有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/17 15:00
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【項目】
152項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)経済情勢、金利動向の変動について
当社グループの属する不動産業界は、景気動向、経済情勢、金利動向、地価の動向等の影響を受けやすい特性があり、これらの影響から購入者の需要動向が悪化した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、市場動向の観測や不動産市況の悪化時の影響度合いを定期的に調査分析し、必要に応じて販売用不動産の種類、金額等を考慮しながら、当該リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めております。
(2)有利子負債への依存について
当社グループは、不動産売買事業における中古不動産の買取資金を主に金融機関からの借入金によって調達しております。当社グループは、特定の金融機関に依存することなく、個別案件ごとに販売計画の妥当性を分析した上で借入金の調達を行っておりますが、金融機関の融資姿勢や金融情勢の変動によって金利上昇や借入金の調達が困難になることがあり、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、第21期連結会計年度末の有利子負債依存度は30.9%になります。
(3)販売用不動産の評価損について
当社グループが保有する販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号令和元年7月4日改正分)を適用しております。期末に保有している販売用不動産の取得原価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が取得原価を下回っている場合には販売用不動産の評価損を計上することとしております。
当社グループについては、不動産市況動向を常に確認し事業活動を行っており、動向に合わせた仕入を適切に行うよう努めておりますが、今後、経済情勢や不動産市況の悪化による不動産価格の急激な変動等により、事業計画の遂行に重大な問題が生じ、販売価格の引き下げ等が発生する恐れがあります。また、販売用不動産の滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が取得原価を下回り、評価損を計上することも予測され、その結果、当社グループの経営成績や財政状況に影響を与える可能性があります。
(4)投資用マンションの販売について
当社グループが販売する不動産は、資産運用を目的として購入されるものがありますが、一般的に不動産による資産運用(不動産投資)には、入居率の悪化や家賃相場の下落による賃料収入の低下、金利上昇による借入金返済負担の増加等、収支の悪化につながる様々な投資リスクが内在しております。当社グループはこれらの投資リスクについて十分な説明を行い、投資目的の顧客に理解していただいた上で売買契約を締結するよう営業社員及びこれをサポートする社員に教育を徹底しております。また、入居者募集や集金代行などの賃貸管理から修繕等の建物管理に至るまで一貫したサービスを提供することで、顧客の長期的かつ安定的な不動産投資を全面的にサポートし、空室の発生や資産価値下落等のリスク低減に努めております。しかしながら、営業社員の説明不足等が原因で投資リスクに対する理解が不十分なまま不動産購入に至ったことにより、顧客からの訴訟等が発生した場合、当社グループの信頼が損なわれることにつながり、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、社会情勢や経済情勢の変化により、入居率の悪化や家賃相場の大幅な下落、金融機関の融資姿勢の変化や急激な金利上昇等が発生した場合、顧客の不動産投資に支障をきたす可能性があります。特に金利上昇は、金融機関の融資を利用する顧客に対し、借入金返済負担の増加による収支の悪化をもたらすことから、顧客の購買意欲に影響を及ぼす可能性があります。
(5)固定資産の減損について
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い、決算期ごとに固定資産の減損の兆候の把握を行っております。当社グループについては、不動産市況動向を常に確認し事業活動を行っており、動向に合わせ、固定資産の取得を適切に行うよう努めておりますが、今後の地価動向や景気動向等によっては、固定資産の減損損失を計上することも予測され、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)競合リスクについて
不動産業界は、事業を行うための許認可取得など新規参入に係る手続きが煩雑ではありますが、大手ハウスメーカーから個人事業主に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しております。当社グループでは膨大な量の不動産所有者情報、不動産情報を活用した不動産所有者からの直接仕入を企業活動の主軸としており、他社と比較して価格優位性があり、今後も差別化を強化する方針であります。しかしながら、今後、同様のビジネスモデルを有する他社の参入などにより十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には価格競争や取り扱い件数の減少等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)特定人物への依存について
当社グループでは、役員及び幹部社員への情報共有や権限の移譲を進め、創業者である代表取締役社長榮章博に過度に依存しないような経営体制の整備を推進しておりますが、同氏は、当社設立以来、当社グループの経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動を展開していくにあたり重要な役割を担ってまいりました。特に当社グループの主力事業である不動産売買事業における売買方針の決定においては、同氏の資質に依存している部分があります。同氏が職務を遂行できなくなるような不測の事態が生じた場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)契約不適合責任について
売買対象不動産について、種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものがある場合、民法と宅地建物取引業法の規定により売主が買主に対して契約不適合責任を負うことになります。当社グループにおいては、販売用不動産の契約前に担当部署と管理部門において、リスクを可能な限り契約書に明記し、リスクの低減に努めておりますが、万が一当社グループの販売した不動産に当該不適合が確認された場合には、当社グループは、売主として契約不適合責任を負うことがあります。その結果、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、また、履行の追完のための費用が生じる事により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)自然的・人為的災害について
当社グループが取り扱う中古不動産は、首都圏や関西圏が中心となっておりますが、これら地域において、地震・火災・水害等の自然的災害、大規模な事故やテロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの所有する中古不動産が滅失、毀損又は劣化し、販売価格や賃貸収入が著しく減少する可能性があります。また、これら以外の地域で自然的・人為的火災が発生した場合においても、消費マインドの冷え込みから当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)人材の確保・育成について
当社グループは、様々な経営課題を克服し事業を拡大していくために、優秀な人材を継続的に確保・育成していくことが重要な課題であると認識しております。従って、今後も優秀な人材の中途採用、優秀な学生の新卒採用及び教育・研修制度の充実を図り、当社グループの経営理念を理解した社員の育成を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「建築基準法」、「都市計画法」、「国土利用計画法」、「建物の区分所有等に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「不動産の表示に関する公正競争規約」等の法的規制を受けております。当社グループではこれらの法的規制を遵守するように努めておりますが、法令違反が発生した場合や、今後これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業活動が制約を受け、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが事業活動を行うに際し、以下に記載の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、将来何らかの理由により、法令違反等の事象が発生し、監督官庁より業務停止や免許の取り消し等の処分を受けた場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに当社グループの経営成績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(許認可等の内容)
許認可等の名称許認可(登録)番号有効期限許認可等の取消又は更新拒否の事由
宅地建物取引業者免許(許可)国土交通大臣(2)第8622号令和元年6月12日から
令和6年6月11日まで
宅地建物取引業法第5条及び第66条
建設業者免許(許可)東京都知事許可(般-30)第150058号平成31年3月25日から
令和6年3月24日まで
建設業法第3条
マンション管理業者(登録)国土交通大臣(2)第034068号平成31年3月25日から
令和6年3月24日まで
マンションの管理の適正化の推進に関する法律第44条及び第47条
賃貸住宅管理業者(登録)国土交通大臣(2)第1499号平成29年3月22日から
令和4年3月21日まで
賃貸住宅管理業務の適正化を図るための国土交通省告示(賃貸住宅管理業者登録規定(国土交通省告示第998号))
二級建築士事務所(登録)東京都知事登録
第15779号
平成30年9月1日から
令和5年8月31日まで
建築士法第23条第7項(廃業届出)
不動産特定共同事業(許可)東京都知事許可
東京都知事 第117号
有効期限はありません不動産特定共同事業法第36条
産業廃棄物収集運搬業(許可)東京都知事許可
許可番号第13-00-219874号
令和3年3月12日から
令和8年3月11日まで
産業廃棄物処理法第7条の4
神奈川県知事
許可番号01400219874号
令和3年3月18日から
令和8年3月17日まで
埼玉県知事
許可番号01100219874号
令和3年3月30日から
令和8年3月29日まで
千葉県知事
許可番号第01200219874号
令和3年3月23日から
令和8年3月22日まで
古物商(許可)東京都公安委員会
許可番号 第305512116337号
有効期限はありません古物営業法第6条


(12)情報漏洩のリスクについて
当社グループが行っている不動産売買事業、不動産賃貸管理事業において、事業上の重要情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有しております。当社グループでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を認証取得するとともに、これらの情報の外部への不正な流出、漏洩を防止するために、社内研修を通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じております。さらにデータベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの継続的な改善等により、情報管理体制を強化するとともに情報管理の徹底を図っております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等により、当社グループが保有する機密情報や個人情報等が外部へ流出、漏洩した場合等には、損害賠償請求等が発生するリスクや、信用が失墜するリスクがあり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)システムトラブルについて
当社グループの事業は、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故、外部システムを含むシステムの何らかのトラブル等により、その通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を与える可能性があります。また、不動産流通機構(レインズ)等、当社が不動産売買事業において使用する外部システムがシステムメンテナンスや何らかのトラブル等により使用できなくなった場合には、不動産売買事業における仕入及び販売活動が滞る可能性があります。
当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性の確保に取り組むとともに、定期的にデータのバックアップを実施しており、システムトラブルによるデータの喪失を極力少なくする運用を行っております。また、不動産流通機構(レインズ)等の外部システムについては予め休止期間等を把握し、事業活動への影響を最小限にするよう努めておりますが、何らかの理由により予期せぬシステムトラブルが発生した場合、または外部システムの休止期間等が長期化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)資金使途に関するリスクについて
当社グループの公募増資による資金調達は、販売用不動産及び賃貸用不動産を機動的に取得するための資金、新システムの開発費用及び優秀な人材の確保を目的とした採用費用等に充当する予定であります。しかしながら、外部環境等の影響により、目論見どおりに事業計画が進展せず、調達資金が上記の予定どおりに使用されない可能性があります。また、予定どおりに使用された場合でも、想定どおりの効果を上げることができず、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)借入金の財務制限条項について
当社グループは、安定的に資金運用を行うため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。万が一、これらの条件に抵触した場合には、借入金利の上昇や期限の利益の喪失等、当社の経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
現状の当社経営成績や財政状態は、かかる財務制限条項の要求水準との間に相当の安全マージンを確保していること、当社は財務制限条項の遵守状況を適切に管理し、財務制限条項を安定的に充足するべく業務運営を行っていることから、現状かかる財務制限条項抵触リスクは僅少であると認識しております。
(16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は1,144,000株であり、これらの新株予約権が行使された場合は、新たに35,900株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(17)訴訟の可能性について
当社グループは、事業運営にあたって法令遵守の徹底及び顧客とのトラブル回避に努めており、現時点において経営成績及び財政状態に影響を及ぼす訴訟が提起されている事実はありませんが、当社グループが販売した物件における契約の不適合等を原因とするクレーム等、賃貸管理する物件における管理状況や入退去時の状況に対する顧客からのクレーム等が訴訟に発展する可能性があります。これらの内容及び結果によっては、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(18)大株主について
当社の代表取締役社長である榮章博は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社ブレインネットの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式のすべてを所有しております。本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引続き大株主となる見込みです。同氏は、当社設立以来、当社の代表取締役社長として経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動の推進にあたり重要な役割を担っていることから、代表取締役社長として重要な役割を担うことは当社の事業運営上望ましいと考えております。また、同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社と致しましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営成績や財政状況に影響を与える可能性があります。
(19)新型コロナウイルス感染拡大による影響について
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、営業活動の自粛や移動制限が行われるなど、国内経済に甚大な影響を及ぼす事態が発生しております。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対して、衛生管理の徹底や時差出勤、在宅勤務の推進等による柔軟な働き方を進めております。また、非対面でのセミナー開催やITを活用した重要事項説明書(IT重説)による説明を実施する等、お客様に安心して頂ける取り組みを推進しており、当社グループへの影響は限定的であると考えております。
しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の流行が一層拡大し長期化した場合、個人消費の動向に影響を及ぼし、不動産売買事業においては仕入及び販売活動が滞る可能性があります。また、不動産賃貸管理事業においては、賃料の滞納や留学生の賃貸需要の低下などの可能性があり、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。