有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/10/21 15:00
【資料】
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【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)企業理念
「社会の模範となる、唯一無二の魅力的な会社を創る」
1.有益なサービスを提供し、毎年、増収、増益を、実現する。
2.利益を生み出し、納税、雇用の創出、または直接的に社会に貢献する。
3.新しい分野に挑戦し、技術、知識、事業領域を広げ続ける。
4.企業価値、事業内容、問わず、必ず何かで日本一になる。
5.常に社内制度や、事業内容に、独創的な遊び心を取り入れる。
6.洗練された、空間、雰囲気、そして人を創り続ける。
(2)経営方針
当社は、上記企業理念のもと、Web領域における有益なサービスの提供を通じて世の中に貢献する企業を目指しております。そのため当社では、開発から販売、運用までの一連のプロセス全てにわたり自社で対応可能な体制を整え、各部門が一体となって顧客の様々な課題解決を支援することを事業活動の基本方針としております。また、安定した収益基盤を確立することが重要であると考えており、継続取引を中心に事業を展開するとともにサービス品質の持続的な向上を図り、顧客との継続的な取引関係の構築に努めております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
当社の主たる事業領域である国内インターネット広告市場は、2014年以来6年連続で2桁成長を続けております(出所:「2019年 日本の広告費」株式会社電通)。そして、全国の広告業務を主業とする事業所を対象とした広告種類別年間売上高の調査結果によると、広告費全体に占めるインターネット広告費の割合は、東京都においては21.7%であるのに対し東京都以外の地域においては6.1%にとどまっており(出所:「平成30年 特定サービス産業実態調査」経済産業省)、潜在的な成長余地があるものと考えられます。
また、当社がクラウド事業を展開している国内クラウド市場においては、外部サービスとの連携の容易さや初期導入費用の抑制等の利点からSaaS形態によるクラウド型ツールの導入が進んでおり、急拡大を続ける有望な成長市場となっております(参考:「ソフトウェアビジネス新市場 2019年版」株式会社富士キメラ総研)。
以上を踏まえ当社は、継続的かつ安定的な事業規模拡大を目指し主力事業であるWebマーケティング事業を中心に、本社(東京都新宿区)及び関西支社(大阪府大阪市北区)を拠点とした営業活動に加え、自社が運営するメディア経由の引き合いからの受注強化や、代理店開拓を含めた多様な販売経路の確立に取り組んでまいります。さらに、地域金融機関や地方公共団体の他、全国展開する企業等との関係強化を図り、地域経済の活性化に貢献する地方創生に向けた活動への取り組みを推進してまいります。また、クラウド型業務支援ツールの開発及び営業活動にも注力し、中長期的にはクラウド事業をWebマーケティング事業とともに当社の主要な事業へと育成してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、有益なサービスを提供し続け売上高の拡大に努めると同時に適正な利益を生みだすことが重要であると考えており、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置付けております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社の対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。
①Webマーケティング事業におけるサービス品質の維持・向上
当社の主力サービスであるSEM(注1)サービスは、広告媒体社であるGoogle LLCやヤフー株式会社等が提供する検索エンジンを活用して顧客のマーケティング活動を支援するものでありますが、検索エンジンによって頻繁に実施される順位決定の仕組みの更新に対応していくことや、広告媒体社側から提供される広告出稿のための最新機能を取り入れていくことは、サービス品質の継続的な維持・向上を図るうえで必須であると考えております。そのため当社では、SEO対策やWeb広告に対する対策手法や運用体制の改善に継続的に取り組み、サービス品質の持続的な維持・向上に努めてまいります。
②クラウド事業における提供ツールの機能向上
当社が提供するクラウド型業務支援ツールの市場競争力を高めていくためには、顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応し提供ツールの機能向上を図る必要があると考えております。そのため当社では、開発体制の強化を進め、提供ツールの機能向上に継続的に努めてまいります。
③継続取引の強化による収益安定化
当社は、安定した収益基盤を確立し持続的な企業成長を実現するためには、継続取引を中心に事業展開を図ることが重要であると考えております。そのため当社では、SEO対策やWeb広告運用代行、クラウド型業務支援ツールの提供を通して既存顧客との継続的な関係の構築に努めてまいります。
④営業力の強化と新たな販路の開拓
当社は、持続的な企業成長を実現するためには、新規顧客の獲得と既存顧客との取引拡大の双方が重要であると考えております。そのため当社では、自社が運営するメディアの強化やSEO対策のノウハウを駆使したWebサイト経由での集客等の効率的な営業手法に比重を移し、より多くの見込み案件の生成を図るとともに、案件単価、成約までの難易度や期間等の精査を徹底し新規案件の受注率向上を図っております。また、営業人員のサービス知識の充実と運用人員のスキルの向上を図ることで提案力を高め、既存顧客へのクロスセル(注2)やアップセル(注3)を推進してまいります。
さらに、新たな取り組みとして、地域金融機関や地方公共団体の他、全国展開する企業や当社と親和性の高い企業等との関係強化を図り、既に事業展開している首都圏及び近畿圏に加え、その他の地域での新たな販路の開拓にも努めてまいります。
⑤認知度の向上
当社は、中長期的な企業価値向上を実現するためには、当社自体及び当社の提供するサービスの認知度向上が重要であると考えております。そのため当社では、費用対効果を勘案しながら当社自体及び当社提供サービスに関するマーケティング活動を強化し、引き続き認知度向上に努めてまいります。
⑥人材の確保と育成の強化
当社は、持続的な企業成長を実現するためには、高付加価値のサービスを提供できる人材をより多く確保するとともに、生産性を継続的に改善していくことが必要であると考えております。そのため当社では、積極的な採用活動を継続するとともに、従業員への教育・研修体制の充実・強化を図り、経験の浅い人材の早期戦力化や全社的な生産性の向上に努めてまいります。
⑦経営管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの強化
当社は、中長期的な企業価値向上を実現するためには、コーポレート・ガバナンスや財務報告の適正性確保を含めた経営管理体制を強化し、コンプライアンスの徹底に努めていくことが重要であると考えております。そのため当社では、役職員のコンプライアンス意識の向上、各種リスクの管理や定期的な内部監査の実施による経営管理体制の強化、社外役員の選任や監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス体制の強化に今後も継続的に取り組んでまいります。
⑧情報セキュリティ体制の強化
当社は、顧客との取引を行うにあたり、顧客情報、個人情報及び営業機密等の機密情報を取り扱う機会があり、情報セキュリティ体制を継続的に強化していくことが重要であると考えております。そのため当社では、サーバー設備をはじめ社内ネットワークや情報機器に適切なセキュリティ手段を採用することにより不正アクセスや情報漏洩等の回避に努めるとともに、機密情報管理に関する社内教育の徹底に努め、情報セキュリティ体制の充実・強化に継続的に取り組んでまいります。
<用語解説>
番号用語意味・内容
(注1)SEM(Search Engine Marketing)「検索エンジンマーケティング」の略語で、SEOやリスティング広告を含む検索エンジン上のマーケティング施策のことであります。
(注2)クロスセル既存顧客に対して、現在利用しているサービスと併せて別のサービスの利用を促し、顧客単価を上げる販売施策のことであります。
(注3)アップセル既存顧客に対して、現在利用しているサービスにおいて、より単価の高い上位モデルに乗り換えること、又は、より利用量を増やすことを促し、顧客単価を上げる販売施策のことであります。