率化・省人化サービスを展開いたします。
④ 投資事業
投資事業においては、市場動向を精査しつつ当社が保有する営業投資有価証券の適切な管理・運用を実施しております。中長期的な企業価値向上を目指し、機動的なポートフォリオの入れ替えを推進しております。また、投資先企業の価値向上に向けた支援活動を継続して行いつつ、将来の成長が見込まれる企業や事業への新規投資についても、当社投資ガイドラインに沿って検討を進めております。
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(2)目標とする経営指標
当社グループでは、収益規模を持続的に拡大させていくことと、効果的なリソース配分がなされている事の両面を担保していく観点から、売上高ならびに営業利益を重視しております。また、今後の成長に向けた新規サービス等の開発投資が重要との認識から調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費及びのれん償却費+株式報酬費用+寄付金)についても、当社グループの経常的な事業収益力を測る指標として重視しております。
(3)経営環境について
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移いたしました。国内企業においては、深刻化する人手不足への対応や競争力強化を目的とした、戦略的なIT投資が一段と加速いたしました。特に、生成AIをはじめとする先端技術の活用やレガシーシステムの刷新、クラウド移行による業務効率化需要が堅調に推移し、経済全体の活性化に寄与いたしました。一方で、不安定な地政学リスクや為替相場の変動、金融政策の動向が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような市場環境のなか、当社グループは2025年10月1日付で持株会社体制へ移行いたしました。当社グループの事業におきましては、メディア事業から地域創生へと事業主軸をシフトし、ブランドコンサルティング、食関連、宇宙関連など複数領域での事業展開を推進しております。
ブランドコンサルティング事業領域においては、インバウンド旅行者の消費拡大を見越した観光産業の生産性向上、観光地経営の高度化、各種イベントの空間デザイン・ブランディング企画など、さまざまな取り組みが進められています。当社グループでは、地域観光拠点のリブランディングや施設整備をはじめ、地域発のブランディング支援やデジタルマーケティングの展開など、観光と地域産業の活性化に貢献するプロジェクトを手がけています。
食関連事業領域においては、インバウンド需要の好調が続いており、2025年(暦年)における下鴨茶寮の出店場所である京都府及び東京都の旅行消費額は、それぞれ6,802億円及び32,867億円(国土交通省観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(都道府県別)」)といずれも国内上位の需要が集中するエリアになっております。下鴨茶寮という伝統的な料亭ブランドの強みを活かしつつ、AIを用いたデータ分析を積極的に活用するなど、デジタル領域での抜本的な組織強化と戦略投資を進めています。
宇宙関連事業領域においては、政府が進める農業行政DX推進を受け、衛星データを利活用した農業行政現地調査支援サービス「圃場DX」の導入自治体数が急拡大しております。また、本事業開始当初から密接な関係を築いてきた福島県南相馬市との共創による「圃場DX」サービスの開発と先導的な取り組みが評価され、2026年2月、宇宙開発利用の推進に多大な貢献とした事例として『第7回宇宙開発利用大賞「農林水産大臣賞」』を受賞いたしました。これらの自治体との連携、実証実験の成果をもとに、業務効率化および省人化など地方自治体の農業行政におけるDXを推進し、地域課題の解決支援に積極的に取り組んでおります。
(4)対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、デジタル化の進展、消費行動の変化、地域経済を巡る政策動向の変化等を背景として、大きく変化しております。このような環境のもと、当社は2025年10月1日付で持株会社体制へ移行し、グループ経営機能の強化及び経営資源配分の最適化を推進しております。今後は、グループ全体最適の観点から、持続的な成長及び企業価値向上を実現するため、以下の課題に重点的に取り組んでまいります。
① 持株会社体制におけるグループ経営機能の強化
当社グループは、持株会社体制への移行に伴い、グループ各社に分散していた経営管理機能の集約を進めております。今後は、グループ横断での迅速な意思決定、経営資源配分の最適化、内部統制及びガバナンス体制の強化を推進し、グループシナジーの最大化を図ってまいります。また、資本効率及び収益性を重視した経営管理体制を構築し、継続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
② 事業ポートフォリオの最適化について
当社グループは、従来のインターネット関連領域に加え、地域創生関連事業、食関連事業及び宇宙関連事業等の成長領域への展開を進めております。特に、地域経済活性化に関連する需要の拡大を背景として、自治体及び地域企業との連携強化を進めるとともに、グループ各社の事業基盤を活用した収益機会の拡大に取り組んでおります。また、デジタルマーケティング支援、EC関連支援及びブランドコンサルティング等の各事業領域における連携を強化し、グループ全体での収益基盤の安定化を図ってまいります。今後も、事業ごとの収益性及び成長性を継続的に検証し、グループ全体の事業ポートフォリオの最適化を推進してまいります。
③ 外部環境の変化への対応とコスト管理の徹底
食関連事業領域における原材料や資材価格の上昇、物流費及びエネルギーコストの変動等、外部環境の変化が事業に及ぼす影響を注視しております。当社グループは、グループ一体となった調達体制の最適化、継続的なコスト削減及びAI Transformation(以下「AX」)を活用した業務効率化を推進することで、生産性向上及び収益体質の強化に取り組んでまいります。また、環境変化に柔軟に対応可能な事業運営体制を構築することで、安定的な収益基盤の確立を目指してまいります。
④ ブランド価値及び情報信頼性の確保について
当社グループは、メディア運営及びデジタルマーケティング支援を行う企業グループとして、ブランド価値及び情報の信頼性確保が重要な課題であると認識しております。そのため、コンテンツに対する社内レビュー体制及び専門家監修体制の強化を進めるとともに、適切な広告配信及びコンテンツ品質管理の徹底に取り組んでおります。今後も、広告主及びユーザー双方からの信頼向上に努めてまいります。
⑤ 人材の確保及び育成について
当社グループは、今後の事業拡大及び新規事業展開に対応するため、専門性を有する人材の確保及び育成が重要であると認識しております。特に、地域創生、AX、事業開発等の領域における人材採用及び育成を推進するとともに、人事制度及び教育体制の整備を進めることで、人材の定着及び組織力の向上に努めてまいります。また、権限委譲及び経営人材育成を推進することで、特定個人への依存度低減を図り、持続可能な組織体制の構築に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制及びガバナンス体制の強化について
当社グループは、法令及び定款に適合した事業運営を継続的に行うため、内部統制基本方針を定め、内部管理体制及び内部統制体制の整備・運用を推進しております。持株会社体制への移行に伴い、グループ全体での内部管理水準の向上、コンプライアンス体制の強化及びリスク管理体制の高度化が重要であると認識しております。そのため、内部統制基本方針について継続的な見直しを行うとともに、外部専門家からの助言等も踏まえ、コーポレート・ガバナンス体制の更なる強化に取り組んでまいります。

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