有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/18 15:00
【資料】
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【項目】
157項目
3.重要な会計方針
(1) 連結の基礎
子会社
子会社とは、当社により支配されている企業をいいます。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を及ぼす能力を有している場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社が支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、当社グループの連結財務諸表に含まれております。
当社グループ間の債権債務残高及び内部取引高、並びに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社の決算日は、すべて当社と同じ決算日であります。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。被取得企業の識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日の公正価値で、測定しております。
・繰延税金資産・負債はIAS第12号「法人所得税」に、従業員給付に係る資産又は負債はIAS第19号「従業員給付」に準拠し、それぞれ認識測定しております。
・被取得企業が借手であるリースについて、取得したリースを取得日現在の新規のリースとみなし、リース負債を残りのリース料の現在価値で測定しております。また、使用権資産を原則としてリース負債と同額で測定しております。
・被取得企業の株式に基づく報酬契約、又は被取得企業の株式に基づく報酬契約の当社の制度へ置換えのために発行された負債もしくは資本性金融商品は、IFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定しております。
取得対価が取得した識別可能な資産及び引き受けた負債の取得日における公正価値を超過する場合は、当該超過額を測定し、連結財政状態計算書において、のれんとして認識しております。
仲介手数料、弁護士費用、デュー・デリジェンス費用等の企業結合に関連して発生する取引コストは、発生時に費用処理しております。
(3) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(4) 金融商品
① 金融資産
(ⅰ) 当初認識及び測定
営業債権は発生日に、それ以外の金融資産については当該金融資産の契約上の当事者となる取引日に当初認識しております。
当社グループは、金融資産について、償却原価で測定する金融資産、純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
金融資産は以下の要件を満たす場合には償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産を保有している場合
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に、公正価値に取引費用を加算した額で測定しております。ただし、重大な金融要素を含まない営業債権は、取引価格で測定しております。当初認識後は、実効金利法により償却原価で測定しております。
なお、報告期間を通じて、純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は保有しておりません。
(ⅱ) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じ以下のとおり測定しております。
・償却原価により測定される金融資産については、実効金利法による償却原価により測定しております。
(ⅲ) 減損
当社グループは、金融資産の減損の認識にあたっては、期末日ごとに、償却原価で測定する金融資産に、当初認識時点からの信用リスクの著しい増加があるかどうかを評価しております。
金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融資産に係る貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しております。ただし、営業債権については、常に、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しております。
金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かは、当初認識時における債務不履行発生リスクと各期末日における債務不履行発生リスクを比較して判断しております。この判断には、過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、過大なコストや労力をかけずに利用可能な範囲内における合理的かつ裏付け可能な情報を考慮しております。また、金融商品の予想信用損失は、契約上受け取るべき金額と、受け取りが見込まれる金額との差額に時間価値を考慮の上測定し、当該測定に係る金額は、純損益として認識しております。
(ⅳ) 認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は、金融資産を譲渡し、かつ、当該金融資産の所有にかかるリスクと経済価値を実質的にすべて移転している場合に、金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債
(ⅰ) 当初認識及び測定
当社グループは、金融負債を契約の当事者となった時点で認識しております。金融負債について、償却原価で測定される金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。償却原価で測定される金融負債は取得に直接起因する取引コストを公正価値から減算した金額で当初測定しております。
なお、報告期間を通じて、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は保有しておらず、金融負債は全て償却原価で測定される金融負債に分類しております。
(ⅱ) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定いたします。
・償却原価で測定される金融負債については、当初認識後実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅲ) 認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
(5) 有形固定資産
有形固定資産の測定については、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連するコスト、解体及び除去に係る原状回復費用の当初見積額が含まれております。
各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上しております。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物 8~18年
・工具、器具及び備品 3~15年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用されます。
(6) リース
当社グループでは、一定の有形固定資産及び無形資産のリースを受けております。契約の開始時に契約がリースであるか又はリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリース又はリースを含んでいると判断いたします。契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転するか否かを評価するために、当社グループは以下のことを検討しております。
・契約が特定された資産の使用を含むか
・使用期間全体にわたり資産の使用から経済的便益の殆どすべてを得る権利を有しているか
・資産の使用を指図する権利を有しているか
・資産を稼働させる権利を有しているか
・資産の使用方法及び使用目的を事前に決定するように、資産を設計したか
当社グループは、リース要素が含まれる契約の締結時又は条件変更時に、契約で合意した対価を、各リース要素及び非リース要素の独立価格の比率に基づいて、各要素に按分しております。
① リース(借手)
当社グループは、リースの開始日に、使用権資産とリース負債を認識しております。使用権資産は、取得原価で当初測定しております。この取得原価は、リース負債の当初測定額に開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産の又は原資産の設置された敷地の原状回復コストの見積りを加味し、受領済であるリース・インセンティブを控除して算定しております。
当初設置後、使用権資産は開始日から、所有権移転が確実である場合は当該資産の見積耐用年数、それ以外の場合は当該使用権資産の見積耐用年数又はリース期間のうちいずれか短い方の期間で定額法により減価償却しております。
使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定しております。さらに、該当する場合には、減損損失により減額され、また、特定のリース負債の再測定時には調整されております。
リース負債は、開始日時点の未払リース料と借手の追加借入利子率による割引現在価値で当初測定をしております。
リース負債の測定に含めるリース料総額は、以下で構成されております。
・固定リース料(実質的な固定リース料も含む)
・指数又はレートに基づいて算定された変動リース料(当初測定には開始日現在の指数又はレートを用いる)
・残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額
・当社グループが行使することが合理的に確実である場合の購入オプションの行使価額、延長オプションを行使することが合理的である場合のオプション延長期間のリース料、及びリースの早期解約に対するペナルティ支払額(早期解約しないことが合理的に確実な場合を除く)
リース負債は、実効金利法による償却原価で測定しております。指数又はレートの変動により、将来のリース料が変動した場合、残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の見積りが変動した場合、又は購入、延長、あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債は、再測定されております。
リース負債を再測定する場合、使用権資産の帳簿価額を修正するか、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には、損益として計上しております。
② 短期リース、少額リース(借手)
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リース及び少額資産のリースについては、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(7) のれん
のれんの償却は行わず、毎期及び減損の兆候が存在する場合には、その都度、減損テストを実施しております。のれんの減損テスト及び減損損失の測定については注記「3.重要な会計方針 (9) 非金融資産の減損」に記載しております。
(8) 無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。なお、自己創設の無形資産については、資産化の要件を満たす開発費用を除き、その支出額はすべて発生した期の費用として計上します。
無形資産は、当初認識後、耐用年数を確定できない無形資産を除いて、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。主要なその他の無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 3年~15年
・顧客関連資産 20年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
ブランドは、事業が継続する限り存在すると予想されるため耐用年数を確定できず、取得原価で表示し、償却は行っておりません。なお、現在当社グループで認識されているブランドは、PRホールディングス株式会社(現株式会社ペイロール)が旧株式会社ペイロール②に対して行った企業結合により認識されたものであります。
(9) 非金融資産の減損
繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない、又は未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎期及び減損の兆候を識別した時に見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか大きい方の金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いております。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しております。ただし、のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しております。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成いたしません。全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を見積っております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に純損益として認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されているのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額しております。
のれんに関連する減損損失は戻入れておりません。その他の資産については、過去に認識した減損損失に対し、毎期末日において減損損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を評価しております。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れております。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却額を控除した後の帳簿価額を上限として戻入れております。
(10) 従業員給付
① 退職後給付
当社グループの従業員を対象に確定拠出型年金制度を採用しております。確定拠出型年金制度は、雇用主が一定の掛け金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型年金制度の拠出額は、従業員が拠出に対する権利を得る勤務を提供した時点で費用として認識しております。
② 短期従業員給付
給与、賞与、有給休暇費用については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用及び負債を計上しております。
(11) 株式報酬
当社グループは、一部の役職員に対するインセンティブ制度として、持分決済型のストック・オプション制度を採用しております。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、二項モデルを用いて算定しております。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。
(12) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
資産除去債務については、賃借事務所等に係る原状回復義務に備え、過去の原状回復実績を考慮して決定した使用見込期間等を基礎として、各物件の状況を個別に勘案して見積り、計上しております。これらの費用は、事務所等に施した内部造作の耐用年数を考慮して決定した使用見込期間経過後に支払われると見込んでおりますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
(13) 収益
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。
当社グループは、給与計算業務のアウトソーシング事業について、当社グループのサービス提供により給与計算業務を実施し始めてから契約が終了するまでの期間において、顧客が当該役務に対する支配を獲得することから、履行義務を充足していくものであると判断し、当該役務を提供するにつれて収益を認識しております。また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き及びリベートなどを控除した金額で測定しております。
(14) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られたときに公正価値で認識しております。
収益に関する補助金については、関連する費用を認識した期に、その他の収益に含めて処理されます。
(15) 金融収益及び金融費用
金融収益は、主として受取利息から構成されております。受取利息は実効金利法により発生時に認識しております。
金融費用は、主として支払利息から構成されております。支払利息は実効金利法により発生時に認識しております。
(16) 法人所得税
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で測定しております。税額の算定にあたっては、当社グループが事業活動を行い、課税対象となる損益を稼得する国において、期末日までに制定又は実質的に制定されている税法及び税率に従っております。
繰延税金は、期末日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
繰延税金負債は原則として全ての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異について認識しております。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識しております。
繰延税金資産及び負債は、期末日において制定されている、又は実質的に制定されている税法及び税率に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税法及び税率によって測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の管轄地における税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しております。
(17) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。なお、希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有す
るすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。当社グループの潜在的普通株式はストックオプションによるものであります。