有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/13 15:00
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「安心・安全な社会づくりに寄与するとともに、社会の継続的発展と成長に貢献する」という経営理念のもと、「顧客満足度の継続的な向上に日々努めるとともに、社員の健全で豊かな生活の実現に努める」ことを経営方針としております。
「想像力」・「創造力」と「技術力」を駆使し、さらなる「技術基盤強化」「新事業創出」「営業基盤強化」を図り、ものづくりを支えるシステム開発を基盤としたグローバル企業を目指します。
(2)経営戦略等
当社グループは、経営方針のもと、強みであるソフトウェア・ハードウェアの一体型開発力と幅広いソリューションサービスの販売力を活かして、以下の戦略を実行し、既存事業分野のさらなる強化と成長分野投資バランスをとり、持続的かつ健全な成長の実現を目指します。
①ソフトウェアとハードウェアの一体型システム開発力を強みに、オートモーティブやデジタル家電などの分野を主力に確実な成長を図る
②「Mastercam」を中心に、「Robotmaster」「FlexSim」など製造業向けの全てのソリューションサービスについて、代理店網を活かした効率的な販売を図り、大きな伸長を獲得する
③ソフトとハードの開発力により独自の製造業向けIoTソリューションを開発し、製造業向けの販売力を活用して展開し、新たなビジネスモデル開拓に挑戦する
④社会の安心と安全を支援する災害時位置情報自動通知システム「ココダヨ」の事業基盤の拡大と収益化への精度を上げる
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長をしていくことによって企業価値を高め続けていくことを経営目標としており、売上高、売上総利益率、営業利益、営業利益率を経営指標として重視し、これらの拡大を目指しております。
(4)経営環境
システム受託開発事業が属する組み込みシステム市場は、主要製品分野である自動車関連市場を中心に活発化しており、その市場規模は2018年度実績から2022年度にかけて、年平均成長率4.2%と堅調に推移することが予測されております。特に自動車関連市場につきましては、「世界一のITS(注)1 を構築・維持し、日本・世界に貢献する」(注)2 ことを目標に、官民一体となった自動運転・先進運転技術への投資が積極化しており、当社グループが提供するシステム受託開発事業の主要開発製品である「コネクテッドカー」(注)3 が、今後3年間に急速に普及することが予測されております。また、自動車や医療分野を中心に、安全技術への需要が高まっており、機能安全規格の認証取得が求められる傾向にあります。(出典:ミック経済研究所「エンベデッドシステム・ソリューション市場の現状と展望2018年度版」より)
エンジニアリングソリューション事業の属する機械系CAD/CAM/CAEの市場規模は、主要機械系CAD/CAM/CAE88社の2019年度の売上見込みが402,599百万円、前年比6.3%増となると予想されております。(出典:矢野経済研究所「CAD/CAM/CAEシステム市場の中期展望2019年度版」より)同時に、高付加価値技術である5軸加工および複合加工においては、日本市場は、現状では欧米・アジア市場の数分の一と小さいため、世界の中で日本の製造業が競争力を維持し生産性の向上を図るためには少なくとも同程度の普及が必要となり、市場規模は今後拡大する事が見込まれております。
(注)1.ITS:Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)の略称
(注)2.出典:高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議「官民ITS構想・ロードマップ2018」
(注)3.コネクテッドカー:ネットワークで路車間・車車間通信を行い、先進的な運転技術を提供する自動車
(5)事業上の対処すべき課題
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、IT利活用の高度化・多様化が進展し、企業収益の回復を背景に、AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等の技術を活用した設備投資やIT投資は、今後も堅調に推移すると思われます。一方で、IT需要に比例して今後ますます技術者不足の深刻化が予測され、当社グループにおいても中長期的な課題と認識しており、人材の確保・育成が大きな課題となっております。
当社グループでは、多様化する社会ニーズや市場環境の変化に機動的に対応し、持続的な成長と盤石な経営基盤を確立するために、対処すべき課題を以下のように認識し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。
①システム受託開発事業における品質維持向上と顧客満足度向上
当社グループが提供する、ソフトウェアとハードウェアの高い開発力及び性能と、それに裏付けられた顧客企業による高い評価は、当社グループにとって一番の強みであります。その高い開発力を維持し、さらなる品質向上のための活動を継続しております。また、IT活用による業務効率化とリスク管理を強化し、生産性の向上を図ってまいります。
②システム受託開発事業における人材の育成と確保
付加価値の高いサービスを提供するためには、ソフトウェアとハードウェアの両方の知識を併せ持つ人材の確保と育成が必要です。併せて、プロジェクト化した請負型の開発を高いレベルで行うためのマネジメント力も必須となります。人材採用と育成について、全社を挙げて一層、戦略的・体系的に取り組み、機動的な人員配置計画が達成できるよう図ってまいります。
また、技術者確保のひとつの方法として、パートナーと位置付ける協力会社からの技術者の受け入れを行っており、新規開拓および継続的関係強化により社外からの技術者の確保にも努めております。
③システム受託開発事業における販売先数及び販売先分野の拡大
これまで既存販売先および既存分野を中心に営業活動を行ってまいりました。当社グループの強みが活かせる販売先および分野を拡大するために、展示会やセミナー等への出展に積極的に取り組むとともに、新規顧客を開拓するために、当社の主力技術分野での提案力を強化し、営業体制の強化を図っていく必要があります。これにより主要取引先の占有リスク回避にも繋げてまいります。
④エンジニアリングソリューション事業における代理店網を活用した販売力の強化
これまでに約500社の販売店と約3,500社のユーザーに製造業向けソリューションサービスを提供してまいりました。今後の製造業の現場では、一層の省力化・効率化が必要となり高度な設備の需要が見込まれ、特に、中小企業向けには新規開拓余地が大きく残っていると期待されております。そのためには、効率的な営業が必要となり、代理店網を活かした販売力強化への取組み拡大を図ってまいります。
⑤事業セグメント間の連携強化
高い評価を得ているソフトウェアとハードウェアの開発力、製造業を支援するソリューションサービスの販売・技術サポートで培った全国販売ネットワークを、飛躍的な成長が見込めるIoT関連商材と組み合わせ、独自開発や商材発掘への投資を加速させてまいります。
⑥セキュリティの強化
セキュリティ対策は、ソフトウェア会社として、また当社グループのブランド価値向上のためにも重要であると考え、その実施機関として、情報セキュリティ委員会を設け、セキュリティ管理やセキュリティ教育に取り組んでおります。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、現時点においては、「株式会社の支配に関する基本方針」及び「買収防衛策」を特に定めておりません。しかしながら、今後の社会的な動向等を注視し、慎重に検討を行ってまいります。